日常を体験する旅

めぎ家に遊びに来てくれた鳥さん。この鳥さんが二羽で遊びに来てくれてたの。



雨樋のところをいっぱい宝探しして、いらないものを散らかして、行っちゃった♪



いえ、これは母と妹の比喩では決してないのだけど・・・これは初日の朝ご飯の支度をしていたときに撮影した写真だったので。ドイツの美味しい朝ご飯を堪能してもらいたくて、パンも朝起きてから買いに行って、マルクト市場で用意したハムやチーズをいっぱい並べて、これからの10日間を前にウキウキしていた頃のこと。



食べ終わったあとも撮影。めぎがこうして朝ご飯を一緒に囲むことができたのは、旅行中を除けば実はこの日だけ。あとは午前中に授業があったので、早朝にめぎは出かけてしまい、うちのドイツ人が卵料理を作ったりして朝ご飯をもてなしてくれたのだった。彼のサポートに大感謝。



そんな風に、飾らずいつもの日常を見てもらう・・・それが今回の母のドイツ訪問に当たりめぎ家の設定したテーマ。高校が秋休みだから大学の仕事はあるとは言えいつもより相当少ないので、実際には本当の日常を見せることはできないけど、ただガイドについているかように旅行するのではなく、外国で暮らすことの現実を見て、その良さも苦しさも、喜びも辛さも、あるがままに感じてもらいたくて。



日本が震災で大きな痛手を受け、たくさんのドイツの人たちからお見舞いの言葉をもらい、どうして両親や兄弟をドイツに呼び寄せないのか、などと学生たちや同僚などから言われたりしためぎとしては、気晴らしにホッと一息ついて欲しいという気持ちもあって今回母を招待することにしたのだが、実際に会った母は、今年も海外旅行3回目で（めぎは20年来いつどこへ母が海外旅行しているのかほとんど知らされていないが、毎年2～3回旅をしているそうだった・・・ここ2年間にもショパンの音楽祭にポーランドへとか、ニュージーランドの原生林へとか、フランスのワインカーヴを訪ねるテイスティングの旅とか、チュニジアの、イタリアの、どこどこの・・・とあちこちに・・・たしかにこの身軽さと旅行好きは、めぎは母に似たのね）、髪を綺麗に染めて化粧も毎日朝からばっちりで素敵な服装をして耳にも首にも指にもたくさんのアクセサリーをつけてとても綺麗にしていて、そして何と言っても非常に元気でアクティヴで若々しくて全く疲れを見せず、「親も歳取ってきたよ～」と妹から聞いて描いていたイメージとの温度差に、正直なところかなり戸惑っためぎだった。



何はともあれ、親が健康で好きな旅行をたくさんできる財力も元気もあるというのは、遠くへ嫁いだ娘にとっては大変有り難いことよね。



めぎが日本へ戻らずにドイツに留まることにも、ドイツで職を得ることにも、研究を中途半端で教職に就くことにも、ドイツ人と結婚することにも、大反対だっためぎの両親。今でも、日本に戻ってきて日本で成功してもらいたいと願っているはず。ドイツに留まっているのはうちのドイツ人がドイツにいるからじゃなくて、本当はうちのドイツ人は日本に住みたくて仕方がないのだけど、めぎ自身がドイツの方に住み続けたいからであるというこの事実は、娘にそばにいて欲しいと願う親には受け入れがたい現実なんだろうな。だからこそ、実際の日常を見て、めぎの幸せを感じて欲しかった。歩きやすい靴と、汚れてもいい暖かい格好で、いつもの池を鳥さんと会話しながらゆっくり散策する楽しさ。これがドイツの日常であり、ドイツ風の楽しみ。華やかな見所はないけれど、実直な地に足の着いた生活。そんなことがちゃんと伝わっていたらいいな。



幸運なことに天気に恵まれ、ドイツの黄色の紅葉が美しかった。



池のキラキラも。



水面に映る母と二人の娘たち。思えば、いい年をした結婚して数年経っている娘が二人もいるのに、孫のいない母。そういう意味では申し訳ないな。でも、めぎはもう子供の産めるような歳じゃないし、妹もそろそろ限界。そろそろ諦めてもらうしかないわねえ。



でも、妹はこの通りずいぶん若々しくて、もしかしたら・・・と期待しちゃうのも分かるなあ。めぎは、ただただ妹が旦那と一緒に幸せであってくれればそれでよいのだけど、母親の立場からはきっと違った感情があるのだろうな。



それにしてもなんて綺麗だったんだろう。



デュッセルドルフに母と妹が着いたときにはもう真っ暗で、夜は早々に店仕舞いしてしまって（しかも日曜だったからもともと全く店は開いてなくて）ネオンも外灯もないドイツでは真っ暗で、なんて寂しいところなんだろう、と母は思ったそうだが、次の日にこんな綺麗な様子を目にして、ずいぶんお洒落なのね～とびっくりしたそうだった。



ずーっとぐるりと歩いて、ライン河畔へ。暑い時期ならここの近くでデュッセルドルフの地ビールをぐいっと一杯飲むところなのだけど・・・



ビール飲むには寒いし、おなかも空いたので、旧市街の年中毎日マルクト市場をやっているところで白ワインといつものこのお魚。塩漬けのニシンを前にちょっと微妙な顔をしている母。新鮮なお刺身がいくらでも手に入る札幌から来た彼女としては、これは生魚としては受け入れがたかったかしら。しかも、立ち食いなんて、お行儀悪かったわねえ。でも、美味しくいただいてくれて良かった。



そして、うちに帰る途中、この季節ならではのヴェックマンというパンを見つけた。



それじゃ、と早速お買い上げ。



これをうちでココアと一緒に賞味。うーん、秋だわあ。



こんな風に一日目が過ぎていったのだった。その後、サッカーを見に行ったりめぎ家によくお招きしている元学生さんと夕食を共にしたりなどしたけど、ほぼこんな調子でゆったりと四日間が流れていった。その間に時差ぼけが治って体調を整えてもらうことを意図していたのだけど、アクティヴで旅行慣れした母にはちょっとゆっくり過ぎてつまらなかったかも知れないなあ・・・めぎは仕事もあってあまりお相手できなかったし、妹も最初ちょっと体調が良くなかったし、旅慣れた母だからその辺を一人でどんどん散歩に行くのかと思っていたのだけどそういうこともなく、本を読んだり、うちのドイツ人と一緒に料理したり、日本から持ち込んだ食材で料理を作ってくれたり、食材を買う普通の買い物につきあったり、まさに日常を一緒に過ごしたという感じかしら。

そうそう、妹とは会った瞬間から一年以上会ってなかったのが嘘のように心が触れ合えて、かけがえのない妹を生んでくれた母に大感謝。みんなで記念撮影・・・真ん中のハロッズの熊さんは、今回同行できなかった妹の旦那の身代わり。ワンちゃんたちは、スイスで妹とお揃いで買ったもの。コウノトリさんは、子供になるのか何になるのか分からないけど妹に幸せを運んできてくれるようにという願いを込めてめぎがアルザスで妹にプレゼントしたもの。妹よ、一緒に来てくれてありがとう。

コメント 21

外国へ行きたいものの、身体がしんどくなってだんだん億劫になってきます。
by Baldhead1010 (2011-11-05 05:35) 

おはようございます。
来てくれた時のわくわく感、わかります！そして帰っちゃうときのさみしい感じも・・・
次に会うまでが長いんですよね。私ももう１年以上帰ってません。
by ちばおハム (2011-11-05 06:17) 

紆余曲折はあったのかもしれませんが、
こうして一緒に楽しみを共有する時間が持てて、
本当によかったですね。
by manamana (2011-11-05 06:22) 

国によって時間の流れ方や流れの速さが違いますよね。
ゆったりの散策は、ある意味、贅沢で貴重な時間であること、
そして、その大切さ、分かる気がします。
一緒にいて、同じ時間を過ごして、幸せに暮らしてるんだと安心されたかな。
by Inatimy (2011-11-05 06:54) 

花壇の女の人の像のところで…ふふふ。ドイツ人さんと同じことをしてますね。ここではついついこういうポーズを取るのかしら。
by ＨＩＲＯＭＩ (2011-11-05 08:24) 

お母様も若々しい感じですね。アクティブで人生を楽しまれている様子。　家族で充実した時間を過せた様子。クロワッサンの朝食は、何時もながら贅沢で美味しそうです。
by ぽりぽり (2011-11-05 08:49) 

日本のご家族にドイツ暮らしを満喫してもらったようで何よりでした。お客様が帰国されると、少し寂しい感じがしますね。ぬいぐるみさん達の集合写真で家族団らんの賑やかさが伝わってきます。
by hideyuki2007y (2011-11-05 08:56) 

久しぶりにあった家族が、日常を一緒に過ごすって良いアイディアだと思います。
親にとって、子どものことがいつも心配でしょうから、ふだんの暮らしが
安定していると分かれば、それだけで嬉しいと思いますねえ。
．．．それにしてもお母様の旅行、すごいですね。
札幌のカミさんの母は、義弟がミュンヘンにいるとき、２ヶ月に一回ドイツまで行ってました。
行ったら行ったでドイツ中駆け回り．．．中欧まで足を伸ばし．．．すごかったです。
by ナツパパ (2011-11-05 09:10) 

娘を訪ねて外国へ来る母親の気持ちからすると、
娘の日常を見るのって一番大事なことでしょうね。
そう言う意味ではめぎさんとても親孝行をなさったのでは？（＾＾
by mimimomo (2011-11-05 09:27) 

お母さまと妹さん、帰られたのですね。みなさま良い時間を過ごされたようですね。お母さま、姿勢も良くて、品のある感じが良く伝わって来ます。体幹がお強い方なのではないのでしょうか。
どこにいても、家族ですね。どこに住んでも、其々が元気で楽しく生きていることが、何よりのしあわせですね。
by Bonheur (2011-11-05 09:31) 

家族とすごす時間はとても貴重な時間。
その一瞬一瞬を大切に生きていきたいですね。

by かずのこ (2011-11-05 11:34) 

素晴らしいお母様ですね！健康で若々しいというのは、なにものにも代えがたい財産だと思います。
by krause (2011-11-05 12:17) 

母親が元気でいてくれるのが一番の支えですよね、素敵なお母様で羨ましいですy（^ヮ^）y でもいろんな事に大反対していたというのはちょっと意外でしたよ、やっぱり娘のこととなるといろいろ心配なんですね。
また元気にいろんな所へ旅行していただきたいですね。
by マリエ (2011-11-05 16:35) 

めぎさんのお母様に対する思いを読んで、心が温かくなりました。
私も同じ日本にいるとはいえ、両親とは遠く離れて暮らしています。
ずっと地元で生活している両親は、遠い土地で転職を何度もしながらいるこの息子をどう思っているのか。
同僚のドイツ人を見ていると、日本人よりも人生を大切にしていると感じます。
心の豊かさがどういうことかを知っているように思います。
それを見て、自分もそうありたいのだけど、日本の会社文化はなかなかそういうことに寛容ではなく．．．
by YAP (2011-11-05 17:02) 

うわ～～　　理想的な朝食♪　　あら、失礼！！
めぎさんとドイツ人様と、ご夫婦お二人のチームワークでめぎさんのご親族をおもてなしできたのは素晴らしいですね。
美しい街並みや季節の食べ物も、すべてがお客様を歓迎してくれたんですね＾－＾）
by もとこさん。 (2011-11-05 18:19) 

お母さんは旅行慣れした闊達な人で、めぎさんに似ていますね。
パンに白いパイプのようなものが差し込んであるのが気になりますね。
by たいちさん (2011-11-05 19:25) 

めぎさんご夫婦 いや うちのドイツ人の優しさや器用さに
触れられ お母さまは安心されたことでしょうね～！！
めぎさんの思いは充分伝わったことと思います。
いいお話を聞かせていただき ありがとうございました。
by ララアント (2011-11-05 21:04) 

めぎさんが、研究よりも、ドイツで、職を得て、良き伴侶と一緒に、ドイツに住み続けたいというのは、めぎさんのブログからよくわかります。お母様も、今回の旅行で、よくわかられたと思います。親にとっては、子供の幸せが一番ですよね。
by テリー (2011-11-06 00:11) 

お母様と妹さん、旅行と言うよりお姉様の嫁ぎ先訪問という
感じで、ゆったりとした日々を過ごされたようですね。
お二人ともお洒落でですね～それにお母様のお若いこと！！
私には姉妹がいないので、子どもの頃からとても憧れてました。
でも、４才上の兄とはとても仲良しで今も時々メールを送り合ったりしてるし
いざという時には頼れる兄なので、兄がいてくれてよかった*と実感するのですが
私自身もういろいろ限界なので（＾＾；）ボクちゃんに兄弟は無理・・。申し訳なくも思います。
パンが・・・パンが（＞＜）美味しそう！！！
パン大好き♪ドイツ行ったら毎食パンとワインでいいかもｗ
あ・・いや・・やっぱし生ハムも・・・ｗ
by のの (2011-11-06 07:30) 

活動的なお母様ですね。
ちょっと自分と重ねてみたり。
複雑な思いです。
by Tytto (2011-11-06 21:21) 

やっぱりきれいな街並みだなぁと思う。
思いも、おじさんは本当はわからないのだろうけど、美しい。

by 春分 (2011-12-03 12:08)