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現地バルのポートワイン [ポルトガル北部]

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現在、イースター休暇のポルトガル北部旅行記を連載中。

滞在2日目、ポルトの旧市街からドウロ河を渡って反対側のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアという地区へ行った。そこには30を超すポートワイン醸造所が並んでいて、見学ができる。ポルト出身のカレシのいる知り合いに、どのメーカーでも良いから見学することをお薦めする、と言われていたので、早速出かけたのだった。と言っても、見学は試飲付きで、さすがに朝からポートワインを試飲する気にはなれず、午前中から午後にかけて目一杯街歩きをしてから午後遅く橋を渡った。

まず目に入ったのはこちら。橋を渡るとすぐにあるこのKopkeは、ポートワインの中で最も古いメーカーという謳い文句で、しかもドイツ人が創始者だとか。
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その横のレストランは既に満席だった。
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有名なサンデマンの前も人がいっぱい。
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どこにしようか・・・と言いながらずっとまっすぐ進み、ちょっと外れにあるこのメーカーのところまでやってきた。
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フェレイラって、めぎは全然知らなかったけど、ポルトガルでは相当有名な大手。外れにあるけど敷地面積も広い。でも、人がいないわねえ・・・と思って中に入ったら、これから中を見るツアーはポルトガル語のみで、もう英語の見学ツアーはない、と言われてしまった。あららら~
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建物の中はポートワインの香りが充満していて、残念度も増す。入口から見える部分を写真撮ってもいいと言ってくれたので、この大きな樽などを撮影した。
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どうする?明日はギマランイスへ移動だから、朝に寄ってもうちのドイツ人が試飲できないしねえ・・・ポルトには最後にまた戻ってくるので、そのときに再度チャレンジしようか、ということにして、このときは泣く泣くここをあとにした。
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しかし、試飲を楽しみにここまでやってきためぎたちは、すぐに旧市街へ引き返す気にもなれず、近くのバル(バーのこと)に適当に入ってとりあえずポートワインを飲むことにした。表通りにたくさんバルやレストランが並んでいたが、観光客もいっぱいで、そこに座る気にはなれず、ちょっと裏に入ったところにポルトガル人たちがたむろしているバルを見つけ、行ってみた。見たところみんなビールかエスプレッソを飲んでいたので、ここにポートワインあるのかな~と言いつつ入っていき、バーの棚を見渡してみたが、ポートワインは見当たらない。うーん、どうかなあと思いつつ「ポートワインありますか?」と聞くと、「そりゃもちろん!」とあったりまえじゃん!というような声をあげ、冷蔵庫からポートワインを取り出した・・・ああ、そう言えば昨夜のワイン学のプロフェッサーが、ポートワインは冷やして飲む、と言っていたよねえ!どおりで棚などには並べてないはずだわ・・・

・・・と、そのバルの英語のできるお兄さんは、こんな丸く可愛いグラスを取り出し、とくとくとくとく・・・というか、ジャーーーーーッと、なみなみ注いだのだった。
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へえええこんなに?とびっくりしつつ、写真撮っても良い?と聞くと、瓶をこうして置いてくれた。標準的な等級のトウニーのようである。グラスは普通のワイングラスよりは小さいが、日本でよく使われているワイングラスぐらいの大きさというか、そんなに小さいグラスでもない。これ、一杯いくらだと思います?答えは明日。
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めぎたちは飲んでいるうちにその美味しさで、見学できなかったガッカリ感を忘れていった。これ、香りはそんなに無いが、味は十分に美味しい。なんと言っても量がたっぷり♡ 昨日のグラスと全然違うけど、この丸いグラスが一般的なポートワイン用グラスなのかな。可愛くていいわねえ。

めぎたちは外の席に座ったのだが、店の前では子どもたちが遊んでいて、この子どもが特にめぎを珍しがって何度も振り返ってジーーッと見つめていた。ポルトには日本人観光客もいっぱい来ていると思うんだけどな・・・このバルにはあまり来ないのかな。
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めぎが写真撮っているのを見て、バルのお兄さんが、40年物のポートワインもあるよ。写真撮る?と呼んでくれて、あの高い棚の上から・・・
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この瓶を降ろしてくれた。す、凄い年代物ですねえ・・・どうしてラベルがこんなになっちゃったのかなあ。
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お兄さんは、これはね、買うと100ユーロくらいするんだよ~と自慢げに胸を張った。ひぇ~そんな、100ユーロも?とびっくりさせたいかのように。100ユーロなんてお酒1本のために払ったりは絶対しないというのが暗黙の前提であるかのように。そんな額持ってないだろ、これはうちの秘宝なんだぜ、とでも言いたいかのように。いや、もっと端的に言えば、ちょっと飛躍過ぎるかも知れないけど、一桁多く1000ユーロもするんだよ、と言われたかのような響きだった(日本円で言い換えると、1万円もするんだよ、と言ったのが、10万円もするんだよ、という響きで言われたような感覚)。このお兄さんとのやりとりで、ここの物価というか、価値観が垣間見えた。

前日夜のワイン学のバルの洗練された雰囲気&99ユーロのトウニーの魅惑的な美味しさと対照的な、この洗濯物を干してあるバルの日常の雰囲気&グラスに溢れんばかりになみなみと注ぐトウニーの大満足な美味しさ・・・めぎ家の本当のポートワイン修行の旅が始まった。
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撮影: D600 + 20mm(F1.8)
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ポートワインのお値段あれこれ [ポルトガル北部]

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現在、イースター休暇中のポルトガル北部旅行記を連載中。

ポートワインの原料となる葡萄はドウロ河流域のこんな葡萄棚で栽培されている。
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緑が綺麗だが、それは地面の草の色。
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3月後半、葡萄はまだ芽も出していなかった。
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新たに葡萄棚を作っているところも多く見かけた。
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先日から書いているように、今回の旅のテーマは、ここで穫れた葡萄から作られたポートワイン。滞在最初の2日間にポートワインの魔の世界に片足を突っ込み、そのまま北部一週の旅に出ためぎ家は、3日目の夜に泊まったギマランイスのポサーダという修道院を改築したホテルで、初めてホワイトにも手を伸ばした・・・例のワイン学のお店のプロフェッサーが、ホワイトは食前酒として飲む、と言っていたので、ポサーダのレストランで食前酒は?と聞かれたとき即オーダー。これ、一杯4ユーロくらい。
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そのとき、あれ?と思ったのが、レストランでオーダーしたのに運んできたのはバルのおじさんだったこと。その後食事中にオーダーしたワインはレストランの人が給仕してくれたのだが、最後に食後酒としてオーダーしたときも、バルでお飲みになりますか?と聞かれ、いえ、ここで、と言ったらやっぱりバルのおじさんがポートワインを運んできた。
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↑これはたしか、うちのドイツ人が10年物トウニーを頼んで13ユーロくらい、めぎはレイト・ボトルド・ヴィンテージのルビーを頼んで9ユーロくらいだった。

もしかしてポートワインって、どこのレストランでも置いているけど、基本的にはバルで飲むものなんじゃない?ということになって、グラスを持ってバルへ移動。
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ポサーダのバルはシック。
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良いのを並べて飾ってるし。
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ポサーダは高級なので、たぶんこれがポートワイン一杯の値段の上限かと思う。もちろんもっと良いのを頼めばもっと高いだろうが、そこそこのでも食前酒と食後酒二人分で30ユーロくらい(4千円弱)だと言うことだ。東京の高級バーで飲むと考えれば破格。日本からポサーダを泊まり歩くツアーなどがあるというのも頷ける。

数日後、それより格の低そうな、でもそこそこのリゾートホテルらしかったPóvoa do Varzimという町の海辺のホテルのバーでは、食前酒のホワイトが一杯2.7ユーロくらいだった記憶。
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写真を撮っていないが、そのバーで食後酒に飲んだ20年物のトウニーは一杯6.8ユーロくらいだったと思う。普通のトウニーは3ユーロくらいだったかな。ずいぶん良心的な価格設定のホテルだね、と言いながら飲んだのだった。

それからこれは入っていないところだが、ポルトのポートワイン工場の並ぶヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアのレストランの一つ。
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飲み物の値段の表示を拡大してみると・・・普通のトウニーやルビーやホワイトは2.5ユーロ、LBV(レイト・ボトルド・ヴィンテージ)は4ユーロ、10年物トウニーは4.5ユーロ、20年物トウニーは8.5ユーロと書かれている。ちなみにこの上の赤い表示のソフトドリンクのところにはコーヒーが60セント(75円!)と出ていて、それはどこのカフェでもだいたいそうだったから、ポートワインの値段もここの値段が相場なのかな、と思う。ドイツではカフェでコーヒーを頼んでも2.5ユーロはするのだから、ずいぶん物価が低い。ここはポルト観光の目玉の地域だし、ポルトの観光客向けレストランで飲んだ場合、このくらいの値段なのだろうな。
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しかし、昨日ご紹介したこのバルのこのトウニー一杯のお値段は・・・
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1ユーロだった。(日本円で125円。)

その後の旅先で、いつもどうってことのないバルへ食前酒にホワイトを飲みに行き・・・(次の2枚は2口くらい飲んでからの撮影)
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別のレストランで食事してから再びバルへ行ってトウニーを飲んだのだが・・・(このように、常になみなみで溢れそう)
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いずれも一杯1ユーロだった。

入ったバルというのは外見はこんな感じの、決してお洒落でも素敵でもなく、ポルトガルまで来てこんなどうでもいい店に入るの?と言いたくなるような、例えばこんなところ。
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中はキオスクのようにスナック菓子なども置いてあり、頼めばパンにハムかチーズをささっと簡単に挟んで出してくれたりもし、時間帯によっては読み散らかした新聞などで結構ぐちゃぐちゃしてて、極めて庶民的。決して観光客向けではなく、地元の人が(例えば大工さんとか道路工事の人とか消防の人とかが作業着のままで)仕事の合間にちらっとコーヒーを飲みに来たり(そういう人はカウンターでさくっと飲んでさくっと消えた)、ビールを引っかけに来たりするところ。
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しかし、そういうところでは常に1ユーロでこんなになみなみ飲めるのだった。この丸い可愛い形の小さめのグラスは1ユーロトウニー用なのかな・・・香りを楽しむのではなく、美味しいお酒をたっぷり飲もうという感じ。結構な量なのに、後にも残らない不思議なお酒。
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田舎の普通のバルでは、ポートワインと言えばトウニーのことで、トウニーと言っても通じなかったり、ルビーなんて全く無かったり。ホワイトはどこにでもあった。10年物トウニーをおいているところもあったが、それ以上の等級のは無かった。まあ、ポサーダや高級ホテルのバーに泊まれば田舎でも何でもあるんだろうけれど。

この国の少なくとも北部の地域では、ポートワインのホワイトとトウニーが日常に溶け込んでいるのだな。誰でも払える1ユーロでこんなにたっぷり飲める日常がここにある。ヴィンテージだの30年物だの良い香りと魅惑的な味わいを楽しむお値段の際限のない高級でお洒落な世界と背中合わせのこの日常。文化というのはこういうものなのかも知れない。
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ポートワインの蘊蓄を知ってあれこれ試したり語ったり味わったりするのはとても楽しい。しかし、そういうバルには外国人観光客しかいない。この日常の、地元の普通の人々のポートワイン文化はめぎの心にずっとずっと深く共鳴し、非常に味わい深かった。

撮影: Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)、D600 + 20mm(F1.8)
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ポートワイン醸造の場を見学 [ポルトガル北部]

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今日からまたポートワインのお話を。

4日間ほどかけてぐるりとポルトガル北部をまわってきたあと、またポルトに戻ってきためぎたちは、最初に見損ねたポートワインの工場見学をすることにした。工場と言っても、葡萄はドウロ河流域で葡萄液にされたはずだし、ここは運ばれてきた葡萄液を調合して樽で熟成している場所。その倉庫を見るという感じだろうか。
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入ったところにあるこの写真がとても印象的。
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先日ここまでしか入れなかったところで、英語の見学ツアーが始まるのを待つ。
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↑この机は、20世紀初頭にポルトガルの最後の王様マヌエル二世がこのフェレイラを訪ねたときに使用したものなのだそうだが、このポルトガル王の名前、凄く長い。Manuel Maria Filipe Carlos... と始まり、2行にわたってて、最後の最後にe Saxe-Coburgo-Gothaだって・・・あらま、最後のポルトガル王って、ドイツのザクセンのゴータの分家だったのね。
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光って 見えにくいけど、英語はこちら。
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さて、見学ツアーが始まった。最初に通された部屋でポートワインの概要を聞く。あのワイン学のお店のプロフェッサーの言っていたことの繰り返しだが、おかげで良い復習に。さらにここフェレイラというメーカーの歴史なども。説明を受けた部屋にあった写真が興味深かった。
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このお方がポートワインにとってもこのフェレイラにとっても伝説的な女性Dona Antonia Ferreiraさん。19世紀ポルトガルで女性でありながら素晴らしい経営手腕でポートワイン生産を発展させた人なのだとか。あら、なんだかあの「あさが来た」と似たようなオハナシ・・・どこの国にも凄腕女性っていたのね。
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ここで説明を聞かなければ気がつかなかったこと・・・それは、この床の石畳のように見えるのが、実は木なのだということ。湿気を調節し、樽が万一転がっても壊れにくいようになのだとか。
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さて、次の説明の場所へ・・・いよいよ奥へ入れるわ~♪
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まあ、どこまで行っても樽・樽・樽・樽・・・で、特に作業している様子が見られる訳じゃなかったのだけど。
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大きな樽はトウニーとルビーの最初の熟成に使われ、その後、ルビーのレイト・ボトルド・ヴィンテージになることになった分はそのままこの大きな樽で4~6年後のボトル詰めまで熟成され・・・
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トウニーになることになった分は小さな樽に詰め替えられるのだとか。
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そうか、どおりでトウニーは古い木の匂いがするはずだわね。

それから使われる道具やらの展示を見て、一旦外に出て・・・
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試飲のお時間に。
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試飲と言っても、ホワイトとトウニーの2種類のみ。トウニーは最もお安い普通のトウニー。これはたった6ユーロの見学ツアーなので、まあそんなものよね。みんなで記念撮影している若者グループなどもあちこち見かけたけど、めぎ家はもうここまでにいろんなポートワインを飲んですっかり舌が肥えていたので、これはさくっと飲み干して別の部屋のワインショップの方へ移動。
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そのワインショップの方は、一通り見たけどどうもピンと来なかった。
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で、とっても古い1815年ヴィンテージのお顔を拝んで・・・
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このシックなショップをあとにした。
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さて、これからどうしようか・・・
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もう一回つづく。

撮影: D600 + 20mm(F1.8)
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