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Hiroshima [文化の違い]

原爆投下60周年を記念して昨年BBCが作成し、ZDFでもドイツ語吹き替えで放送されたドキュメンタリー・ドラマ「Hiroshima」のDVDを見た。

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当時の映像や、被爆者や投下したアメリカ兵などのコメントなども挟みながらではあるが、基本的にドラマ仕立てになりすぎていて、当時の日本人はこんなこぎれいな格好はしてなかったよ、というシーンや、いかにも演劇という感じの原爆投下後のシーンに、非常に嫌な気分になった。特に、アメリカ側の、原爆を飛行機に積んで飛び立って落とすまでの様子にかなりのウェイトが置かれていて、妙にドラマチックなのだ。
でも、被爆者の具体的なコメントやアメリカ兵の臨場感ある再現は一見の価値があった。戦勝国イギリスが作成したにもかかわらず「あれは人体実験だった」という被爆者からの批判が述べられているのは、悪くないだろう。投下の瞬間をせっかく生き延びた人々が、その後まもなく当時不可解でなすすべもなかった病気で次々と亡くなっていった様子は、思わず目を背けたくなるほどで、そのあたりまで描かれていたのは評価できると思う。


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ホモと政治家 [文化の違い]

ベルリンで先日議会選挙が行われ、SPD(ドイツ社会民主党)が目標を達成して勝利した。

ちょっと簡単にドイツの政党について説明する。
ドイツの現メルケル首相はCDU(キリスト教民主同盟)で、前のシュレーダー首相はSPDである。2005年9月の解散総選挙でSPDはCDUにわずか4議席で第一党の座を奪われ、SPDのシュレーダーは退陣したのだけど、CDUも単独で政権を担うには議席が足りず、いろいろもめた挙句CDUは他の政党と連立を組むことに失敗し、なんとCDUとSPDの大連立政権が誕生したのであった。だから、首相ポストこそCDUであるけれど、SPDは相当大きな発言権を持ち、政権に参加しているのである。

そんなわけで、首都ベルリンの議会選挙はSPDにとって結構重要だったのだ。

で、SPDを勝利に導いたのは・・・ベルリン市長クラウス・ヴォーヴェライト(SPD)だと言われている。彼はなんだか人気があるようで、ドイツのBild(ビルト)というタブロイド紙にヴォーヴィ(Wowi)という愛称でこんな風に掲載された。


見出しを訳すと、こんな感じ。

ヴォーヴィはホモ初の首相になるかも?

そう、クラウス・ヴォーヴェライトは、ホモなのだ。
ドイツの政治家にはホモが結構いて、ハンブルク市長やFDP(自由民主党)代表の例なんかもたぶんそうだと考えられている、それは、彼らがホモのパートナーを連れて歩いているからだけど、ヴィーヴィは彼らとはちょっと違う。なんといっても彼は、自分がホモであることをハッキリ公言した政治家なのだ。

公言したか、周知の事実かの違いは、やっぱり大きな差らしい。

この写真に載っている二人のうち、こちらを向いているのがヴォーヴィ、横向きなのが彼のパートナーである。SPDの勝利を喜ぶ場面だとか。

そんなわけで、ビルト紙は、女性初の首相になったメルケルに対し、ヴォーヴィがホモ初の首相になるんじゃないか?と書き立てているのだ。

このヴォーヴィという愛称、良識あるドイツ人にしてみたら、こんな言葉を私などが使ってはいけない、という。タブロイドならではの表現で、そんな言葉を口にすると学識あるとはとても思えないからだとか。

しかし、同時に、面白い話を聞いた。このクラウス・ヴォーヴェライトの名前だけど、彼が自分がホモであることを発表して以来、Wowereit(ヴォーヴェライト)を似たような響きのwohl bereit(ヴォールベライト)と揶揄する表現が囁かれているそうだ。
それは、普通は「しっかり十分に準備できている」という意味で使われる表現なのだけど、ここでは「イケル準備が出来ている」という意味。
そしてそれからもう一つ踏み込むと・・・Po bereit(ポーベライト、お尻の準備が出来ている)・・・

全くドイツ人は!


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コミュニケーションの第一歩 [文化の違い]

まず、このマッチの広告から見ていただきたい。


Hasuma Feua? と書かれている。ハスマ フォイア?と読む。

さて、ドイツ語をお分かりの皆さん、どういう意味ですか?
字面から考えてはいけない。音から考えよう。

正式なドイツ語に直すとこうなる。
Hast du mal Feuer?
ハストゥ ドゥ マル フォイアー?と読む。
これを普通の速度で言うと、ハスマ フォイア?になるわけだ。

「火、ある?」という意味のこの言葉、異性と知り合うきっかけに使われる常套句なのだとか。

このマッチの裏には、こう書かれている。


つまりこのマッチは、人と知り合うためのコツを知りたい人に助言とトレーニングを提供するコンサルタントの広告なのだ。Kontaktvoll(コンタクトフォル)は、コンタクトいっぱい、という意味である。ここに表示されているサイトにアクセスすると、いかにもという感じの綺麗なお姉さんの写真が出てくる。あなたならそりゃあ、すぐに声をかけてもらえるでしょう、という感じだ。

ここでFlirttippsがもらえ、Flirtpartyもあり、Flirtkursも開かれているという。つまり、Flirtの助言が受けられ、パーティに参加でき、コースまで開講されているのだ。このFlirtとは何か?

電子辞書には「情事」「浮気」と載っている。おいおい。

もちろんそういう意味もあるが、もっと単純に色気を出して男女が戯れることを意味していて、必ずしも情事や浮気ではないようである。小学館の独和大辞典には、第一の意味として「いちゃつき」が出ているが、これが最も近いだろう。
まあ、カレシ(または彼女)欲しいなあ、と思っているときは、出会った人とちょっといちゃついたりするのが当然であって、そういうことが早々簡単に出来ない人のために助言と訓練を提供するということなのだろう。

しかし、通ってくる人ってどんな人たちなのかしら。ちょっと見てみたい気がする。意外と浮気を求めている人が多かったりして?


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