ハンブルクの食卓 [ハンブルク]
先週末のハンブルクの話は今日が最終回。
ハンブルクに行く・・・それは、長い間、うちのドイツ人の父親を訪ねるという意味だったのだけど、その父親は亡くなって、もはや家にはいない。父親不在の家を訪ねるというのは、なんだか不思議な、変な気分だった。
窓辺に飾られている写真は父親の遺影。めぎが昨年夏に義妹の家で撮った写真の中から義妹が選び、うちのドイツ人と義妹でフレームを買って義父の奥さんにこのクリスマスにプレゼントしたもの。生き生きとした表情が記憶に生々しく、もうどこにもいないというのが本当に不思議だ。
いつも父親が座っていた席には今は奥さんが座ったり義妹が座ったり。でも、うちのドイツ人は決してそこに座ろうとしなかった。
この日に集まったのは、他でもない、遺産分けの話し合い。話し合いといっても法律に基づいて相続するだけなのだが、奥さんの生活を壊さないように、でも息子と娘がちゃんと父親の遺産を相続するためには、きちんとした話し合いが欠かせない。めぎは具体的な話し合いの場は席を外したが、非常に和やかに誰もが納得・満足して決着したようだ。よかったよかった。
その間にめぎが何をしていたかというと・・・サッカーを見ていたの♪ この日はドルトムントのカガワが2ゴールも決めた日。また、バイエルンが勝ったとは言え精彩を欠いた日。さらに、ハンブルクがアウェイで快勝した日。サッカーニュースが楽しかった。
いつも土曜日には義父は一人でこの部屋でサッカーニュースを見ていたという。番組が終わる頃、その表情を見ればハンブルクとバイエルンの勝敗が分かったとか。同じソファーに座って同じサッカーニュースを見ながら、もし義父が生きていたらこの日はとっても喜んでここに座っていたんだろうな・・・と思いを馳せた。
ちなみに今週末もカガワは守備やアシストで大活躍。バイエルンはなんとハンブルクと引き分け、ドルトムントが単独首位に♪ まさか、あんなに調子の悪かったハンブルクがバイエルンと引き分けるなんてね。
夜には奥さんの手料理で晩餐。
奥さんが作ってくれたのは、ウサギの煮込み。よかった、料理することができるほど元気になってくれて。
デザートはSchichtkäse(シヒトケーゼ)というフレッシュチーズの一種に泡立てた卵の白身とサクランボを混ぜて冷やしたもの。これがとっても美味しかった。
そして次の日の朝。外はこんな状況だけど・・・
うちの中は恒例のブランチの用意。
色々なハムに・・・
色々なチーズ。
ゆで卵も、ほどよく半熟。
キッチンのハーブも生き生きと。奥さんは、自分一人のために料理するのはとても寂しくて、朝食以外はほとんどキッチンでハムとパンを立ち食いして終わらせていると話していた。朝食だけはコーヒーを入れてトーストを焼いてテーブルに座って遺影の前に蝋燭を灯してゆっくり食べるのだそう。これから少しずつ、お昼か夜に温かいものを料理して食べられるようになるといいね。フレッシュなハーブが用意されているのは、いい兆候かも。
こうして用事を終えてめぎ家はハンブルクを後にした。次に伺うのは部屋の整理を手伝うとき。その次に伺うのは奥さんと義妹と一緒にちょっと旅行をするとき。ザクセンにはひとりぼっちになったうちのドイツ人の母親も部屋の整理やなにやら手伝って欲しいと言っているし、今年は家族と過ごすことが多くなりそう。
2012-02-05 02:00
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コメント(17)
お料理がおいしそうですね。本当におうちのなかが暖かそうな感じがしました。
うちの旦那さんの実家でもそういうお話があったけど(お義母さまはまだとても元気なのにそういう話を一緒にするというのもえらいなあと思ったけど)嫁は抜きでしたね。そのほうがいいと思うよ、と主人にもいったのを覚えています。
by ちばおハム (2012-02-05 05:42)
これが普通の生活なんですね。
by uminokajin (2012-02-05 06:45)
お義父様がなくなって最初の冬というのは、ことさらに寂しさを感じるのではないでしょうか。
そんな中で、親戚で集まって話をするというのは人と接する温かさを再確認できることだと思います。
by YAP (2012-02-05 07:15)
自分ひとりのために料理して食事するのは本当に寂しいなぁ・・・と
出張の間の留守番によく思います。
でもパンとハムで立ち食いでは栄養面も心配だから、
もう少し元気が出てお料理できる日が来るといいですね。
ハーブもそれを待っているかも。
by Inatimy (2012-02-05 07:52)
こんなに植物たちが元気にしているのですから、お義母さまは、お世話しながら植物たちから元気を貰っているのだろうなと思います。
by HIROMI (2012-02-05 09:29)
遺産の分配も和やかに済んでなによりです。
これで、これからもずっと仲良くお付き合いが続きますね。
一人になった義母さん、なにか生き甲斐が見つかると良いですね。
by ナツパパ (2012-02-05 09:41)
昨夜は同窓会。
帰ったのが今朝の二時でした^^;
by Baldhead1010 (2012-02-05 09:42)
おいついた、おいついた・・(^^;)ご無沙汰してしまってすみません・・。
外は本当に寒そうなハンブルグ、でも家の中は温かそうでお花もいっぱい咲いていて、いつもながら素敵な食卓ですね。でも落ち着いて改めて食卓を囲むとお義父さんがいらっしゃらないのが寂しいですね。皆さんいたわり合っていてご家族の愛情を感じます。めぎさんもいろいろとお忙しいわね。春が待ち遠しいですね。。
私、最後にデュッセルドルフに行ったのがちょうど2年前の2月初旬でした。2年経っちゃったのね~。
by rinochi (2012-02-05 10:39)
食べるとは生きることだな。しっかりと食べねば。
遺産分割協議も穏やかに完了して何よりです。(^。^)
by あかえび (2012-02-05 12:42)
一人になるって、思うほど簡単ではないですよね。
by mimimomo (2012-02-05 18:32)
うちの義父の葬式の後も相続の話がありました。
血族以外では私だけが隣で聞いていました。
by 春分 (2012-02-05 20:20)
デザートが本当に美味しそう。贅沢なブランチいいですねぇ〜。
by ぽりぽり (2012-02-05 20:49)
一人になって本当に寂しいと思います。でも少しづつ立ち直って、食事ができるまでになって良かったですね。そういう事って時間がかかりますものね。いつもの食卓ステキでおしゃれで美味しそう♪
by マリエ (2012-02-05 21:41)
ひとり暮らしの時は結構楽しく料理をしてたくせに、結婚してからはひとりの日は食べれればいいや、という感じになっちゃいます。
今回、めぎさん達が集まった機会にお料理をされたのは、奥さんにとってもよい刺激だったかもしれませんね^^
by ネム (2012-02-06 00:09)
朝食だけでなく、+昼食もテーブルについて食べられるように
なりますように。そのうち+夕食も・・・となりますように。
ずっと食べてくれる人がいたら、自分のために作るのがむなしく
なったりするのでしょうね。
by どらっち (2012-02-06 04:29)
遺産相続の協議は、親族間でも思惑あり難航するものですが、スムーズに済んで良かったですね。故人の人徳かもね。
by たいちさん (2012-02-06 13:19)
お一人ならナットとパンだけで終えたかもしれない時間(あたくしなら間違いなく、そう)が、誰かのために料理する場面があるだけで、どれだけ救いになることでしょう。半熟卵の茹で加減を撮るめぎちゃんが可愛いわ。
by もんとれ (2012-02-13 04:10)