老舗旅館のおもてなし [2010年夏 日本の旅]
現在7月下旬の会津若松の温泉旅行の話を連載中。
庭園から建物への橋渡し。
お部屋はもちろん純和室。
先日も書いたように良心的価格なので、窓からの景色は拘らず。
ここに来る前がお値段見合いの民宿住まいだったので、いろんな細々としたことが極楽のように感じた。
館内を探検すると、従業員の方々の笑顔と挨拶がとても清々しい。
なにやらお客さんの対応や部屋割りなどについて真剣に打ち合わせしていたお二人。旅館業は大変なんだろうなあ・・・ドイツ人たちはこの着物女性の美しさに釘付けだった。
ここはお風呂が三カ所もあって、どこに行くか迷っちゃう。
あくまでも和式に拘り、シャワーのない昔ながらの温泉浴を楽しんだめぎだった。ちょっと熱くてドイツ人たちは大変そうだったけど。日本人には43℃でもOKだけど、ドイツ人の入浴温度は36~38℃くらいが普通。
そして、お風呂のあとはお待ちかねのお食事♪ 二部屋に別れているめぎたちのために、別室に食事用の部屋を用意くださったところがさすが老舗旅館。
会津ならではの鯉のたたきや・・・
郷土料理のこづゆや磐梯鱒が上品なお味で・・・
写真はないけど鯉の甘煮が驚きの美味しさだった。鱒と言えばシューベルトの作品があるように、ヨーロッパでは極めてよく知られたメジャーな魚だし、鯉と言えばヨーロッパの一部の地方では大晦日に食べる典型的な魚であって、それほどよく食べる物じゃないとは言えドイツ人ならたいてい誰でもその姿形を知っている。その知っているはずの魚が、まるで見たことも味わったこともない料理で出され、しかも非常に美味しく、ドイツ人たちは驚きと感動の連続であった。特に、鯉の甘煮は、その甘辛く醤油で煮付けた味がドイツ人ウケするようで、大絶賛だった。
そうそう、浴衣で食事というのもドイツ人にとってはバスローブで食事するイメージで最初はどうにもこうにも居心地悪く感じたようだった。夕食前に一風呂浴びて、というのも友人の女性の方が日本滞在当初はなかなか受け入れがたかったようだった。まあ、女性は化粧もあるし(めぎは化粧しないからお風呂前もあとも全く同じ顔だけど♪)、バスローブ姿でフルコースの食事なんてヨーロッパ的にはあり得ないから、その違和感は相当なものだったのだろう。でも、次第に慣れてきて、この老舗旅館に着いた頃にはすっかりその習慣に親しんでいた。それでもやっぱり座るのは大変で、お膳の前に足をたてて座っちゃうような状態だったから、最初男性だけにお隠し用のバスタオルを持ってきてくださった仲居さんが、女性の分まで持ってきてくださった・・・しかも、彼女を傷つけないように私の分も持ってきてくださったのが、さすがだなあと感じた(あ、めぎもお行儀悪かったからかも知れないけど♪)。
一つ一つの料理に関し食材から料理法から全部説明を求められるところがめぎ的にはやっぱり大変で、黙って食べて~めぎも食事をゆっくり味わいたいよ~と思ったこともあったけど。添乗員さんって大変ね。でもまあ添乗員さんは仕事だからお金をもらうわけだけど、めぎは全くのボランティアだったからねえ・・・
そして、朝の清々しい空気とともに・・・
これまた素晴らしく美味しい朝食を堪能したのだった。
ドイツ人たちに、お高いけれども本物の日本のおもてなしの有様を体験してもらえて本当によかった。ちなみに温泉宿には今回ここだけじゃなく青森、秋田、群馬等々で泊まり歩き、御殿場でも温泉ホテルに泊まったし、日本の温泉文化については様々な角度から様々なレベルで(お安いのや古いのや新しいのや伝統的なのや家族連れ向けの等々)経験してもらった。今回の日本の旅のテーマは、めぎ的に勝手に温泉ツアーと題していたから♪ またそのうちに別の温泉についてもご紹介する予定。今回のは見てて安心の至れり尽くせり老舗旅館の巻だけど、日本には様々な温泉がいっぱい。ホント、知らないこといっぱいあったわ。
この、庭園と室内とをつなぐ架け橋の空間、何度見ても素晴らしかったな。
あ、この温泉のお話はまだ終わりじゃないの。明日へつづく。
表玄関側 [2010年夏 日本の旅]
現在、7月下旬に泊まった会津若松の東山温泉の向瀧の話を連載中。
朝、庭園を散策してたら、こんな光景を見かけた。
お布団を干す・・・ああ、いいなあ♪ ドイツにはお布団も洗濯物も天日で干す習慣がない。ここのお布団があんなに気持ちよかったのは、このおかげだったのね。
チェックアウトしてからもしばらく色々探検。あ、昔はこんな感じだったのね。
今はずいぶんゴージャスね。
おお!大正時代!明治時代!!
今はこんな感じ。
ええと・・・めぎたちのお部屋は・・・あそこ!建物中央の三角屋根が三つ重なっているところの一番手前。
寝ている間中聞こえていた水の流れはこれだったのね。
タクシーを待ちながら、ちょっとまわりを散策。7月下旬から準備中だったお盆祭り、どうだったのかな。
色々見てたら、発祥の地の立て札が!
ふむふむ・・・
どれどれ、どんなところかしら・・・と、こんなところを降りていくと、囲われてました~
めぎもちょっと足をつけてみた・・・ホントだ、温泉だわ♪
行基さんや土方さんもこの流れを聞きながら入ったのかしら。
そして戻ってきたら、旅館の前にちょうどこの車が来ていた。なるほど、こうやってお客さんたちが出発したあとに次のお客さんたちのための準備をしてるのね。
せせらぎの音が真夏の陽射しの下で心地よかった。
素敵なおもてなし、ありがとう。いつまでもこの素敵な旅館のままでいてね。さようなら。
この後タクシーでめぎたちは会津若松駅近くの小さな素泊まり宿に居を移し、友人の案内で会津若松観光をしたのだった。そのお話はまた明日。
会津若松 [2010年夏 日本の旅]
現在、7月下旬の会津若松の旅を連載中。
東山温泉を出ためぎたちは、会津若松の駅近くでめぎの友人と落ち合い、会津若松を案内してもらった。ドイツ人たちの希望もあって、まず訪れたのはこちら。
白木屋漆器店という会津塗りのお店。
ここはショップだけじゃなくて、会津塗りの工程の説明や工芸品の展示などがとても充実したところ。無料でこれだけの展示があるとは素晴らしい。漆器がどうやって作られるのか、その材料から方法まで詳しく説明されていて、ドイツ人たちはひたすら感心して写真撮りまくっていた・・・この説明を訳すのはなかなかに大変だった。材料の名前とか、知らない言葉がいっぱい。日本語でもそれが何なのか知らなかったりして。
ここの漆器は栃を使っているそうで、ドイツ人はあのマロニエを思い出して「おお!あの木がこの漆器に!」と頻りに感心していた。温泉旅館の食事に出てきた鯉や鱒もそうだが、ヨーロッパでメジャーなよく知っているものと一万キロ離れた異国の文化とが結びつくと、相当な感動を覚えるらしい。うん、たしかにめぎも、鰻がごろごろぶつ切りになってスープに入っているのを見たときには、あの鰻がねえ・・・と頻りに感心したっけ。
会津塗りをゆっくり見学してその繊細さに感激したドイツ人たちは、ぜひ記念に何か持ち帰りたいとゆっくりお買い物。そこでめぎも思い出にあの赤い牛さんを買ったの。
そのあとは、ちょっとブラブラ街歩き。と言っても相当暑かったのでホンのちょこっとだけど。
駐車場の片隅にこんな小さな鳥居とお社があったりして、ああ日本だなあ・・・としみじみ。
高校生たちの雰囲気が東京とちょっと違う。なんというか、ずっと生き生きしている感じ。夏休み中のはずなのにどうして制服着て学校行くの?という問いは何度もドイツ人たちから発せられてきたけれど、この生徒たちの楽しげな様子に「学校=自由がない=つまらない」という短絡的な図式は当てはまらず、ドイツ人たちも「日本には日本の生活様式がある」と感じ始めたようだった。
そうそう、先日の「日本ならではのもの」の記事で制服についての印象はどうだったか、というコメントがあったが、ドイツ人たちは予め日本には制服があるということを知識として知っていたので、制服自体には特に何も言わなかった。ただ、高校生たちは、実際に高校に通って制服に準じた格好をするというのを体験した際に、服装の色などはさておき、ピアスや指輪やネックレスを外さなければならないことに非常にびっくりしていた。両親や祖父母にもらったお守りのようなネックレスを取れと言われて心外でもあったようだった。
次に訪れたのはこちら。
美味しい水が命のお酒。この水は自由に汲んでいいのだそう。ペットボトル持って汲みに来ている人を見かけた。
中は案内ツアーで見学できる。
かなり専門的な説明をしてくれる。
お酒に使うお米と普通のお米との違いはなかなか興味深かった。
昔の製法は、昔のワインの製法をちょっと思い起こさせてくれる・・・お酒造りってどこか共通するものがあるわね。
締めくくりはここの主人の昔の住まいなのだけど、さすが会津、野口英世の書などもあった。
ちなみにご主人の今のお住まいはあちらなんですって。
30分の見学コースだとのことだったが、説明を通訳してさらにドイツ人たちに質問されてまた通訳して・・・を繰り返していたらなんと一時間もかかってしまった。親切に説明してくれたお兄さん、本当にありがとう。あとからこの見学コースが無料だったということを知り、日本の素晴らしいサービスに感動しためぎだった。もちろんだからこそやっぱりここでお酒をお土産に買ってしまうからくりなんだけど。でも、あの素晴らしい見学コースはお酒3本分に値したと思うわ。
以上、会津漆器と日本酒の無料見学と買い物をじっくり堪能したドイツ人たちはへとへとに。それもそのはず、もう3時過ぎ。いくら朝ごはんが温泉宿の素晴らしい量と質でおなかいっぱいになっていたとは言え、さすがにおなか空いた~そこで、友人は車で移動してここへお蕎麦を食べに連れて行ってくれた。
さっぱりしたお蕎麦、美味しかったな♪
めぎはここの神棚とか・・・
とっても魅力的なこんなものに目が惹かれたりしたのだが・・・
ドイツ人たちはこの後ぜひお昼寝したいと所望し、宿へ退散、めぎのみ友人とこちらへ。
野口英世の記念館。ここの一階でまったりお茶したあと(ようやく通訳から解放されためぎはどっぷり疲れててたいした話もできず友人に申し訳なかった・・・)、二階の展示室へ。残念ながら今回は猪苗代湖へ足を伸ばす時間がなかったが、いつかまたぜひ来て、生家を見学してみたいな。
磐梯山や裏磐梯、喜多方など、この近くにも見所いっぱい。でも、もう時間切れ。会津若松を手際よく、またドイツ人たちの希望に合わせて臨機応変に案内してくれた友人のあたたかいサポートに感謝。