廃墟へ [ドイツ南西の旅]
現在10月末の古城ホテルの話を連載中。
さあ、いよいよ古城見学へ!
案内図では、建てられた時代によって色分けされている。
めぎたちが泊まった部分は中央左側の茶色い四角の下、赤とオレンジの縞々になっているところで、1517年から94年までに建てられたところを1612年以降に改築したものらしい。これから入るのは案内図の上半分の入り組んでいる部分。
ちなみに1517年から94年までこの城を所有したベルリヒンゲン家は、ゲーテが1773年に『鉄の手のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』という戯曲にしている。ゲーテの初期の作品で、史実を元に大いに脚色して書いたようだが(作品ではゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンは若くして死ぬが、ホンモノのゲッツは80歳以上まで長生きしたそうだ)、この作品は何より「Leck mich am Arsch!」(訳は敢えてひらがなで書くことにする・・・おれのけつのあなをなめてみろ!)という台詞で有名。これ、文字通りの意味じゃなくて、「てめえ、ひっこめ!」みたいな意味で使われる。この言葉、あのモーツァルトだってLeck mich am Arschと歌うカノンを作っているのだから、ドイツ語の芸術は奥深い。うちのドイツ人がよくこのことを話題にしてたので、めぎはゲッツの城(Burg Hornberg)に泊まってみたいと思ってたの。
さて、中にはいると、こんなところを上っていく。
足もとが結構悪いのだが、健脚の母には何のその。
石ゴロゴロののぼりもくだりも何の問題もなかった。
こんなところを上ったり下ったりして・・・
ふと見上げると、本当は建物の中のはずなのに屋根がないことに気がついた。
この辺は14世紀に建てられた部分なのだ・・・長い間にすっかり崩れちゃったのね。
トイレか汚物を捨てる穴だったと思われるところ。
向こうに見えるアーチ型の入り口の奥は・・・
左側は1570年に作られたワインセラー、右側は牛乳貯蔵室だった。
本当に危ないところは立ち入れないようになっているけれど、こんなに崩れそうなのにそのままにしてあるドイツの古城。こういう展示の仕方が、ドイツらしさ。飾らずにありのまま。危険か否かは自己責任。
可愛いお花も咲いてるし。
でも、かつてはここにちゃんと部屋があって、屋根もちゃんとあって、家具とかが置かれてて、ワイン飲んだり牛乳を使った料理を食べたりして、人が生活してたのね。
窓だって、こんなに精巧に作られている・・・ここに住んでいた人たちは、ここから外を眺めてどんなことを考えていたのかしら。
下界は少しずつ姿を現し始めていた。
つづく。
♪ 12月4日のアドヴェントカレンダー ♪
4日目はタトゥーだった。
12月4日は第2アドヴェント。2つめの蝋燭に点火。
4日の午後、うちのドイツ人の友人がお悔やみに訪ねてきて、一緒にシュトレンとフルーツ漬けのラム酒を楽しみながら静かに話していた。友人も昨年父親を亡くしたばかりなので、二人は色々と共感しあっていたようだった。こういうときに、ただただ共感しあえることが、そして優しい言葉を掛けられることが、何よりもの慰めになる。
2011-12-05 02:00
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コメント(18)
おはようございます。
トイレが完備。
お城だからどこでも用を足すというわけには行かなかったのでしょうね。
by Baldhead1010 (2011-12-05 04:49)
がんじょうな石造りなので、
廃墟になってもかなり形をとどめているのですね。
日本だったら、絶対に入れさせないところも、
自己責任で見回れるのは、考え方の違いですね。
by manamana (2011-12-05 06:20)
お母様はお元気でいらっしゃいますね~ わたくしの姉たちだったらとても行けそうにないわ。
ドイツの言葉もなかなか難しいですね~英語にもそんな表現の仕方があるけれど、あまり覚える必要もなかったし、ほとんど覚えてもいないわ(--
ヨーロッパの古城を見学していると、この手のトイレが大体付いていますね^^
↑自己責任で見る。これは教育の違いでしょうね。今の日本は権利が何より優先と言うような悲しい{もの}が闊歩していますものね。
by mimimomo (2011-12-05 07:27)
こういうところ、大好きです。
中世のロマンに思いを馳せながら、探検気分で歩いてみたいです。
日本のお城だと、内部はコンクリートに造りかえられたのか、ほんとに跡地だけが残っているところが多くて、昔のままの姿の天守を残しているのはわずか。
こういうところでもお国柄の違いを感じます。
by YAP (2011-12-05 07:41)
廃墟でも、素敵な廃墟ですね。残った部分の一つ一つに興味が湧いてきます。
by krause (2011-12-05 08:25)
探検気分になりそう。楽しそうです。
by luces (2011-12-05 08:55)
何百年もかけて建て増しされ、改築されてきたお城なのですね。それぞれの年代の人々…お姫様やら使用人やら…がこのお城で、その時代の服装でどんな生活をしていたのかを想像すると楽しくなります。ここを舞台にした数百年分の長編小説が書けそうですね。
by stellaria (2011-12-05 09:32)
いつもいろいろと教えていただいていますが、今日はモーツァルトのスカトロジー関連で勉強になりました。本ではすべておっしゃる通り直訳的に書かれていますが、なるほどそんな意味合いがあったのだとと、本日一番の収穫のような気がしました。ありがとうございました。
by 塩 (2011-12-05 09:37)
石やレンガを積み上げての城砦建築の素晴らしさが垣間見られますね。
by たいちさん (2011-12-05 13:27)
お母様、すばらしいですね。
私の母にはとてもとても無理そうです。。
崩れかけ、草が茂り、そこに可憐なお花が咲いている古城なんて
とってもロマンチックです。
ドイツ人さん、お友達と良い時間を過ごされたのですね。
アドベントのキャンドルが優しくて、めぎさんの優しさに重なります。
by ネム (2011-12-05 14:11)
うちのバザーでこのシールを使ったコーナーありましたよ。
タトゥーじゃなくて、ボディースッテカーといいましょう、といわれてましたよ。子どもですからね。
前の工事現場の時もありましたが、ドイツの人のこういう自己責任、というのは結構好きです。
by ちばおハム (2011-12-05 15:21)
日本だったら間違いなく立ち入り禁止になりそうな
廃墟ですねー。
でも、廃墟好きなのでこういう場所入ってみたーい♪
綺麗に保存されてるお城より、かなりワクワクします♪
by のの (2011-12-05 15:56)
何気ない会話が人を慰めてくれますね。
ドイツ人さん、素敵なひとときを持つことが出来ましたね。
なによりのこととお思います。
by ナツパパ (2011-12-05 16:17)
何百年も前の建物がそのまま残っていて、そこに住んでいた人達の生活に思いをはせるって、ロマンですよね~歴史ってそういう所も面白いんです。何だかワクワクしますよね。お母様足が丈夫っていいですね。旅行には一番大切なことですものね。ドイツ人さんお友達とお話ができて良かったですね。
by マリエ (2011-12-05 16:53)
アドヴェントのタトゥーシールは日本でも売っていたような(^。^)
by あかえび (2011-12-05 21:13)
自己責任ですか。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」で、危険に思える場所にも入ってみなければどんなもんか分からないですからね♪
入ってみたらやっぱ駄目だった、てなこともあるんですね。
ある意味、好奇心旺盛な人は、命がいくつあっても足りないような。
by HIROMI (2011-12-05 21:40)
ちょっと“カリオストロの城”と重なりました。
探検気分ですね(^^)
それにしても、お母様の健脚さは、素晴らしいですね。
自分でどこにでも行く好奇心と健康がないと老後が楽しくないですね!
by くっさん。 (2011-12-05 22:57)
階段も窓枠も壁も全部石で作っちゃうってところが本当に素晴らしいですね。
運ぶの重かっただろうなぁ。
by Inatimy (2011-12-06 18:23)