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ランビック [ベルギー]

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現在、年末のブリュッセル一泊旅行を連載中。いよいよ大詰め、最終回!

本日の主役はこちら。
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ランビックって、なんだかご存じです?ビールの種類というか、製法なんですって・・・義弟がベルギーで是非飲んでみたいと言ったビール。ビールはあまり得意じゃないうちのドイツ人にはいったいそれがなんなのかさっぱり。入ったレストランにもランビックビールはなかったし・・・でも、義弟と妹の様子では、それを飲まなきゃブリュッセルを制覇したことにならない、といった感じの拘りよう。ブリュッセルの中心からちょっと離れたところにその博物館があるという・・・それで、日本のガイドブックの通り名が書かれていない頼りない地図を見ながらちょっとぐるぐる回りつつも何とか辿り着いたのが、このグーズ博物館というところ。
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写真ではちょっと分かりにくいかしら・・・ブリュッセル南駅近くにあるこの辺り、見るからにちょっと治安の悪そうな雰囲気。道路などがたがたでぬかるんでて、壊れた、崩れた建物が多く、辺りには黒人やイスラム系の移民らしき人たちしか見当たらず、ちょっとヤバそうな取引をしている雰囲気がむんむん。上の写真の黒人、めぎが写真撮ってたら、ちょっと離れて屯していた人たちの中から突然走ってきてべろべろばーっとしてくれたの。遠くでパンパーン!という音まで聞こえたりして、銃声じゃないかな~ただの爆竹だといいけどね~とうちのドイツ人がドイツ語でめぎにコソッと言ったりして。そう、これがブリュッセルの真の姿。外国人をいっぱい受け入れているけど、棲み分けがハッキリしているのよね。
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妹たちも、もっと大きな立派な博物館を想像していたので、むむ?ホントにここなの?といった表情だったが、中に入るとこれまたびっくり!観光客がいっぱい。
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ふと視線を感じて見上げると、そこには猫ちゃんが♪
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英語で簡単な説明を受けた後、日本語でA4で8枚にもわたって書かれた説明の紙を渡され、自分で自由に見学する仕組み。ちなみにうちのドイツ人にはもちろんドイツ語・・・でも、彼は老眼鏡を車に忘れて来ちゃってて読めなかったの。これからこういうことがどんどん増えるんですよね~めぎもなんだか老眼を感じる今日この頃。写した写真のカメラのプレビュー画面に一瞬ちょっとピントが合わせにくくなってきちゃって・・・これって、ショックですねえ。
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ランビックというビールは、自然発酵ビール。酵母を入れず、空気によって運ばれてきた天然酵母が自然に発酵するのをこの樽の中で待つんですって・・・
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あくまで自然に拘るので、蜘蛛の力を借りて害虫を退治し、微生物の力を借りて空気から守るとか・・・
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で、少なくとも1年から3年もかけて熟成させ、ようやく出荷。
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みなさまお気づきかしら・・・ええ、ここは、とってもワインのような匂いのするビール醸造所でしたわよ。栓もコルクだし、ビールじゃないみたいですねえ。ここの方々は、この自然に発酵してできた偶然のビールに心から敬意を抱いているんですって。そう言われると、古の自然発酵ビールへの期待が高まるというもの・・・

そして、試飲。
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あ、また、いかにもブリュッセルですわねえ・・・こんなに錆び付いてるのに、そのまんま。
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試飲はまず、この博物館の名前となっているグーズとやらを。これは、1年物と2年物と3年物のランビックをブレンドして作るんですって。ワインみたいな瓶からワイングラスみたいなのにちょこっと注いでくれる・・・
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ひゃあぁぁぁぁ、酸ぅぅぅぅ~~~っっっっぱい!!!普通のビールの味を忘れて飲んでください、と言われた意味がよく分かったわ~

で、次に、果物入りのフルーツ・ランビックビールを。試したのは、最もメジャーらしいクリークというチェリーのビール。
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なるほど、これはまあさっきのより飲みやすいですわ・・・だからと言って、ぜひ買って帰りたいと思うようなものじゃなかったけど。妹たちには混ぜものなしのグーズの方がよかったとか・・・でも、あくまで「比較して」ということだったけど。なにしろ、あれほどランビックに拘っていた妹たちなのに、ここではお土産ランビックビールを買わなかったの~うふふふふ♪いやあ、面白い経験でしたわねえ♪うちのドイツ人もランビックなるものを隅から隅まで理解して、大満足。この機会がなかったら一生知らず仕舞いであっただろうランビック。妹たちに感謝。

そんなわけで、この博物館に向かう前にブリュッセル証券取引所近くのスーパーで見つけてお土産用に買ってあったランビックビール4本を、「重いから」全てめぎ家に置いて日本へ帰国した妹夫婦♪♪
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きっと、誰かが観光業界に売り込んで、日本のガイドブックに見所として大きく載せたんでしょうねえ・・・さてさて、残ったランビックをどうしたものか・・・1本は留学生にあげ、2本はうちに招いたお客様たちに賞味していただき(グーズの方は味見しただけで誰も欲しがらず残りは捨てたけど、クリークの方は気に入って一本飲んでくれた)、あと1本、どうしようかしら。
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寄り道 [ベルギー]

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今日から数日間、デキャンターを買った寄り道のお話を。

10月中旬にオランダのゼーラント州イーセケ(Yerseke、地図上で真ん中よりちょっと左上の海の中の_ _ _ _ _と書いてあるところ)で生牡蠣とムール貝とオマール海老などを堪能しためぎたちは、デュッセルドルフへの帰り道にまたアントワープ(Antwerpen)を通過。
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その際に、そう言えばあの大聖堂の中はまだ見たことなかったよね~見てみたいな♪と切り出し、一年前にもう二度と行かないと話していたアントワープでちょこっと休憩することにしたの。
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なかなか重厚な建物のある町、アントワープ。
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目指すは・・・
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あの大聖堂!
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電車の通る細い通りに駐車して、2時間弱の駐車料金を払って(路駐は前払い)、いざ大聖堂へ。
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そうそう、これこれ、Onze-Lieve-Vrouwekathedraalの方向へ。このVrouwekathedraalはドイツ語のFrauenkathedrale(聖母大聖堂)だが、中世のドイツ語でFrauがVrouweだったことを思うと、オランダ語とドイツ語の近さがぐぐっと感じられる。
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ちなみにフランス語にしたらCathédrale Notre-Dame(ノートルダム大聖堂)だが、その昔、ノートルダムって聖母マリアのことだって知ったときのめぎのオドロキはすごかった・・・だって、ノートルダムって、てっきりパリのノートルダム大聖堂を建てた人の名前だとめぎは思い込んでたし(爆笑)、ダムというカタカナからあの大きなダムを思い起こしてすっごく大きなおなかの建築家を想像してたから。

アントワープに来るのはめぎは3回目。うちのドイツ人は5~6回目。2006年初夏に二人でゆっくり観光してまわったのだが、そのときはとってもいい季節で外をまわるのが楽しくて、大聖堂の中を見ようという気が起きなかった。こちらに住んでいると、また来られるし、という意識もあるからどうしても全部見ておかなきゃと頑張らないのだが、またの機会というのは意識して作らなければなかなか無いものである。

その大聖堂はすぐそこ。
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こちらの建物にも惹かれるけど、目指すはとにかく裏に見えているあの大聖堂。
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入りました~!
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ここは、フランダースの犬でお馴染みの、あの涙の最終回のルーベンスの絵がある大聖堂。めぎはルーベンスはそれほど好きじゃないのだが、あの有名な最終回の絵はやっぱり一度見てみたくって。でも、日本人だったらきっと誰でも知っているこのお話、ヨーロッパでは全然知られてなくて、ずいぶんいろんな小説を読んだことのあるうちのドイツ人ももちろん知らなかった。調べてみたら、書いたのはアントワープの人じゃなくてイギリスとフランスのハーフの女性作家だとか。Wikipediaでこの大聖堂を調べても、ここにルーベンスの代表作があることはしっかり紹介されているが、ドイツ語版ではフランダースの犬への言及はないし、オランダ語版もtriviaとして(triviaを「雑学」とか「些細なこと」と翻訳するとこの取り扱いがよく分かる)日本からフランダースの犬のおかげでたくさん旅行者がやってくると紹介しているだけだ。

大聖堂に入ると、左側奥に一層明るく照らされている一画が。
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カトリックですねえ。
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有名なルーベンスの絵は明日。デキャンターの話は・・・明明後日くらいかしら。
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ルーベンスの絵 [ベルギー]

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現在、10月中旬のアントワープ2時間立ち寄りの話を連載中。

アントワープの聖母大聖堂の真ん中奥に掲げられているのは、もちろん聖母の絵。
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もらったパンフレットによると、オランダ語(フラマン語)でDe hemelvaart van Maria、ドイツ語でMaria Himmelfahrt(普通ドイツ語ではMariäと2格になるけれど、パンフレットではMariaだった)、日本語で聖母被昇天。オランダ語やドイツ語だと、マリア様が天国へ行くというニュアンスだけど、日本語の方は「被」が入っているから天に召されるという受け身の感じで、こういう翻訳にも世界観が表れるのかな、などと思っためぎ。
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めぎはこの金ピカ十字架に巻き付いている蛇さんに大注目。なんて美しい曲線美。
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上の方は真っ白で、本当に昇天していく感じがする。
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ここは入るのに大人一人5ユーロも払うだけあって、なかなかのサービス。内陣に踏み込めることって、なかなか無いこと。おかげでこの細工をじっくり拝見できた。
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この内陣に向かって左側に、ネロが見たルーベンスの一枚目がある。オランダ語(フラマン語)でDe kruisoprichting、ドイツ語でDie Kreuzaufrichtung、日本語でキリストの昇架。昇架って書かれてるけど、キリストが自ら昇ったわけじゃないと思うんだけどな。この絵は、絵を見ても、オランダ語とドイツ語を訳しても、地面におかれた十字架にキリストが両手両足杭を打たれ、その十字架を人々が建てたという意味のはずだ。
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ルーベンスってイタリア人?と錯覚するほどイタリアっぽい絵ですわね。ちなみにルーベンスはイタリアのマントヴァで8年も宮廷画家をしていたとか。両親がアントワープからきたからアントワープ人と言われているけれど、生まれはなんとドイツのジーゲン。ええっ!?あの坂の多い小さな町、ジーゲンで生まれたの?ちょっとびっくり。(ジーゲンはデュッセルドルフから電車で2~3時間の小さな大学町で、めぎは一度シンポジウムで訪れたことがある。)
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このワンちゃん、パトラッシュと比べてずいぶん西洋的な顔立ちですわね。
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この絵があるのはちょうどこの大聖堂の十字(通路)の左側。そこからまっすぐ向こうを見ると、左側に内陣が、右側に出入り口がある位置関係。
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英語版で見つけたこの映像の8分30秒目くらいから見ると、この大聖堂の広さが分かるし、9分25秒くらいから見ると、内陣とルーベンスの左右2つの絵との距離感がよく分かる。ちょっと誇張されている気もするけれど、こんな感じに非常に広い教会だ。


↑この映像では教会の十字の横線に当たる通路ががらんどうだけど、実際は一つ上の写真のように、いっぱい椅子やらものやらが置かれている。

それから、右側の絵の方へ。この絵の前でネロとパトラッシュが深い眠りに入っていったのだけど、実際はそんな隙間がないほどものがびっしり。昔は何も置かれてなかったのかな。
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オランダ語(フラマン語)でDe Kruisafneming、ドイツ語ではDie Kreuzabnahme、日本語ではキリストの降架。これもやっぱり、降架と言われると自ら降りたような気がしません?Abnahmeって取り外すイメージで、人々が死んだキリストを十字架から降ろすわけで、降りるって感じじゃないよな~降架という文字から降ろされることだとはめぎは想像できないんだけど。
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貧しくてひもじくて冷え切って死を目の前にした少年が、この絵に救いを感じた気持ちはよく分かる。たしかに、ものすごく美しい。劇的でダイナミックでエネルギッシュで、絵の向こうには素晴らしい光が満ちあふれているような気がする。
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ちなみにさっきの英語版の続きの映像は、日本のエンディングとかなり違う(と思う・・・めぎの記憶では、日本のアニメではネロたちが天使たちに連れられて天国に昇っていって終わるような気がするのだけど、みなさん、どうでしたっけ?)。



こうしてじっくり見て感じたけど、めぎはやっぱりルーベンスはあんまり好みじゃない(ネロ、ごめんね)。あまりにもドラマチック過ぎて、舞台上の演劇を見ているようで、色彩も美しすぎて、ちらっと見るのは素晴らしいのだけど、ずっと見ているとそのパワーに疲れちゃうの。この劇的な描き方は、本当にイタリア風だなあ・・・ここがアントワープだということを一瞬忘れそう。

以上がこの聖母大聖堂のルーベンスの作品。明日は大聖堂のそれ以外の様子を。
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