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再びザルツブルクへ! [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。

8月2日、今度は車でザルツブルクへ!バイロイトはまさに音楽祭を見ただけですぐにあとにした(2018年に色々観光したので…その話はまだ書いていないけど)。これはミュンヘンを通過してRosenheim(ローゼンハイム)の近くから2車線になる田舎の中のアウトバーンで。アウトバーン2車線はドイツ的にはかなり狭く感じる。ここ、この前日、バイエルン州が夏休みに入った週末で、ずっとオーストリアまで100km渋滞だったとか。(さらにずっと、スロヴェニアまで渋滞だったというニュースも読んだような記憶。)
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それに近いところの地図。このちょっと左のところから2車線になるのだが、そこからずっと渋滞だったらしい。地図のちょっと上の方にローゼンハイムがある。



これはドイツでは有名な保養地、キームゼーという湖。これ、湖が見えてきたところ。
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キームゼーの場所はこちら。めぎたちが走っているのは8番のアウトバーンで、左にローゼンハイムがあって、もっと左ちょっと上にミュンヘンがあり、右の方にスクロールするとザルツブルク。こんなに近いのに、そこには国境があり、外国。



月曜日の移動だっためぎたちは渋滞に遭うことも無く無事にザルツブルクに到着した。ザルツブルクの駐車場に入れるのに待ちがあって30分ぐらい余計にかかったが。これであとは帰りまで一週間移動がないわ~(めぎ、さすがに移動疲れ)車での移動は380kmで約4時間+駐車場待ち30分、マスク着用がなくて、おしゃべりもできて楽だった。

さて、ザルツブルクに到着しためぎたちが宿に荷物を置いてまず最初にしたことは、宿からすぐのこのカフェでの一服。
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オーストリアのメランジェに、めぎはアプフェルシュトゥルーデルというアップルパイのようなもの、うちのドイツ人はトップフェンシュトゥルーデルという生チーズケーキ。
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↑ここでちらりと隣のテーブルのところに写っている赤いTシャツの人のグループは、身体障碍者の人たちだった。歩いて観光できるが話したり意思を疎通したりするのが難しいという感じの人たちで、6人ぐらいの障害者の人たちに2人のお世話の人がついていた。意思の疎通が難しいと言ってもみんな話せるし、明確な意思もあるので、それぞれ自分で好きなものを注文する。飲み物だけの人、ケーキも頼む人、アイスを頼む人、コーヒーはカップ一杯だけでなくポットで入れてほしい人、様々だ。お店の人はその注文を一つ一つ順番に叶えて行っていた。それなりに混んでいて忙しそうなのだが、みんな一律に同じものを頼むとかではなく好きなものを頼み、それもなんとか自分で意思を疎通する時間も取り、店側が彼らを団体ひとからげではなく一人一人キッチリお客として対応している様子が、当たり前のことなのだとは言え、非常に印象に残った。みんな好きなものを美味しそうに食べ、満足そうだった。

その後、めぎたちはちょっと散歩し、スーパーで買い物をし、帰りがけに宿の近くのビアガーデンでビール。16時過ぎだったと思う。ちょっと早いけど、やっと休暇先に無事着いたということで。数日前に一度ザルツブルクに数日間滞在していためぎはもう慣れっこになっていたが、ドイツから来ると、ここのにぎやかさにかなり違和感というか、別世界に来たかのような錯覚を覚える。ここ、コロナ、無いの?みたいな。
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ビールを飲んでいた時、近くをさっきの障害者グループが通りかかった。あ、あのグループだ、と思っていたら、向こうの方から、あ、さっきのカフェにいた人たちだね、私、あなたのこと覚えてるよ~と、とっても嬉しそうに話しかけられた。話しかけてきたのはグループの中の女性で、話しかけられたのはめぎである。ニッコリ笑って元気でね~と声を掛け合った。なんというか、ただそれだけのことなのだが、ものすごく印象に残った。

軽装なので日帰り旅行のグループだと思われ、うちのドイツ人によると、お世話の人たちのドイツ語の訛りを聞くと、この辺りの人たちだと思うのだがオーストリアではなくドイツから来た人ではないかという。その辺の微妙な訛りニュアンスはめぎには聞き分けられないが、もしそうなのだとしたら、ドイツからオーストリアに来るにはワクチン接種完了証明が必要なので、そういうものを全部揃えた上で越境し、観光に来ているということである。みんなお互いによく知っている様子だったから、たぶん障害者ホームで一緒に生活している人たちで、それがこうして越境して一日遠足に来られるというのは、なんて素敵なことだろう。ホームがそれを企画し、お世話の人たちがそれを実行し、そしてその一行がカフェなどに入ってきても何の違和感もなく応対する社会。コロナの七日間指数が低くて往来が法律的に許されているときに、人々は皆それぞれ、自分の責任で自由を謳歌できる。ホーム住まいの人たちも。いいな、そういうのって。


余談だが、8月後半の今、オーストリアもドイツも再び七日間指数50を超えた(七日間指数とは、人口10万人当たりの7日間の感染者数)。第一波のときはこれより低くでもロックダウンで大騒ぎだったが、今は国境を閉ざそうという話はない。現在まだバイエルン州などが夏休み中で、多くのドイツ人が越境して休暇に行っているので、国境を閉ざすわけにも行かないんだろうが、帰国した人にワクチン証明や検査陰性証明を義務付けただけだ(一部のリスク地域からの帰国者は自己隔離期間もある)。相手国側も、そこの経済のためにはドイツ人に休暇に来てもらわなければいけないわけで、ドイツより七日間指数がずっと高いけど、やはり国境を開けたままだ。めぎの宿のオーナーも、8月はやっと予約いっぱいで嬉しい、というようなことを言っていた。きっと今もザルツブルクは人々が闊歩していることだろう。そうやって経済を回し、我慢してきた人々も自由を謳歌して鬱憤も晴らしているわけだが、一方で夏休みが早く始まり早く終わっためぎの住むノルトライン・ヴェストファーレン州は、現在ドイツの中では断トツに七日間指数が高い。例えば8月24日のデュッセルドルフは138だ(比較に書くと、8月23日の日本のトップ3は沖縄(310)、東京(234)、神奈川(186)。大阪は4位で176、10位の兵庫が119、すべて四捨五入、数値はこちらから)。移動の多さが感染拡大に大いに影響しているというのは明らかだ。でも、今は普通に学校が開かれ、どこもかしこもマスク着用義務&ディスタンス以外通常通り。医療的に余裕があるので、しばらくはこのままだろう。さてさて、この秋、どうなっていくのかな…


さて、めぎたちはその後宿で一休みし、21時からのコンサートに備え、19時半ごろ簡単に夕食とした。
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そのコンサートが、めぎ的に中盤のハイライトだったのだが、その話はまた明日。
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電車の旅2 ザルツブルク→バイロイト [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。今日は7月31日のザルツブルクからバイロイトまでの移動のお話を。

ザルツブルクで数日過ごした後、バイロイト音楽祭へ2泊の旅へ。バイロイトで使うものはうちのドイツ人に託してあったので、この日は荷物無しでの移動(しかもカメラも持たず、スマホのみ)で、楽々。この日の最初の写真は、ザルツブルクのモーツァルト生家の前で、朝6時24分の撮影。
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そこからすぐのところに中央駅行きのトロリーバスの停留所がある。6時33分のバスに乗る予定だった。電車は7時15分発で、中央駅まではトロリーバスで8分なので、時間的には次の53分でも間に合うのだが、新聞も買いたかったし、支度もできちゃったので早めに出た。
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で、1等なので中央駅のラウンジで一息。ラウンジと言っても飲み物しかなかったけど。それに、ここでもワクチン接種完了証明を見せ、座った席で登録もしなければならなかったけど。
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7時10分ごろ、ホームへ。今日は山の上がちゃんと見えるわ~
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明け方まで雨だったので、窓に水滴が。
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まだ「乗車するな」と書かれてるけど、駅員さんがこれだって言うので中で発車を待つ。
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7時15分よりちょっと経ってから発車したような記憶だが、23分にはもう次の駅に到着。そこはもうドイツ。乗り込もうと待っていた人たちがいたが、しばらくドアの前で待たされていた。
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と言うのは、国境警備隊の人が国境審査に乗り込んできたから。めぎの車両が一番後ろだったのだが、そのすぐそばのドアから乗り込んできて、すぐドアが閉まって中からも降りられないようになり、中の乗客を審査。ところが、1等のめぎの席のところには見向きもせず、乗り込むと2等の席の方へあっという間に移動していった…あれれ、パスポートとドイツ滞在許可証とワクチン接種完了証明の3点セットをせっかく手許に用意したのに、立ち止まるどころか一瞥さえしてくれないの…?

しばらくしてドアが開き、みんなが乗り込んできたのでああ審査は終わったんだな、と思った。すると、ずっと前の車両の方から国境警備隊の人たち数人に囲まれる形で明らかに有色人種である人がホームを歩いてきた。それには間に合わなかったが、通り過ぎていったその姿を映した。もうずっと向こうで、国境警備隊の人しか分からないけど。
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こういうとき、つくづく思うのだ。めぎは日本に生まれて本当にラッキーだったなあと。1等に乗れる財力もあるし、2等に乗ってたとしても、こういうとき、チェックされずに終わることも多いのだ。彼らが目をつけるのは色の濃い有色人種で、パスポートやチケットの有無やワクチン云々もチェックするのだろうが、もっと重要な目的はやはり難民なのだろうと思う。

それからガラガラの電車に2時間近く乗ってミュンヘンに到着。上記の国境審査のため10分ほど遅れたが、乗換には余裕があった。田舎の景色から急に雑踏へ。
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そして無事にICEに乗って、ニュルンベルクへ。1時間半の旅。ここもガラ空き。
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チケット確認に来た車掌さん。ICEでは人との接触をできるだけ避けるために電車内でオンラインでチケット確認登録ができるようになっているのだが、この日はちょっとそのシステムの調子が悪いらしく繋がらないままでいたら、結局車掌さんがやってきた。
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さて、このICEがなぜだか遅れ、最後の最後にニュルンベルクからバイロイト行の電車には全く間に合わなかった。で、40分ぐらい後の次の電車に乗ってバイロイトへ。
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うちのドイツ人は既にバイロイトに到着していたのだが、40分ほど待つ間にチェックインしたり行きたいと思っていた肉屋さんが潰れているのを発見したりなど、それなりに忙しかったようだ。で、13時近くにめぎ到着。6時半から13時まで、6時間半の旅となった。この日の公演は18時からだったので、一緒にレストランで食事を楽しみ、ちょっと休むこともできたのが良かった。この地図はバイロイト音楽祭の祝祭劇場。



↑この地図の「ー」を8回押すと、左にフランクフルトが、右にチェコのプラハが見えてきて、バイロイトはそのちょうど中間にある。バイロイトって、ドイツ的にはもうほとんどチェコとの国境の辺り、つまり辺境にあるのだ。それからもう一回「ー」を押すと、ザルツブルクとデュッセルドルフやケルンも見えてくる。位置関係がお分かりいただけるかな。

やってみて思ったけど、やっぱりバイロイトとザルツブルクを行ったり来たりするのはめんどくさいわ~時間かかり過ぎというか、遠すぎ。行きにバイロイトによってそれからザルツブルク入り、みたいなことはまたやってもいいけど、行ったり来たりはもう二度としないだろうな。まあよっぽど見たいものが無い限りはね。
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そして2日間、さまよえるオランダ人とマイスタージンガーを見たのだった。
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ウィーンフィルとヴェルザー=メストのコンサート [2021年夏 バイロイト・ザルツブルク音楽祭]

現在、2021年の音楽祭の話を連載中。これはザルツブルクのミラベル庭園。7月29日の撮影。
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昨日の最後に、今日は7月31日の電車の旅の話を書くと予告したが、同じような話が続いてしまうので予定を変更し、めぎが一人でザルツブルクで見たコンサートのお話を。

7月28日、ザルツブルクに一回目の到着をした日は雨がちの曇りだった。
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ザルツブルク音楽祭で最初に行ったのは、ウィーンフィルのコンサート。これは以前にも載せた写真だけど。
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コンサートは21時からで、綺麗な夕焼けが見えた。この頃のザルツブルクの日の入りは20時45分頃だったと思う。
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この日のコンサートには、心痛むエピソードがある。実はこのコンサート、もともとは2020年にMariss Jansonsの指揮で予定されていたものだったのだ。2019年に亡くなってしまった彼のプログラムを、2020年Franz Welser-Möstが引き継いで同じプログラムで追悼公演をすると発表されていた。しかしそれはコロナでお流れに。
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で、2021年にやはり同じ演目でFranz Welser-Möstがコンサートをすることになっていたのだが、もうMariss Jansonsの追悼公演という意味合いはすっかり消えていた。でも、めぎはその経緯を知っていたので、ぜひ行こうと楽しみにしていた。
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この写真も以前載せたものだが、バイロイトとの差に唖然として撮った一枚。だって、密も密、いくらマスク着用義務でも、いくらワクチン接種完了の人たちだけが入れると言えども、こんなに密だとは…
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コンサートはR. シュトラウスの「薔薇の騎士」組曲と、アルペンシンフォニー。薔薇の騎士はウィーンフィルの人たちがとっても楽しそうに、踊り出しそうな雰囲気で演奏していてとても素敵だったし、アルペンシンフォニーはいろんな打楽器が次から次へと音を出してとても楽しかった。残念ながらこのコンサートに関してはラジオもテレビも放送が無かったので、音源が全くない。勿体ないことだわね。大編成のオーケストラ。これぞR. シュトラウスって感じ。
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もう一つ、ホーフマンスタールのテキストの「イェーダーマン」から「6つのモノローグ」というバリトン歌手との共演があったのだが、それは申し訳ないがあまり記憶に残っていない。

Welser-Möstの指揮は、楽器の一つ一つの音がよく聞こえ、それでいて全体として調和して奏でられ、文句のつけようがない。R. シュトラウスの演奏は、2014年にオペラ「薔薇の騎士」を、2020年から今年は「エレクトラ」を指揮してて、お手の物という感じでもある。ただ、非常に冷静に緻密に計算して情感を出している、という感じで、素晴らしいのだが、めぎは若干冷たさを感じる。これがあの優しさに満ち溢れた感じのJansonsの指揮だったら、どんなだったかなあと思う。ホント、惜しまれる。

帰りのお車も、毎年お決まりの被写体。でも、この日しか撮らなかった…
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そして、23時40分頃一人で夜食。このときはめぎ一人。お皿の上にはカマンベールチーズとアーティチョークと焼き豚の薄切り。野菜が全くないが、この後フルーツでビタミン補給。
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今思うと、ホント夢の世界。朝起きて散歩して、美味しいものを買って戻って宿でオペラの予習や批評を読むとか贅沢な時間を過ごし、夜にはコンサートやオペラ。なんて素敵な夏の時間。また次の夏まで頑張って仕事しなきゃね…
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