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子ども向けの本格的オペラ [文化の違い]

先日、仕事も兼ねてデュッセルドルフでオペラを見に行った。タイトルは「ヘンゼルとグレーテル」。
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バレエの「胡桃割り人形」と並んでヨーロッパでクリスマスシーズンに上演される子ども向けのオペラで、グリム童話とちょっと違ってお母さんも優しくてハッピーエンド。今年がこの演出50周年の記念の年だそうで、つまり古い古典的な演出なのだが、子どもは初めて見るのだからその伝統的繰り返しがいいのだろうと思う。今年のデュッセルドルフ初演のこの日、2~3階席には学校の先生引率の生徒たちでぎっしり。それも小学生。まあにぎやかなこと…時々シーーッという注意が聞こえたりする。おしゃべりは途切れることがなかったが、子どもたちって反応が凄い。指揮者が入ってきてオーケストラが立ち上がった時点で大喝采。始まって幕が開いただけで拍手する子がいたり、ストーリーとともにワクワクして盛り上がってキャーッと声をあげたり、魔女をオーブンに突き落とすことに成功するとやった~と拍手喝采したりして、盛大に盛り上がるのだ。ああ、そうだよね、大人はどうしてこんな風に声をあげることを慎んだりするようになったのかしらね…彼らの素直さが本当に可愛かった。

見に行ったのは、めぎの生徒の一人が合唱で出るからで、それはこの合唱団の中のたった二人の男の子たちの一人で、これまたとても可愛かった。学校では音響技術部の一人として活躍し、普段は空手を習っていて青帯だという彼、さらにこんな一面があったとは。教師って実は、生徒のホンの一面しか知らないんだな。見に来ている生徒もちらほらいて、いちいちお母さんに挨拶されたりして寛げず忙しかったけど、行って良かった。

子ども向けの公演とはいえ本格的なオペラで(説明はこちらをどうぞ)、子どもとは関係なく見に来ているご夫婦などもたくさんいた。子どもたち、小学生の時から夜にオペラ座に現地学習として連れてこられて、こうして本物を休憩20分を挟んで2時間15分しっかり見て、きっとそのうちの何人かは合唱に出たいと思って始めるだろうし、声楽を目指す子どもも出るかもしれない。どれも綺麗な曲だとは言え、有名では全く無いし、本格的なクラシック音楽だ。ドイツのクラシック界の裾野の広さと深さはこういうところからなんだなあと改めて感じた。
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