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古本の修理 [うちのドイツ人のDIY]

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これは、うちのドイツ人愛用の料理書。
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とうとうバラバラになっちゃった・・・
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本を修理に出すと結構なお金がかかる。そこそこ満足のいくものに仕上げようと思うと100ユーロ(1万円以上)は飛ぶし、この本がそこまでの価値があるかという問題になってくる。そこで、うちのドイツ人は自分で修理する道を選んだ。図書館から製本の仕方の本を借りてきて・・・
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本の仕組みをお勉強。
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必要な材料のページは色とりどりでなんだか楽しくなってくる♪
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実際の作業は非常にゆっくりで、非常に地味。
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ゆっくりとゆっくりと、たぶん2時間くらいかけて少しずつ剥がしていった。
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数日後には表紙の修理がほぼ終わっていた。
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剥がれかけていた角も補強。
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そのまた数日後には、こんなテープが貼られてた。
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修理中の本が製本された頃にはなかったこのテープ。今はどんな本にも使われているみたいね。こうやって作ることもできるみたいだけど、うちのドイツ人は出来上がったテープを買ってきていた。
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これから表紙の裏に厚紙ををくっつける作業。
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入念に大きさを測って・・・
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丁寧に切って・・・
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糊をつけて貼り合わせる。
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それからページの端っこに糊をつけ・・・
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剥がれていた一枚を貼り付ける。
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そして、プレス。
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こんな作業を表裏繰り返し、出来上がり♪
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あのテープも綺麗に張り付いてるし、紙も綺麗に。
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この本、中身は亀の子文字。例えば、Suppen(ズッペン=スープの複数形)って、読めます?Bのところ。
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ここがSuppenのページ。スープのページの1番はFleischsuppen(肉のスープ)。その下にはAllgemeine Regeln beim Kochen der Fleischbrühe (肉のスープを作る際の一般的規則、つまり肉の出汁の取り方の基礎)が続き、その下にはSuppentopf、つまりどういう鍋を使うべきかが書かれている。
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亀の子文字は、ドイツ語を第2外国語で2年間やったことのある人なら、2時間くらい頑張って解読に取り組めば読めるようになる。これが読めるとドイツ語の古い本が読めてとっても楽しい。この料理の本は、他のどんな新しい料理本より面白い。なにしろスープ鍋はスープ専用であるべきだとか、鍋は密閉式のがいいとか、出汁にする肉は新鮮であるべきだとか、肉のどの部位を使ってどのように出汁をとるかとか、塩はどのタイミングでどのくらい入れるかとか、それはなぜかとか、野菜の出汁もとるならセロリやハーブをどう入れてどのくらい煮るかとか、出汁の取り方だけでぎっしり4ページも費やされている。まだなんでも手作りだった頃の素朴な、自然の恵みを存分に生かした料理とその作り方はとってもあたたかい。よき家庭の主婦が知っておくべき教養書の役割も果たしており、実用書でありながらもどこか学術書のような感じで、19世紀後半の古き良き時代が目の前に蘇ってくるような気がする。

試行錯誤はあったもののこうして無事完成したことで喜びを感じたのか、うちのドイツ人は次なる修理の本に取りかかる模様・・・この人、職替えした方がいいんじゃないかしら。
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もんとれ

ガストロノミーだなぁ。素晴らしい・・。ドイツ人さんはなにをおやりになっても根幹が几帳面ですね。LAROUSSEの本家版よりサヴァラン的位置でしょうかね。データ化されているようですね。こちらも一年前から書籍整理と併行してデータ取り込み(いわゆる自炊というやつ)を試みたものの、あたくしは雑で飽き性でダメダメ。たまさかうまくデータ化できたものでも、捲る頁でないとわざわざ開く気にならない、いつも決まった折り目や汚れ方の頁が自然と開く、そんな感覚すべて含めて本なんだな、と。生涯電子書籍とは無縁そうです。で、このプレス機はレンタル・・ですよね・・・?
by もんとれ (2010-10-16 03:39) 

krause

古いものを大切に扱う、すばらしいことだと思います。
by krause (2010-10-16 04:46) 

coo

おはようございます。
読み込まれた本とその修理・・
丁寧にものづくりされている手の美しさ♪
尊敬申し上げます。
by coo (2010-10-16 05:46) 

manamana

1冊仕上げるのに丁寧に何時間もかけていますね。
職人技です。
by manamana (2010-10-16 06:15) 

Baldhead1010

プレス機も年季が入っていますね。
by Baldhead1010 (2010-10-16 06:37) 

Inatimy

スープのページの挿絵、なんて可愛いんでしょ。
以前は本の修理の講習を受けたくってオランダ語がんばってたのに、
引越しちゃったんでよすねぇ・・・。
本を読んだだけで、ちゃんと丁寧に作業が進んじゃうなんて、
めぎさんところのドイツ人さんは、本当にマルチな才能の持ち主~。
亀の子文字の本、ドイツで買って、私も持ってます♪ 
by Inatimy (2010-10-16 06:41) 

母ちゃん

本が美しくよみがえりましたね~♪ 地道な作業ですが、ドイツ人三位はとっても楽しい作業なんでしょうね。
あっぱれですね~(^^)
by 母ちゃん (2010-10-16 08:23) 

ナツパパ

うん、たしかにこれは面白そうです。
ドイツ人さんがはまるのも分かるなあ。
わたしも...あ、わたしは極めつけの不器用なので、ムリかも。
by ナツパパ (2010-10-16 08:26) 

HIROMI

あ…せっかくバラバラになったのですから、この機会にスキャンしてデジタルデータとして残して…いや、すごいページ数だから、無理かな。いかにドイツ人さんが根気の人だとしても。
プレス機は手作りですか?一般家庭には普通はないものだと思うのですが。
でも、この料理本、そもそも何年前の物なんでしょう?かなり年季入ってますが。日本で言えば、江戸時代とかそんな感じ?
by HIROMI (2010-10-16 08:33) 

ぽりぽり

まさに料理研究家並ですね。。自分はiPadで料理作りますから、対極にありそうです。レストランめぎの開店楽しみにしております。
by ぽりぽり (2010-10-16 08:46) 

hatsu

すばらしいですね~。
丁寧な作業風景に、感動しました^^

by hatsu (2010-10-16 08:55) 

あっち

ドイツ人さん、ものを大切にされる精神が素晴らしいですね!
修理してまでもらえるこの本もきっと、幸せだと思ってることでしょう~。
by あっち (2010-10-16 10:07) 

gillman

ぼくも19世紀のオーストリアの本があるんですが、そろそろ怪しくなってきました。直したいけど背表紙が革なので難しそうで…

by gillman (2010-10-16 10:13) 

Bonheur

凄い・・・感嘆です。
ドイツ人さん、器用でいらっしゃるし、また勉強家でいらっしゃるのですね!!図書館でも引っ張りだこになると思います!!
お料理の本、私は写真で示してもらわないとイメージが湧かないことがあったりするのですが、「文字」から想像して、あれだけ色々なお料理を繰り広げられるドイツ人さん、素晴らしい!尊敬します。
そんな真面目なドイツ人さんが、「もーきちさんあみぐるみ」の写真撮影の際、どのような表情で手にあみぐるみをお持ちで、どのようなコメントをされたのか、とても気になります。
by Bonheur (2010-10-16 10:30) 

香草

小さい頃は本を大事にしてました
もっと簡単な修理ですが自分でしたことがありますよ
装丁にも手を加えれば世界にたった一冊の本になりますね♪
by 香草 (2010-10-16 10:36) 

dora

さすが、独逸人様・・・素敵です

そして、古書の料理本の中身も気になります

2時間で解読できるか分かりませんが、読んでみたいです(^_-)-☆
by dora (2010-10-16 10:47) 

いとお

すごいなぁ~
ホント器用なんですね!!
by いとお (2010-10-16 11:51) 

luces

とても根気のいる作業ですね。
出来上がりのみごとさも素晴らしいです。
プレス機があるところもすごい。
by luces (2010-10-16 12:49) 

YAP

ドイツ人さんは何をやっても器用にこなしてすごいですね。
もちろん、そのお手並みもお見事なのですが、私は万力があるご家庭というところにも驚きました。
by YAP (2010-10-16 18:16) 

おじゃまま

その料理の本、見たい!面白そうですね!
そういえば日本でも、江戸時代の料理本とか、
時々テレビで見ますけど、面白そうですよね。
by おじゃまま (2010-10-16 18:46) 

マリエ

素晴らしいです。ブラボーです!器用だわ~お部屋のリフォームも驚いたけど本までとは(^コ^)V ボロボロの本ありますけどそのままです。

by マリエ (2010-10-16 19:42) 

MOCOMOCO

おぉ~素晴らしいです!
手先の器用さに加えて、根気もいる仕事ですよね。
古いものを捨てずに修理して大事に使おうとする心構えも素敵だわ♪
私も見習いたいものです^^
by MOCOMOCO (2010-10-16 20:26) 

miffy

ドイツ人さんに出来ない事ってあるんでしょうか~
亀の子文字の本、我が家にもあります。
童話ですけど^^;
by miffy (2010-10-16 20:59) 

のび太

亀の子文字・・・私は苦しみます・・。(汗)
by のび太 (2010-10-16 22:16) 

Mimosa

ドイツ人さん本当に何でも器用にされますね~☆凄ーいっ!!
本の修理という考えが今までなかったです。そんなに古い本もないし・・・。
お料理の本をずっと大切にされ愛読して実践されてるのも素晴らしいなぁ。。。
ドイツ語の亀の子文字、難しそうです!
by Mimosa (2010-10-16 23:01) 

たいちさん

何事にもドイツ人さんは、器用ですよね。
by たいちさん (2010-10-16 23:05) 

やよい

古い本を大切にされているのですね
丁寧に修理をして 見事な腕のドイツ人さんには
感心させられます。
by やよい (2010-10-16 23:38) 

Pace

以前に豆本を作ったことがあるのですが、
この作業って地味ですけど完成した時の
喜びが意外に大きいです(^^)
本が大好きなので、こうして大切にされているって
素敵だなぁと思いました。
by Pace (2010-10-16 23:54) 

塩

以前から何度も感心させられてきましたが、ご主人さまがなんでもこなされるのにまたまた驚きました。
古本の再製本は大変難しいものですのに、綺麗になりましたね。
別件ですが、今回もヒントをいただき厚くお礼申しあげます。
by (2010-10-17 20:48) 

nachic

丁寧に張り直されて、本が喜んでいると思います。
好きな本は、バラバラになっていても、ひとつしかない
大切なものですものね。
by nachic (2010-10-18 00:05) 

rinochi

わ~ドイツ人さんすごいな。
それに、とっても古くてまさに学術書みたい。素敵な本ですね。いつまでも大切にしたいという取り組みが素晴らしいですね。尊敬します。
料理の基礎って大事ですね。
by rinochi (2010-10-18 16:48)