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土産 [ザルツブルク]

ザルツブルクから帰ってきてすぐに仕事が始まって、あれは夢か幻かという感じ・・・あそこではあれが現実で、今日も明日も、8月末に音楽祭が終わるまであのドレスの世界が続いているのだけど。

今日はザルツブルクから持ち帰ったものをご紹介。旅行記の最初にお土産を書くなんてちょっと変だけど、写真を整理する暇はないし、たぶん旅行記が終わる頃にはこんなことを書こうという気が失せるとも思うので。

まず、美味しかった甘いシュペートレーゼやアウスレーゼなどのデザートワインと、一つくらいはやっぱり持ち帰ろうかと買ってみたザルツ。ザルツブルクのザルツというのはドイツ語で「塩」。ザルツブルクとは、その辺りで取れる塩で財をなしてブルク(城)を建てた街なのだ。岩塩の色のままのを購入。土産らしいのはこれだけ。
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今日から仕事が始まったが、ドイツではお土産文化がないので誰も休暇先の土産など持ってこない。休暇中に職場へのお土産のことなど全く考えなくてもいいのは非常に楽だし、本当に全てを忘れることができて幸せである。

だから自分への土産しか買わないのだが、めぎにとって今回の自分への土産はなんと言っても公演のパンフレット。パンフレットと言っても有料で、1冊5.5~9.5ユーロ。高いのはオペラので、中には解説などの他、オペラの台詞が原語&ドイツ語訳&英訳で全て載っている。
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滞在18日間に14演目16公演を見た。緑がコンサート、青が演劇、赤がオペラ。めぎが今どれほど飽和状態になっているかご想像いただけるだろうか・・・

それから、印象に残った新聞や雑誌など。8月6日には、こんな遠く離れた田舎町のローカル新聞にもこの写真が一面を飾り、特集記事が掲載されていたのが印象的だった。
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その他、研修でもらった資料などもあって、帰りのスーツケースは重かった。行きも充分重かったが・・・長丁場の滞在なので海外旅行用の大きなスーツケースを使用。ちなみに何度か質問いただいた衣装についてだが、16公演も見るにあたり、昼用夜用なども考え、着物やドレス、ワンピースなど8着持参した。そのうち2着は着なかった・・・寒くなった場合に備えたものだったのだが、予想に反し、期間中ずっと暑かったのだ。普段着は5着で、アパルトメントで洗濯してローテーション。夏物だから一つ一つは軽かったし場所も取らなかったが、靴や草履もあるし、バッグもあるし、カメラとレンズもあるし、研修に備えてPCもあるし、スーツケースは重かった。帰りはうちのドイツ人の運転する車だったから楽だったけど、行きはICEとRJで8時間半かけて旅をし、一人で頑張って運んだのだった。ちなみにうちのドイツ人は、行きは朝6時にデュッセルドルフを出て800㎞を駆け抜け、午後2時半にザルツブルクに到着。やはり8時間半である。休憩もしっかり取りつつだったそうだ。帰りは寄り道したので900km。観光しながら戻って300㎞くらいの地点で一泊し、残り600㎞を朝8時に出発して午後3時頃帰宅、7時間くらいかかった。2時くらいに着きそうだったのだけど、事故渋滞で1時間余計にかかった感じ。

ああ、楽しかったな~撮った写真は意外に少なくて、2560データ、23GB。滞在3週間弱にしては少ないでしょ♪
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デュッセルドルフからザルツブルクへ [ザルツブルク]

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今日からぼちぼちザルツブルクの話を書いていこうと思う。

ザルツブルクへ行こうと考えたのは去年の冬。1月には研修に申し込み、音楽祭のチケットの手配をし、宿を取り、4月に電車のチケットを買った。片道55ユーロ(約7500円)で一等を予約。片道のみなのは、うちのドイツ人があとから車で来ることになっていたからだ。

なぜうちのドイツ人は最初から同行しなかったか。それは、海好きでプロテスタントの彼にとっては山間に位置するカトリックのザルツブルクは18日間も滞在したいと思うようなところではないから。理由は他にも色々あるが、まとめればこの一点に尽きる。数日ならいいけど1週間以上は長すぎ、と言うのが一貫した彼の見解。でも、めぎはゆっくりと長期間滞在したかった・・・ザルツブルクは子どもの頃からの何十年もの憧れだったから。

ほんの子どもの頃、モーツァルトの伝記を読んで生まれた町の名前として覚えたザルツブルク。めぎの記憶では、もしかしたら、外国の地名として初めてきちんと認識したのはパリでもロンドンでもニューヨークでもなくザルツブルクだったかも知れないほど、その町の名前は原体験に近い記憶である。そして、音楽をやったことのある人なら誰もが知っているザルツブルク音楽祭。バイロイトはワーグナーのオペラだけで敷居高いけど、ザルツブルクはウィーンフィルも来るし、モーツァルトやらイタリアオペラやら親しみやすい。それに、現代でも尚美しいドレス姿でオペラに向かう社交界があるなんて、なんだか凄く魅力的。ミーハーなめぎはそんなVIPの世界も垣間見てみたかった。さらに、小さい頃に何度もテレビで見たサウンドオブミュージック。あの美しい町に行って映画所縁の場所を見てみたい・・・

しかし、ザルツブルクへは行く機会の無いまま時が過ぎた。チケットを買ったことが実は12年くらい前にあったのだが、そのときは予定変更になってチケットを解約。それ以来、ザルツブルク音楽祭は律儀に毎年めぎにプログラムを送り続けてくれていたのだが、行ってみようかなと再び思い始めたのは、数年前にバイロイト音楽祭へ行ったとき。それから数年、毎年検討したが実現せず、今年、とある研修を受けてみようと思いついたのだった。そうだ、これだ!研修を受ければ長期滞在できる。18日間もあの町にいられるなんて、長く機会を待った甲斐もあるというもの・・・去年や一昨年に無理して数日バタバタと行ったりしないでおいてよかったわ。やりたかったことをじっくり好きなようにやってこよう。それに、音楽祭はともかくサウンドオブミュージックがらみの観光は、かえってうちのドイツ人がいない方がいい。一緒に感動できない人と一緒に行ってイチイチ説明してフーンとあしらわれるより、一人で行って一人で浸った方がきっといいわ。

うちのドイツ人とは非常に多くの面で共感しあえるのだが、もともとは他人、それも育ちも宗教も国籍も全く違う他人なのだから、いつも全く同じ意見で同じ感覚という訳ではもちろんない。違うからこそ一緒にいて楽しいのだが、一人でしか楽しめないことも多々ある。少なくとも彼はめぎが長期間行きたいと思う気持ちには全く意義を挟まず、快く了解。そんなわけで、めぎは半年以上ザルツブルクの計画で頭がはち切れそうなほど楽しみだったし、彼は彼で久々に一人で自由な時間を謳歌できることを、そしてあとから数日間ザルツブルクに旅するのも、凄く楽しみにしていたようである。

こうして今回はめぎ一人旅。これは一等のICEの車内。これでミュンヘンまで行くはずだったのだが、途中でなにやら木の枝が折れて送電線が切れたとかなんとか、乗り換えさせられた。
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外から電車を写していないのは、めぎ一人だったから。一人で大きなスーツケースとリュックを抱えてアナウンスに気をつけつつ急いで乗り換えなどしていると、とてもホームでデジイチ取り出して電車を写す余裕はない。荷物が少なければV3くらいは首から提げておけるけど、大きなスーツケースを扱っていると邪魔で無理。本やカメラや衣装や着物や帯などでスーツケースは30キロくらいだったしね・・・その昔の留学当初を思い出したわ。あの頃はスリに注意しまくってビビリながら移動したものだったなあ。アナウンスなんて聞き取れなかったし。

これはフランクフルトの辺りで・・・
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これはヴュルツブルクの辺り。
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電車の旅は予定外の乗り換え以外は非常に順調で、1等の座席は余裕があって快適だった。とは言え1等に2等の切符しか持っていない外国人の家族連れが座り込んでいて車掌に移動させられるということが何度も起こって辺りはざわざわしていたし、電話禁止の車両でもなかったし(ドイツには電話OKの車両もある・・・正確に言うと、普通電車は全て電話OKで、長距離電車の場合のみ電話禁止の車両がある)、小さな子ども連れもいて廊下を走り回りそれに腹を立てた老婦人が注意すると親がキレるということも起こり、完璧に快適な旅とは言えなかったが、まずはミュンヘンまで約6時間の旅をそれなりに楽しむことができた。ミュンヘンでの乗り換えのときに駅や電車を写したいと思っていたけれど、遅延で乗り換え時間はたったの5分しかなく、11番ホームから4番ホームまで駆け抜けてギリギリセーフで、全く余裕がなかった。

無事にRJというウィーン行きの国際列車に乗車。
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この電車には1時間半乗車。ミュンヘンからザルツブルクまでの田舎を走っていく。
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遠くに山が見え始めた!
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きゃ~山よ山よ~~とV3で撮影。
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山と緑と畑の綺麗な田舎の風景を見ながら、ああ本当に旅してきたんだなあと実感。この辺りでキャンプやハイキングをしてバカンスを過ごすドイツ人も多い。
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長閑に見えるけどハードな仕事なんだろうな。
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おお~いよいよザルツブルクへ!
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電車に乗っていた時間は7時間半、ドア・ツー・ドアで8時間半の旅が終了。例によって荷物を抱えて一人なので駅やタクシー乗り場などの写真は撮っていない。タクシーの窓から川向こうの旧市街の街並みを目にしたときには、言葉にできないほど感動した・・・こんなに感動したのは久々。ずっとずっと来たいと思っていたところにめぎはとうとうやってきたんだわ。そして、カトリックがどうとか、オーストリア訛りがどうとか、歴史がどうとか、うちのドイツ人の蘊蓄を聞かずに自分の目と耳だけで過ごすことができるんだわ。それが最も嬉しかった。

つづく

撮影: Xperia Z1、Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
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ザルツブルク音楽祭デビューはアーノンクール [ザルツブルク]

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昨日から夏のザルツブルクの話を始めたところ。

ザルツブルクの宿に到着したのは午後5時半頃。この日のコンサートは午後8時から。シャワーを浴びて一息ついて、電車の中で食べるために作ったお弁当の残りを平らげ、着替え。そしていそいそと向かったのがこちら。8時と言ってもヨーロッパの夏はまだ明るい。
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この日はコンサートなので、人々の出で立ちは地味目。ご夫婦がいっぱいで、めぎは一人でちょっと淋しい。いいなあ・・・
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会場の中。演奏中はもちろん撮影禁止だが、会場自体は特に問題はないようだ。
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音楽祭が始まったのは7月18日。ザルツブルク音楽祭は6週間にもわたって開かれるイベントで、しかも毎日平均4~5公演くらいあって、時間とお金の余裕があれば6週間いても飽きることがないほどの充実ぶり。NRW州の今年の夏休みの時期がもう少し遅くて8月後半まであれば、後半の今の時期に見たい演目がたくさんあったのだが、学校の夏休みの時期は変えられない。来年だったら8月後半まで休みだから今年行くのはやめて来年考えようかとも思ったりしたが、他に行きたいところも浮かばなかったし、やっぱり行こうと強く思ったときに実現するべきなのだ、気に入ればまた行けばいいじゃないかとも思い直し、前半のプログラムとにらめっこ。もちろん前半にも見所はいっぱい。中でも到着したその日のコンサートはものすごく楽しみにしていたし、これに関してはうちのドイツ人にも羨まれた演目。
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かつては異端児、今は巨匠のアーノンクールの率いる古楽器オーケストラのベートーベン・ミサ曲。このプログラムは5.5ユーロ(約750円)だったと思う。中には解説やアーノンクールへのインタビュー、そしてミサ曲の詩とそのドイツ語訳、そしてソリストや古楽器オーケストラや合唱団の紹介などが載っている。
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演奏は感動的だった。というか、アーノンクールが舞台に登場してきたときからめぎは感動で涙が出そうだった。ああ本当にザルツブルク音楽祭に来たんだわという感動と、いよいよアーノンクールだわという感動と、そのアーノンクールの姿への驚きで・・・古楽器の響きはなかなかよく、合唱団の声が素晴らしく、歌詞はともかく音楽としてミサ曲っていいなあと感じた。

カーテンコールのときに撮影。それは(ドイツの多くの劇場もそうだが、ここでも)黙認されているようだった。上演前にドイツ語と英語で演奏の撮影並びに録音を禁止するというアナウンスがあったが、カーテンコールになると特に1階席の非常に高いチケットをお持ちかご招待のVIPかの方々が次々とスマホやカメラを撮りだしてフラッシュ撮影し始め、それがそこら中にいる係の人たちに全く咎められないのだからいいのだろう。バイロイトでホール内撮影完全禁止で係の人が常に注意していたのとはずいぶん雰囲気が異なった。
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めぎは換算50mm単焦点のV3しか持ち込まなかったので、トリミング。後ろに立っている合唱団、本当によかった。前にいるソリストたちより印象に残った。
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アーノンクールをトリミング・・・そう、彼は杖をついて登場したのだ。いつから杖を使っているのかめぎは知らないのだが、当然登場の足取りは非常にゆっくりで、その間割れんばかりの拍手。ああ、アーノンクールも85歳で、杖をついているのね・・・しかし指揮は力強く、立ったまま激しい身振りで、足が悪いなんて微塵も感じられない。なんてプロなの。
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自分が85歳になったときにどんな姿でどんな風に生きているのか、と色々と考えさせられた。

終わったのは夜10時近く。
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撮影していたら、あの辺で待ち合わせって言ってたよね・・・とかなんとか、日本語が聞こえた。このお二人はこの日の公演をどうお感じになったのかな。終わったあとでパートナーと感想を話し合えないのは本当に残念なこと。いいなあ・・・
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でもね、一人ででも楽しまなくちゃ。どうしても来たかっためぎと、興味はあるけどどうしてもという訳じゃないうちのドイツ人とでは感動にも温度差があるだろうしね。またいつか、一緒に楽しめる機会もあるだろう。

さて、滞在初日の夜、コンサートの前に軽くお弁当の残りを食べたとは言え、ホッとしておなかが空いた。何かちょっとつまみたいけど、ザルツブルクは田舎町で、10時を過ぎるとレストランは閉まっている。コンサート後の客を受け入れる開いている高級レストランは、たぶん予約しないと入れない。まあ一人なら入れたかも知れないが、8時間半の長旅とその後の充実したコンサートの感動で、高級レストランに座ってディナーを楽しむような元気は残っていなかった。でも、おなかすいた・・・どうしよう・・・と歩いていると、Nordsee(ノルトゼー)というお店が開いていた。ドイツやオーストリアを旅する人には結構有名な魚介系のテイクアウトもできるセルフサービス大衆レストラン。あまり好きじゃないけど、背に腹は代えられない。そこで、ノルトゼーでスパークリンワインの小瓶1本と、イカやエビの入ったマリネサラダを200グラムほど購入。それがなんと全部で16ユーロ!(2200円くらい)うひゃ~~高い~~~!

デュッセルドルフより内陸の山間のザルツブルクで魚介を食べることの方が間違っているのだが、まあ仕方がない。しかし、味は意外に美味しくて満足。明日はちゃんとスーパーで飲み物を安く調達し、自炊を始めよう・・・と思いつつ、部屋で寛いで晩餐。アーノンクールの感動をうちのドイツ人に書き送りながら。
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撮影: Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
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