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聖週間 [スペイン北部(バスク・カンタブリア)]

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めぎたちがイースター休暇だということは、スペインでもイースターだということ。でもスペインはカトリック圏だから、ドイツのプロテスタント圏とはずいぶん習慣が違う(ドイツのイースターについては去年のこちらをどうぞ)。祝日も、ドイツではキリストが磔になった聖金曜日と復活した日曜と月曜の3日間だが、スペインではそれに木曜日も加わる。そして、その頃スペイン中で(たぶん小さな村でも)こんなパレードが行われる。
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担いでいるのはPasoという山車で、パレードなのだが全く賑やかではなく、非常に厳かに静かに進んでいく。ドラムの音を聞きつけて人が集まってきていたが、真剣にキリスト磔を再現しているのであって、お祭り騒ぎという感じではない。響いているのはこのドラムの音とたまに奏でられるブラスバンドの音だけ。
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続く山車の表情が怖かった。
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担いでいる人たちも不気味だし。
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本物の蝋燭が灯されている。静かに運ばれていく様子がお分かりいただけるだろうか。
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本物の人間なのか、人形なのか・・・?あまりにも冷たくリアルな表情だったのできっと人形なのだろうと思うけど、そのリアルさが怖ろしいほどで、写真を撮りながらもぞっとした。
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その後ろにはもっと怖ろしげな人たちが続き・・・
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一番最後に続くのは、たぶんこの町の司教だと思う。
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横にいた知らないおじさんが、このパレードはカテドラルまで続くのだと教えてくれた。もしかしたらカテドラルで受難劇をやったのかも知れないし、これらの山車を祀る儀式をやったのかも知れない。めぎはちょっと興味をそそられたけど、うちのドイツ人はカトリックのパレードには興味ないというし(なにしろプロテスタントだからね)、実はそのとき二人ともとってもおなかが空いてて、夕飯食べる方を優先しちゃった・・・このパレードを撮影したのは夜8時半頃・・・ずいぶん明るいでしょ。スペインはずいぶん西にあるのに大陸と同じ時間帯だし、夏時間だから既にこんなに遅くまで明るかった。

カンタブリア州のサン・ビセントという町のこんな小さな教会にも・・・
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たぶん山車として運ばれたんじゃないかと思われるこんなのが鎮座していた。
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こんな小さな教会だけど中は非常に立派。スペインのカトリック教徒の敬虔さとカトリックの威力を感じますねえ。
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ところで、イースター前は断食(肉断ち)の期間でもある。スペインでもドイツと同様、今や本当に40日間も肉を絶つ人はいないようだが、受難の聖金曜日にはたいていの人が魚を食べるらしい。そのときに食べるのがこちら。
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めぎの大好きなバカラオ(塩漬け干し鱈)。こんな風に山と積まれている店も。スペインの名物の一つですよ~聖週間だけじゃなくて普段も食べる。
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そういえば昨日お見せしたゲルニカのお店にも行列ができていた・・・あれは3月29日の撮影だったのだけど、みんな聖週間が始まる前に必要な食料品を買い揃えておくのね。
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めぎもバルでバカラオを食べました♪ 上に乗っているのは炒めたタマネギで、ちょっと塩辛いバカラオに甘い味のアクセントになっていた。それにしてもあの塩漬け干し鱈がこんなにふわっと美味しくなるなんて。
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♪ おまけ ♪
この時期は本当にスペイン中で受難パレードをやってて、しかも毎晩あちこちの町のがテレビ中継されていた。どの町のかは分からないけど、非常に立派だったので雰囲気をどうぞ。
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なかなかリアルですねえ。
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これは、この天使が髪の毛を引っぱっているの。
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山車もすごいけど、人もすごいですねえ。
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それにしてもドイツのプロテスタント圏の習慣とのなんという違いでしょ・・・うちのドイツ人は今までこういう受難パレードは見たことがなかったと言うし、少なくともデュッセルドルフにはこういう習慣はなく、ドイツのカトリック圏ではどうなのかしら。イースターにローマに一週間行ったこともあったけど、バチカンお膝元でもこういうのは見なかったなあ・・・めぎが見過ごしただけ?それともこれはスペイン独特のお祭り?キリスト教と一言で言っても、宗派によって、地域によって、ずいぶん違うものですねえ。
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コメント 21

manamana

頭のとんがった被り物が怖いですね。
堅そうな山積みの鱈が、
料理すると本当に美味しそうです。
by manamana (2010-04-09 06:44) 

ナツパパ

中南米の国々で教会が立派だったりお祭りが盛んなのは、
スペインでの習慣がそのまま移されたからなんでしょうね、きっと。
記事を拝見していてそう感じました。
by ナツパパ (2010-04-09 08:14) 

やよい

とても厳かなパレードですね、
山車を担いでいる白い装束の人たち、怖いです。
by やよい (2010-04-09 08:22) 

luces

リアルな人形には独特の美しさがありますね。
バカラオはこんな風に山積みで売られているんですね。
人気のある食材だと言う事が良く分かります。
by luces (2010-04-09 08:46) 

matsui

写真を見て一瞬カリオストロの城がオーバーラップしました。
by matsui (2010-04-09 09:10) 

いとお

さすが本格的というか厳粛な感じ。
やはりアメリカとは違いますね(^^;
by いとお (2010-04-09 09:13) 

ひろころ

凄い!これは、もはや儀式ですね。
それぞれの国・地域によってイースターの意味合いの濃さも異なるのでしょうね。
そういえばイースター前夜にがっつりラムステーキ食べちゃったわ(≧▽≦)ノ
聖金曜日はおとなしくお魚にしておいてよかったです(^^;)
めぎさんが食べたバカラオ、とーっても美味しそうですね♪

by ひろころ (2010-04-09 10:44) 

もんとれ

安ペンサシオン(三千円くらい)の部屋、どの宿にも受胎告知、受難もろもろの油絵ががっつり掛かっていて、あーカトリックだわぁと思ったことが。某動画サイトでアボネしているヘレスのフラメンコ奏者が、いつもはいかにもホームビデオ画質なのに、この半月はパレード全行程をがっちりHDでアップしていらして、うむそういうものなんだね、と、なんとなく二日かけて見ていましたわ。
by もんとれ (2010-04-09 11:21) 

たいちさん

バスク地方のこのパレードをテレビで観た記憶がありますね。尖がり帽子の覆面は、厳粛というより恐ろしい感じがしますね。
by たいちさん (2010-04-09 13:05) 

のび太

キリスト教の文化が本当に
伝わってきますね。
バカラオを食べてみたいです・・。
by のび太 (2010-04-09 13:07) 

ゆゆ

なんだか黒魔術の世界みたい・・・
↑にもありましたが、カリオストロの城を思い出しました。
あまり気持ちのよい行列ではないですね。

by ゆゆ (2010-04-09 13:21) 

ちばおハム

そうですねえ。うちもプロテスタントなので、カトリックのこういうのはわかりません。日本のカトリックでもあるのかな。

by ちばおハム (2010-04-09 13:49) 

マリエ

日本のお祭りやパレードとは何だか違う感じですね、ほんとに厳かに行われているような、カトリックもプロテスタントも両方知ってるけど、日本ではこういう感じのはやらないですもんね。珍しいもの見せて貰いました。(*^_^*)鱈、食べてみたいなぁ~
by マリエ (2010-04-09 14:11) 

春分

あの人種差別秘密結社の衣装のようですね。
司教様は法王様の親類かな。似たお顔で。
by 春分 (2010-04-09 17:41) 

Ranger

尖がり帽子を見慣れていない僕たちには、やっぱり不気味に写りますね^^;
それでも、飾りではない、本来のイースターパレードを見させてもらいました。
by Ranger (2010-04-09 17:50) 

krause

そういえば、スペインに行った時は、鱈ばかり食べていました^^。
by krause (2010-04-09 19:34) 

miffy

スペイン語圏の中南米でも同じようなパレードが行われてました。
とんがり帽子の人たちは悔悟者でスペインではお土産の土人形もありました。
by miffy (2010-04-09 21:04) 

あかえび

鱈子は有りませんか(笑)
福岡は塩漬けタラは無いけど、辛し明太は沢山有るよ(^。^)
by あかえび (2010-04-09 22:16) 

ぽりぽり

少し怖いパレードですねぇ。鱈を食べる食文化があるのですね。料理法によって塩漬けが、美味しくなるのですね。町のボーダーちゃんが可愛いです。
by ぽりぽり (2010-04-09 22:26) 

テリー

白いとんがり帽子は、どういう意味があるのでしょうね。KKKみたい。


by テリー (2010-04-10 22:31) 

めぎ

>みなさま
聖週間の話にコメントとniceをありがとうございました。
この、パレードというよりやっぱり行列と言った方がいいでしょうか、プロセシオンは、セビーリャなどアンダルシア地方の方がもっと大々的だそうですが、こういう小さいものでも生で見ることができてとても貴重な経験になりました。小さいからこそ、見ている人々やその行列そのものの真摯な雰囲気がひしひしと伝わってきたし、この宗教精神がスペインの隅々にまで浸透していることもよく分かりましたし。非常に厳粛で怖いくらいの不気味さを持った行列でしたよ。
尖り帽子はどうして尖りなのかは分かりませんが、こうして布を被っているのはこれが懺悔の人たちだからだと思います。懺悔している人を見るのは御法度ですから。こうやって覆面して人に見られないようにして、歩きながら懺悔しているのです。
私もこの司教はずいぶん法王に似ているなあと思いました。うちに帰ってきてから法王の写真をネット検索して見比べちゃいました。きっと見る人が見れば、装束を見れば法王の格のものか否かすぐ分かるんでしょうけど、顔を見る限り本当に似てますね。まあ、警備もなかったし、イースターの大事な時期に法王がバチカンを離れていたとは思えませんが。
めぎは今回まさに一泊3千円くらいの安ペンシオンに泊まり歩いたんですが、中の絵は受難のじゃなかったですねえ。受胎告知の絵は一度ありましたが、あとはその辺りの風景写真が壁に掛かっていることが多かったです。この辺りも海辺を中心にどんどん観光地化が進んできているという印象でした。どんな小さな浜辺でも、ここ5年くらいに建ったと思われる真新しい休暇用の貸別荘がずらりと並んで建っていました。旧市街のペンシオンもこれから生き残りをかけて色々改築していくことでしょう。そのうちには一泊3千円の値段で泊まれるところが、ドイツのようにどんどん無くなっていくのではと感じました。ドイツには7~8年前にはまだあったのに、今はどこも軒並み値上がりしてしまいました。
バカラオ(塩漬け干し鱈)は、いつも新鮮な美味しいお刺身を食べられる日本にいたらそれほど惹かれないかも知れません。でも、非常に独特な味わいがありますので、機会があったら是非試してみてくださいね。
by めぎ (2010-04-11 06:31)