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20年数年ぶりのお墓参り [2014年夏 日本の旅]

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今日もまた夏の日本旅のお話を。

今回札幌を訪ねることにした際、したいことのリストのNo.1にお墓参りを揚げた。義父が亡くなってからハンブルクへ何度もお墓参りに訪れ、そういえばめぎの先祖のお墓にうちのドイツ人を連れて行ったことがなかったなあ、と気づいたからだ。それどころかめぎ自身、20年以上お墓参りをしたことがなかったし。だから、今回のお墓参りは3週間の旅の中でもめぎにとってはハイライトの一つとも言えるほど思い出に残ることだった。

まずは母方のお墓へ。母方というのは母の実家のお墓という意味だが、めぎの両親は母の両親をうちに引き取って最後の面倒を見たので、めぎが一緒に住んだことのある祖父母がここに眠っている。それも、祖母が亡くなったときに最期を看取ったのは偶然ながらめぎ一人であったので、めぎにとってはまだ社会に出ないうちに人の死と直接向き合った思い出の墓でもある。
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お墓は千歳にある。母の兄が住んでいた地である。
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こういう桶と柄杓(という名前なのかな?)が地方によっては家ごとに用意されていることと思うが、ここには誰でも使えるように入り口にいくつか置かれているだけ。北海道はいろんなものを非常に簡略化しているのだ。
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線香をつける母。北海道では線香をこんな風に束であげる。線香の付け方一つとっても、日本の他の地方とずいぶん異なる。
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話は飛ぶが、かつて鹿児島で、嫁の仕事として朝と夕方一日2回墓の掃除と花の取り替えが日課であるという話を聞かされたことがあるのだが(20年前のことなので今もそうなのかは知らないが)、同じ日本といえども地方によって習慣がずいぶん異なるものだ。毎日2回も墓の手入れをする地方もあれば、冬は雪に埋もれたままほったらかし、夏も草ぼうぼうのままの北海道。今回めぎがお墓参りしたいと言ったため、めぎの両親はわざわざ事前に一度出向いて草むしりをしたそうで、たしかにちょうどうちのお墓とその前だけ草が生えていなかった。

祖父は85歳、祖母は79歳だったのか・・・これは数えだけど。その横には若くして亡くなった伯父の享年が。伯父は遺言により無宗教で葬式を行ったので、戒名が無く実名で、そして享年でここに記されている。さらに裏には千歳に住んでいたもう一人の伯父とその奥さんの名も。その伯父夫婦が亡くなったときにはどちらの場合もめぎはドイツにおり、葬式にも法事にも出たことはない。この伯父には幼いときには親しく遊んでもらっていたのに、今はこの墓の下にいるのだと思うと、人生は儚いものだ。
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折しもちょうどこの頃日本で男性の平均寿命も80歳を超えたと報道されたのだが、祖父は20年以上も前に結構長生きだったと言えるし、祖母はずいぶん早くに逝ってしまったんだな・・・

うちのドイツ人も日本風に手を合わせた。
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西洋の墓は個人のもの。日本のような、遺された者が供養しないとあの世で先祖が浮かばれない云々といった考えはなく、うちのドイツ人には先祖を「弔う」という意識がない。ドイツでめぎが、うちのドイツ人の先祖が洗礼を受けた教会に案内されたことはあるが、お墓に連れて行かれたことはないことからも分かるように、ドイツ人にとってお墓は死体を埋めるところという意識以外に何もない(もちろんカトリックかプロテスタントか、信仰心の深さにもよると思うが)。魂は神に召されていてお墓にはないし、お盆などに地上に戻ってくるという考え方もない。魂が救われるか否かは亡くなった本人の一生にかかっているのであり、遺族には全く関係がない・・・先祖を敬ったり誇りに思ったりはするが、それは弔いとは全く無関係なのである。うちのドイツ人は実の父のお墓でも手を合わせたことはなく、めぎはこういう姿を初めて見た。ありがとう。

次の日、今度は札幌の父方のお墓へ。父方のお墓というのは父の実家のお墓のことで、父と母もここに入ることになる。
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山の中にあるような墓地に見えるが、場所は札幌の円山で、つまりかなり町の中心部である。札幌市の公営だそうで、敷地の管理はかなり適当である。草もぼうぼうだが、これがお盆を前に掃除されたのか否か謎である。
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父方の祖父母は昭和のうちに亡くなった。祖父はめぎがまだ小学生の頃のこと。そんな昔に84歳まで生きたのね。それに対し、祖母は78歳まで。若かったのね。
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どうして墓のまわりに花を植えたりしないのかとドイツの墓地を思い出してうちのドイツ人が質問したが、めぎの父の答えは、日本のお墓は盛り土をしてその上に石をのせているので、花を植えるとその根が邪魔をして盛り土もろとも崩れる恐れがあるから、とのこと。お墓に根を張らせることには宗教的にも何かよくない意味があるのかも知れないが、父の合理的な理由付けはうちのドイツ人には非常に納得のいくものだった。たしかにドイツのお墓は盛り土をしない。死体にしろ灰にしろ、穴を掘って埋めて、その上に石を置き、植物を植えるのだ。つまり、地面は平らなままなのである。

近くに、千と千尋を思い出すような置物があった。
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お墓参りを終えて、うちのドイツ人が、めぎが死んだらここのお墓に入りたいか、と聞いてきた。めぎが入りたければ、自分が生きている限りはここまで遺灰を持ってくるという。父によれば名前が違っても入りたければここに入ることができるそうだったが・・・遺った相手が気の済むようにすればいい、だってその人はまだ生きて行かなきゃいけなくて、めぎの死を乗り越えなきゃならないんだから、というのが今のところのめぎの願い。でも、もしかしたら、遺った相手はそうでなくても大変なのだから、どこどこへ、ときちんと指定してあげておいた方が親切かも知れないわね。


撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)


XXXX 負けた~~! XXXX

ポーランド、歴史的勝利。写真はARDから。
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ドイツ、悪くもなかったんだけど。でも結果は完封。写真はRP-Onlineから。
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ヨギ、次も頑張れ~写真はRP-Onlineから。
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コメント 7

YAP

非常に興味深く思ったのが、ドイツ(ヨーロッパ)のお墓は遺体を埋めるだけの場所でありながら、花とかで飾るところ。
そこにはどんな理由があるのかなと思いました。

by YAP (2014-10-12 03:58) 

Baldhead1010

日本のお墓も守る人がどんどん少なくなっています。

遠くに出て行ったきりで帰ってこなくなりました。
by Baldhead1010 (2014-10-12 05:22) 

ちばおハム

地域によっていろいろな違いがありますよね。
うちの実家も父方、母方で違ってました。もちろんここも違います。

by ちばおハム (2014-10-12 06:48) 

Bonheur

ドイツ、オーストリアやスイスのお墓、お花などでいつも綺麗ですよね。先日行ったチロルのお墓、どれにもそれぞれ故人の写真が飾ってあって、生きていた証を感じました。写真があると、いつもきれいにしなくちゃという気になるだろうなあとも思いました。
うちの父は8年前に亡くなったのですが、存命中は仲が良いわけでもなく、また離れて暮らしていたこともあって、一緒に過ごす時間はわずかだったのですが、私が一人で旅行に行くとついてくるのを感じます。ジメジメしている場所を嫌いましたし、「千の風になって」の歌詞の通り、お墓の中にはいないんだなあ、というのを実感しています。
by Bonheur (2014-10-12 08:45) 

のび太

墓についてはいろいろと妻と話し合っています。

by のび太 (2014-10-12 20:53) 

mimimomo

これからはお墓もだんだん変わるかもしれないですね。
 わたくしの実家はずっと続いていたけれど、男系が途絶えるから、この先は分からない。
今のわたくしの家庭も途絶えるわ。現在はわたくしたち夫婦が作ったお墓だけで、もともと京都だったから、そこはもうお寺と縁を切った。なかなか複雑。
by mimimomo (2014-10-13 06:46) 

Inatimy

お墓参りはかなりご無沙汰してます・・・。
今は親にどうして欲しいか託されてる側だけど、
私も自分がどうしたいか、考えておこうかな。
by Inatimy (2014-10-13 16:32)