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エディペ・・・オイディプス王のオペラ [2019年夏 ザルツブルク]

現在、この夏のザルツブルクの話を連載中。

8月14日の夜は、オペラ。先日初演だったエディペというオペラで、それに合わせて演出家が祝祭劇場の外にもそのモチーフのアートを公開。
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幕間にいつものところからいつもの風景を。
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この景色を見下ろすのもあともう一回。と言ってもその最後の日は写さなかったので、こうやって撮ったのはこの日が最後。
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エディペというのはオイディプス王のことである。エディプス王という訳もある。ヨーロッパは言語によって同じ名前を違う言い方をするのだ(例えばフランス語のルイ○世はドイツ語ではルートヴィッヒ○世となる)。このギリシャ悲劇のオイディプス王をモチーフにしたオペラは複数あって、日本ではたぶんストラヴィンスキーのが最も有名ではないかと思う。めぎたちが今回見たのはジョルジェ・エネスクという作曲家の作品で、Achim Freyer(アーヒム・フライアー)の演出が話題になっていた。うちのドイツ人は、昔80年台にFreyerがハンブルク国立オペラ座で魔笛の演出をやった時に一緒に仕事をしたことがあって、その印象が鮮明に残っててぜひこれを見たいということでチケットを取ったもの。

オペラとしては、もちろん主役のオイディプス王の歌は重要なのだが、それ以外は聞かせどころとかが特にあるわけではなく、ソプラノ歌手などは添え物のような感じ。これは作品で歌はその構成物の一つという位置づけで、舞台を見るのが非常に面白かった。そういう意味で、歌や歌手に興味のある人には向かない感じ。音楽と舞台を楽しむというスタンスの人にはとてもエキサイティング。
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うちのドイツ人の昔のハンブルクでの魔笛の記憶と同様、光と色の演出が印象的だった。これもフェルゼンライトシューレでの公演だったが、先日のイドメネオよりずっとこの特殊なホールを色々と使い尽くそうと試みていた。こうじゃなきゃ、ここを使う意味がないのよね・・・
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とにもかくにも、このオペラが今回のオペラ鑑賞の中で最後に見たオペラだったのだが、満足の行く演奏と内容と演出でホント良かったわ。あとはコンサート一つのみ。

次の日の朝、このアートをもう少し撮影。
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うんうん、舞台はこんな感じに色とりどりだったわ。
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オイディプス王は、長いあいだ自分の出生の秘密と呪いを知らなかった・・・つまり心が盲目で何も真実が見えていなかったのだが、出生を知って真実が見えた瞬間に自分の犯した罪を知って自ら目を潰して処罰する・・・つまり盲目となる、というお話。なので、こうして目隠ししているのだ。
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神話って、人間の真実を突いている。めぎにも見えていないことがいっぱいあるんだろうな。でも、それを自覚することこそが開眼の第一歩よね。めぎは自分の目を潰したりはしないけど、それは、私はまだまだ何もわからないから。わかった頃には自然と目が閉じるのだろうな・・・いつその日が来るかわからないけれど。
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