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大晦日その3 [文化の違い]

早くも一週間も前の話になるが、今日も大晦日のお話を。

21時過ぎ、食事を終えためぎたちは、リビングでドイツの大晦日の定番番組Dinner for Oneを見た。
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これはほんの10分ぐらいの白黒フィルムの笑劇で、大晦日にはあちこちのテレビ局で色々な時間に放送される。もともとは1963年に録画されたもので、それを1972年に初めて大晦日に放送し、それ以来大晦日の定番になったらしい。今は、新しい俳優さんたちで撮り直したカラーバージョンも数多くある。しかしめぎたちはオリジナルのを見られるよう、そして食事やおしゃべりのペースをテレビ放送の時間に合わせずに済むよう、うちのドイツ人が以前録画したのをUSBスティックに入れて持ってきて、それを従妹のPCで再生し、テレビに繋いでみんなで見た。ちなみにテレビにもUSBスティックをさせるようになっていたが、なぜか反応しないので、急遽そういう手段をとった。内容は、90歳のイギリス女性の誕生日ディナーの様子で、4人のヨーロッパの男友だちを招いているが、4人とももうかなり昔に亡くなってしまっていて、バトラーがその4人の代わりに真似をしてお酒を飲んで祝うという話。なぜこの笑劇がドイツ人に愛され続け、毎年見続けられているのか、よく分からない。若い人にも見続けられているのは、ほんの10分ぐらいであることによるかもしれない。吹き替えが普通のドイツなのに、なぜこの番組だけは英語のまま放送するのかも、謎。もともとは巡業の形で披露していたらしいイギリスでは今や全く知られておらず、それをたまたま見たドイツのテレビ番組プロデューサーの手でドイツに招いてテレビ撮影してドイツでだけヒットしているこの笑劇、英語なので、よかったらどうぞ。



実際のテレビ番組では最初にドイツ語で説明があって、それから始まる。張り付けた映像と若干アングルも違う。本当のオリジナルバージョンを見たい方は、こちらをどうぞ。(ただ、外国でこのテレビ局のオンデマンドが見られるのかどうかは分からないが。)ちなみにこの映像の中に出てくる寅の毛皮の敷物が、遺族の物置から博物館入りすることになったそうだ。そのニュースはこちら。めぎ的にはこれが寅年に向けた最高のニュースという感じ。と言っても2022年が寅年だということは記事には触れられていないけど。
Tigar


毎年同じものを見ているのだが、毎年それなりに面白い。みんな台詞も顛末も覚えているのだが、それなのに楽しい。大晦日ならではのハイテンションとマッチしているというべきか。みんなでお決まりのところで笑って楽しんだ後は、またダイニングに戻ってデザートを。キルシュヴァッサーというサクランボの40℃のお酒が入ったタルト。
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それに合わせた白ワインはドイツのナーエ地方の辛口。ドイツワインは甘いと特に日本で思われているが、ここ10~20年ぐらい、非常にいい辛口ワインが出回っている。
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デザートが終わると22時を過ぎ、従妹の息子は友人たちと年越しを祝うということで暇を告げた。普通は友人たちと年越しパーティーをするところ、こうして叔母のために、そしてうちのドイツ人とめぎに会うために来てくれたようで、その優しい気持ちにほっこりする。

で、残った年寄りめぎたちは、伝統的なこの遊びに取り掛かる。
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これはブライギーセンというもので、もともとはBlei(ブライと読み、鉛のこと)を使ったそうなのだが、今は有毒の鉛ではなくZinn(ツィンと読み、錫のこと)でできている。それをこうして蝋燭の火で温めると…
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まもなく溶けてきて…
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それを水に注ぎこんで、出来た塊の形を見て来年を占うという遊びである。
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ちなみにこれがめぎの2022年の形。
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そうして時間がやっと過ぎ、カウントダウンの時間となった。テラスに出て外を見ると…
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枯れ木の向こうに見えるデュッセルドルフの街に花火が上がり始めた。
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どこかで花火大会があってみんなが見に行くのではなく、みんなが自分で花火を打ち上げて祝うのがドイツの年越し。こんな大きな花火が売っているということでもあるのだが…ドイツで花火が売られるのはのは年末の数日間のみで、それは日本では個人では普通買えないような大きな打ち上げ花火ばかり。しかし、コロナで去年も今年も花火を売ることが禁止されたのだが、なんでも多くの人がベルギーに買いに行ってきたというニュース。確かに、いつもより花火は圧倒的に少なかったのだが、結構あちこちから打ち上がっていて、本当にみんなベルギーまで行って買ってきたってことなのね、とちょっとびっくり。
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花火を見ながらスパークリングワインでFrohes neues Jahr!(=新年おめでとう)と乾杯したのだが、その写真は撮っていない。その後またダイニングに引き上げて、お決まりのベルリーナー。いや、もう食べられませんって…頑張って半個だけいただいたけど、もう無理~
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そして夜中の2時にタクシーを呼んで帰宅。例年だったら大晦日の2時なんてタクシー待ちで1時間とかかかりそうなのに、5分で来てくれた…タクシー業界もコロナで上がったりなのよね。デュッセルドルフの南に位置する従妹の家から北の入り口付近に位置するめぎ家までタクシーで20分ぐらい。そこそこの距離で、運転手さんはちょっと嬉しそうだった。

以上で大晦日のお話はおしまい。
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