サウンドオブミュージックのあの墓地 [ザルツブルク]

現在、夏のザルツブルクの話を連載中。
昨日ご紹介した聖ペーター教会は、なんと言ってもその墓地が有名。

花も公園のように手入れされて綺麗だが・・・

墓石の代わりの鉄細工が見事。

石を使っているお墓は少ない。ザルツブルクは鉄細工が非常に素晴らしいという印象を受けた。お墓に限らず看板や門などにも多用されていて、それも無機質なただの鉄棒ではなく美しく細工されているのだ。

ほら、ここも。綺麗な曲線に仕上げてある。

映画のガシャガシャッという音が響き渡るあの緊迫した場面を思い出すわね。

子どもの頃サウンドオブミュージックを見ながら、教会内のお墓にどうしてあんな鉄の檻みたいなところがあるのかな、と疑問に感じたものだった。由緒ある方々のお墓なのね、と気がついたのはある程度大きくなってからだった。実際のここは中も区画されていて、鍵を持っている人でも隣のお墓にはよじ上らない限り入り込めないようになっていた。

そして、実際のここは後ろに身を隠せるような大きな墓石はない。あれはこの墓地からヒントを得て作られたセットだという話は、結構有名みたいね。

地面に棺を入れるのかな。それとも骨壺を入れるのかな。その上に綺麗な鉢植えが飾られていた。

絵や石の彫刻のプレートなどは壁に掛けられたり作り付けられたりしてて、後ろには全くスペースがなかった。

この墓地の裏側には教会関係者の住居か事務所のようだった。大きくて古い立派な木の扉が開いていたので中をちょっと覗いてみると・・・

郵便受けやゴミバケツがあった。そして、すぐ裏は岩山なのだが、そこへ入る古い入り口もあった。あの奥もまだ使われているのだろうか。

色々と奥の深そうなところだった。

この後この教会の奥深いところへさらに潜入したのだが、その話はまた明日。

思えば、この日ちょっと曇りがちで時折写真がくすんでしまったし、V3しか持っていなかったので、そのうちに綺麗に晴れたら夕方にでもD600を持ってもう一度撮影に来ようと思っていたのだが、その後結局機会の無いまま終わってしまった。曇りの日に行っても同じことの繰り返しだし、晴れると暑くてめんどくさくなってしまったのだ。今回の旅は音楽祭と研修がメインだったので撮影は二の次になったというのもあるが、長期滞在すると、また機会あるだろう・・・と後回しにして気分がだらけるし、結局はそんな機会はなかったということも多い。その点、短く忙しい移動の旅なら、このときしかないという切迫感で必死にチャンスを狙うから、意外に良い写真が残るような気がする。
ただ、めぎは時間的余裕が十分にあったので、ここで人がいなくなるのを根気よく待って写すことはできた。実際はここにはうんざりするほど人がいたのだ。長期で撮影メインの旅をすれば、まずは下見をし、光の当たり具合や人のいない時間などを確認して撮影計画を練ることができるだろう。そういうこともいつかしてみようかな、とあとから写真を整理しながらちょっと憧れているところである。
♪ おまけ ♪
この聖ペーター教会の墓地を出ると、その裏には城塞が見える。そして、城塞へ登るケーブルカーも。

そして、そこには水車がごとごとと勢いよく回っていて・・・

ザルツブルクで最も古いパン屋があった。昔ながらの薪オーブンで焼いたパンを売っている。今もあの水車で粉を挽いているのかしら。

中に入ってみたが、パンを買う人の行列ができていたし、既にマルクトでパンを購入済みだったので、またそのうちに買いに来ようとここをあとにした。研修場所に近かったので、18日間に機会はいくらでもあるだろうと思ったのだ。しかしその後、マルクトのパンが思いの外美味しかったし、そしてこの最古のパン屋さんはちょっと回り道になる場所にあったので、と言ってもたいして遠くもないのだがそのほんのちょこっとの回り道が暑くてめんどくさくなったので、結局一度も買わずに終わってしまった。写真と同様これもまた、いずれの機会の楽しみとしよう。
撮影: Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
カタコンベ [ザルツブルク]

現在、夏のザルツブルクの話を連載中。
聖ペーター教会の墓地の裏には、こんな入り口があった。

入場料は2ユーロ。めぎはザルツブルクカードでピッとさくっと。
ここは裏の岩山の中。岩をくり抜いて作った階段をひたすら昇る。

階段はこんな感じ。掘った岩がむき出しだったり、別の石でちょっと化粧したようなところがあったり。

階段を昇るとこんな空間に出た。これも岩の中だ。

この岩の洞窟に隠れてかつてのザルツブルクのキリスト教徒は聖なる秘密の儀式をしたらしい。Iuvavumというのはザルツブルクの古代ローマ名。

こんな硬い岩をくり抜いて祈祷のための隠れ場所を作るなんて、宗教の力って凄いなあ・・・それは何も昔に限らず、人々がどんなに貧しくても宗教施設だけは新しくて立派な宗教もあるし、100年以上もかけて巨大な聖堂を造る宗教もあるし、ほんの数十年おきに社殿をそっくりそのまま隣に建て直すことを千年以上も続けている宗教もあるし、ほんと、凄いエネルギーよね。
12世紀頃作られた初期キリスト教徒のための礼拝堂。

とても暗かったので、ハッキリ言えばこの場では何が何だか。ゴーストも写り込んでしまったけど、そんなこと気にしてはいられない。D600を持ってくればよかったな・・・と思いつつ換算50mm単焦点をつけたV3で頑張って撮影。広角が欲しかったな・・・このアーチみたいなところにはかつては祭壇があったのだろうか。この古い木製のベンチはさすがに12世紀のものではないだろうけれど。


あとでWikipediaで明るい写真を発見。こういう部屋だったのだ。

こんなハッキリとした良い写真を見つけると、フルサイズでも持っていかない限り自分で写す意味なんて無いような気がするわねえ。D600を持っていっても三脚無しにはここまで良い写真になったかどうか疑問だし。まあ趣味だから自分の楽しみにはいいけど、こうしてブログに載せる意味なんてあるかしら、とちょっと思ってしまった。
さてさて・・・もう一つ別の部屋も。そこにはこんなのがあった。

ああ、広角が欲しい・・・あの20mm単焦点はこういうときにこそ使えるはずなのよね。


同じくWikipediaから。なんてくっきり・・・きっと明るいレンズと三脚で写したのね。

岩には所々に小さな穴が開いていて、外の光が入るようになっていた(それでも相当に暗かったけど)。外を覗き見ると、本当に岩山の中にいるというのがよく分かる。


上には城塞が見え・・・

向こうには大聖堂などが見え・・・

そして上の写真の右端、下の写真の左端に写っている最も近く非常に古そうな小さな礼拝堂は、マルガレーテ礼拝堂。その昔7~8世紀頃聖ルペルトゥスがここに聖ペーター教会の元である修道院を作ったときに建てた礼拝堂の跡に何度か建て替えられ、15世紀終わり頃に聖マルガレーテが改装してその名がつけられたらしい。そんな話は帰ってきてから写真を見てこの古い教会は何だっけ?と調べてから分かったことで、つまりここの中は見なかった・・・またいつの日か行ってみよう。

下には墓地が綺麗に見下ろせた。

2ユーロで見る価値は十分にあるところだった。

ところで、入り口にはワンちゃん連れが、中を見学に行った連れをそれぞれ待っていた。墓地にはワンちゃんを連れて入れるが、カタコンベの中はダメで、ワンちゃんをここに繋いで飼い主が中に入ってしまうのもダメだそうで、彼女たちはここで連れを待っていたのだ。こんな観光地の狭いところでワンちゃんを繋いで置きっぱなしがダメなのは当然じゃない?と思うが、この女性たちは相当に食い下がっていた。入口の担当の若い男性が、ぼくはただの学生バイトで、規則を守らなければぼくが叱られるんです、どうぞご理解を、と繰り返していたのが印象的だった。しかもこの小さなワンちゃんの方がぎゃんぎゃん吠えて・・・うーん・・・というのに気をとられちゃって、この入り口の辺りにモーツァルトの姉ナンネルのお墓があったはずなのに、すっかり見忘れてしまったわ。

撮影: Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)
大聖堂のオルガン [ザルツブルク]

現在、夏のザルツブルクの話を連載中。全18日間のまだ2日目。
聖ペーター教会と墓地とカタコンベを堪能し、3時頃になった。そのあと、岩山の中から見えたすぐ近くの大聖堂へ行ってみることにした。左の白い2つの塔の部分がファサードで、そこからつながる真ん中の灰色のずんぐりした塔のところまでが大聖堂。

中に入ると、これまた聖ペーター教会に負けず劣らずゴージャス。

そういえばここでモーツァルトが洗礼を受けたという話だけど、洗礼盤を写すの忘れちゃったな・・・

もともとは774年に創建され、その後何度か建て直されて、今のは17世紀のバロック様式。華やか~



ここには全部で5つのパイプオルガンがある。このとき、この入り口上のオルガンの音が鳴り響いていた。練習かしら・・・

大聖堂の地下にも入ることができるのだが、入っていくと、幽霊が出た!

可愛い幽霊さんたち♪ この大聖堂、サービス満点だなあ・・・

大聖堂の見学は無料。
その後、ザルツブルクカードを使って大聖堂博物館も見られるドームクオーターを見学することにした。それは大聖堂とレジデンツとギャラリーがつながった建物のコンビチケットで、カードがなければ12ユーロ。大司教の住まいだったレジデンツ、歴代の大司教が集めた絵画のギャラリー、そして大聖堂とその財宝がオーディオガイド付きで見られる。そのオーディオガイドが予想以上に良かった。大司教の玉座とか、モーツァルトが演奏した広間とか、大司教が雨でも濡れずにレジデンツから大聖堂へ移動できたという通路とか、詳しい解説をじっくり聞きながらゆっくり堪能し(レジデンツやギャラリー、博物館の中は撮影していない)、大聖堂へ辿り着くと・・・おお!

そして、そこにはオルガンを弾いている人が!!

練習なのか、レッスンなのか、定かではない。この女性が先生なのか、譜めくりの人なのかも不明。

ドームクオーター見学者はこんな風に目の前で弾く様子を見たり、轟くような音色を聞きながら大聖堂を見下ろしたりしていた。

めぎもしばらく音色を聞きながら人々の様子を眺めたり・・・

天井や窓近くの絵や細工を写したりしていた。


すると突然演奏が止み、二人はささっと片付けて消えていった。曲や練習やレッスンが終わったと言うよりは、時間切れのようだった。

時計をみると、5時。同時にドームクオーターの見学時間も終了。あらら。たぶんどこか一部見られずに終わった気もするが、約2時間解説を聞いてしっかり見学し、6千本ものパイプでできているという大きなオルガンの音も堪能し、充分満足。

2日目の話はまだまだつづく
撮影: Nikon 1 V3 + 18.5mm(F1.8)