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8月2日の午後 [2019年夏 ザルツブルク]

現在、旅の途中で旅の話を連載中。

話は8月2日の午後。この日音楽祭を見に行く予定はなく、同時開催の別のものを見に行こうと思ていたのだけど、雲行きが怪しくなってきた。
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直前に雨になってやめようかとも思ったが、その雨がまたギリギリになって小降りになったので、えいっと気合を入れて出かけた。行った先は、一応音楽祭の正規のプログラムなのだけど無料の公演。子供のためのオペラ・キャンプの発表会なのだ。数日間そのキャンプに参加した子供たちのオペラ演劇(子供たちはオーケストラと合唱と演劇をし、主役のオペラ歌手だけ本物のプロが担当)は、とても素晴らしかった。全員がオケも合唱も演劇も全部うまく交互に担当してて、コンサートマスターの男の子が演劇に回ったりなどするのだが、誰が今どの役をやっているか一目でわかるように衣装がうまく工夫されてて面白かったし、合唱はもともとのオペラ通りイタリア語なのだけど演劇部分はその子供たちのお国の言葉で話すので英語やフランス語やスペイン語などが飛び交い、それでも会話になっていて非常に楽しめた。一般には全く知られていない「メデア」というオペラをきちんと解釈してやっていて、なんて素晴らしい催しなのだろうと感心してしまった。
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こういうのが日本にもあるべきだよなあ…ホント、ショパンばっかり弾いてないで、こういうのを企画して子供たちに本当のクラシック音楽やオペラを広めていく人は日本に出てこないのかしら。本場で修業したという先生たちも、自分探ししている大人に教える暇があったら、未来の子供たちのためにこういうことしてほしいよなあ…別にオペラに限らず、能でも歌舞伎でもいいんだけど。夏休みに塾に通って受験勉強しているより、こういうのに参加したら、どんなに教養が深まるかしれないのにな。と言うか、こういう夏休みを過ごしていたら、後で自分探しなどしないで済むかもしれないのにな。

16時から1時間で終わり、その後次の無料公演へ。まずはこの橋を渡って新市街の方へ。
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いつも人がいっぱいの橋。あの鍵も今も盛況の模様。
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橋を渡ってちょっと行ったところにある屋台のボスナ(バルカン風ソーセージパン)をつまんで時間をつぶし、18時からの公演先へ。モーツァルテウムのウィーン・ザールである。
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…と思ったら、ワンちゃんを連れた人が入っていった!
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先生なのか、職員なのか…ドイツでも大学に犬を連れてくる職員や学生がいるけど、ここでもなのね。
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聞きに来たのは、音楽祭と同時開催されているモーツァルテウム音楽大学のサマーアカデミー受講生たちのコンサート。9人の若者たちのピアノやバイオリンの演奏を聴いたのだが、うわわ、アマチュアですねえ…でも、数人は、これは将来きっと活躍するんじゃないかなと思える人たちがいた。若者たちの将来に期待。そうそう、その9名の内訳は、イタリア人(男)、リトアニア人(男)、イギリス人(女)、トルコ人(女)、韓国人(男)、中国人(男2名)、日本人(男女1名ずつ)で、男の子が多かったことになんだか感銘を受けた。音楽って、女の子だけの習い事じゃないのよね…見ている人たちも韓国人と中国人の割合が多かったし、たぶん受講生も増えているのだろう。国の勢いをここでも大いに感じたわ。
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そうそう、イギリス人女性が弾いたのはショパンのあのバラード一番だった。あれを聞くと今となっては羽生選手のオリンピック・ショートの演技を思い出しちゃうわねえ。まあ弾き方はあの音源とは全く違ったけどね。このタイミングじゃあのジャンプ飛べないなあ、なんて。

色々と思うことの多い無料公演だった。これで8月2日のお話はおしまい。
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