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デュッセルドルフからザルツブルクへ [ザルツブルク]

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今日からぼちぼちザルツブルクの話を書いていこうと思う。

ザルツブルクへ行こうと考えたのは去年の冬。1月には研修に申し込み、音楽祭のチケットの手配をし、宿を取り、4月に電車のチケットを買った。片道55ユーロ(約7500円)で一等を予約。片道のみなのは、うちのドイツ人があとから車で来ることになっていたからだ。

なぜうちのドイツ人は最初から同行しなかったか。それは、海好きでプロテスタントの彼にとっては山間に位置するカトリックのザルツブルクは18日間も滞在したいと思うようなところではないから。理由は他にも色々あるが、まとめればこの一点に尽きる。数日ならいいけど1週間以上は長すぎ、と言うのが一貫した彼の見解。でも、めぎはゆっくりと長期間滞在したかった・・・ザルツブルクは子どもの頃からの何十年もの憧れだったから。

ほんの子どもの頃、モーツァルトの伝記を読んで生まれた町の名前として覚えたザルツブルク。めぎの記憶では、もしかしたら、外国の地名として初めてきちんと認識したのはパリでもロンドンでもニューヨークでもなくザルツブルクだったかも知れないほど、その町の名前は原体験に近い記憶である。そして、音楽をやったことのある人なら誰もが知っているザルツブルク音楽祭。バイロイトはワーグナーのオペラだけで敷居高いけど、ザルツブルクはウィーンフィルも来るし、モーツァルトやらイタリアオペラやら親しみやすい。それに、現代でも尚美しいドレス姿でオペラに向かう社交界があるなんて、なんだか凄く魅力的。ミーハーなめぎはそんなVIPの世界も垣間見てみたかった。さらに、小さい頃に何度もテレビで見たサウンドオブミュージック。あの美しい町に行って映画所縁の場所を見てみたい・・・

しかし、ザルツブルクへは行く機会の無いまま時が過ぎた。チケットを買ったことが実は12年くらい前にあったのだが、そのときは予定変更になってチケットを解約。それ以来、ザルツブルク音楽祭は律儀に毎年めぎにプログラムを送り続けてくれていたのだが、行ってみようかなと再び思い始めたのは、数年前にバイロイト音楽祭へ行ったとき。それから数年、毎年検討したが実現せず、今年、とある研修を受けてみようと思いついたのだった。そうだ、これだ!研修を受ければ長期滞在できる。18日間もあの町にいられるなんて、長く機会を待った甲斐もあるというもの・・・去年や一昨年に無理して数日バタバタと行ったりしないでおいてよかったわ。やりたかったことをじっくり好きなようにやってこよう。それに、音楽祭はともかくサウンドオブミュージックがらみの観光は、かえってうちのドイツ人がいない方がいい。一緒に感動できない人と一緒に行ってイチイチ説明してフーンとあしらわれるより、一人で行って一人で浸った方がきっといいわ。

うちのドイツ人とは非常に多くの面で共感しあえるのだが、もともとは他人、それも育ちも宗教も国籍も全く違う他人なのだから、いつも全く同じ意見で同じ感覚という訳ではもちろんない。違うからこそ一緒にいて楽しいのだが、一人でしか楽しめないことも多々ある。少なくとも彼はめぎが長期間行きたいと思う気持ちには全く意義を挟まず、快く了解。そんなわけで、めぎは半年以上ザルツブルクの計画で頭がはち切れそうなほど楽しみだったし、彼は彼で久々に一人で自由な時間を謳歌できることを、そしてあとから数日間ザルツブルクに旅するのも、凄く楽しみにしていたようである。

こうして今回はめぎ一人旅。これは一等のICEの車内。これでミュンヘンまで行くはずだったのだが、途中でなにやら木の枝が折れて送電線が切れたとかなんとか、乗り換えさせられた。
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外から電車を写していないのは、めぎ一人だったから。一人で大きなスーツケースとリュックを抱えてアナウンスに気をつけつつ急いで乗り換えなどしていると、とてもホームでデジイチ取り出して電車を写す余裕はない。荷物が少なければV3くらいは首から提げておけるけど、大きなスーツケースを扱っていると邪魔で無理。本やカメラや衣装や着物や帯などでスーツケースは30キロくらいだったしね・・・その昔の留学当初を思い出したわ。あの頃はスリに注意しまくってビビリながら移動したものだったなあ。アナウンスなんて聞き取れなかったし。

これはフランクフルトの辺りで・・・
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これはヴュルツブルクの辺り。
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電車の旅は予定外の乗り換え以外は非常に順調で、1等の座席は余裕があって快適だった。とは言え1等に2等の切符しか持っていない外国人の家族連れが座り込んでいて車掌に移動させられるということが何度も起こって辺りはざわざわしていたし、電話禁止の車両でもなかったし(ドイツには電話OKの車両もある・・・正確に言うと、普通電車は全て電話OKで、長距離電車の場合のみ電話禁止の車両がある)、小さな子ども連れもいて廊下を走り回りそれに腹を立てた老婦人が注意すると親がキレるということも起こり、完璧に快適な旅とは言えなかったが、まずはミュンヘンまで約6時間の旅をそれなりに楽しむことができた。ミュンヘンでの乗り換えのときに駅や電車を写したいと思っていたけれど、遅延で乗り換え時間はたったの5分しかなく、11番ホームから4番ホームまで駆け抜けてギリギリセーフで、全く余裕がなかった。

無事にRJというウィーン行きの国際列車に乗車。
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この電車には1時間半乗車。ミュンヘンからザルツブルクまでの田舎を走っていく。
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遠くに山が見え始めた!
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きゃ~山よ山よ~~とV3で撮影。
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山と緑と畑の綺麗な田舎の風景を見ながら、ああ本当に旅してきたんだなあと実感。この辺りでキャンプやハイキングをしてバカンスを過ごすドイツ人も多い。
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長閑に見えるけどハードな仕事なんだろうな。
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おお~いよいよザルツブルクへ!
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電車に乗っていた時間は7時間半、ドア・ツー・ドアで8時間半の旅が終了。例によって荷物を抱えて一人なので駅やタクシー乗り場などの写真は撮っていない。タクシーの窓から川向こうの旧市街の街並みを目にしたときには、言葉にできないほど感動した・・・こんなに感動したのは久々。ずっとずっと来たいと思っていたところにめぎはとうとうやってきたんだわ。そして、カトリックがどうとか、オーストリア訛りがどうとか、歴史がどうとか、うちのドイツ人の蘊蓄を聞かずに自分の目と耳だけで過ごすことができるんだわ。それが最も嬉しかった。

つづく

撮影: Xperia Z1、Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
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Baldhead1010

たとえ親兄弟といえども個人には違いないですからねぇ・・・。

忍耐妥協の人生でしょうか。^^;
by Baldhead1010 (2015-08-19 04:25) 

ちばおハム

一人旅、話す人がいないのはちょっと寂しいけど、でも楽しいですよね。若いころ、よくやったなあ。逆に今できるかしら。
by ちばおハム (2015-08-19 07:47) 

engrid

そうよね、Megiさんの暮らしを共にする方との
相手を尊重しながらの生き方、そうありたいです
そこまで、割り切れていないなって、思いますから
by engrid (2015-08-19 08:17) 

YAP

めぎさんにとってザルツブルクは、そんなに特別な場所だったんですね。
私にはそういう特別な街ってあるかなあ?
すぐに思いつかないということが残念です。
by YAP (2015-08-19 08:24) 

krause

最後の写真、マップの左端のf の地名が、Teissendorfなのですが、仕事絡みでこの街のホテルに泊まることがあります。仕事というより保養になってしまうほど、良い場所です^^。
by krause (2015-08-19 09:02) 

かずのこ

たまには一人旅もいいものですよね。
by かずのこ (2015-08-19 12:49) 

sheri

イチイチ説明してフーンとあしらわれる、よくあります(笑)
なので、お気持ちわかります。
by sheri (2015-08-19 13:45) 

Bonheur

1記事の初めから最後までこんなにめぎさんの興奮が伝わってくるのはとても珍しいことではないかと思います(^O^)

>>半年以上ザルツブルクの計画で頭がはち切れそうなほど楽しみだったし

そうだったんですね~!普段の記事からはそれには気づきませんでした。
ドイツ・オーストリア・スイスに住んでいる方で、「ドイツ語圏の隣国には興味ない、どうせ行くならフランスやイタリア」という方、ブログ巡りをしていると結構いらっしゃるので、めぎさんもそうなのかな、と思っていたのですが、違ったのですね(^O^) 私はドイツ語圏が好きでとにかく気になるので、めぎさんがザルツブルグ好きということで、何とも嬉しい気持ちです。
昨年オーストリア(チロル)とドイツを訪ねたとき、「ザルツブルグにも寄りたいけど、音楽祭で混んで街中歩けないくらいでは」と思っていたのですが、実際はいかがでしたか。そうでもないのかな。来年またドイツ語圏に遊びに行くことを考えています♪
by Bonheur (2015-08-19 20:56) 

Inatimy

ザルツブルクまで一等席で片道55ユーロで行けるというのにも驚きです。
移動時間は長いけど、窓からの流れる風景を見ていたら楽しめますよね^^。
高い山が見え始めた時のウキウキする気持ち、すごく分かります♪
旅先の地の宗教は気にかけたことはあるけど、
宗派までは考えたことがなかったなぁ・・・。
好きになったふたりでも、完全に重なる円でなく、円と円の重なった部分がより大きい、そんなふうだなぁって我が家も感じてます^^。
by Inatimy (2015-08-19 21:26) 

miffy

ザルツブルクはめぎさんの憧れの場所だったのですね。
私もどうしても行きたかった場所だったので、卒業旅行の時に
いろんな旅行会社のパンフレットを集めまくってザルツブルクの
含まれているツアーに行きました。
想像していた通りの街でまた行きたいと思いつつ未だに行けて
いません。
またいつか行けると良いな~
by miffy (2015-08-19 21:54) 

テリー

ザルツブルグへの特別な思いがあったんですね。
30Kgの重量の荷物を、持って行くのは、大変ですね。
私も、月末の旅行の準備をやっていますが、荷物造りが、面倒。
by テリー (2015-08-19 21:56) 

momo

(^m^)ふふふふふ♪
読んでて思わずめぎさんと一緒にワクワク・ニヤニヤしてしまいました。
by momo (2015-08-25 09:21) 

mimimomo

一人旅、良いですね~わたくしも好きよ^^

by mimimomo (2015-08-25 20:16)