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めぎのフィギュアスケート観戦記 プロローグ [2017年春 ヘルシンキ]

イースター休みに入り、ようやく時間ができて、まずはやっぱりこのお話から。さっさと書かないと、次の試合になっちゃうしね。
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めぎのフィギュアスケートとのつきあいは長い。それはジャネット・リンからなのだ。なにしろ札幌の出身だしね。小さい頃はなんとマイ・スケート靴を所有し、ジャネット・リンの真似事をして遊んでいた。



その後心を奪われたのは、ペアのゴルデーワ。彼女はあまりにも美しく軽やかで、少しずつ大人になっていく様子も美しく、いつもいつも楽しみにしていた。




ところで同じ頃、伊藤みどりとカタリーナ・ヴィットもいて、日本では女子シングルが特に注目されていたけど、めぎはその頃から男子シングルが好きだった。この頃二人のブライアンが金メダルを奪い合っていた時期で、これがブライアン・オーサーの若かりし頃である。結果は銀メダルだったけれど。




そのようなわけで、ずっとずっと世界選手権かオリンピックのフィギュアスケートを見に行くことがめぎにとっては夢だった。その夢を最初に叶えたのが2002年の長野での世界選手権。オリンピックイヤーの世界選手権で、めぎのお目当てはプルシェンコだったのだが、彼が来なかったにもかかわらずこのヤグディンを見ることができて感動的だった。つまり、この映像の大観衆の中にめぎもいるということね。ちなみにこの頃、日本でもチケットは簡単に買えた。まあ女子シングルじゃなかったからかも知れないが。



そしてその年の秋からめぎはドイツへ。その頃ふと気がついたのだった・・・2004年の世界選手権がドルトムントで開かれると言うことに。ドルトムントはデュッセルドルフから電車で1時間くらい。うちからアリーナまでだと待ち時間など入れて2時間くらいかかるが、通えない距離ではない。で、一年前に通しチケット(予選からエキシビションまでのチケット)を購入。カテゴリー1の通し券が当時392ユーロ。そうして2004年3月終わり頃、デュッセルドルフから一週間ほど毎日電車でドルトムントへ通って世界選手権を一から百まで堪能した。これは男子シングルの予選の日。これからリンクに上がろうとしているのがプルシェンコである。
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そのときのめぎの席はジャッジ側。プルシェンコがジャンプしたところ。予選だから観客も少なかったわね。
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この頃は世界選手権に予選というのがあったのだった。予選は前の年のプログラムを滑ってくれて、めぎは大好きだった「サンクト・ペテルブルク300」というのとその衣装を見ることができてとても嬉しかった。その演技は前の年の映像だけどこちら。



2004年の世界選手権では荒川静香さんが優勝して、同じく通し券で一週間隣同士だったイギリス人たちにおめでとう~!とめぎまで祝われたのだが、めぎにとってはこのプルシェンコの演技が何より記憶に残っている。転んでもぶっちぎりで優勝だった。そうそう、これが6点満点制の最後の年。



このときのドルトムントの会場では演技前の選手たちを垣間見ることもできた。このときのめぎのカメラではこんなブレブレ写真しか撮れなかったけど、その分心の中に彼の集中する姿が焼き付いている。
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思えばその2004年の世界選手権がめぎにとってフィギュアスケート観戦と一つ区切りがついたときであった。なぜなんだろう・・・美しさと技の局地を見尽くしたという気がしたからか、金まみれのスポーツにちょっと嫌気がさしたからか、一週間朝から晩まで堪能することで現実を知り、子どもの頃からの憧れに終止符が打たれたというか・・・とにかくその後のオリンピックでプルシェンコが優勝した後、めぎは急速にフィギュアスケートへの興味を失った。だから、ダイちゃんやマオちゃんと呼ばれる人たちが大活躍していた時期、めぎは全くフィギュアスケートを見ていない。オリンピックさえも見なかった。プルシェンコはさらに現役で居続けたけれど、それもあまり見なかった。それほどまでに、めぎはすっかりフィギュアを卒業していたのである。

それが3年前、ソチでユッツール・ハーニュという日本人が金メダルをとったというニュースをドイツのラジオで聞いて、ハーニュ?どういう字?と思って確認したのがめぎの第2のスケート観戦人生の始まりである。何この美少年!マンガから出てきたみたいな美しい男の子。脚が長く顔が小さく華奢。ひゃ~これ、ホントに日本人!?それがあのパリの散歩道でやんちゃそうな表情を見せ、ロミオとジュリエットで儚げな美しさを見せ、スポーツである前に役者演技であるような、でも2種類の4回転を飛んで立派にスポーツでもあって、よく見ればあのブライアン・オーサーも横に控えてて、へ~~~と突然興味を持ったのだ。オリンピックで金メダルを取ったからかも知れないが、なんというか、ハーニュ君には特別なオーラが感じられた。それから毎年、グランプリシリーズから世界選手権までテレビ観戦し、全てのプログラムと彼の成長の変遷を観察してきた。同じオーサーコーチのハビさんもめぎは気に入って、二人の戦いの様子も面白かった。とは言え、正直、試合観戦に行くほどではなかった。バルセロナでグランプリファイナルがあったときも昨年のマルセイユも、週末だけなら行けなくもなかったのだが・・・以前のプルシェンコと違ってどうしても生で見たいと思うほどではなかったし、どうせ見るなら通し券でないと面白くないとも思っていたのだ。だって、あそこで毎日毎日、試合期間中日々盛り上がっていくのを感じるのが素敵だったから。その日の分しか見られないのならテレビで観ても同じこと、と。

だからチケットも買わずにいたのだが、今年の2月の四大陸をテレビで観て、突然意識が変わった。うーんわたし、この4回転の戦いを見たい。4回転を飛ぶときの音を聞きたい。来年、オリンピックは遠すぎて行けないし、世界選手権はミラノだけどハーニュ君はひょっとすると次のオリンピックで引退するのかも知れないし、ハビさんも引退だろうし、今回はウノ君やらボーヤン君やらもいるし、さらにネイサン君も出てきたし、こんなに種類の増えたみんなの4回転を一度自分の目で見てみたい!そう思って公式サイトのチケットを見てみたら、あらまだカテゴリー1の席があるじゃない!プレミアム席はもう無かったけど、前から13列目なら悪くない。同じ日のアイスダンスはプレミアム席もある!エキシビションも前から6列目がある!!飛行機もまだ往復200ユーロで買える!!!買っちゃう?

というわけで、さくっと買っちゃってここに来たのだった。もちろんうちのドイツ人は来ていない。彼は多くのドイツ人と同様、フィギュアスケートには微塵も興味がない。で、残念だけどめぎ一人旅。でも、一人だからこそ、自分の好きなことに没頭できる。ああ、いよいよだわ~~
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おお~リンクに入ったわ~~~
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テレビで観ているのと全く同じ入り方。当たり前だけど、なんだか感動。
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そうそう、チケットを買ったあとで真っ先にチェックしたのが写真撮影ポリシー。フィギュアスケートに関しては4回転の音を聞きたくて行くので写真を撮りに行くつもりではなかったのだが、公式サイトによると、写真撮影は許可。フラッシュ禁止、撮った写真を売買してはいけない、三脚禁止、他の観客に迷惑になるような大きな望遠レンズは禁止、ビデオ撮影禁止とのこと。まあサンニッパみたいなレンズを持っている訳じゃないからそれほど大きくもないが、70-300mmはOKかしら・・・とずいぶん迷ったのだが、ダメと言われたら58mm単焦点で写そうと決心し、両方持ち込んだ。席が意外とゆったりしてて前との距離も十分にあり、70-300mmのレンズでなんの問題もなかったが、ISOを思いっきり上げたものの重い所為かちょっと手振れが多かったように思う。

ワクワクドキドキ~~~~~やっぱりこういう緊張感ある試合っていいわ~~めぎは試合が好きなのだ。綺麗な演技を見ることよりも、素敵な演出を見ることよりも、美しさと技の極みの戦いを、意地と誇りのぶつかり合いの試合を観ることにワクワクする。今やどんなスポーツもどれほどの裏があるかということをよく分かってはいるけれど、それでも試合はものすごく緊張感があって、最高のショーだと思う。3年前のサッカーのワールドカップのドイツ対アルゼンチンの時のように、去年のヨーロッパ選手権のドイツ対イタリアのPK戦の時のように、久々にワクワクドキドキした。なにしろこれは世界選手権。一年で最も緊張感のある張り詰めた空気。これで優勝できなければ世界一にあらず。ここにピークを合わせられなければ、どんな世界記録を持っていても、どんなに他の大会で優勝していても、やっぱり世界一ではない。この6人はこの瞬間に人生を懸けているのだ。
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さて、これは2004年にはなかったと思うのだが、各グループの6分間練習の前に選手の紹介があった。一列に並んで、滑走順に紹介される。もちろんまずハーニュ君から。
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他の選手たちはこの各選手紹介の間はそこに立って他の選手にイチイチ拍手していたのだが、ハーニュ君だけは自分が紹介された後誰に拍手することもなく一人ちょっと滑って円を描いてジャンプのタイミングの練習をしていた。
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どうなのそれって?よくあることなの?でも、ここまでのグループにはそんな選手はいなかったし、この後のアイスダンスでもいなかったけどなあ・・・

長くなったので、続きは明日。

撮影: D600 + 70-300mm(F4.5-5.6)、FinePix 50i、Xperia Z1
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Baldhead1010

大昔、(高校生頃)高知県にも一つだけスケートリンクがありましたが、その後はボーリング場になったり、DIYのお店になったりで、ウインタースポーツとは縁の無い我が県です^^;

by Baldhead1010 (2017-04-10 05:20) 

母ちゃん

めぎさん、あの会場にいらっしゃったんですね! 私もフィギュアスケート好きで、中継見てましたよ-。
by 母ちゃん (2017-04-10 05:50) 

YAP

生でスポーツを観るのって、やはり違いますよね。
その緊張感や興奮が、圧倒的な迫力です。
by YAP (2017-04-10 07:14) 

mimimomo

さすが北海道出身のめぎさんだけあるわ。スケートとは深いかかわりがおありだったのですね~ わたくし福岡出身故?スケート靴履いたのは1~2度ってところですよ^^ その時も氷の上に立つなり転んだわ(--ゞ
by mimimomo (2017-04-10 07:48) 

sheri

伊藤みどりにカタリーナ・ビット、懐かしいお名前で。
試合は見に行ったことはないけれど、むかーし、アイスショーを見に行った時には今ほどサービス精神が根付いていなくて。
こんなもんかぁと思った記憶がありますが、今は近くまで来てくれる等サービス精神あふれているようですね。

試合も一度見てみたいものです。
by sheri (2017-04-10 11:33) 

ナツパパ

家人は札幌の生まれ育ちで、札幌オリンピックの時高校生、
スケートの競技に一目で惹かれ、その後もずっとファンです。
今でも、テレビ中継というと目の色を変えますよ。
競技を見ながらカミさんの解説を聞くのは楽しいです。
by ナツパパ (2017-04-10 15:43) 

Inatimy

応援の垂れ幕がすごい数ですね〜。
今いる地はスケートはスケートでも、スピードスケートの方だから、
フィギュアの話題って全く入ってこなくって^^;。
by Inatimy (2017-04-10 16:03) 

テリー

マオちゃんが、全盛の時は、見ました。最近は、見ていません。

by テリー (2017-04-10 21:35) 

miffy

めぎさんのフィギュアファン歴は長いんですね~
さっき、真央ちゃんが引退を発表しました。
by miffy (2017-04-10 23:27) 

ぽりぽり

ジャネット リン懐かしいですねぇ。まさに銀盤の妖精でしたよね。めぎさんが同世代ということが良く判るエピソードです。生の羽生君見れたのですね。彼は少女漫画に出て来そうなキャラでミラクルやりますね。さぞかし興奮ものだったことでしょう。
by ぽりぽり (2017-04-10 23:28) 

ぽりぽり

追伸:真央ちゃんの引退ニュースが入ってきました。残念です。。
by ぽりぽり (2017-04-10 23:29) 

engrid

緊張感あふれる中で、
選手は、全神経を集中して、
その中に身をおいて、見る、、凄いことですね

by engrid (2017-04-12 01:16)