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聖ゲルマンの庭というところ [2021年秋 ドイツ南西部とフランス北東部]

現在、10月の秋旅の話を連載中。

昨日の礼拝堂から国境を越えてすぐのこの建物が、この日の最終目的地(この写真は次の日の朝の撮影)。礼拝堂からここまで500mほど。
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3年前にも2年前にも宿泊したSt. Germanshof(ザンクト・ゲルマンスホーフ、訳すと聖ゲルマンの庭)というところ。その昔は修道院だったらしいのだが、今は宿屋。
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場所はこちら。ホームページはこちら



コロナになってから、ここ、どうなっているだろうね、とよく話していた。こういう小さな家族経営のところが一番打撃を受けたのだろうと思うから。で、この秋旅を企画した時、ぜひここに行こうと決めてすぐにメールを書いたのだが、なかなか返事が来なかった。やっと返事が来たら、以前とは違う名前。ちょっと嫌な予感。でも、以前と同じある料理のイベントが今年も開催されるということで、とりあえず予約成立させてやってきた。

以前と同じようにまずは地ビールで到着の乾杯。
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以前と違うところ…まずは応対してくれた人たちが全く異なる。ああやっぱり経営が変わっちゃったのね。このレストランの机や配置も異なる。それはコロナ対応という感じではあるけど。ドイツ中どこもそうであるように、ワクチン接種完了証明で中に座ることができるというシステム。中には既に人が結構いた。
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ビールを飲んでからいったん部屋に引き上げ、夜の食事の時間帯に再びレストランへ…すると、予約していたはずの席に2人組が。え!?

で、ウェイターがにっこり、人来ちゃったから相席してくれ、と言う。ええ!!??

まあ仕方が無いので(嫌だと言ってももう席は無いし、この近くには他にレストランは無いし)そのまま相席して食事をすることとなった…めぎたちは3年前と2年前と同様この地方の白ワインで乾杯。でも、以前と違ってキャビネットと言う一番上の等級はなくなっていた…
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なんだかなあ。

ここに来たのはザウマーゲンと言うプファルツ地方の郷土料理を食べるイベントがあるからで(つまりそれはいつもある料理ではなく、秋に4回ぐらい決まった日に提供される)…
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それは、この地方出身のコール元首相が大好物で各国首脳にふるまったとされる料理。ザウマーゲンと言うのは豚の胃袋と言う意味なのだが、胃袋の中に普通の豚肉のぶつ切りとキャベツとジャガイモとたくさんのハーブを詰めてスープで蒸し煮したような料理。味はシンプルでかなりヘルシー。こうしてスライスして、ザワークラウトとレタスのヨーグルトドレッシングサラダとともに皿に盛られる。
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同席したのはシュトゥットガルト近郊の町から来たご夫婦で、子どもが3人いるのだがみんな大きくなって、上の3人は大学生になって家を出たし、一番下の娘さん14歳も今回初めて旅についてこなかったそうで、約20年ぶりに二人だけでのキャンピングカーでの旅なのだとか。めぎは最初、失礼ながら不倫の旅なのかなと感じたほどちょっとぎくしゃくしててでも妙にラブラブで、それはそういう事情に因ったのだろう。まあそれなりに良い人たちで、普通の働き者の良き正直なドイツ人という感じで、かなり保守的なご主人の方は外国人のめぎにかなり戸惑いつつも、奥さんの方がそれなりに興味を示して話もそこそこ弾み、結果的にはそれなりに楽しくてよかった。
が、正直なところ、一か月も前から予約し、さらに到着してついさっきビールを飲んで店の人と席について直接話をしたばかりなのにこうして席替えさせられたりして、かなりなんだかなあと言う気分だった。と言うのは、「同席」と言うのはテーブルへの同席と言う意味であるのだが、もともとめぎたちがビールを飲んだときに座っていたソファー席ではなく硬い椅子の席の方にめぎたちは座らせられたのだ。後から来た人を同席に追加するなら、悪い席の方をその人たちに勧めるべきだとうちのドイツ人は怒っていた…あのソファーに座りたいから前々から予約しているのに、と。まあもちろん、そんなことは相席のご夫婦には言わなかったけど。でも、その相席のご夫婦だって、後ろを人が頻繁に通る硬い椅子席の方に座れと言われたら、やっぱりやめます、と別のレストランに移動したかもしれないのだ。つまりこれって、店側の確信犯じゃないかしら。宿泊のめぎたちが移動しないのは確定なのだから。
ここ数年来、こういうこと、つまり、事前に予約したのにその日その席はすでに埋まっていてその場で全く異なる席に案内されるということが、急に多くなった。それも、馴染みの場所で。予約してもそれが伝わってなかったり、勝手に都合よく変えられたり。世の中、どうなっているんだろうって、ちょっと思う。

さて、それはさておき、お代わりを勧めに来た新しいコックさんにお願いして、写真を撮らせてもらった。これがザウマーゲンで…
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こんな風に赤い板を支えにしてスライスして…
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お皿にこんな風に載せる。
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めぎは1皿でもうおなかいっぱいでお変わりはしなかった。相席の奥さんの方は、せっかくの機会だからとザウマーゲンに初挑戦。ご主人の方は、食事に冒険はしたくないということで、シュニッツェル。ザウマーゲンのイベントの日にザウマーゲンを食べないのなら、他のレストランに行ってよ…と正直めぎは思った。この夫婦はキャンピングカーに宿泊で、つまりこの宿には泊まらないので、別の場所に移動してそこで食べることだって可能なのだ。でも、怒りの行き先はこのご夫婦に向けるべきではなく、予約を反故にした宿の方へだろう。

次の日、かなり早朝に宿の駐車場からキャンピングカーが出発していった。前の日に何気なく撮った写真に、その車が写っていた。そうか、これであの夫婦が来てたのね。
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泊まっていた人たちもそれなりにいて、朝食会場には朝8時に既に大きなテーブルに大人数のグループが座っていて、とても賑やかだった。ここに泊まって、ハイキングツアーをしているのだろう。
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朝食は種類も多く、とても美味しかった。
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でも、めぎ家はこの宿にはもうたぶん二度と行かないと思う。以前と違って一泊がこのレベルの宿にしてはどーんと高くなったし(一泊2人で97ユーロ、以前より30ユーロほど高い)、相席のことはもちろん、ぜひまた来たいと思うチャーミングな部分がすっかりなくなってしまったから。以前のちょっと不器用そうな経営者とのおしゃべりが懐かしく、あの人たちがどこかで元気にいてくれればと心から願う…ただ、ザウマーゲンは以前と変わらず美味しかったので、もしザウマーゲンに興味があって4人以上で行くのなら、または知らない人と相席でもOKなら、ここ、今でもお勧めする。以前と違ってWi-Fiも完備したしね。でもめぎ的には、Wi-Fiもなく普通の電波もなかなか届かないところ、というこの秘境的ド田舎の雰囲気がよかったのだ。
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ああ、また一つ、お気に入りの場所がなくなってしまった…
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