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大晦日その1 [文化の違い]

今日の話は2021年の大晦日。ドイツでは年越しにベルリーナーという菓子パンを食べる。ベルリーナーというのは色々種類があるが、最もオーソドックスなのはこんな感じの外側が白砂糖で中にどろりとしたかなり液体のイチゴジャムの入ったふわっとしたドーナツパン。(このときの飲み物はトマトジュース。テーブルの蝋燭は、アドヴェント期が終わったので片付けたクリスマス・ピラミッドの代わりに設置。)
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なぜそんなパンを食べるのかと言えば、恐らくは、甘い白パンというものがその昔はおめでたい時に食べるものだったかららしい。そう言えば年越しそばは食べ忘れたというか、そばそのものを買い忘れたわ…

大晦日はめぎたちの結婚記念日。と言ってもそんなことを覚えているのは本人たちと義母のみ。義母は何回目かもちゃんと覚えていて(いや、覚えているのではなくちゃんと記録していて毎年マメにチェックしているということなのだろうが)、今年もカードを送ってくれた。
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話はちょっと逸れるが、いくつになっても誕生日のお祝いを必ずしてプレゼントも贈るドイツなので、うちのドイツ人には年末に誕生日のプレゼントがいくつか届いていた。それも、いくつになってもクリスマスプレゼントも贈り合うドイツなので、クリスマスに加えて誕生日用のプレゼントも届くという訳である。全部のお金をまとめればもっと何か大きなものが買えるんじゃない?と思うし、もちろんそうしている家庭もあるが、伝統的にはそうしないで、いちいちその時々にその人のことを想ってプレゼント選びをするのがこの習慣の良さなのだろうと思う。

で、これは義母がうちのドイツ人に送ってきた誕生日祝いの本。大晦日になってから開けてみた。
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カードには古くなればなるほど味わいが増すものが刺繍されていた。本は買ったものではなく彼女の家の本棚にあったものではないかと思う(開けた途端、煙草の臭いが凄かったので…義母はヘビースモーカー。だから、本は現在虫干し中である)。
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その本、いろんな昔の地図が載っている。これはアメリカ大陸が発見された後のもので、つまり地球は丸いとすでに分かっている上で、エルサレムを真ん中にして世界をイメージとして描いたものだとは言え、アジアの端っこはインド。そうかあ、彼らにとってはインドが最果ての地だったのね~と改めて感じる。
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でも、考えてみれば、日本人でドイツとフランスとイタリアとスペインとスイスの地図と位置関係をすっと頭に描ける人はどのぐらいいるだろうか。イタリアの長靴は分かるけど…とならないだろうか。「欧米」とアメリカとヨーロッパを一緒にする言葉も普通に使われているし、自分たちのイメージを世界地図にしてみたら、実はこの頃とあまり大差ないように思う。人間って、あまり変わっていないのだ。

中には日本の地図もあった。ヨーロッパが描いた日本ではなく、日本が当時描いた日本地図。
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おお~蝦夷地だ~と思わず見入る。
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長い歴史を見ると、この蝦夷地の時代から今までの150年ほどって、露ほどもない長さ。自分が生きているのはその3分の1程度なわけで、なんと言うか、諸行無常というか、今のグーグルマップみたいにストリートの隅々まで見えるようになることに何の意味があるのか、とふと思ってしまう。自分はこの蝦夷地や伊豆国や箱根御関所の時代の人より世界を知っているようでいて、実はどうなのか、自分の頭の中の地図はいったいどういう形をしていて、その隅々の何を知っているのか、と思う…
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さてさて、大晦日のこの続きはまた明日。
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Baldhead1010

自分は食べずに寝てしまいますが、近頃、年越しそばはカップ麺です^^
by Baldhead1010 (2022-01-05 03:39) 

(。・_・。)2k

この150年程で ずいぶんと間違った事も刷り込まれた
そんな気もしちゃいます
そーそー Googleマップと言えば 彼女が写ってたんですよ
それが ちょっと前に更新されて消えちゃいまして
なんだか 寂しい気がしてます 本人は恥ずかしいからって
消えて良かったと喜んでますけどね

by (。・_・。)2k (2022-01-05 05:11) 

mm

最初にイギリスに行った50年近く前、地図を見てかなり驚いて「あ、そうんなもんなんだ」と納得した記憶が。
世界地図の真ん中がヨーロッパ、日本は地図の端の方にかろうじて見えると言う感じ^^ 考えてみたら日本で見る世界地図って日本が主体だから太平洋が大きく載ってますものね^^ 変な地図ですよ。
by mm (2022-01-05 06:39) 

テリー

日本の古地図に関心が出てきて、改めて、ネットで調べてみました。
伊能忠敬が1800年から1816年に幕府の補助を受けて17年かけて全国を測量して、1821年に幕府天文方から、「大日本沿海輿地全図」として、完成されました。
樺太については、伊能忠敬から測量術を学んだ間宮林蔵が、1803から1808年に測量して、作成しています。
伊能忠敬が作成した地図は、214枚ですが、日本では、60枚くらいしか保存されてなく、アメリカの議会の図書館に、保存されていて、その古地図のデジタルデータがネットで、公開されています。なお、伊能忠敬が蝦夷地を1800年に測量して、その地図を幕府に提出して、幕府から、力量を認められて、全国の測量に補助金が出されることになりました。
めぎさんが読まれた本の古地図が、150年前に造られたとありますが、伊能忠敬が作成した「大日本沿海輿地全図」を基に、1867年に「官板実測日本地図」を幕府が出しています。これを、引用しているように思われます。

グーグルマップに、意味がないと思われる人もいるというのも、新鮮な印象でした。これなしに、現代の生活は、ほとんど難しい気がします。全く知らない場所に、車で行ったり、電車で、あるいは、歩いていけるという大変なメリットがあります。


by テリー (2022-01-05 08:59) 

YAP

昔の地図、おもしろそうですね。
私はドイツ出張期間が長くてスイスとかにも出かけたりしたせいか、記事に書かれた国々の位置関係はほぼわかります。
東欧とかになると、ちょっと難しいな。
by YAP (2022-01-05 09:48) 

sheri

はい、私は何となく覚えていましたよ。
大晦日が結婚記念日って私の周りにはいないからでしょうか?
結婚記念日おめでとうございます。
by sheri (2022-01-05 10:19) 

ナツパパ

あ、いいなあ地図の本、欲しいです。
以前、ドイツの本屋さんで、ドイツ諸都市の鳥観図をまとめた本を買いましたっけ。
かなりの大判で、飛行機に持って入る時も、なに?って目で見られました。
それが、今でもわたしの宝物です。
by ナツパパ (2022-01-05 15:23) 

gillman

ベルリーナー大好物です。以前はミスタードーナッツでも売っていたのんですが、いつの間にか中がいちごジャムではなくてカスタードクリームになってしまって名前も変わってしまいました。食べたい。

by gillman (2022-01-05 20:17) 

おと

地図の本、素敵です、ロマンを感じます。私はたいへんな方向音痴なので、グーグルマップがあってもいつも迷子です。私の頭の地図は狂いっぱなし。訪れて歩いてみても何年か住んでみても、その土地を知るまでには至らず、雰囲気を感じとるので精一杯です^^
by おと (2022-01-05 20:18) 

sana

大晦日にこんな甘いパンを食べるのですか。
結婚記念日おめでとうございます。
古い地図、面白いですね。エルサレムを中心にした世界、すごいですねえ。
フランス、スペインなどの位置関係はわかります。たまたまよく知ってる辺り…旅行したわけじゃなく本や歴史もの映画、紀行番組で。日本各地のことの方が日本人にしては知らないかも…^^;

by sana (2022-01-06 01:02) 

Inatimy

日本の地図まで含まれてるとは^^。 眺めてるだけでも楽しめそう。
以前、私は海外の市街地図を集めてました。
by Inatimy (2022-01-06 06:54) 

のび太

遅くなりましたが
今年もよろしくお願いいたします。
by のび太 (2022-01-06 08:00) 

stellaria

三つの葉っぱみたいな地図が面白いですね。日本の古地図も楽しい。伊能忠敬の仕事がどれだけ画期的なものだったのか、よくわかりました。私の中の世界地図も(日本地図ですら)ものすごくお粗末なので、反省です。『地球のかたちを哲学する』という絵本が、古今東西の人が考えた地球の形を紹介する内容だったと思うのですが、それを思い出しました。
by stellaria (2022-01-07 10:43)