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旅の後のめぎ家の食事 [食べ物・飲み物]

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日本は今お盆なんだなあ・・お盆という習慣のないドイツでは、極めて普通の平日が続いている。敗戦記念日だって日本とドイツは違うし(ドイツは5月)、死者に思いを寄せる日は11月だし、したがって様々な物事のリズムが全く異なる。だからそこにある文化も常識も全く異なる・・・と大袈裟に始めたけれど、今日の話題は食文化。今日はドイツに戻ってきてからの食事をご紹介。

金曜日のマルクト市場でいつものように買い物をして最初にうちのドイツ人が作ったのは、鶏のもものオーブン焼き。そういえば日本では鶏肉はほとんど食べなかったのよね。こういうどどーんとした料理、久々ね。ハーブの香りも。そして、そんなに高くもないのに名古屋コーチン並みの美味しさのこの鶏肉も。
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付け合わせはブロッコリーのクリーム。うちのドイツ人が最初に作るものを見ると、彼がどんなものを恋しく感じていたかが分かって面白い。ドイツには日本では想像もできないほどの様々な乳製品があって、生クリームや生チーズ一つとっても脂肪分の量によって数種類あるのだが・・・それは健康志向の無脂肪の話ではなく脂肪分の割合によってそれぞれその生クリームや生チーズの名前が違うほど多岐にわたり、使う料理も異なるという意味なのだが・・・たぶんうちのドイツ人は彼の好みの脂肪分の微妙な味の違いが恋しかったのだろう。
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めぎが食べたかったのは、トマトとモッツァレラ。これもまたどどーんと大皿いっぱいに用意し、ばくばくと。モッツァレラチーズはこちらでは100円もしないのだ。バルコニーのバジルを惜しげ無く使って、バルサミコ酢を利かせて。
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醤油を全く使わない料理の数々。日本のような優しいほんわかとした味付けではなく、一つ一つハッキリとした味の主張。ああ、ドイツに戻ってきたわねえ。

デザートはミラベルというプラムの小さな種類。ドイツやフランスでよく見かけるこの時期の美味しいフルーツ。
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日本では御馳走に次ぐ御馳走と美味しい果物を心ゆくまで味わった。何といっても魚料理、特にめぎにはお刺身の旨さは何にも代え難い美味しい思い出だ。そればっかりはどんなに欲しくてもドイツでは手に入らない。おかげさまで今回は3週間も日本に滞在したおかげで、あああれを食べ損ねたなあ、というものが一つもない。みなさまのおかげで美味しいお魚をいっぱい食し、大満足。これでしばらく味のホームシックにもならずに頑張れるわ!と言ってもきっと、みなさまに御馳走になった料理を順次記事にする9月頃には、あぁ~美味しそう・・・と写真に見入ってしまうのだろうけれど。

とは言え、めぎはドイツの食文化が日本に劣るとは決して思わない。素材が異なり、食べ方が異なるだけで、その地にはその地の食文化があるのだ。うちのドイツ人の料理は、彼に出会ってから11年も日々食べ続けているめぎにとっては今や我が家の味で、日常の料理にホッとしたのも事実。思えば日本のみなさんだって、あのような豪勢なお刺身を毎日毎日おなかいっぱい召し上がっている訳じゃないものね。それに対しドイツは、そんなに大枚をはたかなくても常に一定の品質の食材を手に入れることができるという良さがある。めぎはどちらもいいとこ取りができて、非常に幸せなのかも知れないな。

土曜日の夜は、ドイツならではの食材で。
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ラムチョップ。
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マルクト市場のラム肉スタンドのおじさんは、約一か月ぶりに現れためぎたちの顔を見て開口一番、あ~休暇から戻ってきたんだね、と。そういう人とのふれ合いも、ああ帰ってきたんだなあという居心地の良さ。日本だって然るべきところに行けば買えるのだろうが、こういうラム肉がマルクト市場で手軽に手に入るのはドイツならでは。

3週間も料理しなかったので調子が狂って中がピンク色にならなかった、とうちのドイツ人はぼやいていたが、ジューシーでとっても美味しかった。ドイツのジャガイモを切って揚げたフライドポテトも、ジャガイモの味が濃くて美味しい。ジャガイモに関しては、どんなに日本が頑張っても、種類の豊富さも味の深さもかなわない。北海道生まれ育ちのめぎとしては悔しいが、ジャガイモに関しては残念ながら完敗。まあ、ドイツにとってジャガイモはパンと並ぶ主食だから(決して付け合わせではない)、日本人にとってのお米と同様にその品質にかける意気込みはとても外国はかなわない。
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未だ夜9時頃まで明るいのもドイツの夏の素敵なところ。その代わり夜明けは6時を過ぎたが・・・日本では夜明けが4時台で、まだみんな寝ている頃に清々しい時間があって、夜は7時には真っ暗。それって、ものすごく勿体ないわねえ。

日曜日の昼にはいつものようにマウスを。
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用意したのはライ麦パンに、生ハムやサラミ、ハムのゼリー寄せ、霜降りではなく赤身の肉の味がぎゅーっと凝縮したローストビーフなど。
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これは、うちのドイツ人が最も嬉々として食べていたメットという生ハムの挽肉状のようなもの。そうか、この味が恋しかったのね。
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おやつはドイツのこの平たいタイプの桃。日本でもとても美味しい桃を食し、その繊細で砂糖のように甘い味にうちのドイツ人共々感動したが、ドイツのこの桃の味も格別。野性的で、甘酸っぱくてジューシーで。皮を剥かずにそのままかぶりついて食べるのがドイツ流。安いのでいくつでも飽きるほど食べられるところもいい。こういうのはどちらの方が美味しいと言えるのではなく、その土地の美味しいもの、と言うべきか。ドイツには日本のあの繊細な芸術作品のような取り扱い厳重注意の桃はなく、日本にはドイツのこの野性的でいかにも健康的で無造作に扱える桃はないのだ。果物に対する意識の違いとも言えるかな。
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ところで前にも書いたが、3週間も留守にできたのは、めぎ家の花の水遣りをしてくれた友人のおかげである。家の中のこの花は、旅に出る前は芽が上へ上へと伸びているところだったのだが、3週間のうちにこんなに蕾をつけ、花まで咲いていた。まるで、これをくれためぎのかつての生徒たちが、おかえり~と言ってくれているかのように。
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時差ぼけも取れて日常に戻ったある日、水遣りしてくれた友人を御礼にお招きした。せっかくなので、ちょっと日本の味をと、みなさまからのお土産をいただくことに。まずはkrauseさんの水田からいただいたお米。
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5キロも精米してくださった。
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土鍋で炊くという手間までは掛けられなかったけど。ずいぶん古い炊飯器だけど、これで炊いたご飯の味は悪くない。
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ドイツの水でだけど、美味しく炊きあがり♪ krauseさんのお米は以前にも書いたがとっても繊細な優しい味がする。ドイツで手に入るお米とは全く違う、清らかな味。
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それから、同じくkrauseさんのおうちからいただいてきた手作り味噌を使ってお味噌汁も作ってみることに。
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出汁は、rinoさんからいただいたこちら♪
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メインディッシュはうちのドイツ人がオーブンで料理。豚のバラ肉の塊をじっくりとオーブンで蒸し焼きに。これは出来上がって切ったところ。
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出汁は日本で小料理屋さんに連れて行ってくれた友人にいただいた干しシイタケを使用。
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この他サラダや漬け物もあったのだけど、撮り忘れ。

さてさて、お味噌汁のできあがりは・・・とっても優しい味に仕上がり、感動!具はこちらのアジア食材店で買ってきた新鮮な韓国豆腐と、日本から買ってきた乾燥した磯海苔と、札幌で最後に仕入れてきた茗荷。茗荷の味に友人は歓喜の声を上げ、お代わりまでしてくれた。お豆腐が、あれ、ぼく、場違い?というような戸惑った表情だったけど。
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みなさま、美味しいお土産をどうもありがとう。大事に、でも美味しいうちにいただきますね!


さて、旅から戻ってきたばかりだが、めぎは所用でまた旅路へ。まあ今回はドイツ国内なのだが、来週から学校も始まるのに慌ただしいことだわねえ。そのようなわけで、明日からしばらくはまた「めぎはいまここ」をどうぞ。

撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
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Baldhead1010

お米は農家の方から買って予冷庫に入れ保存し、食べる分だけ精米していましたが、古くなるとおいしくなくなるのと、精米の手間がかかるので、近頃は市販の2kgの袋入りを買ってきています。

今年の新米を食べていますが、やはり新しいお米はおいしいです^^

家庭で食卓に上がらなかった食べ物は縁遠いです。
by Baldhead1010 (2014-08-14 04:32) 

mimimomo

お米はやはり日本のものが美味しいかしらね。アメリカのカリフォルニア米も美味しかったけど。
日本からお帰りになるとその時期はしばらく日本のものが召し上がれるのね^^
by mimimomo (2014-08-14 06:40) 

krause

コメと味噌、食べて頂いてありがとうございます。ドイツのリンゴ・モモは、酸味があって濃厚なお味なのを気に入っています。
by krause (2014-08-14 09:31) 

ナツパパ

どの料理も美味しそうです。
土地土地のおいしさを堪能しつつの食事は、身体に良いなあと思います。
モッツァレラチーズがお手頃なのにビックリしました。
by ナツパパ (2014-08-14 10:21) 

ふーみん

日本のお料理もいいけど ドイツじんさんの豪快なお料理もいいですね。
それぞれお国の特質がありますね。
めぎさんも日本を離れた寂しさがあっても又ドイツでのお仕事や
日常に満足なさるでしょう!! 頑張ってくださいね。
by ふーみん (2014-08-14 11:21) 

YAP

ドイツの食文化に対するめぎさんの思い入れを、興味深く読ませていただきました。
「ドイツの食事はちょっとね...」なんて言っている私は、まだまだドイツ食の真髄を知らないということでしょう。
日中の太陽が出ている時間帯は、日本、特に東日本はほんとに早朝を無駄にしていると思います。
私がいつも強く主張しているサマータイム導入論は、日本ではもう永遠に無理なのでしょう。
それなら、せめて日本のタイムゾーンそのものを1時間前倒しにしてくれないかと思うのですが、それはもっと無理な話だろうな。
by YAP (2014-08-14 16:14) 

Inatimy

私はどうだっただろう?・・・とアルバム見てたら、スペアリブ、
スパイシーな鶏肉焼き、燻製サバ、チーズをのっけたオーブン焼き・・・
でした^^。 
子供の頃から食べ慣れてきたもの、異国の地で新たに知ったもの、
どこでもその国、その地の美味しい物がありますよね〜。
思いのつまった皆さんからの日本の食材は、ありがたい心の支え、
嬉しいですよね。
ドイツのどこの地にいらっしゃるのかな。 道中、お気をつけて。
by Inatimy (2014-08-14 19:12) 

engrid

炊飯器に日本のお米、つやつや、
茗荷、、、和の食卓ね
日本の香りが、めぎさんのリビングに、、
美味しいものは、でもお国は関係ないわね
世界共通ね
by engrid (2014-08-14 20:42) 

テリー

ドイツの食文化の良い点、日本の食文化の良い点を、楽しめる立場は、うらやましいですね。
by テリー (2014-08-14 21:20) 

rino

私もドイツ人さんと同じです!
ドイツに行ったら、一番何が食べたいか?
それはメットです!私と主人の懐かしいドイツの「お家ゴハン」的なもの(*^^*)

by rino (2014-08-15 08:59) 

sheri

むかーし、仕事がらみでいただいた海外(どこの国のだったか忘れたけれど)の卓上カレンダーの祭日が日本と違うのにビックリして、あわてて日本の祭日の日を赤く〇したのを思い出しました。

でもそれを使ってる1年間、私は仕事だけど、その国では祭日なんだなぁと想像することが出来て、結果的にはとても面白かった思い出があります。

…なんてことをこの日記の最初のコメントを読んで思い出してしまいました。
by sheri (2014-08-15 23:54) 

もんとれ

めぎちゃんのブログを拝読しはじめてからずーっっと、最初からずーっと気になっているのがメットです。
お疲れさまでした。相槌も会話の内容も食事も味つけも「は~!やっぱりうちが落ち着くわ」と思えるところが一番。
by もんとれ (2014-08-23 03:56)