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2021年の音楽祭のコロナ対策:バイロイト音楽祭 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

今日から今年行ってきたバイロイト音楽祭とザルツブルク音楽祭の話をしようと思う。いつもの旅行記とは違って、音楽祭のことを中心に書くつもり。というのは、旅行記にするとまた長くなるし、つい最近までしてきた2017年の旅行記と被写体がほぼ重なるし、今回音楽祭自体がものすごく興味深かったし、コンサートやオペラについての感想はまだ熱いうちに書くべきと思うので。その後、先日までの2017年の旅行記の続きのドイツ国内旅行の話に入りたいと思っている。

まず今日は、昨日の記事の流れで、今年の音楽祭のコロナ対策について。

ドイツのバイロイト音楽祭は、コロナの影響で2020年は中止。2021年は2年ぶりの開催で、厳戒態勢が敷かれていた。と言ってもこの写真でその厳戒度は伝わらないけれど。
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厳戒態勢というのは、数年前からテロ対策で荷物の制限やらが導入されていたのだが、それに加えたコロナ対策は簡単に言えば、次の点。
・2000人収容できるホールに900人しか入場させない(感染爆発時だったら中止、七日間指数が高かった時期はもっと少ない人数の予定だったが、指数が落ち着いたので7月初旬に追加でチケットがオンライン販売されたのだが、それでも半分以下の入場制限だった)
・ホールではFFP2マスク着用義務(布マスクはもちろん不織布マスクもダメ)
・開演2日前までにオンラインでチケットに名前を登録
・当日開演1時間前までに、近くの所定のテントで身分証明書とワクチン接種完了証明またはコロナ検査陰性証明またはコロナ感染完治証明を提示してチェックイン
・ホール内のトイレの使用禁止(外のお手洗いを使用)
・レストランの閉鎖
・扇子使用不可
・クロークサービス無し(外にロッカー設置)
・クッションの貸出無し(古い木製椅子でお尻痛くても頑張れとのこと)

で、16時の開演に先立ち15時までにチェックインしなければならなくて、ホテルを14時に出た。歩いて20分ぐらいなのだが、所定のチェックインのテントは、上の写真のホールの裏側の右の方に上がっていったところにある駐車場のエリアにあった。そのテントは写し忘れたが、中はかなり広く、風通しもよく、並んでディスタンスを取るべき位置がはっきりと示されてあり、さらに係員と我々との間にはプラスチック板の仕切りもあった。観客も係員も守るために練りに練ったすばらしい準備だと思った。早めに行っためぎたちは並ぶ必要もなくサクッと事前登録を終え(つまりあまりにもがらんとしていて係員たちがみんなめぎたちを見て待っているのでその場の写真を撮ることができなかったのだが)、この写真はホールの方へ戻っていくところで撮影。
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ホールの裏には緑豊かな広い公園があるので、14時45分ぐらいから開演の16時までそこのベンチに座ってのんびりと待った。雨じゃなくてよかったわ…ちなみにドイツでは公園など外でのマスク着用は義務ではなく、誰もしていない。(七日間指数の高かったロックダウン時は、旧市街や人の集まる店の並ぶ通りなどが一部マスク着用義務になっていたが、今はそれも緩和された。)
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これはタンホイザーの公演の日に自撮りしたものだが、事前登録するとこういう紙のリストバンドがつけられ、これとチケットを見せればホールに入場できる。つまり、このバンドがある人は、ワクチン接種完了証明またはコロナ検査陰性証明またはコロナ感染完治証明を終えた人だという訳である。
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レストランがない代わりに、外に出店が出ていた。売られていたのは、焼きソーセージ、パスタ、シャンパンやスパークリングワインやビールやコーラなどの飲み物や、アイス。
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買う人はマスクをつけて表示通りディスタンスを取って並んでいたし、小さな通りに矢印がつけられ、一方通行になっていた。
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いつもの半分以下の人数ということで、たしかにいつもより人が少なかった。聞こえてくる会話もドイツ語が圧倒的。
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中も、スカスカ。一番安い天井桟敷席は、4列のうち2列を開けた状態で、隣とも数席開いていた。
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そんなドイツから隣国オーストリアへ。ザルツブルク音楽祭でのコロナ対策の話はまた明日。
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2021年の音楽祭のコロナ対策:ザルツブルク音楽祭 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。

バイロイトに続いて行ってきたザルツブルク音楽祭は、以前ブログでご紹介したように、2020年も開催。そのときはまだワクチンもコロナ検査も存在していなかったし、マスクも布マスクが主流だったのだが、席数を半分ぐらいにしてディスタンスを取る形で開催し、感染者が一人も出なかった。2020年の話はこちらから。

さて、今年はどうかな~
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今年のザルツブルク音楽祭は、以下の体制で開催。昨日ご紹介したバイロイトとの違いが面白い。
・収容人数分のチケットを販売(つまりチケットが売り切れたら満席)
・オンラインで、またはチケット売り場でチケットに名前を登録
・当日ホール入場時に、身分証明書とワクチン接種完了証明またはコロナ検査陰性証明またはコロナ感染完治証明を入り口の係員に提示
・扇子使用不可
・ホワイエで飲み物販売
・館内のトイレ使用OK
・クロークも有り

音楽祭開幕当初は、入場者全員がワクチン接種完了証明またはコロナ検査陰性証明またはコロナ感染完治証明をしているのだからと、ホールでマスクも外していいという話になっていたのだが、初日の演劇の入場者が後日陽性となり、その周り1.5メートルだったか2メートルだったかにいた人たち44名が自己隔離になってしまったため、その後の全公演は以下の規則が追加された。
・ホールではFFP2マスク着用義務(布マスクも不織布マスクもダメ)

しかし、ここではディスタンスを取ろうという努力は微塵も感じられなかった。
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聞こえてくる言葉はオーストリア訛りのドイツ語と、ドイツ各地の訛りのドイツ語が圧倒的。つまり、いつもよりオーストリア国内からの人が多いし、ドイツからかなりの人が越境してきているというのが分かった。
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FFP2マスクをしているとはいえ、こんなにぎっしりの人たちの中に入ったのは、2年ぶり。なんだか怖いわ~感染も怖いけど、近くの誰かが陽性になってめぎも巻き添えで自己隔離に入ったら、見ようと思っていたオペラも見られなくなっちゃうよなぁ…と結構毎日ドキドキしていた。
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若干の違いとはいえ、先日も書いたように、七日間指数はオーストリアの方がドイツより数値が悪かったのだ。それなのに、この、マスク着用と証明確認以外もういたって通常のザルツブルク。なんというか、ドイツとオーストリアのお国柄の違いがよくわかってとても興味深かった。同じドイツ語圏なのに、ホント全然違うよなあ…
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しかし、これが日常へ戻る第一歩なのかもしれないとも思った。感染拡大を防ぐために必要なのは、マスクとディスタンスと手洗いうがいとロックダウンだけではダメなのは明らかで、ワクチン接種。しかし健康上接種できない人や主義としてしたくない人もいるので、その人たちにはコロナ検査。どちらかの証明があれば、大概のことができるし、感染もかなり防げる。もちろんこの先、ワクチンの効かない変異種が現れたらまた振出しに戻るわけだが、経済を動かし、人々の鬱憤も解消し、我慢を最小限にして日常に戻るには、今これしか方法がないのだと思う。ちなみに、検査陰性証明もワクチン証明も、別にスマホに登録する必要はない。検査したところやワクチンを打ったところでもらう紙を見せれば済む。だから、個人情報云々の問題もないし、どこの国でも今日にも明日にもすぐに導入可能なこと。そして、くどいけどもう一度書くが、コロナ検査陰性証明もOKだから、健康上ワクチン接種できない人にも差別にはならない。差別にならないと言えばさらにもう一つ、運悪くコロナにかかって完治した人も、その証明を堂々と掲示してどこにでも行ける。どの証明でもOKなのだ。

余談だが、ドイツでもオーストリアでも無料でコロナ検査できるし、自分でできる安い簡易抗原検査キットも売っているので、心配ならうやむやにせず確かめてみることがすぐにできる。めぎは帰宅して数日経ってから念のためセルフチェックしてみた。簡易検査は完璧ではないにせよ、陰性かどうか確認して安心できるというのは精神的にありがたい。ただ、セルフチェックは公的証明にはならない。


そうそう、去年売り切れで買えなかった100周年記念マスク、今年はFFP2バージョンが売られてて、無事に購入できた。
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今年見た公演 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。

今年、7月27日から8月9日までの2週間で見た公演は、この9つ。
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バイロイト音楽祭で見たワーグナーのオペラ
・タンホイザー(2019年の再演)
・さまよえるオランダ人(新演出)
・ニュルンベルクのマイスタージンガー(2017年の再演)

ザルツブルク音楽祭で見たコンサート
・ウェルザー=メスト指揮ウィーンフィル、R. シュトラウスのアルペンシンフォニーなど
・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ、モーツァルトの交響曲40番と41番など
・ルノー・カプソン(バイオリン)とイゴール・レヴィット(ピアノ)のコンサート、ベートーベンのクロイツェル・ソナタなど

ザルツブルク音楽祭で見たオペラ
・モーツァルトのドン・ジョヴァンニ(新演出)
・モーツァルトのコジ・ファン・トゥッテ(2020年の再演)
・R. シュトラウスのエレクトラ(2020年の再演)


この9公演について明日から一つ一つ、つらつらと思ったことを書いて行こうと思う。まさにつらつら、めぎの個人的独断と偏見満載の感想レベルだけど。13泊したうちの9夜は何かを見に行っているわけで、本当に音楽漬けの休暇。夜に公演のある日は基本的にせいぜい食料品の買い物かちょこっと午前中に散歩するだけであとは宿でオペラの予習をしていたので、今回写真はあまり撮っていない。フルサイズカメラで撮ったのが859枚、APS-Cカメラで撮ったのが342枚、スマホで撮ったのが505枚。2週間でその枚数って、めぎ的にかなり少ない。

ところで、昨日のコメントにあった目的地までの「足」についてだが、音楽祭へ来る人の半分は車だろうと思う。特にザルツブルクはオーストリア内やドイツでもバイエルンからなら日帰り可能だし。後の半分はどこから来るかによるが、飛行機か電車だ。飛行機は今、乗るのにはワクチン接種完了証明またはコロナ検査陰性証明またはコロナ感染完治証明が必要で、さらにマスク着用義務。だから音楽祭と同様に、一応安心できるはず。電車は各証明書は今のところ必要ないが、マスク着用義務。ちなみに今は駅のホームでもマスク着用義務。これは途中のケルンの駅を窓越しに。
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チケットを予約するオンライン画面でその電車の混み具合もチェックできるので、めぎは空いている電車を選び、1等で移動。1等を買うような人はワクチン接種している年配が多いかな、という期待も込めて。めぎの場合、バイロイトまで5時間の電車の旅で、そこからザルツブルクまでも5時間の電車の旅なので、その間の感染が最も気になるところだったが、学校が夏休みに入ったばかりの時期を外して移動した所為か、そもそもやっぱりコロナでみんな車を使って電車での移動を避けるからか、ガラガラだった。
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途中からうちのドイツ人が車で来て、そこからは車だったので、マスクをしないで移動できるのが何より楽だった。

それから、その他のお土産について。まずはいつものように飲み物が主体。石はウンタースベルクという山の上から。モーツァルトクーゲルも飲み物も全て自宅用。
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めずらしいのはこの2つ。これ、実はお土産として買ったものではなく、アパルトマンで簡単に温かいものをとうちのドイツ人が選んで買ったのだが、食べたいものが他にも色々あって買いすぎて結局作らずにお土産となった。
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左のはFrittatensuppe(パンケーキスープ)といい、帰宅して割とすぐ食べてみたのだが、悪くない。パンケーキの味もちゃんとするし、塩もきつすぎないし、出汁も美味しい。日本人の口にも合うと思う。これ、またザルツブルクに行ったら買ってアパルトマンで食べようっと。
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右のはレバー団子スープで、レバー団子はさすがに工場生産のインスタントという味がしたが、下手なレストランのよりおいしいかも。
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それから、写真集2つとザルツブルクの方言についての本。
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黒っぽい写真集は、ロックダウン時のザルツブルクを写したもの。もう片方はザルツブルクの歴史を写真とともにまとめたもの。
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気になる公演、お土産、あった?
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タンホイザー [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。今日はバイロイト音楽祭の「タンホイザー」のお話を。
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オペラに詳しくない方のためにちょこっと説明すると、バイロイト音楽祭というのは毎年夏にドイツのバイロイトという田舎町で一か月ほど開かれるもので、ワーグナーの作品しか上演しない特別な音楽祭である。2021年は7月25日から8月25日まで、以下の5演目とコンサートが日替わりで数回ずつ開催。
・さまよえるオランダ人(オペラ、新演出)
・ニュルンベルクのマイスタージンガー(オペラ、2017年の再演)
・タンホイザー(オペラ、2019年の再演)
・ワルキューレ(オペラ、アート付き演奏会形式、)
・パルジファル(オペラ、演奏会形式、ティーレマン指揮)
・コンサート(ネルソンス指揮)

めぎはオペラを演奏会形式で見る趣味は無いので(つまり歌手の声だけを聴くのではなく演技や演出も含めて総合的に見たいので)、上から3つの演目だけをチケット手配。と言ってもバイロイト音楽祭は、チケットを買おうと思ってパッと買えるものではない。登録し、希望を出し、何年も抽選から外れ、7年ぐらい経ってからようやくチケットが割り当てられるというシステムである(応募した年数はカウントされている)。2021年は、2020年にチケットを割り当てられていたのに音楽祭が中止になってしまって来られなかった人だけにチケット割り当てをしたため、めぎは希望を出すことも叶わなかった。しかし、7月初旬に残席をオンラインで販売してくれて、めぎはそれでチケットをゲット。これはそのオンライン画面。
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販売開始の時間ちょうどにクリックして、5分ぐらいですぐにチケット購入画面に切り替わり、そこからはタイムリミットもあるので忙しくて写真を撮っていないが、無事に行ける日の行きたい演目のチケットをそこそこの値段で手に入れることができた。この日のタンホイザーは一番安い席で、一人40ユーロである。ちなみにタンホイザーはめぎ一人。うちのドイツ人はタンホイザーが嫌いなので、同行していない。
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でも、めぎは見たかったのだ。めぎはタンホイザーの音楽が好きだし、中学生のころタンホイザーの曲で校内合唱コンクールの練習をした懐かしい思い出もあるし、2019年のをテレビで見て、演出がとても面白かったから。やっと面白い演出に巡り合ったという感じ。うちのドイツ人にしてみたら、そういう演出はもう30年前にあったというのだが、そんなこと言われたってめぎは30年前に見てないし、めげないわ。だって、ホントに面白いんだもの。タンホイザーというのはあらすじをものすごく簡単に言えば、中世のドイツの吟遊詩人であるヴァルトブルク城の騎士タンホイザーが、かつてテューリンゲンの城主の姪のエリーザベトと清き愛で結ばれていたが、官能の女神ヴェヌス(ドイツ語でヴィーナスのこと)の異界(ヴェヌスベルクという山の中)に惹かれてそこで愛欲に溺れ、そこから再びこの世に戻ってテューリンゲンのヴァルトブルク城で「愛の本質」をテーマにした歌合戦に参加し、ヴェヌスを讃える歌を歌ったことから追放されてローマ巡礼の旅に出て、ローマ法王にも赦されなかったが、エリーザベトが自分の命と引き換えにタンホイザーを救った、という話(簡単にしても長い!)。そのオペラの原作からの演出上の置き換えやその内容については、日本語でこちらに写真付きでうまくまとめられているのでどうぞ。これは2019年の批評で、その時と2021年の今回は指揮者も違うし歌手も若干入れ替わっているが、演出の意図は同じである。ものすごく簡単に演出上の置き換えをまとめると、ヴェヌスベルクはサブカルチャー、ヴァルトブルクは高尚な芸術を象徴するバイロイト祝祭劇場、という対立構造になっていて、ヴェヌスはマイクロバスで移動する一団のダンサーで、その一団にはドラァグクイーンとブリキの太鼓のオスカルがいて、タンホイザーは一流になれなかった歌手なのだ。そして、バイロイト祝祭劇場を舞台として、劇中劇が繰り広げられるという演出になっている。オペラを見てみたい方は、こちらのオンデマンドをどうぞ。舞台シーンの写真はこちらで見ることができる。

プログラムには、公演と幕間の休憩が終わる時間が書かれている。第一幕は16時に始まり、だいたい1時間で、1時間ほどの休憩。第二幕は18時に始まり、だいたい1時間10分で、また1時間の休憩。その後20時10分に第三幕が始まり、終演予定は21時とのこと。そう、ワーグナーのオペラは長丁場。一昨日書いたように、16時に始まるのに15時までにワクチン証明を提示してチェックインしなければならなかったから、めぎは14時にホテルを出てから戻るまで7時間以上かかるという訳である。それから、始まる15分前からファンファーレで時間を知らせる、15分前は1回、10分前は2回、5分前は3回、とも書かれている。
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そのファンファーレというのはブラスバンドで次の幕のフレーズをちょこっと演奏するもので、まず第一幕の前にはこんなのが演奏された。これは10分前のものなので2回繰り返している。



そして、始まった。バイロイトは、最後のベルが鳴ると、扉が閉まり、鍵がガチャッとかけられる。その鍵の音が鳴り響くのが、閉じ込められた感じで結構怖いほどだ。そして、真っ暗になる。そして、すーっとホルンの音が鳴り響く…タンホイザーの序曲の最初のホルンの音が。それは、鳥肌が立つほどの素晴らしい瞬間である。序曲の演奏とともにスクリーンに映る新選出の映像を見ながら、めぎは一人涙がこぼれた。ああいいわぁ。ホント、いいわ~!マスクをしているので鼻をかむのも一苦労だが、ホントによかった。序曲の最初を聞いてみたい方は、こちらの6分50秒ぐらいから聞くか(これはラジオだがめぎが見た日の録音)、古い映像だけどこちらをどうぞ。



2021年のバイロイト音楽祭は、演じる側もコロナ対策。音楽家たちが普段から行動制限したりみんな定期的にコロナ検査をしたりしているのはもちろん、ソロ歌手は舞台で歌わざるを得ないけど、合唱は別室で歌わせてスピーカーで流したのだ。舞台上では別の合唱の人たちが口パクをしている。どんな風に聞こえるかなと思っていたが、ほとんど違和感がなく、まるで舞台で本当に歌っているかのように見えた。

そして、一回目の休憩へ。一幕目に見入って喉が乾いたので、一人ビールを飲んでのんびり。
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1回目の休憩が終わるファンファーレ。



二幕目も、映像に舞台にと見るのは忙しいが、非常によく寝られた演出でとても楽しめた。2回目の休憩は、アイスを食べた。そのとき、アイスを持った男性が歩いて行ったのをパチリ。ドイツでは、おじさんも普通にアイスを食べる。
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二幕目の映像でホールにヴェヌスが梯子でよじ登り、こんな黒い旗を掲げるシーンがあったのだが、休憩中にはそれと同様になっていた。黒い旗に書かれている言葉はワーグナー自身の言葉で、「意志における自由 行為における自由 快楽における自由」(訳はこちらから)。それをヴェヌスとドラァグクイーンとブリキの太鼓のオスカルが掲げるというのが興味深い。
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仲良く自撮りしているご夫婦をパチリ。
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2回目の休憩が終わるファンファーレ。ちょうどファンファーレがあるときにしゃべっている人がいて、その人に別の人がシッと言っている声が最後に聞こえる。



そして、終わった。
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このタンホイザー、ホントいい。もう一生他の演出のタンホイザーを見なくてもいいと思うほどよかった。なんというか、ドイツ語で言うと、frechなのだ。このfrrechを訳すのが難しいのだけど、厚かましくもよく真相を突いているというか、それをそうさらりとやってのけますか、とちょっとビビりつつ感心させてしまう感じ。うちのドイツ人に一緒に見てもらえなくて本当に残念だけど、こればっかりは仕方がない。一人で思い返してはああよかったな~と感動している。残念ながら無料で見られる映像は見つからなかったが、めぎはDVDを購入。ドイツ語での批評は例えばこちらこちら
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さまよえるオランダ人 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年のバイロイト音楽祭の話を連載中。今回は「さまよえるオランダ人」のこと。これは、めぎ的に今回見た音楽祭の中で、前半のハイライト的存在。
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まだブログに書いてなかったが、実はめぎは2018年にもバイロイトで「さまよえるオランダ人」を見ていた。そのときは、演出はまあまあで歌手の歌い方が全然気に入らなくて、失礼ながら、バイロイトの質も落ちたなあ、もうバイロイトには来ないかも、と思っていた。それが、ほんの3年で再びバイロイトに行くことにしたのは、他でもなく今年新演出の「さまよえるオランダ人」をどうしても見たくなったから。
余談だが、この日からうちのドイツ人と合流。
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それは、他でもない、好きな歌手が出るから。2018年にバイロイトのあとに行ったザルツブルク音楽祭の「サロメ」で衝撃的に出会ったアスミック・グリゴリアンというソプラノ歌手がめぎは大好きで、今年は彼女がバイロイトで歌うというので、どうしても見たかったのだ。これは2018年の「サロメ」の一部。



期待して来たけれど、初日のあとの批評(こちらとかこちらとか)を読む限りでは、演出は全然ダメって感じ…歌手もみんなまあまあで、グリゴリアンだけ突出しているような話。むむむ。でも、今回ばかりはめぎはグリゴリアンの歌だけ聞ければいいの。
これはその日のお昼。このパスタ、ニンニクが効いていてちょうどいい塩味でアルデンテもちょうどよくてとても美味しかった。
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というわけで、めぎはタンホイザーが終わってからさまよえるオランダ人までの中3日、1つコンサートに行っただけでひたすら予習をした(その間はめぎは一人でザルツブルクにいた)。台本を読み、持って行ったタブレットで既に放送された初日の映像をオンデマンドで見ながら台詞を確認し…と。その場で初めて見る新鮮さは失せるけど、めぎはグレゴリアンの歌を待っていられなかったし、その場では意味を追うより演技と歌声を楽しみたかったのだ。
3日経ってから再びバイロイトに移動してうちのドイツ人と落ち合ったということ。
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さて、「さまよえるオランダ人」のあらすじだが、ものすごく簡単に書くと、悪魔の呪いで不死身で7年に一度しか上陸できなくて、その一日の間に永遠の愛を誓う女性と巡り合わないとまた7年幽霊船で航海をしなければならない運命のオランダ人が、ノルウェーの港町の別の船の船長と知り合い、その娘ゼンタに会う。ゼンタは伝説の彷徨えるオランダ人に憧れていて、そのオランダ人が実際に目の前に現れて、永遠の愛を誓う。しかしゼンタに恋をしているエリックという青年がゼンタを引き留め、それを見たオランダ人が裏切られたと思ってゼンタを置いてまた7年の航海へ乗り出していく。しかし、ゼンタがそれを追って海へ身を投げ、呪いが解かれてゼンタとオランダ人は昇天する。

下の映像は2013年のバイロイト音楽祭の「さまよえるオランダ人」で、めぎが2018年に見たのと同じ演出だが、基本路線はこのあらすじに沿っている。つまり、最後にゼンタが自殺し、それによってオランダ人も死に、二人は救われるという結末。この演出、めぎはこの工場の箱詰めの演出が(特に視覚的に)つまらないのだが、うちのドイツ人に言わせると、もともとの台本の糸紬も当時の工場のようなものであって、それが今の工場の箱詰めに置き換わっただけで基本路線であらすじに沿っているのだという。なるほど、でもそうは言ってもなぁ。指揮は当時ティーレマンで、めぎは彼の指揮があまり好きじゃないし、歌手は歌っているというより突っ立って叫んでいるという感じで、好きになれなかった。(それに、このエリックじゃ、心変わりも仕方がないと思う…)



この話が2021年、新たに演出家によって復讐ミステリー仕立てにすっかりすり替わっていた。「オランダ人」は「船長」やゼンタと同じ北欧の港町の出身で、彼の母親がかつてその町の金持ちの男「船長」と密通して捨てられ、町の住民から総スカンを食って自殺したので、長い間その町を離れていたのだが、復讐に戻ってきたという設定なのだ。金持ち男が船長を気取って居酒屋で多くの若者たち(彼の従業員なのかも)と船乗りごっこをやっているような感じのところに復讐に燃えたオランダ人がやってきて、金持ち男に一晩泊めてもらい、反抗期の娘ゼンタと知り合う。ゼンタは父親の過去を知っていて、平和で幸せな家庭を演じることに辟易しているというような感じ。ゼンタを慕っているエリックはものすごく心配するが、ゼンタは憧れに逃避して話をまともに聞こうとしない。オランダ人とゼンタは夕食の場で相思相愛になるが、引き留めるエリックとゼンタを見て裏切られたと罵り、復讐として町に火をつける。最後は船長の妻がオランダ人を撃ち殺し、大人になったらしいゼンタが母親を慰めて終わる。

今回のオランダ人は、舞台の北欧の寂れた田舎町の人々の様子はワーグナーのオリジナル設定にも沿うし、復讐というテーマで一貫性はあるのだが、その設定の安易さがあまりにも陳腐に感じた。密通して捨てられて自殺した母親の復讐だなんて、安っぽいテレビドラマ並み。それで相手の男に復讐するのではなく町全体を焼け落とすなんて、まるで今のテロや群衆に大型車で突っ込む無差別殺人と同じだ。その辺は現代の問題としてそう描きたかったのかもしれないが、この安易な復讐劇の原因設定をもうちょっとなんとかならなかったものかな。それとも、その安易さこそが現代の問題の本質をついているということなのだろうか。

糸車のシーンも、合唱の練習ということらしいが、どうして町の広場にいすを並べて歌わなければならないのかどうも説明がつかない。復讐に来たオランダ人がゼンタに惹かれなければならない理由も分からない。なにより、最後にどうしてゼンタが生き残るのか、どうしてゼンタはこの男を好きになり、その男が母親に殺されたのに、その母親に理解を示して終われるのか、全然わからない。今回の映像、YouTubeで見つけたけど、日本からも見られるかな。グリゴリアンの聞かせどころの歌は1時間1分ぐらいのところから1時間9分20秒ぐらいまで。なんでこんなシチュエーションなの、ということはさておき、彼女の歌は本当に凄い。どんなに声量が上がっても、叫んでいるのではなく歌っているし、ピアニッシモのときの歌い方に幅があり、メリハリがあり、かなり演技しながら歌えるのだ。上の映像と下の映像の同じ歌を比較すると、違いがはっきり分かる。



こちらによると、NHKのプレミアムシアターで9月12日の深夜に放送されるみたい。グリゴリアンの声、聴いてほしいな。この写真はこちらから。他の舞台シーンの写真はこちらにも。
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ところで、これを指揮しているのはびっくりするほどかなり小柄な女性指揮者。演奏は素晴らしく、ティーレマンも真っ青じゃない?という出来。NHKでもオペラに続いて今回の指揮者の別のコンサートを放送するようだが、バイロイト音楽祭始まって以来の初めての女性指揮者だということで、紹介するビデオもYouTubeで見つけた。ウクライナ人の彼女の訛りのあるドイツ語が印象的。1つめの映像の最初の30秒は、いつもだったら音楽祭はこうなのだが…という昔の映像。





初日にはメルケルさんも来ていたようなのだが、そのビデオに周りの屋台やコロナ検査場などが写っている。



普通に握手できるようになる日はいつ来るのかしらねえ…
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「オランダ人」の日のこと [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年のバイロイト音楽祭の話を連載中。昨日に引き続き「さまよえるオランダ人」の日のことだが、めぎたちのしたことなどを。
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この日は良い天気で、芝生に寝っ転がっている人がいた。でも、良いスーツ着て敷物もなしに芝生に寝るのって、凄いなあ…
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この日、前回のタンホイザーより人が多かったように思う。前回見当たらなかった日本語の話せる係員(名札にそう書いてある)もいたし…
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日本人もちらほら見かけた。右の奥の方。ヨーロッパに住んでいる人なのかな。お互い、ここに来られてよかったね…
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「さまよえるオランダ人」は一幕物なので、始まりは18時からで、ファンファーレは一回のみ。ちょっと風の音も入っているが。どのフレーズだろうね、とあれこれうちのドイツ人と想像していたのだが、予想と外れていた…



この日の席は平土間の一番左の一番後ろ。144ユーロしたが、グリゴリアンを見るためには値段などかまっていられない(と言っても一番高い一席400ユーロとかを払うつもりはないが、200ユーロまでなら買おうと決めていた)。
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終わったとき、最初のカーテンコールは舞台が見えた形だったのだが、その時はスマホを用意してなかったので、舞台が見えないところでのカーテンコールを写した。しかし、露出を間違って(と言うか、たぶん間違って触ってしまって露出設定が変わってしまってて)、こんなのしか撮れなかった。
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以前のバイロイトは、こういうときでも写真を撮ったらそれがちゃんとチェックされてて、チケットの割り当てがそれ以降決してもらえなくなる、という話があったが、今はカーテンコールのスマホ撮影はもう黙認されているのかもしれない。オンラインで誰でもチケットを買えるシステムが追加されたので、割り当てが無くても買えちゃうしね。

頑張って明るさを調整してみたが、なにがなんだか。ただ、黒い服装の小柄な指揮者はよくわかるわね。
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バイロイトの夜 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年のバイロイト音楽祭の話を連載中。今日は「さまよえるオランダ人」の日の夜のお話。

終わったのは20時20分頃で、カーテンコールを終えて(と言うか最後まではいないでカーテンコールの途中で出たのだが)、これは20時33分の撮影。
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宿まで歩いて20分ほどなのだが、これはそのすぐ近くのレストラン。まずはビールで乾杯。20時55分。
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料理が来る頃(21時20分過ぎ)には暗くなった。バイロイトはデュッセルドルフより南東だというのもあるが、ひところよりずいぶん暗くなってきたなあという印象。頼んだのはガッツリドイツ食。これはうちのドイツ人の頼んだもので、料理の名前は忘れたが、このジャガイモ団子がモチモチで絶品。お肉も一口もらったが、見た目より味が濃く無くて美味しかった。
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めぎのは仔牛ひれステーキだったが、この手打ちパスタを食べきるには肉にかかっているソースが足りないし、多すぎて食べ残し。でも、肉は柔らかくて美味しかった。
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この他にサラダがあったが写していない。写したのは2杯目のビール。
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周りの席の人たちもみんな同じオペラ帰りで、それぞれその日のオペラの話をしながらゆっくり食事を楽しみ、外で食べられる程度には暖かく、気持ちのいい夜だった。ただ、バイロイトは、いつも行っていたレストランも昼に食べに行ったことのある肉屋さんも潰れてしまっていたなど、コロナの影響が大きく影を落としていた。バイロイトはバイロイト音楽祭しかなく、ザルツブルクと違って観光地ではないので、去年音楽祭が中止になった影響をもろに受けたのだろう。夏の一か月のオペラファンはもちろん、たしか4月からリハーサルや準備が始まるらしいのだが、去年は世界中から集まる美術や大道具の人や音楽家たちが全く来られなかったのだから。
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ね、ワーグナーさん、この先バイロイトは、バイロイト音楽祭はどうなるかしらねぇ…
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ニュルンベルクのマイスタージンガー [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。今日はバイロイト音楽祭の3つめの演目「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のお話を。
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「マイスタージンガー」というのはドイツの14~16世紀の職匠歌人のことである。ドイツには12世紀ごろから騎士階級の間でミンネザングという愛の歌の嗜みがあり(源氏物語の頃の貴族の短歌の嗜みと似てるわね)、ミンネザングのシンガーソングライターをミンネゼンガーと呼んだのだが、それに対しドイツ諸都市の靴屋,仕立屋,織匠,金細工師等が組合を組織して芸術活動も担い、作詞・作曲・歌の活動もマイスター制度とし、そのシンガーソングライターをマイスタージンガー(職匠歌人)と呼んだのである。
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先日書いたタンホイザーは騎士の歌合戦を題材にしたものだが、マイスタージンガーは靴職人とか金細工師とかのマイスターが歌のマイスターでもあって、修行をした弟子がマイスターになるべく歌合戦をする。と言ってもオペラでは、修行した弟子たちの歌合戦ではなく、そこに騎士のヴァルターという青年が金細工師マイスターの娘に恋して彼女の夫を決める歌合戦にほぼ飛び入り参加し、修行を重ね作法を重んじるばかりの伝統に対し、感性に基づいた歌詞をマイスターの歌の規則に当てはめたヴァルターが優勝し、それを後押しした靴職人マイスターのハンス・ザックスがドイツ芸術を讃えるというストーリーになっている。そこには反ユダヤ主義とかナチスの利用とか色々な問題が絡み、説明するととんでもなく長くなるので興味のある方はこちらをどうぞ。
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さて、この日の午前中は雨で、めぎたちはどこにもでかけずホテルの部屋でゆっくりしてオペラに備えていた。というのも「マイスタージンガー」は長いのだ。16時に始まって、2回のそれぞれ1時間ずつの休憩をはさみ終演予定は22時半である。例によってワクチン接種完了証明など登録チェックインを15時までに済ませなければならないので、その前から行く必要があり、足かけ8時間の長丁場。午後には晴れたがまた雨になるかもしれない予報だったので、この日めぎたちはホテルから車で現地入り。そうすれば休憩時間中に雨が降っても車に避難できるし(バイロイトは休憩中に建物から追い出され、中にいられないので)。5ユーロの駐車場代を払い、そのすぐそばのテントで登録チェックインをし、緑の公演の中でのんびりして、やっと開幕15分前。あ、あのお一人の女性、日本人かも知れないな。
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開演前のファンファーレ。



一幕目は、ニュルンベルクの舞台がバイロイトのワーグナーの邸宅に配置換えになっていて、ワーグナーと友人たちが劇をやっているという設定。ワーグナーが靴職人ハンス・ザックスと若き騎士ヴァルターの二役、リストは金細工師、ワーグナーのオペラの指揮をしたことがあるユダヤ人指揮者のヘルマン・レーヴィがベックメッサー…という風にキャスティングされていた。今回の演出による読み替えの内容は、こちらの後半に日本語で書かれているのでどうぞ。残念だったのは、ベックメッサー役のヨハネス・マルティン・クレンツレという歌手が急病で代役になってしまったことだが、その代役の人も嘲笑の的という役回りをうまくやっていて満足できた。これは2017年の映像。ちょうど写っている髭を生やした人がクレンツレ。



さて、一幕目を無事に終え、一息。めぎたちは長丁場な今後に備え、屋台のソーセージを食べてみた。ぷりぷりの粗挽きソーセージでとても美味しい。
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この右側の奥の芝生に座っているブロンドの女性…
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写真ではよく見えないけどとっても素敵なゴージャスなドレスで、でも芝生にそのまま座って、屋台のパスタを一人で食べていた。気になってこうして撮ったのだけど、よく見たら、手前の男性の…じゃなくて…靴にオーストリアの国旗。凄いナショナリストなのね。
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さて、そろそろまた15分前。
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一幕目のあとの休憩の終わりのファンファーレ。



続きは明日。
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マイスタージンガーの日のこと [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。今日は昨日に引き続き、バイロイト音楽祭の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の日のこと。
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ちょうど二幕目が終わって外に出たときに雨が降ってきた。とりあえず外のトイレへ駆け込み、ちょっとDVDの売店を覗いていたら、にわか雨が上がり、めぎたちはベンチへ。ベンチも木の下で濡れていなくて無事に座れた。
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また雨になったらと思うのか公園に来る人もあまりなく、静かに演出についてあれこれ議論することができた。
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二幕目の舞台はワーグナーの邸宅の外のようでもありニュルンベルク裁判の場所のようでもあるのだが、ヴィラの調度品がガラクタになって積みあがっていて、芸術の退廃なのかワーグナー総合芸術へのアンチテーゼなのかワーグナーも裁判にかけられるべきということなのか、なんらかの意図があるのだろう(その場面、昨日の映像を見ると2017年初演当時は芝生になっていて、ヴィラの調度品はなかったので、意図して何かを表現するために変えたと思われる)。ただ、そこの光の当たり具合がどうもイマイチで、外の庭なのか部屋の中なのかがよく分からなかった。それもまた意図なのかもしれないが。ここに出てくるベックメッサーがあまりにも滑稽で、めぎは可哀想に感じてしまった。ワーグナーさん、演出家さん、いくらなんでもそこまで滑稽化して辱めることないんじゃない?と。
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でも、それこそが舞台で表現したかったことなのだろうな。反ユダヤと絡め、外国人への恐怖とか排斥とか。この滑稽化に必要以上に心が痛むのは、めぎが外国人として外国に生きているからかもしれない。めぎもここでは「滑稽な外国人」の一人なのだもの。日本人が世界で排斥されずに済んでいるのは、歴史的に考えれば紙一重の幸運なのだ。舞台シーンの写真はこちらにある。写真ではどれも素敵に見えるけどね。

さて、今回のめぎたちのバイロイト最後の幕へ戻りましょ。美しい公園、さようなら。
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二幕目のあとの休憩の終わりのファンファーレ。



三幕目の舞台はまさにニュルンベルク裁判の場所で、それは解釈としてはよく分かるし良いけれど、どうして一幕目のバイロイトのワーグナーのヴィラからそこへ飛ばなければならなかったのか、その意図がめぎには測りかねた。そのこと、こちらの批評で、演出家のアイディアが尽きたのだろうと書かれている!でも、ホントそうかも…最後のハンス・ザックスのドイツ芸術賛歌も、やっぱり胡散臭すぎる。
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でも、ここに来て、この目で見て、この耳で聞いて、よかったわ。この日の席は、また天井桟敷だけど一番前で、80ユーロ。下の平土間は格子状にディスタンスを取っているだけだが、桟敷席は一列おきになっていて、コロナ的にもより安心で舞台に集中できた。
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先日も書いたように、舞台上でもコロナ対策で、この合唱の人たちは実際には舞台には出てきてなく、別室で歌ってスピーカーで流された。結構うまく機能していたが、色々と苦労もあったことだろうな。お疲れ様…
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この日はこのカーテンコール、スマホでそれなりにうまく撮れたわ…
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めぎたちはカーテンコールを最後までは見ずにここまででお暇した。そしてまだ混んでいない駐車場からサクッと車を出してホテルに戻り、前日と同じレストランへ。真っ暗だけど、まずはこの地方の地ビールで乾杯し…
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レバー団子スープを一つだけ頼んで半分こし…
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うちのドイツ人は何か肉料理とあの美味しいジャガイモ団子を食べていたけど、めぎはあっさりと牛のカルパッチョにした。
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以上でバイロイト音楽祭の話はお仕舞。次はザルツブルクへ。
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電車の旅 デュッセルドルフ→バイロイト→ザルツブルク [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話をしているところだが、今日は、先日少し書いた旅の「足」について。

今回の旅では、最初はめぎ一人で旅をしたため、電車を使用。その内訳は以下の通り。
7月27日 デュッセルドルフ~ICE~ニュルンベルク~快速電車~バイロイト
7月28日 バイロイト~快速電車~ニュルンベルク~ICE~ミュンヘン~快速電車~ザルツブルク
7月31日 ザルツブルク~快速電車~ミュンヘン~ICE~ニュルンベルク~快速電車~バイロイト

今日はこのうち7月27日と28日のお話を。

もともとは7月27日からずっとザルツブルクで過ごし、うちのドイツ人が8月に入ってから車で来る予定だったのだが、先日書いたようにグレゴリアンが歌うということを知ってあとからチケットを手に入れ、ついでに見たかったタンホイザーも見ることにしたため、こんな変な行ったり来たりの日程になった。これは先日も載せた写真だが、7月27日の最初のICEで途中駅のケルンで写したもの。
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デュッセルドルフからニュルンベルクまではICEで4時間ほどかかる。その間には持参したお弁当を食べたり(つまりマスクを外したり)、お手洗いに行ったりもする。その辺がコロナでちょっと気になるところなのだが、オンラインでチケットを買う際に空いている電車を選んだのであまり気にせずに済んだ。これも先日載せたものだが、ICEの一等席。
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ニュルンベルクの乗り換えは7分しかないのに電車が数分遅れ、走って走って走って滑り込みセーフ。まあ間に合わなかったら次のにも乗れるのだが、1時間あとの電車になっちゃうのでね…オペラが始まる前にちょっと一息つきたかったので、間に合って良かったわ。そこからバイロイトまでは1時間弱。快速と言ってもローカル電車なので、ちょうどお昼時で学校帰りと思われる生徒たちも途中駅のホームに見かけた。バイエルン州はまだ夏休みに入っていなかった頃だったのだ。
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バイロイト音楽祭というとものすごく華やかなイメージがわくが、バイロイトは非常に辺鄙な田舎にあり、ICEでは行けないし、ずっと森の中か畑の中を走って行く。同じ一等に乗っていた二人組のドイツ人男性たちも音楽祭へ行く人たちで、初日のオペラの批評について議論しているのが聞こえてきていた。みんなFFP2の分厚いマスクをしているけど、でも喋るとエアロゾロが…なんて思ってしまうのよね…
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電車は時間通りにバイロイトに到着。宿はホテルから歩いて3分程度のすぐ近く。朝7時半に家を出て8時ごろの電車に乗り13時に到着するという5時間半の旅。チェックインしてシャワーを浴び、持参したお弁当を部屋で食べて、結局息をつく暇なく14時過ぎにホテルを出て、歩いて20分ぐらいの音楽祭の会場へと向かったのだった。なにしろ15時までに音楽祭にワクチン接種済み証明を見せて登録しなければならなかったからね。でも、14時45分にはもう登録を終え、そこからはアイス食べたりしてのんびり公園で過ごし、やっと一息つけたのだった。その後タンホイザーを見た話は既に書いた通り。

さて、その次の日、朝7時半に朝食へ。かなりのディスタンス。
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ビュッフェから取ってくるときはマスク着用という決まりだった。ここではクロワッサンとモッツァレラとミニトマトとコーヒーとオレンジジュースをいただいて、それとは別に丸パンにハムとチーズとキュウリを挟んで持ち帰り。卵料理も頼めるのだが、ゆでたまごにしてもらって持ち帰り。道中のお弁当にしようと思って。
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で、クロワッサンのあとは生チーズにフルーツをいただいて、朝食を終えた。
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バイロイトを発ったのは9時3分。また1時間弱でニュルンベルクへ戻り、その間は写真を撮っていない。ニュルンベルクでのICEの乗り換えはまた7分で、それもまたかなりギリギリだったが無事ICEに乗り込むことができた。そこからミュンヘンまでは約1時間半の旅。その写真も撮っていないが、まあまあ空いていた。ミュンヘンでの乗り換えは20分あるはずが10分程度になったけど、無事に最後の電車に乗ることができた。これは最後の乗り換えを終えてホッとして車窓から撮ったもの。これがミュンヘンですって言われてもフーンな写真だけど。このときかなりの雨で、その直前にこの近くでも洪水があったばかりで、この前日も雨で電車が一時不通になったと聞いていたので、大丈夫かなあ…とちょっと不安になったが、予定通り出発。
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この電車はちょっと混んだ。と言っても隣や前が埋まるわけではなく、互い違いに人が座る程度にだけど。でも、ちょっとドキドキ。
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ミュンヘンを出ると、非常に田舎になる。
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混んでいたのはRosenheim(ローゼンハイム)という駅までで、その後はガラガラになった。
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それでちょっと安心して宿から持って来たパンなどを食べることができた。ミュンヘンからザルツブルクまではローカルな快速電車で2時間弱。あ、山が見えてきたわ~また来たんだわ~と思う瞬間。
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そして、Saalach(ザーラッハ)という川が見えてきた。
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この川を渡るとオーストリア。
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渡り切ったところに材木のたくさん置かれている広い場所がある。
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Google Mapsで確認。赤いところがドイツ側のFreilassing(フライラッシンク)という駅で、その右下に川があり、ドイツとオーストリアの国境線がある。



そして、その川を渡ると次の駅はもう終点ザルツブルク。ドイツからオーストリアへは当時自宅隔離期間などもなく、ワクチン接種完了証明が必要だったはずだが特に国境チェックもなかった。まあ宿でチェックされるので、オーストリアで友人や家族などの家に泊まる以外は必ず必要なのだが。駅の写真は撮ってない…駅前のバスターミナルからトロリーバスに乗って宿の近くのバス停カラヤン広場へ。宿はそこから歩いて3分ほど。ザルツブルク駅到着が13時42分で、宿についたのは14時ごろだったと思う。9時から14時の5時間の旅。

宿に荷物を置いて食料品の買い物に行ったついでにザルツァハ河をチェック。思ったよりすっかり水が引いていて一安心。
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この日(7月28日)の夜はザルツブルクでコンサートを見に行き、その後29日と30日は午前中に散歩して写真を撮って歩き、午後から夜はずっと宿で31日と8月1日のオペラの予習。そして31日の早朝、再びザルツブルクからバイロイトへ(こうして行ったり来たりすることになってしまったのは、うちのドイツ人の仕事とオペラの日程上の都合)。めぎたちは31日にバイロイトで落ち合うことにしていた。

で、28日のザルツブルクでのコンサートの話は後日に回し、明日は再びバイロイトへ向かった7月31日の旅のお話をする予定。
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ウィーンフィルとヴェルザー=メストのコンサート [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。これはザルツブルクのミラベル庭園。7月29日の撮影。
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昨日の最後に、今日は7月31日の電車の旅の話を書くと予告したが、同じような話が続いてしまうので予定を変更し、めぎが一人でザルツブルクで見たコンサートのお話を。

7月28日、ザルツブルクに一回目の到着をした日は雨がちの曇りだった。
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ザルツブルク音楽祭で最初に行ったのは、ウィーンフィルのコンサート。これは以前にも載せた写真だけど。
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コンサートは21時からで、綺麗な夕焼けが見えた。この頃のザルツブルクの日の入りは20時45分頃だったと思う。
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この日のコンサートには、心痛むエピソードがある。実はこのコンサート、もともとは2020年にMariss Jansonsの指揮で予定されていたものだったのだ。2019年に亡くなってしまった彼のプログラムを、2020年Franz Welser-Möstが引き継いで同じプログラムで追悼公演をすると発表されていた。しかしそれはコロナでお流れに。
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で、2021年にやはり同じ演目でFranz Welser-Möstがコンサートをすることになっていたのだが、もうMariss Jansonsの追悼公演という意味合いはすっかり消えていた。でも、めぎはその経緯を知っていたので、ぜひ行こうと楽しみにしていた。
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この写真も以前載せたものだが、バイロイトとの差に唖然として撮った一枚。だって、密も密、いくらマスク着用義務でも、いくらワクチン接種完了の人たちだけが入れると言えども、こんなに密だとは…
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コンサートはR. シュトラウスの「薔薇の騎士」組曲と、アルペンシンフォニー。薔薇の騎士はウィーンフィルの人たちがとっても楽しそうに、踊り出しそうな雰囲気で演奏していてとても素敵だったし、アルペンシンフォニーはいろんな打楽器が次から次へと音を出してとても楽しかった。残念ながらこのコンサートに関してはラジオもテレビも放送が無かったので、音源が全くない。勿体ないことだわね。大編成のオーケストラ。これぞR. シュトラウスって感じ。
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もう一つ、ホーフマンスタールのテキストの「イェーダーマン」から「6つのモノローグ」というバリトン歌手との共演があったのだが、それは申し訳ないがあまり記憶に残っていない。

Welser-Möstの指揮は、楽器の一つ一つの音がよく聞こえ、それでいて全体として調和して奏でられ、文句のつけようがない。R. シュトラウスの演奏は、2014年にオペラ「薔薇の騎士」を、2020年から今年は「エレクトラ」を指揮してて、お手の物という感じでもある。ただ、非常に冷静に緻密に計算して情感を出している、という感じで、素晴らしいのだが、めぎは若干冷たさを感じる。これがあの優しさに満ち溢れた感じのJansonsの指揮だったら、どんなだったかなあと思う。ホント、惜しまれる。

帰りのお車も、毎年お決まりの被写体。でも、この日しか撮らなかった…
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そして、23時40分頃一人で夜食。このときはめぎ一人。お皿の上にはカマンベールチーズとアーティチョークと焼き豚の薄切り。野菜が全くないが、この後フルーツでビタミン補給。
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今思うと、ホント夢の世界。朝起きて散歩して、美味しいものを買って戻って宿でオペラの予習や批評を読むとか贅沢な時間を過ごし、夜にはコンサートやオペラ。なんて素敵な夏の時間。また次の夏まで頑張って仕事しなきゃね…
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電車の旅2 ザルツブルク→バイロイト [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。今日は7月31日のザルツブルクからバイロイトまでの移動のお話を。

ザルツブルクで数日過ごした後、バイロイト音楽祭へ2泊の旅へ。バイロイトで使うものはうちのドイツ人に託してあったので、この日は荷物無しでの移動(しかもカメラも持たず、スマホのみ)で、楽々。この日の最初の写真は、ザルツブルクのモーツァルト生家の前で、朝6時24分の撮影。
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そこからすぐのところに中央駅行きのトロリーバスの停留所がある。6時33分のバスに乗る予定だった。電車は7時15分発で、中央駅まではトロリーバスで8分なので、時間的には次の53分でも間に合うのだが、新聞も買いたかったし、支度もできちゃったので早めに出た。
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で、1等なので中央駅のラウンジで一息。ラウンジと言っても飲み物しかなかったけど。それに、ここでもワクチン接種完了証明を見せ、座った席で登録もしなければならなかったけど。
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7時10分ごろ、ホームへ。今日は山の上がちゃんと見えるわ~
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明け方まで雨だったので、窓に水滴が。
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まだ「乗車するな」と書かれてるけど、駅員さんがこれだって言うので中で発車を待つ。
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7時15分よりちょっと経ってから発車したような記憶だが、23分にはもう次の駅に到着。そこはもうドイツ。乗り込もうと待っていた人たちがいたが、しばらくドアの前で待たされていた。
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と言うのは、国境警備隊の人が国境審査に乗り込んできたから。めぎの車両が一番後ろだったのだが、そのすぐそばのドアから乗り込んできて、すぐドアが閉まって中からも降りられないようになり、中の乗客を審査。ところが、1等のめぎの席のところには見向きもせず、乗り込むと2等の席の方へあっという間に移動していった…あれれ、パスポートとドイツ滞在許可証とワクチン接種完了証明の3点セットをせっかく手許に用意したのに、立ち止まるどころか一瞥さえしてくれないの…?

しばらくしてドアが開き、みんなが乗り込んできたのでああ審査は終わったんだな、と思った。すると、ずっと前の車両の方から国境警備隊の人たち数人に囲まれる形で明らかに有色人種である人がホームを歩いてきた。それには間に合わなかったが、通り過ぎていったその姿を映した。もうずっと向こうで、国境警備隊の人しか分からないけど。
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こういうとき、つくづく思うのだ。めぎは日本に生まれて本当にラッキーだったなあと。1等に乗れる財力もあるし、2等に乗ってたとしても、こういうとき、チェックされずに終わることも多いのだ。彼らが目をつけるのは色の濃い有色人種で、パスポートやチケットの有無やワクチン云々もチェックするのだろうが、もっと重要な目的はやはり難民なのだろうと思う。

それからガラガラの電車に2時間近く乗ってミュンヘンに到着。上記の国境審査のため10分ほど遅れたが、乗換には余裕があった。田舎の景色から急に雑踏へ。
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そして無事にICEに乗って、ニュルンベルクへ。1時間半の旅。ここもガラ空き。
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チケット確認に来た車掌さん。ICEでは人との接触をできるだけ避けるために電車内でオンラインでチケット確認登録ができるようになっているのだが、この日はちょっとそのシステムの調子が悪いらしく繋がらないままでいたら、結局車掌さんがやってきた。
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さて、このICEがなぜだか遅れ、最後の最後にニュルンベルクからバイロイト行の電車には全く間に合わなかった。で、40分ぐらい後の次の電車に乗ってバイロイトへ。
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うちのドイツ人は既にバイロイトに到着していたのだが、40分ほど待つ間にチェックインしたり行きたいと思っていた肉屋さんが潰れているのを発見したりなど、それなりに忙しかったようだ。で、13時近くにめぎ到着。6時半から13時まで、6時間半の旅となった。この日の公演は18時からだったので、一緒にレストランで食事を楽しみ、ちょっと休むこともできたのが良かった。この地図はバイロイト音楽祭の祝祭劇場。



↑この地図の「ー」を8回押すと、左にフランクフルトが、右にチェコのプラハが見えてきて、バイロイトはそのちょうど中間にある。バイロイトって、ドイツ的にはもうほとんどチェコとの国境の辺り、つまり辺境にあるのだ。それからもう一回「ー」を押すと、ザルツブルクとデュッセルドルフやケルンも見えてくる。位置関係がお分かりいただけるかな。

やってみて思ったけど、やっぱりバイロイトとザルツブルクを行ったり来たりするのはめんどくさいわ~時間かかり過ぎというか、遠すぎ。行きにバイロイトによってそれからザルツブルク入り、みたいなことはまたやってもいいけど、行ったり来たりはもう二度としないだろうな。まあよっぽど見たいものが無い限りはね。
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そして2日間、さまよえるオランダ人とマイスタージンガーを見たのだった。
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再びザルツブルクへ! [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。

8月2日、今度は車でザルツブルクへ!バイロイトはまさに音楽祭を見ただけですぐにあとにした(2018年に色々観光したので…その話はまだ書いていないけど)。これはミュンヘンを通過してRosenheim(ローゼンハイム)の近くから2車線になる田舎の中のアウトバーンで。アウトバーン2車線はドイツ的にはかなり狭く感じる。ここ、この前日、バイエルン州が夏休みに入った週末で、ずっとオーストリアまで100km渋滞だったとか。(さらにずっと、スロヴェニアまで渋滞だったというニュースも読んだような記憶。)
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それに近いところの地図。このちょっと左のところから2車線になるのだが、そこからずっと渋滞だったらしい。地図のちょっと上の方にローゼンハイムがある。



これはドイツでは有名な保養地、キームゼーという湖。これ、湖が見えてきたところ。
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キームゼーの場所はこちら。めぎたちが走っているのは8番のアウトバーンで、左にローゼンハイムがあって、もっと左ちょっと上にミュンヘンがあり、右の方にスクロールするとザルツブルク。こんなに近いのに、そこには国境があり、外国。



月曜日の移動だっためぎたちは渋滞に遭うことも無く無事にザルツブルクに到着した。ザルツブルクの駐車場に入れるのに待ちがあって30分ぐらい余計にかかったが。これであとは帰りまで一週間移動がないわ~(めぎ、さすがに移動疲れ)車での移動は380kmで約4時間+駐車場待ち30分、マスク着用がなくて、おしゃべりもできて楽だった。

さて、ザルツブルクに到着しためぎたちが宿に荷物を置いてまず最初にしたことは、宿からすぐのこのカフェでの一服。
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オーストリアのメランジェに、めぎはアプフェルシュトゥルーデルというアップルパイのようなもの、うちのドイツ人はトップフェンシュトゥルーデルという生チーズケーキ。
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↑ここでちらりと隣のテーブルのところに写っている赤いTシャツの人のグループは、身体障碍者の人たちだった。歩いて観光できるが話したり意思を疎通したりするのが難しいという感じの人たちで、6人ぐらいの障害者の人たちに2人のお世話の人がついていた。意思の疎通が難しいと言ってもみんな話せるし、明確な意思もあるので、それぞれ自分で好きなものを注文する。飲み物だけの人、ケーキも頼む人、アイスを頼む人、コーヒーはカップ一杯だけでなくポットで入れてほしい人、様々だ。お店の人はその注文を一つ一つ順番に叶えて行っていた。それなりに混んでいて忙しそうなのだが、みんな一律に同じものを頼むとかではなく好きなものを頼み、それもなんとか自分で意思を疎通する時間も取り、店側が彼らを団体ひとからげではなく一人一人キッチリお客として対応している様子が、当たり前のことなのだとは言え、非常に印象に残った。みんな好きなものを美味しそうに食べ、満足そうだった。

その後、めぎたちはちょっと散歩し、スーパーで買い物をし、帰りがけに宿の近くのビアガーデンでビール。16時過ぎだったと思う。ちょっと早いけど、やっと休暇先に無事着いたということで。数日前に一度ザルツブルクに数日間滞在していためぎはもう慣れっこになっていたが、ドイツから来ると、ここのにぎやかさにかなり違和感というか、別世界に来たかのような錯覚を覚える。ここ、コロナ、無いの?みたいな。
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ビールを飲んでいた時、近くをさっきの障害者グループが通りかかった。あ、あのグループだ、と思っていたら、向こうの方から、あ、さっきのカフェにいた人たちだね、私、あなたのこと覚えてるよ~と、とっても嬉しそうに話しかけられた。話しかけてきたのはグループの中の女性で、話しかけられたのはめぎである。ニッコリ笑って元気でね~と声を掛け合った。なんというか、ただそれだけのことなのだが、ものすごく印象に残った。

軽装なので日帰り旅行のグループだと思われ、うちのドイツ人によると、お世話の人たちのドイツ語の訛りを聞くと、この辺りの人たちだと思うのだがオーストリアではなくドイツから来た人ではないかという。その辺の微妙な訛りニュアンスはめぎには聞き分けられないが、もしそうなのだとしたら、ドイツからオーストリアに来るにはワクチン接種完了証明が必要なので、そういうものを全部揃えた上で越境し、観光に来ているということである。みんなお互いによく知っている様子だったから、たぶん障害者ホームで一緒に生活している人たちで、それがこうして越境して一日遠足に来られるというのは、なんて素敵なことだろう。ホームがそれを企画し、お世話の人たちがそれを実行し、そしてその一行がカフェなどに入ってきても何の違和感もなく応対する社会。コロナの七日間指数が低くて往来が法律的に許されているときに、人々は皆それぞれ、自分の責任で自由を謳歌できる。ホーム住まいの人たちも。いいな、そういうのって。


余談だが、8月後半の今、オーストリアもドイツも再び七日間指数50を超えた(七日間指数とは、人口10万人当たりの7日間の感染者数)。第一波のときはこれより低くでもロックダウンで大騒ぎだったが、今は国境を閉ざそうという話はない。現在まだバイエルン州などが夏休み中で、多くのドイツ人が越境して休暇に行っているので、国境を閉ざすわけにも行かないんだろうが、帰国した人にワクチン証明や検査陰性証明を義務付けただけだ(一部のリスク地域からの帰国者は自己隔離期間もある)。相手国側も、そこの経済のためにはドイツ人に休暇に来てもらわなければいけないわけで、ドイツより七日間指数がずっと高いけど、やはり国境を開けたままだ。めぎの宿のオーナーも、8月はやっと予約いっぱいで嬉しい、というようなことを言っていた。きっと今もザルツブルクは人々が闊歩していることだろう。そうやって経済を回し、我慢してきた人々も自由を謳歌して鬱憤も晴らしているわけだが、一方で夏休みが早く始まり早く終わっためぎの住むノルトライン・ヴェストファーレン州は、現在ドイツの中では断トツに七日間指数が高い。例えば8月24日のデュッセルドルフは138だ(比較に書くと、8月23日の日本のトップ3は沖縄(310)、東京(234)、神奈川(186)。大阪は4位で176、10位の兵庫が119、すべて四捨五入、数値はこちらから)。移動の多さが感染拡大に大いに影響しているというのは明らかだ。でも、今は普通に学校が開かれ、どこもかしこもマスク着用義務&ディスタンス以外通常通り。医療的に余裕があるので、しばらくはこのままだろう。さてさて、この秋、どうなっていくのかな…


さて、めぎたちはその後宿で一休みし、21時からのコンサートに備え、19時半ごろ簡単に夕食とした。
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そのコンサートが、めぎ的に中盤のハイライトだったのだが、その話はまた明日。
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クルレンツィスのモーツァルト協奏曲など [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年のザルツブルク音楽祭の話を連載中。

8月2日の夜21時、とても楽しみにしていたコンサートへ。
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オーケストラのコンサートだが、普通の舞台の用意とちょっと違う。
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トリミング。ね、指揮者用の台が無いし、バイオリン奏者用の椅子もない。前に一つだけある椅子は、ソリスト(ソプラノ歌手)用のもの。右の一段高いところは、チェロの人たち用の場所。
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先日のウィーンフィルの舞台と比べてみよう。こちらは楽器の数もずっと多いし…
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指揮者の台と全員の椅子がある。これが普通なのだ。
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クラシックに興味のある人は、テオドール・クルレンツィスという名前はもう既に聞いたことがあるだろうと思う。クラシック界の異端児とか、革命家とか、いろんな代名詞がついている。ギリシャ生まれでロシアのペルミといういったいどこ?と思う町で長く芸術監督をやっていた人である。ペルミって、ロシア全体の地図で見るとまあ西の方に位置するのだが、モスクワよりもずっと東で、クルレンツィスがいなければ話題にもならなかったというか、知っている人もほとんどいなかった僻地の町ではないかと思う。しかし、数年前にクルレンツィスがザルツブルク音楽祭デビューしてからはペルミまで足を運ぶファンや批評家がどっと増え、飛ぶ鳥の勢いでコンサートはどこもチケット売り切れ状態である一方で、毛嫌いしたり批判したりする人も多い人物なのだ。なにしろ、見た目がこんなんだし。この写真はWikipediaから。
Teodor Currentzis. The conductor. In PermOpera with his vinyl record. 2016


彼は現在、南西ドイツ放送交響楽団の首席指揮者でもあるが、自分で組織したmusicAeterna(ムジカエテルナ)というオーケストラと合唱団を引き連れてコンサートをしていて、非常に独特な演奏をする。ここから下に貼ったリンク5つは今回のコンサートとは全く関係ないが、クルレンツィスの紹介のために。

まず、作品の作曲された時代の楽器、古楽器を使う。これはもうアーノンクール時代からある演奏法なので特に新しくはないが、それでも未だ批判の対象になっている。もしモーツァルトやベートーベンがのちの時代に生きていたら、今の楽器を使ったはずだ、という批判で、ロマン派時代以降の楽器とオーケストラ編成でロマン派的な演奏をするのが主流なのだ。しかし、クルレンツィスはムジカエテルナ(オーケストラ)に古楽器で演奏させるのだ。古典派時代の音楽ならもともとの楽譜通りの編成で、当時の音色で演奏。これはモーツァルトのピアノ協奏曲だが、ピアノも古楽器。



次に、これは、曲はプロコフィエフのロミオとジュリエットの一部だが、バイオリンの人たちがみんな立っているのが分かる。立つのはバイオリンに限らず、木管・金管の人たちも。立って演奏すると、緊張感が違うように聞こえる。思えばバイオリンや多くの吹奏楽のソリストはみんな立って演奏するのだから、オーケストラが座って演奏しなければならないという決まりはない。もちろん座らないと演奏できないチェロなどは座ってるが。さらに、この映像を見ると、古楽器一辺倒なのではなくて、あくまで作曲当時の楽器を使うということもわかる。



それから、彼の演奏はテンポが速いことも有名だ。ベートーベンの第5番「運命」のCDが発売されたのだが、それは、自分が一番早く演奏できると証明しようとしたものだ、などと酷評されたりもしている。確かに早い。しかし、ちゃんと聞けば、無意味に早いわけではないことが分かるはずだ。



全部聞きたい方はこちらから。



これは今年ギリシャのデルフォイ(デルフォイの神託の場所)でベートーベンの7番をやったときのメーキング。英語の字幕付き。本番の映像は見つけられなかった。



まあこんな感じなので、パフォーマンスに長けていて、本当に異端児というか、奇をてらい過ぎというか、ある意味やりたい放題に見える。ファンはカルト信者とも形容される。だから、音楽を聞こうと思ってもパフォーマンスに気を取られてしまうなんて言われるし、実際、彼の演出など見たくないということで音楽を聞くところまでたどり着いてもらえない場合が多い。うちのドイツ人も、2年ほど前のバーデンバーデンや去年のコロナ直前の2月のケルンで、始まる前に真っ暗な中で入ってきて拍手をさせない演出とか、靴紐の赤とか、終わった後で手をおろすまでに時間をかけ過ぎの演出とか、そんなことばかり気になって、肝心の演奏には全然集中できなかったと言ってたし。

それでも今回コンサートに付き合ってくれたのは、モーツァルトの協奏曲40番と41番という超有名な作品をいったいどう演奏するのかちょっと興味を持ってくれたから。俺が一番早いぜ「競争」曲になるのかも知れないが、それならそれで早く終わるし、などという軽い調子でもあった。しかしめぎはこう思っていた。めぎ的には、クルレンツィスのザルツブルク音楽祭でのコンサートに今まで外れはない。彼と一心同体でもあるムジカエテルナとともに最高の集中力で最高傑作を披露するはずだし、それが気に入らなければ、もう仕方がない。その場合は、うちのドイツ人はクルレンツィスと趣味が合わないということなのだ、と。

8月2日のコンサートはこう始まった。これは残念ながら抜粋版。でも、昔のフルートやクラリネットやホルンなどの音色を楽しめるし、長さも10分程度だから、ぜひ。6分25秒ぐらいから始まる曲では、古楽器でも見たことのないのが色々あって、モーツァルトってこういうのを使ったんだ、と非常に興味深い。お時間と興味のある方は、中国の動画サイトのこちらでなら全部が見られる。ドイツ語圏にいる方は、こちらをどうぞ。あら、今回は普通に最初に礼をして拍手受けてるし、靴紐が黒だわ!それに、レギンスみたいな細いジーンズにも見えるパンツ!(これはやっぱり後で批評家にコテンパンに言われてた。)あ、木管や金管でその曲に出番がない人は座ってる。なるほどね…



いつものことながら、メリハリが凄い。ピアニッシモの演奏が素晴らしいし、どんなに大きな音でも楽器一つ一つが生きている。めぎはクルレンツィスのそこが好きなのだ。クルレンツィスが指揮台を使わないのは、オーケストラと一体というイメージを演出するからなのかな。ホントよく動きながら指揮をしている。オケと同じ高さに立って、ともに演奏するという感じなのかしら。金髪のおかっぱ頭のコンサートマスターの男性が、飛び跳ねるように、ほとんどダンスするかのように演奏してて、これが立って演奏するということなのだなあと思ったが、指揮者がこんなに動き回るから、その言いなりのオケのコンサートマスターも指揮者以上に動き回っていた、などと批評で揶揄されていた。しかしめぎは、音楽というのはこうして全身で表現するものなのではないかと思う。かしこまって、お行儀よく弾く事に何の意味があろう。写真は、クルレンツィスに促されて一歩前に出て挨拶するコンサートマスター。遠目にはずいぶん若者に見えるけど、映像で見たらかなりおじさんでビックリ。
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元々発表されていたのより、演目が増えていた。40番の前に「ダビデ・ピニテンテ」というカンタータの1曲目(ハ短調ミサの一部でもある曲)、41番の前にも「フリーメイソンのための葬送音楽」。だから合唱もあるし、ソロのソプラノ歌手がいたのだ。
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うちのドイツ人的には、この最初のソプラノ歌手とのハ短調ミサ曲が、ここまでの人生で聞いたハ短調ミサ曲の中で最も美しく素晴らしい歌声と演奏だった(!)とのことで、彼はなんとこの1曲目で涙を流したのだった。イチコロである。1曲目が終わったら観客に拍手をさせずに40番に入り、その間がちょっと早すぎたのが残念だったけど、意図はよくわかった、とのこと。(その歌声は残念ながら上の抜粋版の映像には入っていないので、中国の動画サイトで聞いていただければと思う。彼女の歌が始まるのは3分25秒ぐらいからで、その曲は8分35秒のところで終わる。)そして、続く40番も、こんな有名で、失礼ながらある意味すっかりムード音楽のような位置づけにさえなっている40番が、クルレンツィスの演奏で全く別の、実存を問うような緊張感ある音楽に生まれ変わってて、隅々までよく知っているはずの曲なのに、新しい発見すら多々あった、とのこと。立って演奏することによる集中力の効果もよくわかったし、ただのパフォーマンスではなく本当に音楽を研究して理解してこう演奏したいという意図を突き詰めていることもよくわかったし、古楽器の音色もよかったし、オケの一つ一つの音がよく聞こえて素晴らしかった、と。やったね!そうなのよ!やっとクルレンツィスの凄さが分かったわね、あなた。

で、41番も同様に大いに感動したところで、うちのドイツ人の大嫌いなアンコールがあったのだが…アンコールの曲を聞くと、せっかく素晴らしい演奏で感動していたのが別の軽めの曲にすり替わってしまうので彼は嫌いなのだが…今回のアンコールは、最初のソプラノ歌手のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の“Non mi dir“というアリアで、これがまた、そこまでの感動を上回る感動ものだった。何が素晴らしかったって、これまでのヴェルディとかプッチーニとかのロマン派バリバリのイタリアオペラの歌い方でモーツァルトのオペラを歌うのではなく、古典派の歌い方の“Non mi dir“があまりにも美しく、うちのドイツ人は再び涙したのだ。(その歌も抜粋版では入っていないので、中国の動画サイトの1時間13分55秒ぐらいからどうぞ。)これで、その2日後に見に行くことにしていた「ドン・ジョヴァンニ」が大いに楽しみになったとのこと。それもクルレンツィスの指揮で、ムジカエテルナの演奏で、このソプラノ歌手が歌うのだ。それについてはまた後日。

うちに帰ってから、うちのドイツ人はこれまでの彼的に一番だったハ短調ミサの演奏と何度も何度も何度も聞き比べていた。これもホント悪くない。1991年の演奏だが、30年前に既にこんなに完璧にクルレンツィスがやろうとしていることをやっていた人がいたのだということだし、このソプラノ歌手も完璧である。歌詞はちがうけど最初のKyrieのみ、下の映像と中国の動画サイトの最初の部分とを音楽を聞き比べてみてほしい。また、さらに興味のある方は、カラヤン指揮による全く異なるロマン派的な演奏のこちらとも。同じ曲が全く別物に聞こえる。



あと、めぎ的には、大好きなクラリネット奏者の彼がいるのを確認して、一人幸せな気分に。前にもリンクを張ったこの映像の中のクラリネット奏者だ。これは2017年のザルツブルク音楽祭のオペラ「皇帝ティトス」から。このアルト歌手マリアンヌ・クレバッサもこのときからめぎはファンだが、今年も別のオペラに出ている。その話は後日。



そんなわけで、非常に満足度の高く、感動的で、かつ新鮮味のあるコンサートだった。批評は極端で、モーツァルトを壊す気か、というのもあれば、モーツァルト自身の到来かのように絶賛するのもあり、ヨーロッパの音楽界は大論争中である。これは、音楽祭のチケットやCDなどを売る側からすると、凄い大成功ね。クルレンツィスとムジカエテルナはソニーが契約をしているという。こんなに話題になって、ソニーさん、よかったね。
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ちなみにクルレンツィスとムジカエテルナは来年3月中旬に京都と東京でベートーベンのコンサートの予定。来年の3月かあ…世の中どうなってるのかな。クルレンツィス、日本行けるといいね。

大いに感動して23時過ぎに宿に戻り、白ワインを炭酸水で割って喉を潤した。ああ、よかったわ。ホント、ホント、よかったわ。
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ピアノとバイオリンのコンサート [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

今日はまた2021年のザルツブルク音楽祭のお話を。音楽祭は昨日で閉幕。そう言えば、初日以来コロナの話は聞いてないな…初日のあとに陽性になった人の近くにいた人も感染しなかったというし、今年も音楽祭では感染者なしかも。ワクチン完了証明または完治証明または検査陰性証明での入場、今後ヨーロッパでは定着しそう。

さて、この夏の旅行第8日目の8月3日、朝食はうちのドイツ人が好きなパン屋さんで。
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ここで茹で卵を頼んだのだが、それが運ばれてくる前に、卵屋さんが到着。たくさんの卵のケースを運び入れていた…パンを作るときに使う卵かな。写し忘れたけど、ゆでたまご、熱々で半熟で美味しかった。
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そのあと高台を少し散歩したのだが、その話は明日。

この日のちょっと遅いお昼は…
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肉屋さんで買った豚バラ肉のローストとポテトサラダ。先日の料理はこれを真似たもの。
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さて、この日は、もともとはマルタ・アルゲリッチのピアノとルノー・カピュソンのバイオリンの室内楽コンサートに行く予定にしていた。それが、一週間ほど前にアルゲリッチが体調不良でキャンセル。あらら残念。80歳だし、大丈夫かしら…で、代わりにイゴール・レヴィットという30代の男性ピアニストが出て、プログラムも変更に。
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うちのドイツ人が好きなベートーベンのクロイツェルソナタが新たに追加されていた。それはとても素晴らしくてうちのドイツ人は大満足していたのだが、例によってアンコールがあって、可愛らしい小作品が演奏され、せっかくのクロイツェルソナタの余韻がそがれてしまったとお冠だった。クロイツェルソナタを聞いてみたい方は、今回のコンサートと全く違う人たちのだけど、こちらをどうぞ。



仕方がないことだけど、男二人で何となく華の無い雰囲気…これがアルゲリッチだったらなあ…
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批評でも、ピンチヒッターによるコンサートだったので、それぞれが弾いているという感じで合奏になってなかったようなことが書かれてた。やっぱりリハーサルって大事なのね。一年前からプログラムを決めて呼吸を合わせていくんだものねえ。
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イゴール・レヴィットは2020年にベートーベンのピアノソナタ全曲コンサートをやっている。ソナタ第1番のリンクを貼っておく。



めぎの同僚(男性で歴史と宗教の先生)にイゴール・レヴィットの大ファンがいて、ものすごく羨ましがられた。が、めぎは数年前にもザルツブルクで彼のリサイタルを見たけど、そんなに感動しないのだ。ものすごく上手なことは確かなのだけど、どうしてかな…
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ノンベルク修道院 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。今日は音楽祭の話をちょっと休んで散歩の写真から。実は次に書きたい演目の話を書くにはめぎ的にもうちょっと考える時間が必要で、今ちょっとその時間が取れなくて。

朝食後、高台に上がって、サウンドオブミュージックのマリアがいた修道院へ。
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ここから山が綺麗に見える。今年も見られてよかった。
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いつも写真を撮るところはツアー客で塞がっていたので、まずは中に入ることにした。
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しかし、↑ここにたまたま写っていたこの車をうちのドイツ人はこのとき見つけていて、あとで見ようと思っていたらしいのだが、中から出てきたらもう無かったのでガッカリしていた。ホント、このクラシックカー、じっくり見たかったわねえ。
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中はいつもと同じ。今回はいつも撮っていなかったこれを撮る。
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一つ一つ顔が違った。動物だったり人だったり。
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いつも通り、50セント入れて祭壇をライトアップ。
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このときフルサイズに50㎜単焦点だけで来ていて、それで撮れるものだけを撮った。もっとうまく撮りたいものだけど、まあ仕方がない。
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静かな時間が流れていた。
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修道院の地下など [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

ここはノンベルク修道院。
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サウンドオブミュージックでロケが行われた(と思われる)場所を鉄格子越しに覗き込む。
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ロケが本当にここかどうかははっきりとは分からないが、いずれにせよ本物のマリアがいた場所。
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映画のサウンドオブミュージックって、アメリカが色々と自国に都合よく仕上げたお話なので、冷静に歴史と場所を見ると安っぽく色褪せてしまうのだが、この修道院は重厚で色褪せない。
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毎年毎年同じような撮り方しかできていないけど、でも撮るのが楽しい時間。
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今年も来られてよかったな。
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また来年も来られますように。
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そんな祈りを込めて…
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お暇した。
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修道院の外で [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

ノンベルク修道院を出たら、お墓を手入れしている人がいた。
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眠っている人は修道女だった人なのかな。
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ここから要塞が見えた。
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影が綺麗でパチリ。
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こうして修道院をあとにした。
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外に出ると人がいなかったので、ちょっと突き出したところから景色を撮影。
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ここはこんな崖の上。
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近くには、サウンドオブミュージックで夜に車で逃げるシーンの撮影に使われた場所がある。
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その奥に、要塞へ荷物を上げるレールがある。2017年の写真で、要塞から下へ伸びるレールを写したのを今年の8月初めにご紹介したが(その話はこちら)、今回下からそれを撮った。
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さて、そろそろ街に戻りましょ。
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下界に降りると [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

ノンベルク修道院を出て、Hoher Weg(高台の道)という道をしばらく歩く。まず裁判所が見えて…
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いつも写している緑いっぱいのバルコニーのアパートが見えて…
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ブンブン音がしたので見てみたら…
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病院にヘリが降りていた。怪我かしら、病気かしら、コロナかしら…
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途中の壁に紋章のようなものがはめ込まれてあった。
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今年はフランツィスカーナー教会の化粧直しの幕も取り外されていた。
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ノンベルクとザルツブルクの境目の石を超し…
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キリスト像のはめ込まれたところまで来た。
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その辺りで要塞へあがっていく道と街へ降りる道とに分かれる。めぎたちはこの日ここで下に降りた。
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すると、人がいっぱい。
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ここは要塞へあがるケーブルカーの乗り場。
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場所はこちら。めぎたちは地図上の右の方から歩いてここまで降りてきたのだ。



これで散歩を打ち切りとし、肉屋に寄ってあの豚バラ肉のローストと出来合いのポテトサラダを買って宿に戻り、先日書いた夜のピアノとバイオリンのコンサートに備えたのだった。

以上で8月3日の話は終了。ああ、もう一か月以上前の話になったのね…
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2021年ザルツブルク音楽祭の「ドン・ジョヴァンニ」 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年のザルツブルクの話を連載中。今日はまた音楽祭のお話を。

8月4日、めぎたちは「ドン・ジョヴァンニ」を見に行った。これは始まる前のオケ・ピットと観客席。
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あ、あのクラリネット奏者がいる!オケ・ピットを見ると、やはり今回も立って演奏するようだ。
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まず最初に、簡単に「ドン・ジョヴァンニ」について。作曲はモーツァルト、台本はダ・ポンテ、初演は1787年プラハ。2幕もので、1幕約90分ずつで3時間かかる。あらすじは、まず1幕目では、17世紀のスペインの伝説の男ドン・ジョヴァンニは、女を見ればすぐ口説き、ことに至り、そしてすぐに裏切って別の女に声をかけるという毎日を過ごしていて、この日は騎士長の娘ドンナ・アンナをものにしようとしたが、大騒ぎされ、父親が出てきて決闘となり、父親を刺して逃げる。死んだ父親の復讐をドンナ・アンナと彼女の許嫁ドン・オッターヴィオが誓う。一方、ドン・ジョヴァンニが次の女に声を掛けたら、昔振った女性ドンナ・エルヴィラだった。ドン・ジョヴァンニは逃げ出し、おつきのレポレッロが「あなただけじゃないですよ、他に何千人と同じような目に遭った女性がいるんです」と言って慰める。逃げたドン・ジョヴァンニはちょうど結婚式の農民の娘ツェルリーナをものにしようとするが、邪魔が入って失敗する。彼はツェルリーナたちをうちに招き、なんとかまたものにしようと試みるが、仮面をつけて紛れ込んだドンナ・アンナとドン・オッターヴィオとドンナ・エルヴィラに阻止されてしまう。2幕目では、主人に愛想をつかしたレポレッロが出ていこうとするがお金をやって引き留め、ドン・ジョヴァンニは今度はドンナ・エルヴィラの次女に手を出そうとする。そのためレポレッロを自分に変装させてドンナ・エルヴィラを外に連れ出させる。ツェルリーナと花婿とドンナ・アンナたちがレポレッロをドン・ジョヴァンニだと思って復讐しようとするので、レポレッロは正体を明かして逃げ出す。墓地でレポレッロと落ち合ったドン・ジョヴァンニは、騎士長のお墓の石像に「もういいかげんにしろ」と諭されるが、ドン・ジョヴァンニは「うちに食事に来てください」と茶化す。石像は本当に夕食に現れ、ドン・ジョヴァンニに悔い改めるよう諭すが、ドン・ジョヴァンニは拒んで死ぬ。そこに復讐にツェルリーナと花婿とドンナ・アンナとドン・オッターヴィオとドンナ・エルヴィラが現れ、レポレッロから事の次第を聞き、今後どうしようかという話をそれぞれがして終わる。…かなり端折ったのにこんなに長くなってしまったが、この長い話にそれぞれの登場人物の想いの歌がはめ込まれているという感じである。それが一筋縄ではなく、復讐すると言いながら、女性たちはみんな実はドン・ジョヴァンニに惹かれてて、ドン・ジョヴァンニ亡き後は彼無しで平凡なつまらない人生を送るしかない、という幕切れなのだ。

長くなったついでに書き添えると、この「ドン・ジョヴァンニ」はダ・ポンテの3部作の一つだが、あとの2つの「コジ・ファン・トゥッテ」と「フィガロの結婚」と比べると全く違うかなりまじめなテーマを扱ったドラマである(後の2つもそれぞれのテーマを大真面目に扱っているが、罰を受けて人が死ぬ話と比べると軽快な印象を持つ)。ドラマという言葉を使ったが、ロマン派のイタリア・オペラのような、言葉は悪いが愛をテーマに馬鹿な女が自ら招いた悲劇の話を描く陳腐なドラマとは全然違って人としての真価を問うドラマで、それなのに茶目っ気が至る所に散りばめられてて、モーツァルトって凄いな、ホント天才だったんだな、とつくづく感じるのだ。

さて、この「ドン・ジョヴァンニ」だが、オペラを見た感想をどう書こうか、どうまとめようか、この一か月色々考え続けてきたのだが、どうにもこうにもまとまらない。言葉が見つからないというか…。このオペラはめぎにとって今年のハイライトだったし、たぶんここ数年のハイライトにもなるのではないかと思う大きな出会いでもあったのだが、あまりにもハイライト過ぎて太刀打ちできないというか。未だ、一か月経った今も毎日、ここに行ってこれを生で見ることができた幸せを噛み締めていて、日々頭の中で反芻していて、何度見ても何度聞いても何度思い返しても全く飽きない。未だ分からないことだらけでもあるし、しっくりぴったりそうそうそうと思うことだらけでもあるという矛盾した感じで、本当にまとまらないのである。
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ここからしばらくネットの写真を引用する。写真はこちらから。これは今回の舞台。教会なのだが、オペラは、この教会がこのように十字架やら聖像やら信徒の座るベンチやらが全て取り払われる作業から始まった。教会が無になったところで序曲が始まり、何もない空間を牡山羊が通り過ぎていく。この時点で、おおおって感じである。悪魔か生贄かを暗示しているのか、繁殖力、つまりドンジョヴァンニの女癖を暗示しているのか…?
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なぜこの車が落っこちてくるのかと言えば、別に落とす必要はないかもしれないが、最初に殺される騎士長が今で言えばマフィアみたいな地位のものすごくお金持ちのはずで、今の時代ならこういう車に乗っているはずだということであろう。でも、どうしてこんなにバスケットボールが出てこなきゃいけないのかはめぎにはどうにもわからない。
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クルレンツィス指揮のムジカエテルナの演奏は先日のモーツァルト協奏曲と同様に実存を問うような緊張感ある凄い演奏だったし、ロメオ・カステラッチの演出は3年前の「サロメ」と同様に光と色の演出が素晴らしくて3時間以上の長丁場の時間を忘れるほど見入ったし、ドンジョヴァンニ役やレポレッロ役やドンナ・アンナ役の歌手の歌は素晴らしかったし、ドンジョヴァンニの最期のシーンは驚愕的だったし、とにかく凄かった。よかった、というより、凄かった、という方が正しい。
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めぎは今年「ドン・ジョヴァンニ」を見るために、ここ半年大いに予習をしていた。台本を読み、読み、読みまくり、YouTubeで過去の演出の映像を繰り返し繰り返し見た。めぎが好んで見たのはこちらの1954年のザルツブルク音楽祭の映像。フルトヴェングラー指揮である!古い古い映像だけど、ドン・ジョヴァンニのストーリーが忠実に演出されていて、どれか一つだけ見るなら絶対にこれがお勧めだ。ドイツ語字幕なので、英語で見たい方はこちらをどうぞ。



個人的に気に入ったのは、数あるオペラ座での公演ではなくこの1979年の映画風のバージョン。YouTubeのは映像の質を落としてあってしかも途中で終わってしまうので、めぎは結局DVDを買ったのだが、21分10秒ぐらいからのドンジョヴァンニの女歴(イタリアでは640人、ドイツでは231人、フランスでは100人、トルコでは91人、スペインでは1003人)を挙げる歌の演出が面白いし、それ以外の風景もとても綺麗。日本のアマゾンでも売っているようなので、興味のある方はぜひこちらをどうぞ。



で、2021年のはこの映像。日本からでも見られるといいな。残念ながら最初の無音楽で教会を片付けるシーンはカットされてて、その後の序曲から始まっている。女歴を歌うところ(29分ぐらいから)の演出は、コピー機と髪の毛だった。



↑見ていくと、女性の登場人物たちのバックには常に影武者というか深層心理を表しているらしい黒装束の人や裸の人などがいて、その人たちの動きが時にとても興味深い。そうよね、やっぱりそうだったんだよね、口ではそう言ってるけど、やっぱりね~と思わされる。例としては、46分ぐらいのところから、それほどのインパクトはないが有名な音楽の部分だし分かりやすいので良かったらどうぞ。また、1時間14分30秒ぐらいのところからの「シャンパンの歌」と呼ばれている歌のところでは、オケ・ピットが上に上がって来てディスコみたいな演出になっている。モーツァルトが生きていた当時、この音楽でディスコみたいに盛り上がったのかもしれない。

ちなみに今回の記事では3つの映像のリンクを貼っているが、演出や歌い方やオケの演奏の仕方などを各映像比較しながら見るのは非常に興味深い。演出で言えば、2幕目の最初のレポレッロへのお金の渡し方とか、レポレッロの変装とドンナ・エルヴィラの連れ出し方とか、騎士長の石像のシーンとか、ドン・ジョヴァンニの最期とか、見比べるべきところがたくさんある。

2021年の前半では舞台にいろんなものが落ちて来てびっくりする。落ちてこなくてもプードルとかスキー用のいで立ちとかあまりにも的を得過ぎていて面白すぎるものや(このドン・オッターヴィオという男の本質を突いていてその演出にめぎは脱帽)、これは何を現してるのかな~というものが次から次へとあって、あり過ぎで消化不良だという批判もあったが、アイディア不足やせっかくのアイディアを煮詰め切っていない演出が多い昨今、こんなにアイディアがあってやりきっているのって素晴らしいと思う。批判した批評家は、訳が分からなくて批判するしかなかったのではないかとめぎは思っている。心理学に長けてでもいなければ全てなど分かりようもないし、ハリウッド映画じゃあるまいし何でもかんでも種明かしする必要はない。この写真のみこちらから。
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そして、批評家の多くが前半のことしか書いてなかったので、本当に最後まで見たのか!?とめぎは疑問に思うのだが、後半はガラリと趣が変わり、光と色の演出となる。そこに150人のザルツブルクの女性スタントマンが現れ、それはそれは素晴らしかった。スペイン人1003人とまでは行かないが、本当に台本通りあらゆる年齢のあらゆる体形の女性たちで、非常に効果的に動くのだ。
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終わった後のカーテンコールでも、150人のザルツブルク女性たちは大きな拍手を受けていた。この写真、どうもハッキリ見えないのはスマホで撮影したからもあるけど、舞台と観客席の間ににうすい白い仕切りがあるから。こちら側とあちら側にはっきり分かれているような演出でもあった。
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演出は本当に最初から最後まで凄かったが、なんといってもやっぱりダントツに凄いのは最後である。厳密に言うと、最後のちょっと手前の、ドン・ジョヴァンニの最期のシーン。それは、3時間5分ぐらいから3時間11分40秒ぐらいまで。時間の無い方は3時間9分25分ぐらいからどうぞ。今時のオペラ歌手って、ホント凄い。
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バスローブとサンダルでカーテンコール。でも、まだ白い色、落としてない。ホント、迫真の演技と素晴らしい歌声だった。実はこの「ドン・ジョヴァンニ」、NHKも撮影に携わっているようなのできっといつかプレミアムシアターで紹介されるのではと思うが、9月も10月もまだプログラムに乗っていない。でも、この演出でNHK、大丈夫なのかな…モザイク入れるとか…?
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それから指揮のクルレンツィス。今回もレギンスみたいな細いジーンズみたいなパンツ姿。
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ザルツブルク音楽祭のメイン・オペラであるモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」をウィーン・フィルではなく自分の組織した(批判によれば彼の言いなりの)ムジカエテルナで演奏したクルレンツィスには、今回今までにない強烈な批判が渦巻いた。大喝采と大ブーイングで批評家たちを真っ二つにしていたが、それも今までのようなダークホース的存在ではなくなった証拠かも。音楽祭的にはウハウハだったのではと思う。だって、その所為かどの所為か、オペラのチケットは全6回完売だったし、他のオペラと違って繰り返し話題になってたし。こんな注目の演目を見ることができて本当にラッキーだった。
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クルレンツィスの人気について、ZDFがこちらにコンパクトにまとめている。日程的にめぎがいけなかった教会でのコンサートの様子も写っていて、非常に面白い。6分45秒と短いし、ドイツ語の分かる方は是非。分からなくても、時々彼の英語が聞こえるし。それから、ザルツブルク音楽祭とは関係ないが、クルレンツィスとムジカエテルナが今年デルフィ遺跡でベートーベンの7番を演奏した時の映像がNHKプレミアムシアターで10月24日に放送されるようだ。とても素敵なシチュエーションでの演奏だったので、よかったらぜひ。

さて、宿に戻ってからも興奮が冷めず、飲みながら色々と議論。
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新聞にはスタントマンの女性たちの何人かが紹介されていた。めぎもザルツブルク在住だったら絶対に応募したのにな~
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もっともっとうまくまとめたかったのだけど、これでお茶を濁すことになってしまった。「ドン・ジョヴァンニ」、長いけど、お時間があったら是非。実存について音楽を聞きながら演出を見ながらじっくり考えてみたい方は是非。フルトヴェングラー指揮も素晴らしいので、ぜひ。フルトヴェングラーをクルレンツィス指揮と比べるのも面白いので、ぜひ。
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8月4日と5日のこと [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

今日からまた2021年夏のザルツブルクのお話を。

これは8月4日の朝。この日にあの「ドン・ジョバンニ」を見に行ったのだが(その話は既にこちらに書いた)、その日の朝は近くのカフェで。卵料理はチーズ&ハム入りオムレツ。
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このカフェはこんな小さな広場のあるところ。
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場所はこちら。と言ってもこのカフェ、Google Mapでは名前などが出てこないので、地図ではすぐ近くのモーツァルトの生家に場所を合わせている。カフェの場所は、生家の赤いマークの右下に見える広場。傘が2つ開いているが、黄色い方。



食事を終えてからあのカフェ・トマセッリの前を通ったら、お馬さんの落し物があった…普通は観光馬車のすぐ後ろにお片付けの自転車が走っててすぐに掃除するのだが、これはまだのよう。なんとも言えない臭いが立ち込めているのだが、それもまたヨーロッパの古都の特徴。
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さて、8月4日はこの後宿に戻って「ドン・ジョバンニ」に備えてのんびりと過ごした。で、ここから先は次の日、8月5日のお話に入る。その日は実は音楽祭オフの日で…と言うと語弊があるが、音楽祭自体はその日も公演があるのだが、めぎたちはこの日何もチケットを買わずに音楽祭休養日に充てていた。3時間以上の「ドン・ジョバンニ」の後だしね。もし晴れていたら山にでも行こうと話していたのだが、残念ながら雨。でも、頑張って週一回開かれている市場に出かけた。あと数日の滞在分の食料を買い込もうと。
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硝子越しなので色がイマイチだが、美味しそうですわ~~♡
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ハムも色々~♡
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それからうちのドイツ人がこのスタンドを見つけ、自宅へのお土産にアプリコットの蒸留酒を買い、そこでめぎ用にシードルも購入した。
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お花も綺麗だったが、素通り。
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そして、お昼用にBackhendlを買った。Backはbackenという動詞から来ていて、ローストするとか油で揚げるという意味。Hendlはオーストリアの方言で若鶏のこと。つまりローストチキン。
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オーストリアのローストチキンは、そのままローストするのではなくこんな風に衣が付き、油で揚げてある。
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これをこの日のお昼にした。
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日中そのまま宿でのんびり過ごした。めぎたちの部屋の下はバルコニーのあるスィートで、そこにこの日から宿泊客が入った。中年?初老?カップルで(たぶんご夫婦)、タバコを吸いつつ&ワインを飲みつつほとんどの時間をバルコニーで本を読んだりスマホを見たりしていた。
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どうしてその日から入ったと分かったかと言えば、その日の朝までこんな状況だったから。これはこの数日前に撮った写真なのでギンギンに晴れているが、ずいぶん長いことスィートが埋まらなかったことが伺えた。いつも予約でいっぱいのこの宿、スィートは高いので率先して予約が入るわけではないとは言え、真夏に予約が入っていないのを見たことはなかった。やっぱりコロナで影響を受けていたのね…
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夕方のザルツブルク [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。今日の話は8月5日夕方のこと。

8月5日の17時半過ぎ、めぎたちは外へ。
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↑この写真、あおり効果というレタッチをしてみた。おもしろいわね。
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あの馬の落し物はもちろんちゃんと片付けられていた。まああのあと10分もしないうちに掃除されたものと思う。
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さて、この時間帯にザルツブルクの街を歩くことは普通ほとんどない。というのは、いつもならこの頃から音楽祭に行くからだ。朝とは違う光の加減が楽しい。
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それに、今年は暑すぎなかったので、夕方の散歩も悪くない。あっつ~い!という日々は6月にちょこっとあっただけで今年の夏は非常に短かったが、やっとヨーロッパらしい夏を楽しめたという感じ。
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まあ同じヨーロッパでも南の方はとんでもなく暑くて火事になったりし、我々のいる辺りでは雨が多くて洪水があったりもしたのだが、40℃を超すような暑すぎる夏よりは涼しい方が断然いいし、寒すぎなければ涼しい夏は過ごしやすくて良いものである。もともとのヨーロッパの夏は半袖を着る時期がほとんどなくて日本の暑い夏が懐かしくなったりしたものだが、ここ数年暑すぎてげんなりしたので、今年の涼しさはラッキーに思えた。
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こうして歩いていても汗が噴き出るわけでもなく、でも、寒い~とカーディガンやコートが必要になるほどでもなく、これよこれがいいのよ~ホント良い感じ。
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こういう日、上から日暮れまで眺めたら楽しいだろうな…
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でも、めぎたちはこの日、目的地があった。それはまた明日。
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居酒屋レストラン [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。8月5日夕方のお話の続き。

要塞が見えるところから…
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こんな小路へ入り…
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以前からお目当てのレストランに入った。
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場所はこちら。ホームページはこちら



そう、もう何年も前からここに入ってみたいな~と思っていたビアレストランである。音楽祭を見に行く予定がなく、うちのドイツ人もいるときに一緒に行こうと思っていたのだった。まず最初にワクチン接種完了証明を見せ、それからコロナ対策の一環としてのテーブル登録(どのテーブルに誰が座ったかを登録し、感染者が発生したら連絡が来て自宅待機となる)。それを済ませて早速、まずは地ビール。
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念のため18時に予約を入れておいたのだが、まだ余裕で席が空いていた。ここはテラス席というか、ビアガーデン席というか、2階なのに外の空間。壁はむき出しの外の崖。
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ここではがっつり食べようと思っていたので、スープから。これ、Frittatensuppe(フリッターテンズッペ)と言って、薄いパンケーキを細かく切ったものが牛の骨や髄で取った出汁のスープに入っている。結構なボリュームだが、とても美味しくて完食。ちなみにうちのドイツ人はレバー団子スープを食べていたが、それは写し忘れ。
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ここ、NHKの「世界入りにくい居酒屋」という番組で2017年に紹介されたようだ。変に加工された見難い映像だが、見てみたところまさにここである。



でもウェイターさんたちは番組とは別の人のような気がする…と思ってちょっと調べてみたら、2018年に経営者が変わっていた。コックやウェイターは一部残っているとのこと。(情報はこちらから。)誰が残っているのかは分からないが、いずれにせよ、番組と同様非常に楽しそうに、プロフェッショナルに、きびきびと仕事をこなしていた。服装も変わっていないようだし、料理等のコンセプトも同じみたい。
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つづく
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メインとデザート [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。珍しくレストランへ行っているところ。

19時を過ぎるとほぼ満席となった。
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さて、メインディッシュ。めぎたちは普通のメニューに載っているものではなく、本日の料理として紹介されたものから選んだ。と言ってももう名前は憶えていないし、レシートを見ても「料理」と書かれているだけで名前が書かれてなくて、材料などうろ覚えなのだが、これは仔牛肉のハンバーグのような感じのもの。下にはマッシュポテト。上にはカリカリのニンニクとオニオン。かなり濃厚な味付けで、ものすごく美味しいのだが、ものすごく大きくてしかも2つもある…(さらにビール2杯目)
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うちのドイツ人のは、豚肉のローストのようなもの。脂身の部分はカリカリ。付け合わせの白く丸いのはパンの団子。これも、美味しいのだが、かなりの量…
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ガッツリとスープを先に食べた所為でとても食べきれず、ダメもとで「持ち帰りできますか」と聞いたら「もちろん」と包んでくれた。コロナで居酒屋やレストランは長いこと営業禁止で、テイクアウトのみOKだったので、持ち帰るための容器も揃っていたのだ。で、有難くどちらも半分ぐらい持ち帰り。

そして、消化を助けると言われる蒸留酒を。めぎのはZirbel(英語ではstone pine)という松の一種の松かさを原料に作ったもので、うちのドイツ人の透明のはアンズの蒸留酒。
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…ふと見たら美味しそうなアプフェルシュトゥルーデルを頼んだ人がいたので、欲しくなって二人で一つ。美味しかった~♡
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で、もうはちきれんばかりにお腹いっぱいになり、お勘定。二人で64ユーロだった。
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中も人でいっぱいだった。これ、たまたま撮れていた写真。電源消し忘れ、たまたまシャッターが押されたようだ。カメラを持ち替えたり肩にかけ替えたりしていたからだろうと思う。
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ちょっと怖い通り [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

夕食を終えて、外に出てきた。
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あそこに座っていたのね~
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昔はここからも入れるようになっていたのかもね。
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さて、この辺りの建物は非常に古く、レストランの建物も築400年以上だとのことだが、この通りはちょっと怖い歴史もある。レストランの隣の建物には、かつて死刑執行人が住んでいたというのだ。そしてその死刑執行人たちが売春宿もしていたのだとか。
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そのうちの一つが今も営業中のはずだったのだが…ここね。
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でも、コロナの所為か、閉まっていた…
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窓は開いているのだが、人が住んだりしているのかな…
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まだ明るいけど、このとき20時ごろ。夜はここ、どんな感じかなと思っていたが、朝と同じだった。暗くなったらずいぶん雰囲気が違うのかもしれないけど。
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ヨーロッパでも、死刑執行人や毛皮職人などはかつて差別を受けていて、住んでいる一帯は街はずれで物騒なところだった。今は普通に歩ける観光地の中にあるが、まだ名残があるというのが非常に興味深い。
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明るい夜のザルツブルク [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

夕食を終えて、大聖堂前の広場に戻ってきた。
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素敵な空と光だったのだけど、イマイチ伝わらないな…
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チェスをやっている人たちがいた。
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ちょうどまだ光の当たっている要塞を見上げてパチリ。
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よく見ると、このケーブルカー、凄い急斜面ね。
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それから大聖堂の前を通って…
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音楽祭の会場の方へ。
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この日(8月5日)の夜は、めぎたちは音楽祭の予約をしていなかったが、コンサート3つと演劇1つと映画が1つ上演されることになっていた。この会場を使うのは21時からのソコロフというピアニストのソロコンサート。20時ぐらいのこのときはまだ誰もいなかった。
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音楽祭会場(写真で右に写っているクリーム色っぽい建物)の向かい(写真では左にほんの一部写っている白い建物)はコレーギエン教会という教会なのだが…
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その隅にホームレスと思われる人たちがテントなどを張っていた。
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華やかな音楽祭の開かれているザルツブルクの暗黒面。でも、それを排除するわけではなく、ありのまま。こういう人たちがいても、その人たちが何をするわけでもなく、ザルツブルク、治安はすこぶる良い。ドイツよりいいかもと思うほど良い。昨日のかつての死刑執行人の住まいと売春宿のある通りも、夜中に歩いても特に問題はないと思う。と言っても中央駅の反対側の方がどうなのかはめぎは行ったことが無いのでわからないが…ヨーロッパはどの街も、デュッセルドルフも、中央駅周辺はあまりいい雰囲気ではなく、めぎは大きい街では駅周辺のホテルには泊まらない。それでも、イタリアなど南欧と比べたら、オーストリアやドイツは基本的に特に危険はない。普通にちょっと気をつける程度のことである。

大学広場では、なにやらパーティーが開かれていたのだが、たぶんその参加者の子どもと思われる女の子が…
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泉と遊んでいた。
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以上、8月5日のお話はこれでおしまい。
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2021年8月6日朝の散歩 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

今日からまた今年2021年夏のザルツブルクのお話を。

この夏の休暇は早くも10日目。8月6日の朝7時半ごろには、秋のような雲が広がっていた。
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ザルツブルクの建物はこんな窓。同じような昔の建物でも、窓の仕組みは地方によって若干違う。ここは観音開きで、二重扉。
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下のスィートの人も、朝の一服中。夜に雨が降ったことが分かる。バルコニーの日傘を広げたまま寝たようで、そのおかげでテーブルとイスの一部が濡れてなくて、そとで本を読みつつ一服していたようだ。
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さて、めぎたちはサクッとコーヒーを飲んで、散歩へ。
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向かったのはメンヒスベルクという山の上。と言っても山登りをせず、エレベーターで昇った。わ~綺麗なキラキラ!
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…と思ったら、太陽が雲に隠れちゃった…
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のんびりとつづく。
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下界をズームアップ [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

日曜日はドイツ総選挙だったのだが、その結果とか、メルケルさんの時代の終焉とか、色々思うことあれど今は書く時間がなく、いつかそのうちに。

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

朝8時ごろ、有料(往路のみ一人2.7ユーロ)のエレベーターで昇ったメンヒスベルクからザルツブルクを見下ろして、ズームアップ。教会のコラボ。
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奥の赤いのがノンベルク修道院教会、真ん中の白い2つの塔とそのちょっと左奥に見えるベージュがかったグレイの大きいのが大聖堂、手前の黒くずんぐりしているのがコレーギエン教会。

こうするとどれがどれだか分かりやすいかな。真ん中にはフランツィスカーナー教会、右に聖ペーター教会も。
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いつもお馴染み音楽祭会場付近。
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その近くを通るObusという長いバス。
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めぎの宿。ほら、下のスィートのバルコニーが見える。
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ザルツァハ河。
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川沿いにカラヤンの生家とホテル・ザッハー、その奥にホテル・ブリストルと三位一体教会。そう言えばこの教会の中には入ったことないな…
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要塞の方へ散歩するときに登る道。
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ズームアップ、楽しいわねぇ。
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メンヒスベルクの防壁の工事 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

8月6日の朝8時ごろ、メンヒスベルクに登ってザルツブルクの眺めを写した後、ちょっと山の上を散策。すると、こんな資材現場が。
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そこにやってきた資材を積んだ車。
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今いる場所はここ。この場所のちょっと斜め左上、小さなトンネルの手前。



資材運び車が出てきた小さなトンネルをくぐると、山の反対側が見える見晴らし台がある。地図上では白い車が停まっているところ。ウンタースベルクと言う山が一応頂上まで見えていたが、すっかり曇って来てるわねえ。
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ところで、やっぱりここ、工事してる…
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と言うのは、ここ、2020年の夏に来た時にも既に柵で行けないようになっていたのだが、その時は何のためなのかの表示が無かったのだ。その時のお話はこちらこちら
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あそこからの眺めがよかったんだけど、工事が終わったらどうなっているかなあ…来年のお楽しみね。
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もう一つの展望場所 [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年夏のザルツブルクの話を連載中。

現在メンヒスベルクの上を散策中で、この防壁の塔の下をくぐる。
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場所はこの地図の赤い印のちょっと下の、ぐるっと道がカーブしているところ。左から右へ。



綺麗なお花。
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そこから程なく、また眼下が望めるスポットがある。
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場所はここ。



再びズーム。
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屋根の上の憩いの場。ここに住む人だけの特権ね。
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銅像が屋根の上で集っているようね
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ちょっと画角を変えると、銅像はたくさんのいろんなものに埋もれてしまう。でも、銅像だけクローズアップしたら、その一つ一つにも作った人がいて、ここに建てた人がいて、いろんなドラマがあるんだろうな。そんなものがいっぱいいっぱい。
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