グッビオの音楽祭 [イタリア・ウンブリア州]
昨日niceが111111を超した・・・残念ながらその数字を見ることはできなかったが。皆様のご訪問とnice押しに心から感謝。
現在、昨年夏のイタリア旅行記を連載中。
イタリアワインは美味しい♡
いつもは赤ワインを好むめぎ家だけど、真夏のイタリアは暑くて暑くて、冷えた白ワインがとても美味しかった。適当な街角のバールのようなレストランの食事も美味しかった。
ところで、イタリアのマイナーなウンブリア州、その中でもさらにマイナーなグッビオという町になぜわざわざ行ったかと言えば、ここで音楽祭があって、それにめぎの妹が日本からやってきて参加したから。音楽祭といってもバイロイトやザルツブルクのような有名なものじゃなくて、ヨーロッパで夏中あちこちで開かれるアマチュア音楽祭。めぎのブログを訪ねてくださる方々の中にも、趣味でオーケストラをやっていらして、ヨーロッパの音楽祭に参加していらしたという体験記を書かれた方がここ数年に数名いらっしゃったが、各国から集まった愛好家たちと一緒に練習して一緒にコンサートをする体験って素敵だなあと思って拝読していた。だから、妹もそういう体験をするのだろうと思って、参加すると聞いたときはとっても嬉しかった。
音楽祭の期間中なので、街角のあちこちでコンサートの準備中。
グッビオには大きなコンサートホールがある訳ではなく、多くは教会や街角でコンサートが行われていた。音楽祭にはバイオリンやフルートやトランペットやトロンボーンといった楽器ごとにコースがいくつもあって、それに参加した人たちが最後にコンサートを行っているのだろう。たいていのコースは3~5日間で、音楽祭参加登録料が100ユーロ程度(当時約1万円)、コース受講料が100~250ユーロ程度(当時約1万円~2万5千円)。その他にもちろん宿泊費や食費がかかる。音楽祭事務局が斡旋している宿はグッビオの旧市街ではなく麓の平野の部分に立っているホテルで、一泊2食付き一人部屋で一人45ユーロ(当時約4500円)程度。もっと安い相部屋もあったようだ。妹の話ではメインの食事だった昼食が毎日フルコースの素晴らしい美味しさだったらしいが、エアコンがなく、さらに立地が麓だから部屋が物凄く暑かったようだ。
こちらも街角のコンサート。老いも若きも愛好家たちがこうして音楽で集って練習してライブをやっているのって、素敵ね。
この町のどこにこんなに人がいたのかしら・・・
バレエも!
バレエのコースなんてあったっけ・・・??地元のバレエ学校の生徒たちなのかな。
終わったあとの踊り子たち。大きなカメラを持ったおじさんも♪
なんて絵になるんでしょ・・・もっと撮影技術を磨きたいなあとこのとき思ったわ。
この音楽祭の中で、妹が参加したコースはちょっと異色だ。日本から20名程度の団体さんでやってきて、彼らだけで集中合宿をしているという感じ。日本人の声楽の先生に師事している生徒さんたちで、日本でプロのオペラ歌手として歌っている方と、それを目指して修行中の方と、アマチュアで真剣に高いレベルを目指して習っている方が参加。コース受講料も他と比べてダントツに高く、1000ユーロ(当時約10万円)。オペラ歌手としてオペラに出たことがあるほんの一部の参加者を除き、日本で声楽を習っている場合、歌の発表会はあれどもオペラの中で振り付きで歌うという経験がない。また、本場のオペラ界で千円程度でいつでもオペラが見られる環境で育ったヨーロッパ人と、オペラと言えば構えてしまう日本文化で育った日本人とでは、歌い方も捉え方もまるで違う。さらに、オペラ界の決まり事・・・こういう台詞やこういう状況ではこういう振りをするといったこと・・・を、ヨーロッパ人なら小さい頃から自然と身についているのに、日本人は教えられないと知らないままだ。そういう日本人を対象に、イタリア人の指揮や振り付けをしている人が先生となって本場のオペラの伝統的な基礎を教える、という感じの趣旨のようだった。(これまた今時はどんどん前衛になってそんな伝統的な振り付けで公演するオペラは少なくなってきているのが現実だが、まずは基礎から、ということなのだろう。)
彼らのコンサートが行われた場所は、こんな感じの一角にある・・・
古い修道院の・・・
元食堂だった。
コンサートはみんな必死という感じだったなあ・・・街角で見かけたような楽しさよりは、ここで何かを得て帰らなくちゃ、という必死さがめぎには伝わってきた。でも、コンサート自体はイタリアオペラらしい華やかで賑やかで感情的で楽しい演出だった。長らくオペラ座で仕事をしていたうちのドイツ人も、歌っているのは日本人だけどまさにザ・イタリアオペラっていう感じの演出だった、と言ったほど、よく訓練されていた。
日本から来た参加者は真剣だ。目から鱗の新しい発見、これが本場のオペラのあり方なのだ、たった一週間では満足には学びきれない・・・という葛藤がよく見える。みなさん子どもの頃から真剣に歌に取り組み、それで身を立てたいと頑張ってきた方々で、いい大人になってから「本場はこうよ」と見せつけられるのはなかなかに辛いことだろう。いや、テクニック的には日本の方が優れているかも知れないのだが、音楽と共に生きるという感覚の方向がまるで違うのだ。せめて、日本人以外の参加者もいるようなコースだったら、いろんな国の音楽愛好家たちと直接触れあって彼らももっといろんな面に気づけただろうになあ・・・音楽なんだもの、言葉ができなくてもいろんな国の人と交流を図って、あの音楽祭のあのコースのあの先生がいいとかダメとか情報交換し合って、そこで恋が生まれたりデートしたりして、それこそオペラを育てた文化の本質を深く体験できるのに。
そのようなわけで、アマチュア音楽祭を単純に楽しんで休暇を過ごすつもりだった(妹もそうだろうと勝手に想像していた)めぎ家と、物凄く真剣に参加して自分のレベルに悩みまくっていて終わったあともその世界に浸り込んでいた妹との間には全く相容れない意識の差がありすぎて、しかもその事実にお互い容易には気づけず、終わったあとの妹と一緒に食事したり散歩したりしていてもどうにもかみ合わないままだった。
しかも、このレストランはグッビオでたぶん一番有名で、特にこの地方の特産のトリュフを使ったパスタが有名なところだったのだが、どの料理もハッキリ言ってイマイチだった。妹に美味しい物を御馳走したかったのに、残念。
2013-03-20 02:00
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コメント(14)
niceに1がたくさん!おめでとうございます。
音楽祭は街をあげてやっているんですね。
バレエもこの体型からしてプロ?なんでしょうか。
音楽を楽しむって域にはなかなか達しないですね。
by ちばおハム (2013-03-20 06:04)
春風邪を引いてしまい、喉が痛いし、鼻水は出るし(/_;)
by Baldhead1010 (2013-03-20 07:23)
とても興味深く拝見しました。先生のレベルと生徒たちの意気込みとの間にあるギャップ。さらに生徒たちの間にもある意識の違い。目に浮かぶようです。めぎさんの客観的で冷静な観察的記述がいつも面白いです。
日本もだいぶ暖かい日が続くようになり、このほんわかとした空気を感じると、ドイツの緑が見たくなります。今年も5月頃にはめぎさんの記事を拝見して「気持ちよさそうで良いな~。アスパラ食べたい~。」とか言ってると思います笑
by Bonheur (2013-03-20 08:15)
街全体で音楽を楽しんでいますね。
いい雰囲気です。
コンサート会場の古い修道院の外観の写真がいいですね。
もうすぐ真っ暗になりそうな深い青の空と回廊からあふれるオレンジ色のコントラストがすばらしいです。
by YAP (2013-03-20 08:18)
日本人だけの合宿って、もったいないですね。
by かずのこ (2013-03-20 08:50)
111,111niceおめでとうございます(^-^ゞ
これからも素敵な写真と記事を、楽しみにしています!
階段の赤いドレスの女性達が、その場の雰囲気を伝えてくれていますね♪
by 駅員3 (2013-03-20 09:11)
めぎ家一族は、皆さん趣味が高尚ですよねぇ〜。我が家とは違います。旅行も観光ばかりでなく、こういった入り込みをすると楽しさ倍増って感じです。でも休みが限られた普通のサラリーマンでは無理ですねぇ。
by ぽりぽり (2013-03-20 10:28)
興味深い記事にみなさん楽しみで訪問してるんですよね、私もです。
あまり知られてないところでもヨーロッパは絵になりますよね。いいなぁ~素敵です。
by マリエ (2013-03-20 10:53)
イタリアワインが美味しそう^^
いいですね、街角での老若男女の方々のコンサートや
踊り子の方たちの素敵な踊り。
身近に感じますね^^
by アールグレイ (2013-03-20 10:55)
ドイツ人さまの経歴って・・・・(*^_^*)
確かに、日本を出てきたのだから、交流してほしいですね☆
by 夢空 (2013-03-20 12:59)
踊り子さん達の美しい脚に感動♪
ゆかた…浴衣…たしかに、バスローブですね。(^_^)
by HIROMI (2013-03-20 14:27)
環境って大事なんだな、とつくづく思います。
先生からだけでなく、自然と身につけてきた、いろんな国の人たちとの交流があったら、
もっともっと得たものの多かったかもしれませんよね。
踊り子さんたち、手足が長いな~♪
by Inatimy (2013-03-20 18:19)
うーん…とても考えさせられる記事でした。真剣に練習して必死で舞台に立つというのはとても日本人らしい気もしますし、だからこそ、余裕を持って音楽を楽しんでいるヨーロッパの方達と触れ合って、その文化的な厚みと豊かさを感じてほしい、とも思いますし。
めぎさんのご一家は、音楽との関わりが深いのですね。しかも凄いレベルの高さで…。素敵です。音楽を通して理解し合えて、共通の話題も豊富にあって、羨ましいなと思いました。
by stellaria (2013-03-20 21:56)
街をあげての素人の音楽祭って、素晴らしいですね。
by たいちさん (2013-03-21 15:28)