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森の幼稚園 その6 ~帰り道からお迎えまで~ [北ドイツの森の幼稚園]

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北ドイツの森の幼稚園のお話は本日最終回。
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森からの帰り道、子どもたちがこれを写して、と言ったもの。
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キノコ♪
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これはピントを合わせるのがなかなか難しい・・・子どもって、こういうものをうまく見つけるのよねえ。
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めぎが写していると、子どもの一人がちょっと歩いては振り返り、ちょっと進みつつ待っていた。
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でも、すぐに集団に追いつき、追い越した・・・なにしろまたガン泣きが始まったから。
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この子は一度下へ降りたのにまた上がっていって、どうしたのかな、ガン泣きの子が気になったのかな、と思って振り返ったら、「Achterbaaaaahn!」(ジェットコースター!)と叫んで、全速力で降りてきた。
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生き生きとしたこの子、ご両親を失って、今のおうちの養女なんだって。幸せそうで良かったね。
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さて、下の集団にも追いついたら・・・なんとトイレタイム中♪ ズボンを下ろして草むらへ・・・という暇もなく、ズボンを下ろした途端にじゃ~~~~と弧を描いてた♪ そして、この子がとっても嬉しそうな顔で振り返っていた・・・
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そうこうしている間に他の子どもたちが水を飲み出したり雨具ズボンを脱いでスパッツになったりして、なかなか出発できない。
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ガン泣きをなだめつつ下へ降りてきた後発集団が追いついてきた。
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しかし、出発してまたちょっと行くと、またガン泣きの轟きが響き渡ったのであった。
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他の子どもたちは無関心。
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この子はまたもやゲンゴロウのところへ。
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この子はめぎを振り返り振り返り意識しながら歩き・・・
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虫がいるよ!と立ち止まった。
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写真を撮ってもらって見せてもらうと満足してまた歩き始めた。
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そうこうしてようやく事務所に到着。
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12時15分頃。あのマットを出して敷いてここに座る。いつのまにか何人か大きな子が混ざってる・・・彼女たちはここの卒園生で、弟か妹を親と一緒に迎えに来たらしい。彼女たちは一緒にここに座ることが許されている・・・親たちは、時間が終わって日直が呼びに行くまで、姿を見せずに裏の駐車場で待っていなければならない決まりだそう。
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先生の一人がりんごを切り分けている間に(ドイツではりんごを皮むきのまま食べるので、皮は剥いていない)、日直さんたちがまた蝋燭を灯し・・・
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それから日直さんが切り分けたりんごをみんなにサーブし・・・
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それから最後の集まりがある。その日によってはもう少し早めに戻ってきて、ここでの時間を長めに取ることもあるようだ。そして、歌を歌ったり、本を読んだりする。この日はあの地図絵本を取り出して、日本の位置を確認。飛行機で12時間くらいかかるんだよ~と地図上でロシアの上をなぞったり。そうそう、朝には彼らが唯一日本語で歌える歌として、「焚き火」を歌ってくれたんだった・・・アルファベットで「kakineno kakineno magarikado...」と。「ri」がとっても巻き舌だったけど♪ いつも秋にそれを歌うんだって。メロディーとアルファベットで書かれた歌詞がファイルされてあった。歌の本ではなく、インターネットなどで集めたのか、図書館でコピーしてきたのか、たくさんの歌の楽譜とテキストがファイルされてあった。

そして12時半になり、日直が親たちを呼びに行ってきた。すぐにどやどやと姿を現す親たち。
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そうそう、この人が、入れ墨の社会教育士さん。すごいでしょ。ドイツでは入れ墨はタトゥーで、タトゥーはファッションなのだ。でも、もし日本へ旅行へ行ったら、温泉に入れてもらえないわねえ。
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この送り迎え、どの親も自分でしている。この辺はド田舎なので、学生のベビーシッターなどは全くいないし、高校生も朝はもっと早朝にバスで町中の学校へ行ってしまったあとだ。幼稚園の始まりが8時半過ぎなのに7時半から子どもを受け入れているのは、早朝から働く親のニーズに応えたもの。お迎えにお父さんが多いのは、この日が金曜日だったからだろう・・・午前中で仕事納めをするところが多いのだ。小学生がお迎えに一緒に来ているのも、小学校が金曜日は12時には終わっているからだ。いや、ドイツの小学校は全日制ではないので、平日も1時には終わっているのだが。いずれにせよ、この幼稚園は歩いて通える場所にはないので(幼稚園バスなどもないし)、親が車で送り迎えをしている。

ここでめぎが気がついたこと・・・親たちは、自分の子どもに「ハッロー!今日はどうだった?」と抱きしめたり抱き上げたりして先を争うように事務所に入って荷物をまとめて引き取って帰っていくのに忙しく、この男の子が日直でもないのにこうしてみんなの座布団マットを集めているのには全く無頓着。集め終わった男の子はいつまでもこのマットを事務所に戻すことができず、多くの親たちが引き上げ終わるまで、ずっと戸口近くで待っていたのだった。それって、それって、それって、どうよ?自分の子どものことしか目に入らないの?
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ようやく片付けて、お仕舞い。お疲れ様。
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以上、北ドイツの森の幼稚園のお話もこれでお仕舞い。めぎにとっても非常に興味深い有意義な体験だった。招待してくれた義妹に心から感謝。いつか、一週間くらい潜入して毎日の様子を見てみたい気がする・・・また、真冬の様子も見てみたいし、天気が悪い日も見てみたい。でも、めぎも学校があるので、なかなかねえ。このときはドイツ南部ではカトリックの祝日だがプロテスタントの北部では祝日ではない日を利用したため、見学が可能だったのだ。(このように、ドイツは国内でも祝日の日が州で異なる。つまりは日本と違って国全体が一律ではない・・・同じキリスト教でも祝日が異なるのであって、つまり、差違が当たり前なのであって、そんなところも、個性を大事にする土壌となっているのだろう。)それに、めぎの体力じゃ、いきなり真冬や雨の日の見学は体調維持が相当難しいだろうな。
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こういう幼稚園で子ども時代を過ごせたら、めぎももっと丈夫な身体になったかも知れないなあ。ドイツ人の学生たちみたいに、夏休みに寝袋とテントを担いでツーリングとかして、野宿していたかも知れないなあ。一緒に行った研究者さんが、たまたま見かけた大学の学生向けのイベントでまさにそういうプログラムが一週間300ユーロで出ていたと言って、日本ではそんな野宿プログラムを大学が企画するなんてあり得ない、考えられない、不可能、せめてユースホステルでの宿泊が必要、でも、こういう育ち方をしたドイツ人学生にはあり得るワケね、と納得していたが、たしかにそうねえ・・・ドイツ人でもこういう幼稚園に縁の無かった人の方が大多数だけど、みんな夏休みに何週間も森や海でキャンプとかしてるからね。うちのドイツ人だって、子どもの頃は毎年夏休み6週間まるまるイタリアの海辺での休暇でテント生活したって言ってたし。(6週間も外国旅行&しかし観光せず6週間海辺での休暇で現地イタリア人の子どもたちとひたすら泳いだり砂で遊んだりする日々&6週間もテント生活!時間の感覚も価値観もまるで違う。)
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どこでどの親に生まれるかによって、その子の人生の大半は決定する・・・そう強く感じる。この森の幼稚園に我が子を入れるか入れないか。それだけでも、親の決定がその子どもに及ぼす影響の大きさは計り知れず、それがどれほどその子どもの将来の舵取りの方向に影響を及ぼすか知れない。もちろんその後の人生で様々なことを学び、親が作ったレールを掛け替え、時にそのレールをぶちこわし船に乗り換え思いっきり別の方向へ舵取りしていくこともある。しかし、その場合にもやはり、親への反発心とか、さらにその裏返しの本音・・・親に何とかして振り向いて欲しい、ありのままの自分を認めてもらいたいという切なる願い、つまり、親の理想の良い子ではなく、親自身の夢を子どもに重ねるのでもなく、兄弟姉妹と比べるのでもなく、親の子ども時代と比べるのでもなく、本当の自分をそのまま見て受け入れて欲しいという切なる願い・・・が、舵取りに大きく影響する。それは、日頃高校生や大学生を見てもそう感じるのだが、既に幼稚園でその兆しが見られることに驚いた。いや、幼児だからあからさまで、兆しどころかそれが爆発してもいる。親になるというのは、子育てするというのは、本当に責任の大きな仕事なのだな。そして、語弊を承知で書くが、誰もが多かれ少なかれ失敗しているから・・・それは、その親がまた失敗したから当然なのだが・・・だからこの社会は色々な人がひしめき合っているのだろう。それが当たり前なのだ。しかし、こんな小さな子どもがガン泣きを繰り返すのを見て、その他にもほとんど笑わない子どもや常に大人の目を気にしている子どももいて、それは個性だ性格だという言葉では片付けられないものを感じためぎだった。

めぎたちはここを1時頃あとにした。仕事を終えたあとのすがすがしさといったら!子どもたちは可愛いけれど、本当に本当に本当に重労働だわね。めぎはあまりにも疲れ、この日このあと4時間昼寝した。次の日も5時間昼寝した。ホント、疲れたわ~~~
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ちばおハム

昨日のいってQ(昨日といっても沖縄の昨日であって、全国放送はもっと前だと思うけど)で森の幼稚園についてやっていました。北欧が発祥の地だそうで、日本でもあるらしい、というナレーションでした。
ふーん、そうなのね、でも日本ではここまで思い切ったことはできないだろうなあなんて考えたりしました。
どこの子どもも家で抱えてくる問題をしょったまま保育時間をすごしているし、保育園は恐ろしいことに一日の10時間以上を過ごしていて、(勤務時間より長い)いい時間もあればブルーな時間もあって・・・。

by ちばおハム (2013-06-17 06:04) 

駅員3

sonetさんめちゃくちゃ重たく、niceのみにて失礼します。
by 駅員3 (2013-06-17 06:42) 

Baldhead1010

入れ墨、ファッションでも掘る時に痛いでしょうね。
by Baldhead1010 (2013-06-17 07:24) 

YAP

いろいろと興味深かったです。
生まれる環境(家)によって、人生は大きく変わりますね。
自我に目覚めるのが早ければ、その影響は軽微にすませることができるのかもしれませんが、それでもゼロにはできないでしょう。
私は、親が希望する進路とは大きく違う道を進んでいるのですが、それでも親の影響を受けていたんだろうと思います。
by YAP (2013-06-17 08:17) 

luces

お疲れ様でした。
子供たちはみな楽しそうに見えます。
体力と信念がないと出来ない仕事ですね。
by luces (2013-06-17 08:23) 

mimimomo

疲れますよね~ 自分の子供たった二人でも疲れてました。若いときでさえね。
親は子育てに大方失敗する部分がある。わたくしも失敗だな。
by mimimomo (2013-06-17 08:39) 

ナツパパ

うーん、すみません、今日は考えが纏まらず...。
by ナツパパ (2013-06-17 08:47) 

ぽりぽり

2枚目の縦の写真は、フルサイズの解像度の高さを感じさせますねぇ。ホワイトバランスを変えたのでしょうか? 印象的な緑ですね。
by ぽりぽり (2013-06-17 20:12) 

HIROMI

キノコに吃驚!キノコじゃなくて、ハチの巣では?と思いました。

子どもはいろいろなものを抱えて、学校へ通ってきます。
経験が少ないからなかなか自力で問題を解決できなかったりするんですが、だんだん経験を積んで自信を付けていくんですよね。


by HIROMI (2013-06-17 21:57) 

Inatimy

どこでどの親に生まれるか、まったくそうですよね。 国によってこうも違うとは。
夏休みの過ごし方が日本と欧州と全く違うのも当初はビックリでしたもの。
何もしない、休むのが目的だと言われても、どうもせっかくの休みだからとミュージアム行ったり、ちょっと遠くへ観光したり。 
で、普段より活動的に過ごして、結局疲れちゃって(笑)。
でもキャンプって日常より不便ですよねぇ。 食事もシャワーも。 
6週間のキャンプより1週間のホテル宿泊がいいな・・と思う軟弱な私でした。
by Inatimy (2013-06-18 01:48) 

stellaria

いろいろなことを考えさせられました。
お迎えの時のことですが、自分の子の保育園のお迎えを思い出しても、自分の子どもを連れて帰ることに夢中で、他のことまで目に入らなかっただろうと思います。ただ、もしもめぎさんのように状況が見えていたとしたら、その子に「みんなの座布団マットを集めてくれたの? ありがとう、偉いね」と声をかけたり、あるいは、自分の子どもに「あんたも手伝いなさいよ」と言うかもしれません。「他の人のために働くこと」を褒め、「仕事は皆で協力してやるべき」と強調するのは、日本人的ですよね。ドイツの方達はまた別な声のかけ方をするのだろうな。
by stellaria (2013-06-18 07:39) 

夢空

森の幼稚園
所、、変われば。。ですし、やはり環境で子どもは育ち、どこに生まれて、どのように教育されるのか、、で、性格、人格も形成されるのですね。
自分の子育ては、どうだったのだろう~?
自分は、マンモス小学校でしたが、子どもは小さな小さな森の小学校。。。いろいろ考えさせられました。
by 夢空 (2013-06-18 22:28) 

のの

今頃のコメントで、めぎさんが読まれるかどうかわかりませんが(^^;)
現代の中学生・高校生のなんと幼稚な子が多いことか・・・;と思います。
それはやはり、集団生活を始める年頃までに、きちんとした親子関係が
築けてるかどうかということも大きく関わってるような気がします。
自分の子が幼・小・中と進むたび、ホントいろいろ考えさせられます;
いろーーーーーーんなお母様がいらっしゃって、時々自分が堅すぎるのか?私の常識がおかしいのか??と思ってしまうこともしばしば・・。
若い母親の理不尽と身勝手な怒りに振り回されてる子を見るにつけ
その子の将来が他人事ながら心配になります(^^;)
座布団片付けられずに右往左往してる子・・その現場にいたら、
私ももちろんだけど、誰かが「片付けられないよ」と言うと思います・・親でも子でも。
言えないのか、言うような空気じゃないのか・・誰もなんとも思わないのか・・・。かな。そこにお国の違いも感じますね。

うちはひとりっ子だけど、お二人お子さんがいらっしゃる方はよく言いますよ「上の子で失敗したから下の子の時は・・・」って話。
でもね、失敗なのか成功なのかは大人になってみないとわからないよってもよく言われます。
子育ては奥が深いですね・・・(^^;)

by のの (2013-06-25 10:33)