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義父の奥さんを訪ねる [ハンブルク]

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現在、先週末のハンブルクの話を連載中。

お墓参りの後、亡くなった義父の奥さんを訪ねた。まず、ピッコロで乾杯。
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めぎが奥さんを訪ねたのは昨年の7月以来。その後11月と今年の3月にハンブルクへ行ってお墓参りをしたが、奥さんの家へはうちのドイツ人だけが事前にハンブルク入りして泊まりがけで訪ね、めぎは次の日にハンブルク入りし、奥さんの家へは寄らなかったのだ。それ以外にもめぎ同伴で訪ねる予定があったのだが、その度に奥さんが体調を崩し、キャンセルとなったのだった・・・そして、約1年ぶりにあった奥さんは、こんな姿だった。
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股関節が痛み、補助歩行器を使用するようになったのである。人口股関節に手術する予定だったのだが、その直前に心臓発作を起こし、手術できなくなってしまった。全身麻酔ではなく下半身麻酔で手術するという手もあるが、音を聞きながら手術をするというのはとても耐えられないという・・・そんなこんなで打つ手が決まらないまま悪化し、今や奥さんは家から一歩も出られない。いや、頑張れば出られるのだが、建物から外に出る数段の階段がしんどくて、結局は出られない。

そんなわけで、めぎ家が来ると言っても料理などできなくて、またレストランへ出かけることもできなくて、うちのドイツ人が近くのステーキハウスからテイクアウトし、夕食となった。
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1968年ハンブルク発祥のこのステーキハウス、テイクアウトでちょっと冷めてしまったとは言え、味は悪くなかった。今はドイツ中にチェーン展開され、デュッセルドルフにもあるようだ。
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座っている分には痛くないし、お酒も飲めるしお肉ももりもり食べられるのだけどねえ・・・
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この日は夏至で、日没が夜11時頃のハンブルク。こんなに暗くなるまでゆっくりとワインを頂きながらおしゃべりした。おしゃべりと言ってももはや奥さんは人の話を聞く耳はなく、自分がしゃべりたいだけ。それも、自分のかつて若かった頃の思い出話(ちょっと自慢話)が圧倒的。これが老いというものなのだろう。人生を振り返り、自分のしてきたことを肯定し、すごいねーと言ってもらうことで弱ってきた自分を慰めているという感じだ。めぎもそうなる日が来るのだろうな・・・いや、もう既にそういう傾向があるかも知れないな。気をつけなくちゃ。めぎは今回1年ぶりだったし、奥さんの若い頃の話はオペラ座の歌手時代の話で単純に興味深いし、どのエピソードもめぎとはなんの関係もないし、うちのドイツ人の父親の3人目の奥さんという2重3重の距離があるため、楽しく聞き役に徹したが、本当の子どもだったらやっぱり大変だろうな・・・基本は、自分はこんなに一生懸命よかれと思うことを精一杯やってきたのに、どうして子どもはそれが分からないの、という論理だから。そういうところは、どの国の親も同じだ。
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ちなみに、歩行器を借りるのには一銭もかかっていない。家の中を掃除することもできないので週に一度ヘルパーを頼んでいるが、その費用もかかっていない。心臓発作で倒れて入院しても、退院してリハビリセンターに通っても、全て健康保険と介護保険で賄われている。めぎがドイツで生きることを決めて心からよかったと思っているのは、まさにこの点である。

買い物はEdekaというスーパーの宅配サービスとやらを利用しているそうで、朝食は豪華なハムやチーズが並んだ。
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ね、美味しそうでしょ。
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奥さんは魚介類が全く食べられないのだが、めぎがこのエビのサラダが好きなのを覚えていて、わざわざ取り寄せておいてくれて、食べきれなかった分はお土産に持たしてくれた。
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こうして義父が亡くなってから2年半の間に奥さんがどれほど弱っていったかを見ていると、自分の老後を色々考えずにはいられない。また、この奥さんはめぎの両親と同い年。彼らは有り難いことにまだ足腰元気のようだが、老いは多かれ少なかれ同じように進んでいるはずだ。さらに、この奥さんには本当の息子もいるのだが、その50歳くらいの息子さんは喉頭癌になったのだとか・・・なんということ。一気に弱っていったのはそのショックもあったのかも知れないな。いつか無事に股関節の手術ができて再び出歩けるようになるのか、全く外に出られなくなったままどんどん悪化していっていつかホームに入ることになるのか・・・心の痛むことである。

撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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コメント 8

Baldhead1010

おいしそう^^

昨日検査で尿酸値が高いと言われました。
昨年の今頃も高かった・・・母の日父の日のビールのせいか^^;
by Baldhead1010 (2014-06-25 04:35) 

ナツパパ

膝は気をつけなければ...と思います。
我が家では、母が少し痛いと言いますし、先日来、わたしも歩くと違和感が...
歩けることが生活の基本だなあ、と思えていたところでした。
義父さんの奥様、少しでもよくなると良いですね。
by ナツパパ (2014-06-25 07:16) 

ちばおハム

親が離れているところにいるといつもこのことが心配です。
うちもまだ歩いて、動いていてくれているけど、年が年だけに心配は尽きません。
by ちばおハム (2014-06-25 07:37) 

stellaria

私の父が年を取って弱ってきた時、私は、父に、自分の人生は意味があった、これでよかった、と感じてほしいと願っていました。離れて住んでいて父と会う機会が少なかったので、実際に父がどう思っていたかはわかりませんが…。お義父様の奥様は、若い頃の話をたくさん聞いてもらえて嬉しかったことでしょうね。
by stellaria (2014-06-25 08:06) 

YAP

年齢には勝てないですから。
うちの両親はまだ元気ですが、やはり老化は進んでいるはず。
両親の心配もですが、自分自身のことも気になります。
元気で長生きしたいんですけどねえ。
お義父さんの奥様は、こんな状態になってしまうと元のように歩けるようになるのは難しいかもしれないですね。
私も少し胸が苦しくなりました。
by YAP (2014-06-25 08:09) 

Inatimy

老いた親のことや自分の老後を考えると、心配です。
この先自分がいったいどこにいるのか全く想像もつかなくて。
こんなふうに親を訪ねて食事をしたりする機会、
もっとほしいなぁ・・・とも思うのだけれど。
by Inatimy (2014-06-25 19:32) 

mimimomo

老いるって厳しいことですよね。
上手に老いていきたいですが、なかなか自分の思うようには行かないようです。
この奥様もお独りで大変ですね。良い方向へ行けば良いけれど。
by mimimomo (2014-06-26 08:21) 

もんとれ

幼児の「ねーねー聞いてー○○ちゃんがねー○○してねー」にオチがないのと一緒で、話すこと自体が目的で終点で、聞いてもらっている相手に満足するようになってゆきますね。パートナーが先に逝って箍も緩んだのでしょう。自分一人のために豆を茹でることも何かを刻むことも煮炊きすることも一気に面倒になられたでしょうし。
人間、最後はテーブルクロスでも食器のセットでもないのよね。でもめぎちゃんの好物は憶えていらしたのね。

by もんとれ (2014-06-27 04:27)