吉原の跡 [2010年夏 日本の旅]
今日からまた7月から8月にかけての日本滞在記を。これまでにまとめたのは富士山2日間、会津2日間、水田1日、伯母訪問1日・・・まだまだ青森5日間、四万温泉3日間、真鶴2日間、妹と過ごした日々等々途方も知れない量なんだけど。今までで約5分の1って感じかしらね~どうしましょ。まあ、これからどんどん暗く寒くなっていって、光も色もない季節に入るから、暑い時期を懐かしく思い出しながらゆっくりと振り返ることにいたしましょ。
今日は友人の社会学者さんと会った日のことを。東京下町の出身でつまり生まれも育ちも生粋の江戸っ子の友人がオトナサマ向けの「ディープな下町巡り」と題してドイツ人たちを案内してくれたのがこちら。
上のお墓は、きちんとお墓があるだけマシな例。そう、ここは吉原の遊女さんたちの投込寺。不幸にして亡くなった遊女さんたちを言わば投げ込むが如くにここに葬ったのがその名前の由来。上の写真の若紫さんは、年季明けを控え身受けも決まってさあこれから幸せに、と思った矢先に狂客に殺されちゃったのだとか。
普通のお墓も一緒に建ってるのだが、その狭さや後ろの卒塔婆などがドイツ人たちには非常に興味深かった模様。ヨーロッパの公園のような広々とした明るいお墓と全然違うものね。
それから土手通りという大きな通りを歩いていくと、こんな古いお店がちらほらと。
どんなお風呂なのかな~
猛暑だったけど頑張って歩くこと15分くらいだったかしら。吉原の名を留める交差点、吉原大門。そこはかつて遊郭の出入り口があったところで、客がここで吉原を振り返ったという見返り柳の名残が残っていた。
そこからかつての吉原地帯に入っていくと、そこには吉原の情報喫茶が。
今もその情報喫茶は機能していて、この辺りはちょっとご入浴できるお店がいっぱい。
全く昔の面影のない殺風景なビルの景色にドイツ人たちはがっかりした一方、現代日本の一面をじっくり拝見できて興味深かった模様。あの飾り窓地帯レーパーバーンのあるハンブルクから来ると、日本のこういう界隈はずいぶんおとなしめ&清潔に見えたようだ。夜だったらまた全然印象が違うでしょうけどねえ。でもまあ、ハンブルクのそういう地帯はそこにいる人たちがホント怖そうなんだけど、日本は各ご入浴施設の前に立っているお兄さん方がとっても紳士でしたわ。
現代日本のもう一つの現実。それは、不況のためにこういうオトナサマ向けのお楽しみに向かう金銭的余裕がなくなり、その結果立ち行かなくなったご入浴施設がこうして駐車場になっていっているということ。
その結果、生計がたたなくなった方々もいらっしゃることでしょう・・・いろんなことを考えさせられる地域だった。そうそう、ご入浴料はドイツと比べて相当お高めのようでしたわよ。
こちらは吉原神社。
狛犬さんやお社や雷神みたいなのが狭いところにぎっしりと。
ここには昔の吉原の写真や絵が掲示されていた。こんなに広かったのね・・・まわりには城壁のような高い塀がぐるりと張り巡られ、外への入り口は非常に限られて、そうそう簡単には遊女が出られない仕組みになっていたそうだ。
花魁の方もこの鈴を鳴らしたのかしら。
古の遊女に思いを馳せながらも、あまりの暑さにそろそろ限界。このあとは時々日陰で休憩を取りながらまっすぐ浅草へ向かったのだった。
つづく。
2010-08-30 02:00
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コメント(18)
まだまだユーロ安円高になるのでしょうか・・・。
by Baldhead1010 (2010-08-30 05:28)
昼間とはいえ、こういう地域を堂々と歩かれるのは、勇気がありますね。
私はちょっと怖気づいてしまいそう。
そういえば、ドイツではこの手のお仕事をされている人は、国家公務員だということを聞いたことがあるのですが、ほんとうでしょうか?
犯罪とか病気とか、よからぬ方向へ進まないようにということで、国がきちんと管理していると聞きました。
by YAP (2010-08-30 07:58)
おやまぁ、わたくしなどよりはるかに
日本をお勉強になったようで^^ こう言うところは時代劇でしか
イメージできないわ。
by mimimomo (2010-08-30 08:14)
吉原の中も大門の交差点からの道も、昔と同じなんですよね。
ああ、道って変わらないんだなあ、って思ったことがあります。
で、吉原の中は遠くから覗いただけ。
やはりちょっと怖い感じがしましてね。
でも神社の狛犬良いですねえ...わたしも行ってみようかな。
by ナツパパ (2010-08-30 08:55)
吉原は昔も今も知りませんが、冒頭の遊女のお墓の写真で考えさせられるものがありました。
ちょっとお書きになられているハンブルクのレーパーバーンは2度ほど単に通っただけでしたが、当然昔のことは知りませんが、本や当時の歌から考えていたようなものは何も感じられませんでした。(でもやはり今も少しは特別な雰囲気の場所なんでしょうね)
by 塩 (2010-08-30 09:33)
おお!吉原ですかぁ!
私も遊郭というとやっぱ時代劇のイメージが強いです。
昼間は割に殺風景、夜はまた違いますからね。
入浴料、日本は高いんだぁww
by いとお (2010-08-30 09:57)
「吉原炎上」の映画・ドラマを観たことがあるので
興味深く読ませていただきました。
by piano (2010-08-30 10:16)
行き掛かり上、
この辺りを仕切っている親分さんを拝見した事が有ります。
良い人にしか見えない処が逆に怖かったです。
by 調布のおじ (2010-08-30 10:59)
本当にディープなエリアを歩かれましたね。「生まれては苦界、死しては浄閑寺」、という句を思うと、心が痛みます。
by krause (2010-08-30 13:03)
かつて昔ここにあの吉原が・・・・・と思うと歩いていても何だか考えさせられますよね、当時の日本の文化というか貧しい女性たちにとって職場
ですよね、今ならとんでもないことですが(^_^;)あの時代は公認ですものね、端唄の文句なども思い出しますね。
by マリエ (2010-08-30 13:20)
アメリカで、広々とした墓地を見た時に、
日本は、土地が狭いから、火葬になったのかと思いました。
by くっさん。 (2010-08-30 14:17)
吉原、今はこんな雰囲気なんですね。
花街跡、を期待して行ったらやや拍子抜けって所でしょうか(^^;)
でも、端々に残る史跡がかつての風景を物語ってますね。
観光地化してないだけに、妙にリアルな感じもします。
by ひろころ (2010-08-30 14:35)
吉原めぐりとは、驚きましたぁ。もっと情緒ある下町をご案内したかったですねぇ。
by ぽりぽり (2010-08-30 15:42)
いつも思ってましたが、めぎさんは
日本国外生活が長いからでしょうか、
日本の景色の撮り方、目線が
ほんとにすごく良いと思います。
墓をあえて撮るのもなかなか
できないことです。
by くろた (2010-08-30 16:31)
遊女さんは壮絶な亡くなり方をされた方が多かったのかしら…
by HIROMI (2010-08-30 21:13)
吉原といえば、もっと情緒がある場所と思っていましたが、ちょっとガッカリしましたね。もっと歴史を伝える歴史館のようなものがあれば、いいのになあ。
by たいちさん (2010-08-30 23:47)
ドイツ人さん達は、日本文化を体験してこようなどと殊勝なことを、
おしゃっられませんでしたか。
by manamana (2010-08-31 06:00)
吉原に勉強に行きたい(^^♪
夏バテしてても変な元気は有るみたい^^;
by あかえび (2010-09-01 13:03)