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ナーゴルトその他のダイジェスト [シュヴァルツヴァルト]

先日来ちらちらと書いたように、この週末うちのドイツ人の叔母の家へ行ってきた。土曜日の朝6時に出発し12時ごろ到着したのは、ドイツ南西部のシュヴァルツヴァルト(黒い森)地方のナーゴルトという小さな田舎の町。これは旧市街。
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場所はこちら。



ナーゴルトにはめぎは少なくとも3回来たことがある。1回目はうちのドイツ人の叔父の70歳の誕生日祝いに。2回目は叔母の記憶を頼ってうちのドイツ人の子供の頃の思い出の地を訪ねるために。3回目は叔母の80歳の誕生日祝いに。もう1回ぐらいあるような気もするが、今ちょっと思い出せない。…と思ったら、今ブログを読み返したところ、実はこの1回目と2回目は同じ時で、3回目が2回目だったようで、あれれ…?めぎの記憶も随分怪しいなあ。ブログを書いておいてよかったわ。

今回は観光に行ったわけではなく、叔母の家の荷物の整理のお手伝いに。85歳の叔母はまだ普通に歩けるし頭もしっかりしてるし特に病気も無いのだが、何かが起こってからでは遠く450㎞離れたデュッセルドルフに住む娘(めぎ家がよく一緒に食事をしているうちのドイツ人の従妹)の負担が大きいと考え、デュッセルドルフ近くの老人ホームに移る決心をしたのだ。引っ越しは6月6日。で、片付けに入るにあたりいの一番に娘と孫息子と甥であるうちのドイツ人を呼んで、欲しいものを持って行ってと言われたのだった。これは、孫息子がもらった食器などを詰めている段ボール。孫息子は今26歳で、これまで友人とルームシェアして住んでいたのがちょうどこの1月からそこそこ大きなアパートに移って独り暮らしを始めたところで、きちんとした食器を揃える良い機会になったようだったが、物心ついた時から定期的に遊びに来ていたおばあちゃんの家がこれで無くなり、最愛のおばあちゃんが終の棲家として老人ホームに入るという現実がかなり辛いようだった。
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老人ホームのワンルームに入るだけの私物は既に選んである。ベッドは介護用のを新たに(中古で)買わなければならない決まりだそうだが、それ以外は服や日常の食器のほか、今のところ本棚または戸棚、食卓テーブル、書斎机、テレビ台とテレビ、小さな丸いサイドテーブル、価値ある古い本、親から譲り受けたマイセンなどの食器等を持ち込む予定だという。が、さて…そんなに入るのか?それはさておき、その最低限の荷物に到達するにもほぼ全てを処分しなければならないわけで、気が遠くなる。で、まず一人娘(その父親は50年ぐらい前に亡くなっている)とその一人息子(孫息子)と甥(うちのドイツ人)に好きなものを選ばせてくれて、この後は30年ぐらい前に亡くなったご主人の家族や親戚(みんなナーゴルトやその周辺に住んでいる)や古い友人たちに順番が回り、あとはすべて処分することとなる。

叔母は絵を描く人なので、作品が山のようにある。小さなものまで数えると何百枚とある。今回は特に絵を選んでいただいてきた。孫息子も5枚ぐらい選んでたし、めぎ家も3枚選んだけど、あとは数点叔母が自分で持参し、残りは残念ながらほとんどを捨てることになるのだろう。悲しいことね。時間があれば一枚一枚写真を撮ってネットで販売などもできるんだろうけどね…誰にもそんな時間はなく、叔母はコンピューターは全くできないし、カメラも未だアナログだし。
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実はめぎ家には既に以前いただいたのがあって、リビングに飾ってある。いろんな様式の絵を描いている叔母だが、うちのドイツ人のお気に入りはこれ。
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それから家族の歴史の詰まった古い写真アルバムを確認。叔母やうちのドイツ人の母親が子どもの頃のや、その前の祖父母が子どもの頃のもある。アルバムの山はうちのドイツ人がほとんど持ち帰り、スキャンしてデータ化して孫息子にお渡しすることとなった。アルバム自体は叔母の元に戻すこととなっている。
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今回の集いは、叔母の持ち物から我々が欲しいものを頂くというのが表向きの目的で、その裏には別のもっと大事な目的がある。溢れる想い出のものにアップアップして作業が全く捗らない叔母とお話しながら、何を持って行けるか、何を持ち続けなければならないか、何が要らないか、叔母が判断できるようにその基準を提供するというか、娘や甥と話すことで叔母の考えが整理できるのだ。現実にいくつかのものが、皆がこれもらってもいい?と聞くことで、いやそれは私が持ち続けたい、それはもう要らないからどうぞ、これもらってほしいけど誰も欲しくない、とふるいにかけられていったのだ。そして、まだまだ大量のものが残っているとはいえ、いくつかの大切な物が家から去って行ったのだ。これで叔母も、さあ本当に荷造りしなきゃ、次の順番の人たちにも選んで持って行ってもらわなきゃ、と前進することができたようである。

戸棚の奥から古いポートワインを見つけ、この機会にこのメンバーで飲まずしてどうする!?とばかりに5人で乾杯。この他にも地下室であれこれ古いワインを見つけ、夜にみんなで味わった。
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娘と孫の家の近くに来るのは心強いかもしれないが、70年ぐらい住んでいる馴染みの地域を出て、知人も友人も全くいないデュッセルドルフに移り住むというのは、85歳の叔母にはリスクもかなり大きいはずだ。しかし、それは叔母と従妹が長い時間をかけて出した結論なので、めぎやうちのドイツ人の口をはさむところではない。近くに来るので、もう少し頻繁に会って食事はもちろん一緒に観劇するとか何か機会を作ろうとは思うものの、本人が慣れた場所で一人暮らしして古い友人にすぐに会ったりできた環境とは全く異なるわけで…シュヴァルツヴァルト地方とデュッセルドルフの辺りとではドイツ人の気質もかなり違ってるし、あの方言とあの気質、老人ホームでまわりの人たちにどう受け入れられるかな…

今年は春が遅く、家の目の前にある桜がまだ咲いていなかった。うーん、残念…
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ドイツが最も美しい6月という季節に新天地へ引っ越しをする叔母が、ナーゴルトの最後の春を心ゆくまで愛でられますように。

さて、土曜日の午後と日曜日の午前中に叔母の家でみんなで話し合いながら天井裏やら地下室やら各部屋やらでたくさん作業した後は、娘(うちのドイツ人の従妹)と孫(その息子)は月曜日からまた仕事だということでデュッセルドルフへ戻って行った。めぎとうちのドイツ人は、めぎがイースター休みに入ったのでせっかくだからとその近くのちょっと興味あった町にもう1泊。ナーゴルトから65キロぐらい南のロットヴァイルというところ。残念ながらずっと雨時々曇りという悪天候だったけど。
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場所はこちら。



そしてやっと晴れた月曜日、帰りがけに130㎞ぐらい北に戻ったところにあるシュヴェッツィンゲンという町の城に寄った。城自体が目的ではなくうちのドイツ人がその昔オペラ座で仕事をしていた頃に客員公演で出たことのあるという劇場と…
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その前にある庭園を見ることが目的。アウトバーンが混まないうちに出発しようということで時間があまりなく、城の中は見ていない。
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場所はこちら。



それから300㎞ぐらいぶっとばして、月曜日16時に帰宅。たったの2泊3日の駆け足だったけど、仕事をバーンと忘れ、大いに気分転換になった。この旅の話は数日後から。明日からは通常のブログのローテーションに戻る予定。しかし、ええと、次はどの話の順番だったっけ…
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