SSブログ

ベルリンで日本食 [ベルリン]

ax.jpg

現在、7月初めのベルリン旅行記を連載中。

ベルリン位置の観光地をあとにしためぎたちは、車でさくっと移動。これはガラス越しだが、Hallesches Torという駅で、文化財保護指定を受けている建物だそう。Torというのは門のこと。1812年のユダヤ教徒解放令まで、ユダヤ人は南の方角からはこの塔からしかベルリンの中に入れなかったのだそう。余談だが、こういう差別はドイツに限らずフランスなどヨーロッパ中にあった。
a0anigif.gif


地上を走る地下鉄沿いに東へ走っていくと・・・
a1.jpg


煉瓦造りの駅も。これはSchlesisches Tor(シュレージエンの塔)という駅。
a2.jpg


シュレージエンというのはポーランドのシレジアのことで、旧ドイツ領だったところ。アルザス地方と並び、戦後ドイツが失った地域である。その昔、この塔がシュレージエンに向かう出発点だったのだ。
a3.jpg


そこからすぐ、先日も来たあのオーバーバウム橋を渡り・・・
a4.jpg


ワルシャワ駅を通り過ぎてから割とすぐに右に入って通りに車を駐めて(3時間分の駐車料金を予めパーキングメーターで払って領収書をボンネットに置いておく)、レストランの並ぶこんな通りを歩いた。
a5.jpg


お洒落な店が並ぶこの辺りはFriedrichshain(フリードリヒスハイン)という地域。
a6.jpg


お昼ちょっと前で、レストランはどこもちょうど準備万端という感じ。
a7.jpg


この通りはSimon-Dach通りという。
a8.jpga9.jpg


貸し自転車屋さんもあった。
a10.jpg


さて、なぜここまで来たかと言えば、ここでお昼を食べるため。なぜここでお昼を食べるかと言えば、友人夫婦がめぎをここへ招待したかったから。
a12.jpg


ま、マジですか・・・
a13.jpg


そう、ここは日本料理レストラン。ベルリンで美味しいと話題のレストランなのだそう。と言ってもコックもウエイトレスさんも日本人ではないようで、口コミなどを見ると凄く美味しいという賛美と本物じゃないという酷評とが入り交じる。友人はとっても美味しかったからとめぎを是非ここへ連れてきたかったのだそう。コックさんはたぶんアジア系の方。

そんなわけで、玄米茶で一息♪ 暑いときの熱いお茶って意外に一息つけるのよね。
a14.jpg


枝豆は日本の居酒屋チェーン店並み、餃子は焼き方がちょっと違うが味はまあまあ。
a15.jpg


その他、お寿司やお刺身など、充分美味しい。よくあるなんちゃって日本食と比べると、悪くない。スマホの写真しかないが、このベジタブルうどん(豆腐&青梗菜入り!茶色っぽいのは干し椎茸・・・この干し椎茸は日本のように予め甘辛く味付けしてあるのではなく、出汁をとったのをそのまま切ってある)も悪くなかった。その横の皿は、ちょっと鰹のタタキみたいにあぶった鮪を炒めた(もしくは茹でた)ほうれん草の上に載せて中華風の味付けになっている料理。この鮪に関しては、目から鱗の美味しさ。
a16.jpg


どう?と聞かれて、美味しいよ~独創的だけど・・・と言うと、どこがどう独創的なのか?と聞かれ、うーん日本ではうどんに豆腐を入れたりはしないと思う(少なくともめぎは食べたことがない)・・・と言うと、非常に変な顔をされた。うどんも豆腐も極めて日本的なもので、醤油味だし、どこが独創的だというのだ?と言いたげだった。そうねえ、どうやって説明すればいいのかしら。うどんの具に豆腐を入れたりしないというのは、どうしてかと言われると理由はよく分からない。ただ、そういううどんは食べたことがないというだけのことである(入れる地域もご家庭もあるのかも知れないが)。なぜめぎはうどんの具に豆腐を入れようとは考えたことがないのだろうか。別に入れて悪いものじゃないし、まずくもないし、よく汁物に入るありがちな具でもあるのに、どうしてかしら。白いうどんに白い豆腐を入れても彩りがよくないから?いや、それより、そういう取り合わせを見たことがなかったから、なのよね。そういう取り合わせはめぎの経験の範囲では日本にはない・・・たったそれだけのことで、うどんを食べてみたけどちょっと本物と違ったということになる。まあ許容範囲だけど、ちょっと違う。

ドイツの現代人気作家フランク・シェッツィングのLimitというミステリー小説に「日本人は料理に関してファシストだ。」というくだりがある(原語版で691ページ、日本語訳でどう訳されているかは知らない)。そのくだりを思い出すこのレストラン。日本食は今や国際料理として認知され、ドイツでもちょっとした街には必ず日本食レストランがあって以前よりはかなり日本食らしいものが食べられるようになったし、ドイツ料理に日本的な味付け・・・ヴァーザービー(山葵)ソースなど・・・をするのが流行になっているほどだが、外国である以上、日本で普通に食べられるような日本食は諦めざるを得ない。デュッセルドルフはずいぶん恵まれているが、それでも魚介類など札幌で食べていたものの多くは手に入らないし、東京でちょっと高めだけどできたてのざる豆腐を買っていたような贅沢も味わえない。本物はここにはないのだ・・・少なくともうどんに豆腐を入れるようなのは本物じゃないとめぎは思うのだが、それはファシストだと言われると、うーん・・・いや、そっちだって白アスパラの食べ方に関しては充分ファシストじゃない?と思うが、日本人はあらゆる日本料理に関し、いやそれだけじゃなく外国料理に関しても本物にひたすら拘るファシストだと言われると、うーんたしかに・・・日本人って国内海外どこへ行ってもそこの郷土料理に拘るし、その土地の食べ方(味付けや付け合わせや調理方法等々)まで拘るし、その拘りがドイツ人一般よりずっと強いのは確かだ。日本ではそういう「こだわり」をかなりポジティブな意味で解釈するけど、ドイツ語の拘りに当たる言葉って、そういえばネガティブな意味にしか使わないなあ・・・

とにかく外国人には、日本料理レストランの料理のどこがどう本物と違うのか、想像がつかない。ズーシー(寿司)もトゥーナー(鮪)もウードン(うどん)もトーフ(トにアクセントを置き、フは低く発音)も美味しいね~魚と野菜で健康的だね~日本食いいね~と上機嫌なのだから、でも本物はちょっと違うんだけど・・・というコメントは野暮なのかも知れない。ただ、こちらがこういうところでかえって望郷の思いを強くするのも確かなことである・・・舌の感じる微妙な「違い」は意地悪なほど奥に仕舞い込んでいた懐かしい味への憧れを呼び覚ますのだ。日本風創作料理、となっていれば、違いを楽しむゆとりも生まれると思うんだけど。

人気のお店のようで次から次へと席が埋まっていったが、日本人は一人もいなかった。
a17.jpg


ベルリンにお住まいの方、ベルリンでちょっと日本食が恋しくなった方には、ここまで足を伸ばしていく価値はある。独創的だけど、美味しい。ほうれん草の上にタタキの鮪を載せた料理は、本当に悪くない。自分でも作ってみようと思うほどだった。しかし、決して本物を求めてはいけない。本物とどのように違うかを楽しむようなゆとりを持って出かければ、とっても美味しく楽しめるレストランである。

それからまた車で移動。続きはまた明日。
a18.jpg


撮影: D600 + 20mm(F1.8)、Xperia Z1
nice!(44)  コメント(12) 

nice! 44

コメント 12

Inatimy

私の場合、1cm弱にスライスした厚揚げはうどんに入れたことがあります^^。
でも、やっぱり、うどんには油揚げで、ちょっとスープを吸ったのがいいかな。
日本で、日本人シェフが作るフランス料理やイタリア料理のお店だと、
フランスやイタリアなど現地で修行した後にお店を開いた人が多いと思うけど、
欧州での日本料理レストランの欧州人シェフたちは、
日本で修行した後に店を出した人ってかなり少ないんじゃないかしら^^;。
by Inatimy (2015-07-19 05:34) 

YAP

おもしろいですねえ。
私も豆腐の入ったうどんは見たことないですし、やはりそれはちょっと違うという気がするのですが、同じく海外の方に理由を説明することはできません。

by YAP (2015-07-19 06:54) 

mimimomo

この時期だから?影が濃いですね~暑いのかしら。
確かに今日本食レストランって世界にある、って感じですね。
うどんって日本流ではすすり上げていただくものでしょ?
お豆腐だと壊れてお汁の中に紛れてしまうのじゃないかしら。
それとお豆腐は主役に使うことが多い食材だと思います。
だから恐らく日本人は壊れにくい揚げや厚揚げを入れるのじゃないかしらね。
青梗菜もわたくしはお饂飩に入れたことがないわ。
by mimimomo (2015-07-19 07:00) 

ちばおハム

私もうどんに豆腐はないかもなあ。
でも沖縄そばに最近(なのか、それとも以前からあったのかどうかはよくわからないけど)ゆし豆腐そばというのはあります。名の通り、沖縄そばのうえにゆし豆腐(この豆腐は内地の豆腐じゃなくて、沖縄の豆腐ですけど)がのっているの。食べるまでは?だったけど、食べてみたらおいしかったです。沖縄に来ることがあったら是非!!
by ちばおハム (2015-07-19 07:06) 

luces

昨日うどんに豆腐を乗せて食べました。
つめたいうどんには割と合うと思います。
まあ家庭料理はなんでもありですから。
by luces (2015-07-19 07:40) 

Baldhead1010

時差ぼけで今まで寝ていました^^;

お天気にも何とか恵まれ、良い旅ができました^^
by Baldhead1010 (2015-07-19 08:02) 

Bonheur

確かにうどんには豆腐は経験がないです。色合い的にも白+白で見分けがつかないですしね。
先日、中国からの留学生に、日本の中華料理と現地との違いを聞きました。「日本の中華料理は味付けが甘いし、現地に比べてだいぶ高級風に扱われているのが不思議」と言ってました。本場の人に現地との違いを聞くのは好きです。でも、日本の雰囲気を知らない人に、「なんでうどんに豆腐は入れないのだ?」と聞かれても答えに窮すると思います・・・
by Bonheur (2015-07-19 08:05) 

momo

ベルリンのお話興味深く読ませて頂いてます。
訪れる場所それぞれに、深い観察と考察と知識と・・・ホントに頭が下がります・・。
自分が国内観光した際、訪れた場所についてどれだけ理解しようと
したんだろうか・・・「ふぅ~ん」で終わってた気がする・・・と思い返して
過去の観光旅行が、なんだかもったいなく思えてきちゃった。
日本食のお話もとってもオモシロかったです♪
日本人のいい意味での「拘り」も、ドイツのほうからみれば
ネガティブな意味合いの「執着」でしかないってことですね。

by momo (2015-07-19 15:45) 

ネム

うどんにお豆腐を入れない理由・・・う~ん、、入れても相互作用を期待できないから、かなあ。食材を合わせる時は、互いの味や食感に良い影響を与えるものを選ぶものだし、影響を与えないものを一緒にしたいとは思わないです。
でも、そう言えばスーラータンメンにはお豆腐入ってて不思議とは思わないから、麺に豆腐の食感があわない、というのは違うのか・・・。
ただ、あえて言えば、見た目が美しいと感じないかも?!
海外の方が、日本にある自分のお国料理のお店の味をどう思うのか、気になる所です。
by ネム (2015-07-19 17:22) 

ナツパパ

海外ではほとんど日本食を食べないです。
中華料理かベトナム系になるでしょうか。
そうか...ファシストねえ...ちょっとドキッとしますね。
中華料理は、それに比べるとファジーですね。
by ナツパパ (2015-07-19 18:26) 

ぽりぽり

面白い日本食ですね。でも美味しかったら、これも有りですね!日本の代表的な食材を使ってあれば、日本食といえるのかもしれません。 ただ、アメリカや中国で韓国人や中国人がやっている日本食レストランはほぼ例外無く美味しくないので、止めて欲しいと思っています。
by ぽりぽり (2015-07-20 08:00) 

engrid

興味深く読ませていただきました
本物のとの違いを楽しむ余裕、、決して美味しくないわけじゃない
いや、美味しいけれど、本物ではない、
日本人にしかわからないことかしら、、日本のパスタが、イタリアの方には、どう受け取られているのかとを考えてみれば、うなずけることかも、食の伝統は、簡単には受け継いで伝播しにくいのね。
日本風ではあるけれど、、そういうことかしら
by engrid (2015-07-20 18:20)