SSブログ

モスクワ ビザなしトランジット宿泊 [めぎはいまここ]

昨日の話の続き。ちなみに話は香港発モスクワ経由デュッセルドルフ行きのアエロフロート。

香港を定刻(11時35分)から3時間以上遅れて午後3時前くらいにようやく離陸。ちなみに飛行機はボーイング767!今でも使われてるのね~ボーイング767。ものすごく古くなってて、座席はおしりの形に凹んでしまっているし、前の座席の下から救命用具が落ちてくるし、もちろん座席にスクリーンもなく、イヤホンさえなく、10時間45分のフライトは非常に辛いものだった・・・おしりが痛かった・・・しかも、モスクワでの乗り換え時間は3時間くらいだったので、間に合うか微妙。

飛行機の中で告げられた到着時刻は午後21時。乗り継ぎの飛行機は21時45分発で、搭乗時刻は21時15分。モスクワ空港(シェレメーチエヴォ)のターミナルは非常に広くて乗り換えの移動はかなり大変なのだけど、でも、場所は行きに経験したからもう分かっているし、頑張って走れば間に合うかも・・・と思ったら、トランジットの手続きのところの係員が「もう出発しました」と言って、すでに用意していた次の日の搭乗券を渡してくれる。ええ?でも、まだ21時を過ぎたばかりなのに、なぜ?と聞くと、モスクワ時間は空港と1時間違っているのだ、と言う・・・はぁ?

そのようなわけで、走れば間に合うと思っていたたくさんの乗り継ぎ客たちが狐につままれたような顔をしながら時計の針を一時間進め、ビザなしトランジット宿泊の手続きをさせられた。一人一人パスポート検査を受け、ノボテル宿泊券を渡された。飛行機遅延のための宿泊だから、宿泊代は無料らしい。食事はどうなるのか、と尋ねたら、今晩ディナーが、明日の朝は朝食がホテルで出る、という。24~25人のトランジット客に対しパスポート手続きの係員が一人しかいないので、1時間近くかかる。ようやく全員の手続きが終わると、荷物搬入口のようなところから外に出され、全員バスに乗せられる。そのバスはかなり立派な観光バスのようなもの。それに乗って、空港のど真ん中を突っ切った。いつも使っている一眼レフのカメラは鞄の奥底だったので、携帯のカメラで撮影。暗いしバスの揺れでぶれてなんだか分からない感じだけど、これがその様子。
WP_000412.jpg


空港から出るところには鉄条網があった。その鋼鉄の扉を開けるのにもいちいちちょっとした確認があって、時間がかかる。扉の外に出ると駐車場で、そこを横切って立派な駅の横を通ってすぐにホテルに着いた。扉からホテルまで、5分くらいだろうか。本当に、目と鼻の先。
WP_000416.jpg


・・・と思ったら、手続きのために係員のみ降りて、我々は裏に護送されしばらくバスの中で待たされ、裏の入り口から中へ誘導される。そこには専用のカウンターがあって、一人一人もう一度パスポートと搭乗券を見せ、部屋割りを受ける。向こうにはホテルのロビーがあってクリスマスツリーがあるようだが、そちらへ行くことは禁じられる。(ロシアではツリーをいつまで飾り続けるのかしらね・・・ドイツでは三賢者の日の1月6日までなんだけど。)
WP_000431.jpg


トランシーバーを持った何人かの係員が常に監視していて、部屋割りが終わっても数人まとまった数になるまで部屋に行くことを許されない。ようやく数人まとまったところで、裏の通路の方に誘導され、そこにまた鋼鉄の扉があり、その扉を開くとエレベーターがあった。エレベーターを降りると、トランジット・ゾーンと書かれた鋼鉄の扉があり、それを係員が開けてくれて、ようやく部屋のあるフロアに降り立った。部屋は3階だった。
WP_000423.jpg


デスクが3通路を見渡せるところに置かれてて、24時間常に監視している。と言っても、うちのドイツ人がタバコを吸いに出たら、監視の人がうたた寝していたとのことだったけど。
WP_000426.jpg


廊下にはモスクワの写真があった。ありがとう、モスクワを見せてくれて。
WP_000430.jpg


我々はビザがないのでホテルの外に行くことも、ホテル内を探検することも許されない。ロビーやレストランへ行くこともできない。ルームサービスはお金を払えば受けられるようだ。予めトランジット用の特別ビザを取得しておけば外出できるそうだけど、飛行機遅延のためだからそんなものを用意している人は誰もいない。ちなみにこの説明は英語とスペイン語とドイツ語と中国語のがあった。
WP_000428.jpg


部屋に入ったのは23時15分頃。部屋の中は一眼レフで撮影。ノボテルだから、護送されてきた気分の身としては意外なほど高級である。
a1.jpg


バスタブまであるし・・・あとから歯ブラシと櫛とカミソリが希望者に無料で配られた。
a2.jpg


薄型テレビもあったし、有線・無線インターネット設備も整っていた。ちなみに時計もあったのだが、1時間ずれていて、まだ22時時台だった。モスクワ空港はモスクワ時間じゃないのかしら。

外の景色はこんな感じ。
a3.jpg


すぐ近くに別のホテルも。
a4.jpg


ところで、23時45分からディナーだ、と告げられていたので、めぎたちは急いで30分でシャワーを浴びた。少しリフレッシュして、元気を取り戻して45分に部屋を出ると、エレベーター前にがやがやとみんなが集合していた。なんでもエレベーターに乗ることも一人では許されず、係員の護送が始まるのを待っていたのである。下へ降りると特別な部屋へ案内された。丸いテーブルが狭い部屋に3つあって、その一つ一つに8~10人分くらいの席がある。そして、アエロフロートが用意してくれたディナーとは、こんなものだった。
WP_000420.jpg


レンジでチンして出てきたこの箱の中にはハンバーグみたいなものにホワイトソースがかかったものとマッシュポテトとミックスベジタブル。うちのドイツ人は手をつけなかった。めぎは5分の1くらい食べたかな。置かれていたヨーグルトは美味しかった。リンゴは傷ついてあちこち変色していた。

こんな会議室みたいなところで知らない人と全員一緒に食べさせられる食事。めぎたちのテーブルにはドイツ人が集まり、ある人は月曜日も休みを取っておいてよかった、などと言っていた・・・いいなあ。アジア周遊の旅をした年配夫婦は、アジアではどんなにぎりぎりの乗り換えでも必ず案内の人が待っていて素早く誘導してくれてすべてうまくいったのに、こんなところでこんな目に遭うとは、と息巻いていた。ベルリンへ帰るところのお子さん連れの人は疲れ切っていた・・・お気の毒。この女の子はドイツ語で「パパは飛行機の食事も美味しくないって言って食べなかったのよ」などと言っててとっても可愛いかった。ドイツ語だから係員は何を言っているのか分からなかっただろう・・・
WP_000421.jpg


その他、向こうのテーブルには香港人たちが集い、さらに数人のイギリス人とオランダ人がいたようだった。食べ終わったところでまた数組ずつまとまって上へ護送され、部屋へ。ものすごく疲れてて、あっという間に睡眠。6時半から朝食と言われていたので、6時に目覚ましをセットしていたが、6時に自動的にコレクトコールがかかってきた。

朝食はこんな感じ。ヨーグルトは美味しかった。オレンジジュースも濃縮生ジュースでそこそこいける。他にリンゴジュースもあった。
WP_000422.jpg


前日夜には出発は朝7時半と聞かされていたのに、朝食前に7時と変更される。急いで食べて(と言っても食べるものも特になかったけれど)7時前にエレベーター前に集まったのに、なかなか下へ降ろしてくれない。何事もいつも待ち時間が長い。
WP_000424.jpg


7時15分頃出発。ここは駐車場。
WP_000432.jpg


飛行場エリアに入るところ。鉄条網はぼけて分からないわね。
WP_000433.jpg


そして、昨夜出てきたところと同じところに到着。
WP_000434.jpg


それから、パスポート番号が控えられたノボテル宿泊券を提出し、荷物の検査へ。
WP_000435.jpg


ようやくトランジットの元の場所に戻り、ターミナルの移動へ。デュッセルドルフ行きの飛行機は9時25分発。搭乗ゲートに到着したのは8時45分頃だった。どれだけ手続きに時間がかかり、どれだけ乗り換えターミナルが遠いかお分かりいただけるかしら。
WP_000439.jpg


デュッセルドルフ行きのゲートに到着したときは嬉しかった。
a5.jpg


離陸後の飛行機から見たロシア。
a6.jpg


なんて寒い景色・・・池が凍っている。10時過ぎの撮影だが、まだ夜が明けていない感じ。
a7.jpg


こうして3時間ちょっとの旅をして・・・
WP_000449.jpg


デュッセルドルフに到着!ちなみにデュッセルドルフに到着したとき、機長は現地時間は10時55分、と言ったが、9時55分の間違いだった。ロシア人って、いったいどの時間で生きているのだろう・・・

空港のスーパーでちょっとお買い物。牛乳と挽肉のみ。牛乳は明日の朝のカフェラテにするため。挽肉は今晩のスパゲティーのソースに使うため。
WP_000451.jpg


1月8日のデュッセルドルフは雨だった。
WP_000452.jpg


久々のラインタワー。ああ、帰ってきたのねえ。月曜日から、また仕事だわ。
WP_000453.jpg


こうしてめぎ家の2週間にわたる休暇の旅が終わった。最後の最後が最も大きなアドベンチャーだったかも。宿泊を用意してくれたのはありがたいけれど、軟禁状態でスケジュールもすべて決められ時間を強いられ常に待たされる体験。自由人のうちのドイツ人にはかなり応えた様子・・・ちなみに、同じような体験記と説明がこちらこちらこちらにも載っている。
nice!(53)  コメント(27) 

nice! 53

コメント 27

Inatimy

ホテルのの構造に驚きました。 こういうことが頻繁に起こると想定してあるんですねぇ。
飛行機が遅れたのは乗客のせいでもないし、何も悪いことはしてないのに、
なんだか罪人扱いみたい・・・悲しくなりますね。
でも、なんとかようやくご無事に戻られたようで、ヨカッタです。
by Inatimy (2012-01-09 04:53) 

takenoko

大変貴重な(?)経験でしたね。
30年前にモスクワ(当時はソ連でした)へ行きましたが、
もっとひどかった。まあこんなものでしょう。
お疲れ様でした。
by takenoko (2012-01-09 05:11) 

ちばおハム

軟禁状態だったんですね。
共産圏のできごと、とても興味深かったです。
無事にご帰国されたようでほっとしました。
日本は3連休で、今日まで休み。明日からお仕事再開です。
インフルエンザが流行っていて、心配ですが…
by ちばおハム (2012-01-09 06:46) 

hatsu

お疲れさまでしたー。
ほんとに、軟禁状態ですね><
無事に帰られて良かった!
by hatsu (2012-01-09 07:11) 

Baldhead1010

飛行機から見る凍った河川、ロッキー山脈で感嘆しました。
by Baldhead1010 (2012-01-09 07:18) 

YAP

これは大変なトランジットになりましたね。
ビザなしだとこんな扱いになるなんて。
翌日の朝が早かったとのことですが、寝坊して送れるという心配は不要ですね。
絶対に全員そろわなければ出発できないということは、どんな手段をしてでも起こしてくれるのでしょうから。
お疲れ様でした。
by YAP (2012-01-09 07:54) 

manamana

大変な体験をされましたね。
おつかれさまでした。
でも、端から見ているとおかしくておかしくて(あっ失礼しました)。
by manamana (2012-01-09 08:21) 

hideyuki2007y

お疲れさまでした。この夕食は手続きや遅延ばかりで疲れた身体にこたえそうですね。うわさには聞いていましたが今でもすごいトランジットですね。申し訳ないですが、これは写真付きの貴重な記録です。そして、これも申し訳ないですが、月曜日は日本は成人の日で祝日です、、、
by hideyuki2007y (2012-01-09 08:25) 

HIROMI

成人の日で朝寝坊しました。すみません。めぎさんはこれからお仕事ですね…なのにブログまで更新してくださってありがとうございます。
「バスで護送」というあたりから、なんだか犯罪人みたいな扱い…と思っていたら、まさにそのとおりなんですね。食事も野菜が極端に少ないし、スープのようなものもないんですね。こういう料理って、お腹が落ち着かないのでは?
とにもかくにもお疲れ様でした。お仕事頑張ってください。
by HIROMI (2012-01-09 08:44) 

krause

ロシアについては未知のことが多いので、とても参考になりました。まだまだ、大変な国なのですね^^。
by krause (2012-01-09 09:30) 

ぽりぽり

極悪トランジット大変おつかれさまでした。モスクワ空港時間ですか? 不思議な国ですね。ロシア人と関わるのは、嫌だと思ってしまいますね。B767は、現役(生産中)の飛行機ですよ。JALもANAも保有の多い機体ですが、比較的奇麗なものが多いです。アエロフロートはお古をあまり整備せずに使っていると見ました。ちなみに座席の並び2−3−2は一番好きな飛行機です。
by ぽりぽり (2012-01-09 10:13) 

Bonheur

なんだか怖い感じがしますね~。アエロフロートで欧州に行くとノボテルに一泊することになる、と聞いたことがありましたが、ビザなしだとこんな感じなのかしら、がんじがらめで嫌だわ~。REWE以降のお写真を拝見してほっとした気分でした。モスクワに留学していた友人が毎年ロシアに遊びに行っているのですが、怖い話は特に聞いていないんです。ひょっとしたら、彼女にとって当たり前になってしまっているからかもしれませんが、、、 大変お疲れ様でございました。
by Bonheur (2012-01-09 12:29) 

テリー

大変でしたね。
エアロフロートは、昔から、故障が多く、発着遅れが多数あり、モスクワ経由でどこかに行くときは、モスクワで降ろされてもいいように、トランジットのビザをとってゆくようにと言うのが、私の業界の常識なんですが、普通の人は、どこのエアラインでも、きちんと飛ぶと思うのでしょうね。
空港内の写真、携帯電話を使ったとは言え、よく撮影出来ましたね。モスクワに限らず、空港内の施設は、撮影禁止になっているところが多いです。(Security の関係です。)
by テリー (2012-01-09 14:02) 

かずのこ

お疲れさまでした~
by かずのこ (2012-01-09 16:09) 

wakatate

めぎ さんこんばんは、今年も宜しくお願いします。
昼間一度コメントを書きましたが、今見ると消えていました!
モスクワでの、トランジット、たいへんでしたね。
以前、ヨーロッパ旅行した時トランジットは、アラスカでしたょ、
でも、無事帰られて良かったですね。
これまでの、正月に比べて、のんびりできましたか?
by wakatate (2012-01-09 17:40) 

あおい

お邪魔いたします。
大変な事が待っていたのですね。
大人数での行動も大変だったと思いますが、少人数も何か怖いような。
ご無事で何よりでした。
by あおい (2012-01-09 18:59) 

ナツパパ

お疲れ様でした。
こういう時って心身ともにつかれますよね。
わたしたち家族も、北京から帰国のビンがキャンセルになり一泊しました。
トランジットではなかったせいか、もっと優しかったですよ。
それでも疲れ果てましたっけ。
by ナツパパ (2012-01-09 19:53) 

Tytto

なかなか貴重な体験ですね。
ロシアは1月7日がクリスマスなのですよ。
だから12月24-26日は他のヨーロッパとは違い平日です。
by Tytto (2012-01-09 20:11) 

あかえび

我が家が一番でしょ(*´∀`*)
by あかえび (2012-01-09 23:24) 

miffy

この前成田からモスクワへ行く時も767でした。
震災前までは新機種が就航してたらしいのですが・・・
モスクワはロシアの中でも旧体制が色濃く残っている感じはしましたが、
ここまでだとは思いませんでした。
旅行中、パスポートはホテルに人質に取られてました。
それなのにパスポートなしの外出は禁止とか言われて矛盾してるなぁと思いました。
せっかくの楽しい旅行が最後に大変な事になってしまいましたね。
無事にご帰国できて良かったです。
by miffy (2012-01-09 23:31) 

ネム

ベランダの写真でなんだかすごくホッとしてしまいました。
友人で一時モスクワに拠点を置いていた女性がいるのですが
彼女が「うん、まあ…モスクワだからね」と言っていた気持ちが
やっとわかったような気がします。。。
…お疲れさまでした。

by ネム (2012-01-10 03:15) 

マリエ

お疲れ様でした~最後の最後に思わぬ疑似体験です。読んでいてわたしも疲れました(^_^;)世界を旅するってやはり大変ですね。
by マリエ (2012-01-10 09:24) 

たいちさん

私ならパニックですね。怖い経験をされましたね。
by たいちさん (2012-01-10 10:43) 

もとこさん。

楽園の旅の末に大変な経験をなさいましたね。ご夫婦ご一緒で良かったですね。
私が行っていたソ連の頃は、空港、駅、建築物、橋など、すべて撮影禁止で、撮ればもっとも軽くてもカメラごと没収と言われたものです。ですから空港の写真にびっくりしました。
by もとこさん。 (2012-01-10 20:52) 

李 萬中

まさにおそロシア。(お粗末)

失礼しました。
by 李 萬中 (2012-01-12 17:02) 

rinochi

やはり共産国の残り香が感じられますね。ウチの主人あまりモスクワには行きたがりません。
でもホテルがノボテルでよかった。
by rinochi (2012-01-15 08:15) 

もんとれ

ありがとう。大笑い。教えていただいたこの記事を先に拝読しようと思ったのだけれど、ほら、美味しいものは後に主義だから(笑)。おかげさまで夜明けに馬鹿笑いしました。ごめんよドイツ人さん。しかしよく撮影できたね。
昔、アエロにあたってしまって、うへぇ・・翌日仕事入ってるのに危ないなぁと零していたら、要人の露語通訳をしていた友人が「まぁ、軍あがりが多いから離着陸は上手いわよ」。共産圏時代からあらゆるソ連常識を経験している人なので、ちょっとやそっとのことではびくとも。要人随行の機ですら空港の不手際で飛べなくなり、数時間後の国際会議はどうなるんべかと思う間もなく、酔い止め持っていたら飲めと云われ、ミグに乗せられて軽いむち打ちになったとか。
ノボテルのベッドカバーは世界共通これなのか(笑)と変なところで笑いました。
by もんとれ (2012-02-13 05:13)