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アンゲリカ・カウフマンの絵を見る [小さな出来事]

2月前半のある日、うちのドイツ人の叔母と一緒に美術展に出かけた。
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アンゲリカ・カウフマンと言う18世紀後半に活躍したスイス・オーストリア人画家の美術展である。
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その画家の名前をめぎは知らなかった。18世紀後半にイギリスとイタリアで大成功を収めたという女流画家である。イギリスのロイヤル・アカデミーの創立メンバーの一人でもある。王族にももてはやされ、多くの王族・貴族を描いている。これはイギリス王女(ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公妃)のオーガスタとその息子。
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この王女様の服装と履物はこの当時のオーソドックスなものだが…
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当時コンスタンチノープルから伝わってきたトルコの服装が流行となり、アンゲリカ・カウフマンはそれを描き残している。これはリッチモンド侯爵夫人で、トルコ風のズボンと絹でできたパンプスを履いていて、頭にもターバンのようなもの。これが当時のコルセットからの女性解放とエロティシズムを表現しているのだそう。
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肖像画をたくさん残している一方、神話や歴史のテーマを描いたものも多数あって、これはクレオパトラがアントニウスの棺を花で飾っているシーン。
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それを見ている衛兵の表情が印象深かった。
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さて、このアンゲリカ・カウフマンの絵画を見て感じたこと…まず、暖色で、なんだか温かい気分になった。昨今の殺伐とした雰囲気の中、心にほんのりと火が灯るような、心地よい絵だった。しかしながら最後には、ふーん、はいはい、と言う気分にもなった。最初から最後までずっと同じタッチで、成功した手法をそのままずっとずっと晩年まで量産し続けたと言う感じで、発展性が感じられず、飽きるのだ。会場で説明をざっと読んだが、どんな生涯を送った人なのかもうちょっと詳しく知りたいと思ってお土産に伝記を買ってきて読んでみたものの、肝心なことはさっぱり。2度も結婚したり、イギリスで大成功を収めていたのにローマに戻ったりしているのだが、どうしてなの?という疑問に全く答えてなくて。手紙などもすべて処分されてて本人の考えなどが確認できるものが全く残っていないということで、ある意味ミステリアスな、でも成功しまくっててミステリー性とはかけ離れているような、なんとも形容しがたい画家である。

めぎが一番気に入ったのはこの絵。自画像で、音楽の道ではなく絵画の道へ行くと決断した時を表したもの。
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自らも絵を描く叔母は、とても楽しんでくれたようだった。実はこれ、めぎとうちのドイツ人からの叔母への82歳の誕生日プレゼント。めぎたちはいつもそれぞれのテンポで見つつ、時折集まってあれこれ考えを話し合ったりするのだが、それに叔母も加わって話が弾んで楽しかった。
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館内にはこんな吹き抜けのカフェもあったが、めぎたちはお昼に場所を移動した。その話はまた明日。
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美術展の英語の案内はこちら。場所はこちら。地下に駐車場があってとても便利なところ。

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