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オリンピア考古学博物館 [ギリシャ]

現在、3月末~4月初めのギリシャ・ペロポネソス旅行記を連載中。
ようやく到着したオリンピア。

オリンピアという町は、オリンピアの遺跡を見に来た人たちにお土産や食事や宿を提供するためにあるような町。そして、その昔古代オリンピックがここで開催されていたときには、そのオリンピックを見に来た人たちにお土産や食事や宿を提供するためにあったような町。つまり、今も昔も競技場のためにある町で、町自体は何も見るべきものはない。
通りの突き当たりにオリンピック競技場の遺跡がある。その近くには観光バスがずらり。

遺跡見学は午後3時まで。めぎたちが到着したのは2時頃で、ちょうど遺跡を見終わった人たちが駐車場へ向かう小さな出口からぞろぞろぞろぞろ。30分くらいこの辺りのベンチに座ってお昼代わりにパンを食べたが、人々の列は途切れることがない。どれほどの人がこのオリンピア遺跡を見に来たことか・・・

ここに到着するまではほとんど観光客に出会わずペロポネソスがずいぶんスカスカのイメージだったので、あらら~やっぱりいるところにはたくさんいるのね、とびっくり、半ばげんなり。

博物館は5時までだったので、とりあえずそこへ。遺跡を見るのとセット券になっていて、次の日に遺跡を見学してもいいか聞いてみると、もちろんOK。これで明日は券を買わなくていいわね。

博物館にはたくさんの遺跡が展示されていて、興味ある人にはどれも面白い。今日はめぎとうちのドイツ人の目を惹いたものの中から、テーマをできるだけ絞ってご紹介。
これはミケーネ時代のブロンズ像。生き生きとした目の表情にちょっとびっくり。

紀元前6世紀くらいの盾。

これがここで最も有名な勝利の女神ニケ像。紀元前5世紀のもの。顔がないのが残念。照明が美しく、写真撮影の練習になる。

綺麗なおみ足を。意外と小さな足だったのね。

もう一つここで最も有名なゼウス神殿の破風や壁などが展示されている部屋。規模はパルテノン神殿に匹敵するそうで、見たことのある顔がたくさん。

例えば、こちらはアポロン。

右端はケンタウロス。

戦いの場なので、なかなか苦しそうなお方も。

これは予言者・・・ちょっと電話しているようなこの身振り表情が面白くて。

ここでめぎたちは結構な時間を過ごした。と言うのは、うちのドイツ人が非常に丹念に一つ一つ見ては色々感じてあれこれ思い出して話すから。彼にとってはこれは子どもの頃の歴史の授業と直結。彼は歴史が大好きなのだが、その興味は学校で習ったこのギリシャの歴史に端を発する。ドイツでは自分たちの歴史(=ヨーロッパの歴史=ドイツの歴史)の発祥として、古代ギリシャ・ローマを習うのだ。世界史としてではなく、ヨーロッパ人の歴史として。もちろんドイツ人だって自分たちがゲルマン民族大移動で東方から移動してきたということを知っている。そしてライン河の辺りで古代ローマ文化とぶつかって、ローマ化されていったことを。それは彼らにとっては先史で、文明国家としての歴史はそのローマ化されたところから始まるのだ。なんと言ってもドイツの元は神聖ローマ帝国なのだから。
こういう教育を受けてきているからか、ドイツ人たちには古代ギリシャ文明に対し心の奥底で畏敬の念があるというか、憧れを持っている。それが、今のギリシャの経済危機を簡単には切り捨てられないストッパーになっているようにも見える。
さてさて・・・特にずいぶん時間をかけて見たのがアテナ像とヘラクレス像。前にいるヘラクレスが天空を支えているのをそっと助けているこのアテナ像の表情に非常に惹かれて。

こちらはヒドラと闘うヘラクレスだったようだが・・・

ずいぶんなくなっちゃったのね。

これはクレタの雄牛と闘うヘラクレス。

ヘラクレス、大変だったんだなあ・・・
これもアテナ像。ずいぶん表情が違うわね。

これは、女神ではなく実在した巫女。美しいなあと思って。

最後に、ゼウスの使者かつありとあらゆる文化に通じる神、ヘルメス(Hermes)。旅や交通の神だったり、音楽の神だったり、スポーツ競技の神だったり、ほんとありとあらゆる知恵に優れているという感じ。手の上にいるのはディオニュソス。

以上、ホンの100万分の1程度の紹介だが、それだけでもこんなにいっぱい。ギリシャ神話、カタカナの名前が多くて我々には誰が誰だか難しいわねえ。でも、うちのドイツ人は誰がどんな役割を担っているか本当によく知っている。そういえばうちのドイツ人の息子が小さい頃、いつもオデュッセウスの朗読CDを聞いていたなあ・・・グリム童話も読み聞かせしていたけど、子どものお気に入りはオデュッセウスだった。こうやってドイツ人の教養が子どもの頃から養われるのね、と思ったものだった・・・
博物館の外には綺麗な花が咲いていた。

つづく
撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
2015-05-21 02:00
nice!(44)
コメント(14)
貴重な彫像品ですね。
これを壊す馬鹿な連中もいる。
by Baldhead1010 (2015-05-21 04:35)
髪の毛やヒゲの表現が様々で興味深いですね〜。
くるくるだったり、うねうねだったり。
ヘルメス、裸体なのに履物は身につけてるのも不思議な感じ。
最後の花、花蘇芳、いい色ですね^^。
by Inatimy (2015-05-21 06:30)
神聖ローマ帝国の心はずっとつながっているのですね。
by luces (2015-05-21 08:06)
あの目が生々しいですね。
どんな黒目が入っていたのかしら。黒じゃなかったのかしら。
ドイツの人はギリシャの歴史を習うとは、知りませんでした。
by ちばおハム (2015-05-21 08:08)
さすが古代オリンピック開催の地
人が多いですね。
ミケーネ時代のブロンズ像、目力があって
今にも動き出しそう^^
それぞれの彫刻が美しいです。
by アールグレイ (2015-05-21 08:24)
なるほどギリシャローマ史は、ヨーロッパの皆さんにとって
共通の土壌になるのですね。
わたしもギリシャ神話を子どもの頃読んで好きだったけれど、
あくまで外国のファンタジーみたいに読んでましたっけ。
それでもあの人間くさい神様たち、今でも好きです。
by ナツパパ (2015-05-21 08:48)
とっても興味深いお話ありがとうございました。勉強になりました。
by マリエ (2015-05-21 10:36)
ギリシャ神話、昔好きで良く読んでました。行ってみたいです~。
by kuroe (2015-05-21 18:40)
神聖ローマ帝国からの続く歴史、、そしてドイツがある
日本の神話に対する思いとは、かけ離れたものがあります
物語ではなく、生きたことなのね
奥が深い
展示物は、すばらしいものばかり
by engrid (2015-05-21 18:44)
世界選手権、アイスダンスで金を獲った若きフランスのペア
ガブリエラ・パパダキス&ギョーム・シゼロンご存じですか?
このパパダキスを見た時一目で「ギリシャ彫刻の女神」を連想しました。
前記事の土産物屋の女店主(?)、のパワーにひたすら笑ってました;;
すごいなー(^^;)ドイツ人さん、うんざりだったのでは?
by のの (2015-05-21 20:51)
ギリシア神話もオデュッセウスも面白いですものね。
子供の頃から何度も繰り返し読んでます。
美しい大理石の像達、ゆっくりじっくり眺めて過ごしたいです。
by miffy (2015-05-21 23:27)
大方のヨーロッパ人にとってはギリシャやローマ帝国が自分たちの起源みたいなものでしょうね。そう言うことに関心が大って素敵だわ。
by mimimomo (2015-05-22 06:25)
やはり、ギリシアで見ると、ひと味違って、感激も増すでしょうね。
by テリー (2015-05-22 18:16)
ギリシアの遺跡というと、けっこうイギリスに取られて(?)大英博物館に展示されていますが、現地で見るとありがたさ、貴重さが増す気がします。
by YAP (2015-05-23 07:10)