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十字架を背負う通り [シチリア]

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現在、クリスマス前のシチリア島カターニアの話を連載中。

前回の記事の大聖堂広場からちょっと西へ。この広場は「アッシジの聖フランチェスコ広場」といい、右の白く輝いているのが聖フランチェスコ教会のようだ。銅像はカターニアで亡くなったというベネデット・ドゥスメット枢機卿。
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1704年のアーチをくぐる。Arco di san Benedetto(聖ベネデット・アーチ)という。
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このアーチはVia dei Crociferi(クロチフェリ通り)という通りへの入り口。クロチフェリというのは十字架に磔の人という意味。バロック様式の綺麗な教会の並ぶ美しい通りなのだが、意味が分かるとちょっと怖いわね。

ちょうど交差している通りの名前はVia Teatro Greco(ギリシャ劇場通り)。歴史を感じる名前だわねえ。
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アーチをくぐってクロチフェリ通りに入ると、まず左にSan Benedetto教会(聖ベネデット教会)。
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ベネデットというのはベネディクトのイタリア語で、前ローマ教皇の名前の由来だわね・・・と思ったらあのドイツ人教皇の顔がどーんと浮かんできた。

その聖ベネデット教会の隣に、さらに似たような教会があって、その入り口が開いていたので入ってみることにした。
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ほ~なかなか豪華ねえ。
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この教会はSan Francesco Borgio教会(聖フランチェスコ・ボルジオ教会)。Borgioはイタリア語で本当はBorja(ボルハ)といい、スペイン人だったみたい。イエズス会の教会。
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この教会がドアを開いていたのは、展覧会をやっていたから。
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外には迷宮模様の中庭回廊があった。
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カターニアで中に入って見学したところはこの教会だけである。たまたま開いていたからという理由で見学した訳だが、非常に印象に残った。無料で公開してて、写真も撮ってよくて、係のおじさんがにっこり笑って送り出してくれた。
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このクロチフェリ通りはこんな感じの教会がいくつも並ぶ通り。バロック様式で豪華絢爛だが、十字架を背負っている重苦しいところでもある。ここに限らず教会というのはどこでも本当に素晴らしい建築だが、中に入ると、敬虔な清々しさや神々しさを感じると共に重苦しさで息が詰まる。教会を一つしか見学できなかったのはその所為でもある。力尽きるのだ。もう少し行くとクロチフェリ修道院というのもあったが、写真は撮らなかった。
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撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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カターニアをぶらぶら歩き [シチリア]

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今日からまたクリスマス前のシチリア島カターニアの話をどうぞ。

先日ご紹介したバロック様式の教会の道から左へ(西へ)曲がると、そこは上り。
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石垣というか、土台というか・・ずいぶん古いわね。
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上りきった辺りの建物。住宅街に入ったようだ。
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知り合いの北イタリア人の「ものすごく貧しいところ」という言葉を思い出す。壁がこんな風になっても修理する余裕がないということなのかな。
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世界にはもっともっと貧しい地域があると思うが、北イタリアやドイツの手入れの行き届いた美しい風景と比べると、ここにちょっとすさんだ雰囲気があるのは確かだ。
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ベランダに人がいた。ここで暮らしている人なのね。
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真新しいチラシが入っている様子や・・・
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電気の線がだらりとなっている様子や・・・
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壁のあちこちの妙に綺麗な祭壇など。
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道の途中に改築中に見捨てられた感じの建物があった。この日は日曜日だったので、もしかしたら平日には工事が続いているのかも知れないが。
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昔から何度も何度もこうして手を入れて使い続けてきたのだろう。
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そして行き止まりの辺りまでやってきた。
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そこにはアーチ状の建物があって、ちょうど夕陽を浴びて美しかった。
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よく見ると、非常に面白い作り。
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いったい築何百年なのかしらねえ。
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つづく。

撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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カターニアの住宅街を抜ける [シチリア]

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今日もクリスマス前のカターニアの話をどうぞ。

昨日ご紹介したこのアーチ状の建物の向かいには・・・
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こんな建物が建っていた。面白いわねえ・・・この柱のようなものはいったい何のためにこのまま残してあるのかしらね。
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↑これ、そばで見ると全く想像もつかないが、ちょっと離れるとその裏に美しい教会のドームが見えた。
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これはサン・ニコロ教会だそうで、1687年に着工、地震などで中断し、未完成なのだとか。中には入らなかったが、かなり広い敷地。
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そこからまた方向転換し、住宅街の中を北東へ向かう。これは小さな公園にあった何かの廃墟。その廃墟に祭壇を作りかけなのかしら。
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こんな道を通り・・・
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こんなところで曲がった。この黄色い建物は産婦人科医院で・・・
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建物の外で男の人がそわそわイライラ立っていた。
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こういうときの男性の気持ちというのは、洋の東西を問わず、信条も宗教の違いも問わず、貧富の差ももちろん問わず、世の中全て同じなのかも知れない。

その近くから海が見えた。ずいぶん高いところに上ってきていたのね。
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駐まっていた車の中に、子どものものと思われるものが積まれていた。シチリアでも三賢者の日に冠を被ったりするのかな。それともこれはクリスマスのときに被るのかな。その横の麦わらとの季節感のミスマッチが面白い。
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こんな建物やら・・・
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こんな建物やら・・・
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こんなところを通り過ぎた。
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何度も同じようなことを書くが、ここにも人々の暮らしがあるのだ。それも、紀元前からの歴史を背負った暮らしが。日本やドイツで見聞きしていることなど世界のほんの一握りのことに過ぎない。報道や番組で編集されたもので世界を知ろうとしても限界があって、そんな狭いところで培った価値観や経験では全く推し量れない暮らしや考え方もあるのだろう。

カターニアのマンホールにはカターニアの紋章のゾウが描かれ、S.P.Q.C.と書かれている。カターニアの元老院と市民、という意味で、イタリアでは普通S.P.Q.R.(ローマ帝国の元老院と市民)と書かれるのだが、最後のRがローマ帝国のRではなくカターニアのCとなっている。これにはうちのドイツ人が大いに興味を持っていた。ゾウの上のAは、シチリアの守護聖人の聖アガタだと思われる。
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こうして暗くなる前に住宅街を抜け・・・
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そろそろ電気のつき始めた人通りの多い地域にやってきた。向こうに見えている小屋はクリスマス市のようなもの。ちょっと覗いてみたが、クリスマスとは無関係の服やアクセサリーなどが置かれてて、写真を撮らずに通り過ぎた。
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つづく。

撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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