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喪失感 [小さな出来事]

今日は、「今日から夏休み」という土曜日をうちで過ごして、静かに心と向き合って思ったことをつらつらと。タイトルが暗いがブログにはあまりネガティブなことを書く趣味は無いので、今日だけ今の記録として。写真は撮りたての土曜日の撮影。
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朝目覚めて第一に感じたのは、喪失感だった。ああ、終わっちゃったなあ…それはまず、仲の良かった同僚との時間が終わったことへの寂しさだったと思う。あの人はこの夏休みが終わってももう学校に戻ってこないんだなあと。
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その人はめぎが今の学校に勤め始めてからの13年間ずっとそこにいたので、よき先輩としていつも相談に乗ってくれたし、学校のことを色々と教えてくれたのだった。いついつまでに何の資料を出さなきゃいけない、というようなときも、ドイツ語で出すその資料はどんな内容でどんな体裁であるべきかといったようなことをいち早く他の同僚から聞いて教えてくれたりして、どれほど助けてもらったか知れない。反対に、PCで資料を作るとか新しくアプリで教材を作るとかオンラインで授業をするとか、そういう技術的なことはめぎに軍配が上がり、あれこれ教えてあげたりしてずっと助け合ってやってきた。それが無くなるというのは、めぎにとっては本当に大きな喪失なのだ。
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その日が来ることは前からわかっていたことだったから、少しずつ心の準備をしてきていたのだけど、そしてその当日は色々と仕事もあったからそのことばかり考える暇もなくてあっという間に過ぎ去っていったけど、いざその日が終わって休みに入ると、ああ本当に終わっちゃったんだ…と途方に暮れた気分になった。
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そして、まだまだだけどいつかはめぎも同じく退職の日を迎えるんだなあということも、以前よりもう少し近いこととして実感した。ドイツの定年は67歳で、それまでまだ13年以上あるのだが、ここまでの13年を思うと今ほぼ折り返し地点にいるわけで、きっとあっという間なのだろうなと実感できる。
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喪失感のもう一つの大きな理由も、少しずつ掴めてきた。なんと言うか、今回の年度末は、やり遂げた感が全くないのだ。
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いつもだったら、一年間忙しくて夏休み前はもうボロボロで、息も絶え絶えに休みを迎え、だからこそ「やった!休みだ~~!」と心躍るのだが、コロナで何やかにや新しい試みがあって忙しかったとは言え、いつもよりずっと少ない授業時間数で、家にいることも多いこの3か月で、忙殺されたという感じは全くない。
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でも楽だったわけでもなく、慣れないことをいっぱいして気が張って疲れたという感じで、でもそれがまた次の年度にも続くかもっとひどくなるかしそうな予感で、喩え一時期通常に戻ってもいつまたロックダウンになるか、それどころか自分の職場がクラスターになるかも、下手すると自分も感染するかも、というようなリスクを常に抱えるわけで、先行き不透明でさらに慣れないことが続きそうな気がする。つまり、なんだかまだまだだらだら続く感じで今全く「やり遂げた」というような気分にはなれず、したがって休みを満喫する気分にもなれず、いつものように去年の夏からアパルトメントを予約し1月からチケットを取って準備していたザルツブルク音楽祭も中止になってしまったし、今まで毎年当然のように存在したサイクルが失われてしまった、という喪失感が大きいのだ。
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現在の状況下で、そういうのはぜいたくな悩みなのだろうと思う。仕事はあるし、収入も変わらないし、有難いことに日本の親も元気でこの状況下でどうしても日本に行かなきゃいけないということもなく、うちのドイツ人も元気だし、うちのドイツ人の母親も、亡くなった父親の奥さんも元気だし、仲の良い同僚が定年退職するだけであとは何も変わらず今まで築いた土壌の上でまた一年やっていけるわけで、自分の健康にだけ留意してやっていけばいいのだから。
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とにもかくにもめぎはこれから6週間の休みである。色々来年度の準備はあるが、それはいつもと同じことで、差し当たって急ぎの仕事もなく、うちでのんびり花を見ながら写真撮ってこうしてブログ書いたりできるわけで、この幸せに感謝しないとね。
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下の家では改装がまだまだ続いていて庭は物置状態だが、そこから伸びたユリが向かいのアパートのガレージの屋根の上で綺麗に咲き出した。
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そんなのを見ながら、この夏はバルコーニエンでのんびり致しましょ。
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綺麗な鳥さんが歌いにきてくれた。ドイツ語でStieglitz(ゴシキヒワ)という。可愛い鳴き声~♪そう、めぎのいる環境は本当に恵まれているのだ。何を憂うことがあろうか…この環境を楽しまないとね。せっかく夏休みなんだしね。
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