北海道での撮影実習 [2016年秋 日本の旅]

今日からしばらく先週の日本でのお話を。まずは、日本にいた間のmoblogで具体的に書かなかったことから。
先日ちらりと触れたように、日本で写真の講座を受けてきた。日本で受けてみたいな~というのがかねてからの夢で、日本へ行くことにしてからずっと日程的かつ場所的に合う講座を探したのだが、10月以降の講座の予定はどこも9月にならないとハッキリせず、ようやく講座が発表されてこれ是非受けたい!と思うのが東京であったのだけど日程的にうまく合わず、札幌に当初の予定より2泊長居して北海道で受けることにしたのだった。
申し込んだ講座は中・上級者向けの撮影実習で、北海道の歴史的場所を巡るというもの。全3日間で、初日は夜に概要説明、次の日に実習、それから一週間後に写真を数点選んで持っていって講評をいただく、というもので、残念ながらその講評をいただく日にはドイツに戻ってきてしまっていたのだが(思えばそれが最も肝心なので残念の極みなのだが)、普段行かない場所に行ってプロのカメラマンのアドヴァイスをもらえるというのに惹かれて申し込んだ。同じくらいの歳の札幌出身のカメラマンと知り合うということにもちょっと興味があったし・・・めぎは札幌を出て人生を切り開く道を選んだが、札幌に留まって人生を切り開いた人というのはどういう人なのかな、と。
初日の夜にちょっとワクワクして行ってみたら、参加者は9名でそれほど多くはないが、常連さんが数人いてカラーというか雰囲気というかある世界が出来上がっていて、それ以外は一見さん扱いだったのが気になった。まあ本当に一見さんなのだから仕方がない。割って入っていくことも可能だろうけどこちらも気力が無く、北海道弁のやりとりを聞きながら、ここの出身なのに遠い知らない世界にお邪魔しているような、不思議な感覚で2時間ほどを過ごした。このメンバーで一日撮影実習を共に過ごすのだから、簡単な自己紹介でもして知り合うということもあってもいいのではないかな、と思ったが・・・というのは、ドイツでは常に最初に自己紹介の時間があるので・・・これが今時の日本なのか、もともとの日本文化が匿名性が強いのか等々ちょっと考えてしまった。お互いに名乗りもせずに同じ所に2時間座るだけでも居心地悪く感じてしまうのは、ドイツ生活が長くなったからかも知れない。
この日、カメラマンさんが作例をたくさん見せてくださったのは非常に良かった。何より良かったのは、カメラマンさんが如何に大量のシャッターを切っているかというのを見たことだった。プロが同じ所でこんなにも何回も何回も何回も、誇張ではなく同じシーンを百回くらい試みているのだ・・・アマチュアのめぎが一発でいいのを撮ろうなどと考えてはいけないわね。
そして撮影実習の日、このためにドイツから持ち込んだレンズを数本持って、カメラの設定言語をドイツ語から日本語に変更して、いざ!と集合場所へ。札幌駅からバスで2時間ほどで、最初の目的地に到着。それは、ここ。

↑向こうに見えているのはダムで、現在一部撤去作業中。
ここは北海道夕張の炭鉱近くの旧発電所。現在は廃墟となっていて、ここを管理している事務所に手続きすれば無料で中に入ることが出来るのだとか。少しずつ少しずつ撤去作業中のようなので、いつかは無くなってしまうと思われるところ。

中では何かが崩れ落ちてくるかも知れないので、入るのは自己責任。ヘルメットが何個か貸し出し用に置かれていた。

中に入るとまずこんな空間。

そこにあったのは東芝の配電盤。昭和12年といった年号が刻まれていた。

さらに奥に入ると、日立の機械。大正14年ので、25トンだと刻まれていた。

発電所は今も昔も東芝と日立なのね。
2階へ上がると、天井の壊れた空間が広がっていた。

ここで、アマチュアカメラマンがセーラー服を着た女性のコスプレ撮影をしていた。彼らはコスプレの内容も申請して許可を撮っているのだとか。ここを案内してくれた係の人によると、歴史的配慮から、軍服などのコスプレは遠慮してもらっているのだそう。ああやって撮って、コンテストに応募しているのね。なるほどね・・・
割れた窓から外を見ると・・・

かつての送電線の痕があった。

さて、ここまでの写真を見てきて、いつものめぎの写真の色合いと違うなあ・・・とお気づきだろうと思うが、この日は写真教室のカメラマンのお薦め設定(ニュートラルで彩度などを調節)で撮影。見たものを見たままに、ではなく、イメージを写す、という練習である。RAWでも撮ってきたので一枚だけ上の写真のもともとの色合い(スタンダード)をお見せすると、実際の色はこんな色。紅葉にはちょっと早くて残念だったが、北海道ならではの荒涼殺伐とした山の風景が心に残った。たしかに、この真実の色よりも、上の彩度を落とした色合いの方が、めぎが感じた印象に近い。北海道の現実を知らせるという目的にも、より効果的に感じる。

ここでカメラマンさんが光と影の撮り方を見せてくれたり、気がついたことを指摘してくれたり、質問に答えてくれたりして、ホンの短い実習だったけど、ホンの一言が目から鱗だったりして、参加した意義は大いに感じることが出来た。何事も、教えてくれるのを待つのではなく、やはり自分から参加していかなければいけないということなのだろう。習うより倣え、という感じでもあるかな。ドイツでは初級~中級の講座しか受けたことがないので比較にはならないが、ドイツの方が少人数で懇切丁寧だという印象。でも、あるレベルからはやっぱり習うより倣えで、自らプッシュしていかなければ何も得られない。そういう部分は日本もドイツも同じなのね。
他にも機械や壊れた扉や地階の石炭の灰などあれこれ撮ってあるのだが、それをRAWからじっくり作品として仕上げるところには全く至っていない。そんなわけで、もっと良いアングルのもっと光の面白い写真や面白い被写体もあるのだが、ここの話はこれで終わりとする。

この場所の写真はこれで終わりとするが、撮影実習の話はまだまだ続く。
撮影: D600 + 24-70mm(F2.8)
2016-10-24 02:00
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コメント(8)
なるほど、です。
by 足立sunny (2016-10-24 03:23)
写真教室、こちらでもあればいいのですが・・・。
HDDの容量を食うので、近頃はRAWでの撮影はやめています。
by Baldhead1010 (2016-10-24 04:36)
本当だ、色で受ける印象が違いますね〜。
自己紹介の話、なんとなく分かります。大人数なら各自それぞれでもいいけれど、
9名くらいなら最初に皆で簡単な自己紹介をしてからって流れに
なりますものね^^。
by Inatimy (2016-10-24 06:45)
モノクロとまではいかないけど、彩度を落とした写真は、こういう廃墟の風景を切り取るにはいいですね。
雰囲気出てます。
by YAP (2016-10-24 08:20)
本格的なんですね~ わたくしが行くツアーは遊び感覚。
その場所に連れて行ってもらうのが主目的のような^^
by mimimomo (2016-10-24 10:08)
意義のある講義でよかってですね
目からうろこは、土台がしっかりしてみえるからでは
自己紹介は、やはりないのは不親切ですね
同好の士が短い間でも、行動をともにするのですから
はじめの雰囲気を、
和ますためにもあってしかるべきではと思います
by engrid (2016-10-24 18:43)
なかなかいい講習会のようですね。
by テリー (2016-10-24 21:59)
先日新しいクラスに参加させていただいたんですけど、最初に名前だけの自己紹介ありましたよ。
先生とかその教室の雰囲気ってあるのでしょうね。
紹介されなかったのは残念でしたが、目からウロコってよくわかります。
教わると本当に参考になりますね。
参加出来てよかったですね。
by sheri (2016-10-24 23:14)